本研究では, 両手による位置決め動作を対象に, 位置決め困難度と視覚フィードバックとの関係について, アイマーク・レコーダによる眼球運動の時間構造の観点から検討を行った.被験者は, 平均年齢21.3歳の男子大学生6名である.実験は次の3種類行った.実験Iでは, 移動距離を5,10,20,40cmの4条件, 各目標の径を8,16,32mmの3条件, さらに左右の目標間隔を5,10,20,30cmの4条件設定し, 合計48条件に対して, 自己の最大努力で両手動作を遂行させた.実験IIでは, 同一条件でエラーを発生させないよう指示した.実験IIIでは, おのおの片手で動作を遂行させた.実験の結果, 位置決め困難度によって視覚フィードバックのかかわり方に相違がみられ, 困難度が高いと目と手の協調を伴った動作となり, 逆に困難度が低い場合, 視覚フィードバックを伴わずに両手の位置決め動作が遂行されていることが示された.
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