Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
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ISSN-L : 0385-1559
16 巻, 4 号
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  • 中田 昌伸
    1991 年 16 巻 4 号 p. 583-590
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロルスルフロン (CS) はハムスター腎臓 (BHK) 培養細胞の生育をまったく阻害しなかったが, タバコ培養細胞には1ppbの低濃度で阻害した. タバコおよびBHK培養細胞とニワトリヒナ肝臓から抽出したアセトラクテート合成酵素 (ALS) の阻害を調べた結果, タバコでは5~10ppb CSで50%阻害されたが, 動物からの酵素は500ppbでも阻害されなかった. 植物および動物由来の酵素の反応生成物はアセトラクテートと確認された. しかし動物生体内において実際にこの反応が起こるかどうか明らかでないが, 両酵素の最適反応条件でのpH, 温度, コファクター要求性およびバリンによる阻害が異なっていた. このようにCSは植物ALSのみを阻害することにより動物毒性が低いと考えられる. タバコ培養細胞ALSに対するCSの阻害様式を調べた結果, 基質ピルビン酸に対して非拮抗作用を示し, コファクター thiamine pyrophosphate に対して不拮抗作用を示した. このことからCSは酵素, 基質, コファクター複合体に結合することによって, ALSを阻害すると考えられる.
  • 瀬口 宏一郎, 浅香 四郎, 加藤 義郎, 山口 勇
    1991 年 16 巻 4 号 p. 591-598
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シクロプロトリンは水稲, 野菜, 果樹等の害虫を防除するために開発された殺虫剤である. Cyclopropane 環の3位を14Cで標識したシクロプロトリンを用いて, ラットにおける吸収, 分布, 排泄および代謝について検討した. ラットに経口投与した14C-シクロプロトリンは速やかに糞尿中に排泄された. 168時間までの累積排泄率は, 糞中に63%, 尿中に36%であった. 単回経口投与後の血液および組織中の放射能は投与後3時間で最高になった. 7日間反復経口投与 (1回/日) した各組織中の放射能は, 脂肪と皮膚を除いて3日以後1回経口投与時の約3.6倍の濃度となり定常状態に達し, 投与終了後速やかに減衰した. 脂肪と皮膚中の放射能は他組織に比較して高く, 減衰速度も遅かった. 最終投与7日後, 各組織に残存する放射能はわずかであるか, もしくは検出されなかった. 経口投与された14C-シクロプロトリンは (RS)-2,2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acid に加水分解された後, 4位エトキシ基がさらに酸化されて尿中に排泄された. 一方, 未変化体 (投与量の48%) は糞中に排泄された. 代謝物として, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl (RS)-2,2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl) cyclopropanecarboxylate, (RS)-2,2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2,2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2,2-dichloro-1-[4-(2-hydroxyethoxy)phenyl] cyclopropanecarboxylic acid およびそれらの抱合体が同定された. 主代謝物は (RS)-2,2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl)cyclopropanecarboxylic acid であり, 投与量の39% (尿中に31%, 糞中に8%) を占めた.
  • 瀬口 宏一郎, 堺 信一, 小林 久文, 加藤 義郎
    1991 年 16 巻 4 号 p. 599-607
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シクロプロトリンは水稲, 野菜, 果樹等の害虫を防除するために開発された殺虫剤である. Cyclopropane 環の3位を14Cで標識したシクロプロトリンを用いて, イネにおける吸収移行および代謝について検討した. 14C-シクロプロトリンを水面処理すると, 3.5葉期におけるイネ体の放射能濃度は7日まで経時的に増加し, 以後ほぼ同濃度で推移した. 処理132日後の茎葉と玄米には14C-シクロプロトリン換算で0.161ppmと0.157ppm相当の放射能が移行残留した. 茎葉から未変化のシクロプロトリンが微量検出されたが, 玄米からは検出されなかった. イネの葉面に塗布した14C-シクロプロトリンはほとんど浸透移行せず, 塗布28日後においても処理放射能の98%が塗布部位に残留した. 出穂期のイネに茎葉散布した14C-シクロプロトリンも同様な挙動を示し, 玄米への放射能の移行は非常に少なかった. 散布直後植物体全体に9.33ppmの14C-シクロプロトリンが付着した. 51日後の収穫時, 茎葉に残留した14C-シクロプロトリンは9.454ppmであり, 玄米は0.001ppm以下であった. 散布51日後茎葉に残留したシクロプロトリンの4種立体異性体の存在比に変化は認められなかった. イネ体から7種の代謝物が検出され, 主代謝物は (RS)-2,2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-2,2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl) cyclopropanecarboxylic acid, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl(RS)-2,2-dichloro-1-(4-hydroxyphenyl) cyclopropranecarboxylate および (RS)-1-[(RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl]2,2-dichloro-1-(4-ethoxyphenyl) cyclopropane であった.
  • 大坪 敏朗, 津田 重典, 竹田 久己, 辻 孝三
    1991 年 16 巻 4 号 p. 609-614
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    粒径が一定 (約20μm) で膜厚の異なるフェニトロチオンマイクロカプセルを製造し, ハスモンヨトウ幼虫に対する効力, キャベツ葉に対する薬害および耐雨性について, フェニトロチオン乳剤と比較検討した. マイクロカプセルのLC95値はその膜が薄くなるにつれ減少した. また長期間効力を維持するためには, 膜厚に関して最適な領域が存在することを確認した. マイクロカプセルのハスモンヨトウに対する作用機構は, 虫体によるカプセル破壊と推定された. またマイクロカプセルの薬害は, 乳剤よりも軽減された. マイクロカプセル間では膜が厚いほど薬害の程度が低下した. 最後に, 膜の薄いマイクロカプセルは, 乳剤と比較して, 散布直後の降雨および風乾後降雨のいずれの条件においても, 優れた耐雨性を示した.
  • 堂原 一伸, 千保 聡, 松永 忠功, 伊藤 高明, 新庄 五朗, 安部 八洲男
    1991 年 16 巻 4 号 p. 615-622
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    噴射剤としてジメチルエーテルを含有する殺虫水性エアゾール製剤に関して, 各種殺虫剤の安定性および殺虫効力を調べた. 殺虫剤の安定性は, 最も安定であったフェノトリンから最も不安定であったフェニトロチオンまで, 化合物の構造によって大きく異なった. 電子求引性の置換基は, ピレスロイド系化合物のエステル結合の加水分解を促進することが示唆された. 噴射剤として液化プロパンガス (LPG) を含有する殺虫水性エアゾール製剤と比較して, テトラメスリン含有製剤が, カに対するノックダウン効力は劣ったが, 他はイエバエおよびカに対する殺虫効力が同等であるエアゾール製剤が得られた. これらの結果から, 実用製剤としてはノックダウン効果の高いアレスリンと, 安定な殺虫効力を示すフェノトリン, シフェノトリン, レスメトリン, ペルメトリンなどとの組合せが最も有望であり, ノックダウン剤としては, プラレスリンも有望であると考えられた.
  • 岡田 至, 奥井 周子, 高橋 洋治, 福地 俊樹
    1991 年 16 巻 4 号 p. 623-629
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(4-tert-ブチルベンジル)-4-クロロ-3-エチル-1-メチルピラゾール-5-カルボキサミド (tebufenpyrad, Code No. MK-239, Pyranica®) は, 三菱化成 (株) によって発見された新しい殺ダニ剤である. 近年, 殺菌活性や除草活性を有する各種のN-フェニルピラゾールカルボキサミド誘導体が報告されているが, 殺ダニ活性を有するピラゾールカルボキサミド誘導体は報告されていない. 本研究では, 74種のピラゾール誘導体 (IV) を合成し殺ダニ活性を試験したところ, ピラゾール環の1位にメチル基, ピラゾール環の4位にハロゲン原子, メチル基またはメトキシ基, ベンゼン環の4位にかさ高いアルキル基を有する化合物が高活性であることを見いだした. そのなかで, MK-239が最も高い活性を示し, テトラニカス属やパノニカス属等のダニに著しく高い活性を示した.
  • 竹中 允章, 境 昭二, 西田 均, 木村 修一郎, 長谷 寛
    1991 年 16 巻 4 号 p. 631-639
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水田土壌中におけるペフラゾエート (ペンタ-4-エニル=N-フ ルフリル-N-イミダゾール-1-イルカルボニル-DL-ホモアラニナート) の分解と土壌吸着性を, 14C標識ペフラゾエートを用いて調べた. ペフラゾエートの半減期は, 鉱質および火山灰土壌いずれにおいても1週間以内であった. ペフラゾエート添加後6週間目には, 添加したペフラゾエート由来の14Cは約56%が土壌に残留し, その他は炭酸ガスとして揮散した. 主な分解生成物として, 4-ペンテニル=N-フルフリル-DL-ホモアラニナート, N-フルフリル-DL-ホモアラニナート, 1-[(RS)-1-カルボキシラートプロピル]-3-ヒドロキシピリジニウム, およびN-(フラン-2-イルカルボニル) グリシンが同定された. これらはいずれも10%以下の集積率であった. ペフラゾエートの土壌吸着性は中程度で, フロインドリッヒの吸着定数は, 鉱質土壌で16.3, 火山灰土壌で21.9であった.
  • 熊谷 宏, 清原 千佳子, 小宮山 修子, 郭 岩, 廣瀬 聖雄, 市川 淑子, 遠藤 純二, 碇 弘毅
    1991 年 16 巻 4 号 p. 641-649
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ビスダイセン, dizinc bis (dimethyldithiocarbamate) ethylenebis (dithiocarbamate), の [ethylene-14C] 標識化合物および [dimethyl-14C] 標識化合物の吸収, 移行および代謝をインゲン実生苗を用いて検討した. 標識したビスダイセンを植物の第一複葉に添付したとき, 添付した葉内への吸収および他の部位への移行は非常に小さかった. また, オートラジオグラフィーによっても同様な結果が認められた. [ethylene-14C] 標識化合物により同定されたおもな代謝物はエチレンチオ尿素およびエチレン尿素であり, [dimethyl-14C] 標識化合物により同定された代謝物はテトラメチルチウラムモノスルフィド, テトラメチルチウラムジスルフィド, チアゾリジン-2-チオン-4-カルボン酸および1-(ジメチルチオカルバモイルチオ)-β-グルコシドであった.
  • 植物葉の濡れ現象に関する研究 (第2報)
    渡部 忠一, 山口 勇
    1991 年 16 巻 4 号 p. 651-663
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    植物葉の濡れを葉面と溶液との相互作用の結果として評価するため, 39種の作物の成葉を色素1.0%および界面活性剤0.2%から成る一連の浸漬液 (表面張力: 21.5mN・m-1~63.5mN・m-1) に浸漬し, 葉面に付着する浸漬液の固有の付着量と液滴の形状を測定するとともに, 葉面のミクロおよびマクロ構造を計測した. 付着液滴の形状は葉面と溶液の相互作用の表現と考えられ, 表面張力の変化 (63.5mN・m-1→21.5mN・m-1) に対応する形状の一連の変化のパターンを濡れ特性パターン (WCP) とし, 主要3グループ; WCPs I, IIおよびIII (7sub-WCPsを含む) に分類した. また, 各葉面の完全濡れを開始する臨界表面張力を求めた. WCPおよび臨界表面張力は各葉面に固有であり, 前者はおもに葉面のミクロ構造, とくに, epicuticular waxes の形態と分布状態, および葉脈間に対し相対的に濡れやすい葉脈の存在によって決定されると考えられた. WCPによって各葉面の濡れを比較し評価することが可能である.
  • Adel Ramzy FAHMY, Neungpanich SINCHAISRI, 宮田 正
    1991 年 16 巻 4 号 p. 665-672
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    タイ国産コナガTL系統およびBK系統を用い, クロルフルアズロンで室内淘汰をし, クロルフルアズロンに対する抵抗性発達の程度をしらべた. クロルフルアズロンで14ないし15世代淘汰をしたところ, TL系統およびBK系統は無淘汰系統に比較し, それぞれ318および303の抵抗性比を示した. クロルフルアズロンに対する抵抗性比が200以上になった時点で, 他薬剤との交差抵抗性をしらべた. BK系統でテフルベンズロンが, TL系統でピリプロキシフェンが非常に弱い交差抵抗性を示した以外, 試験した殺虫剤はいずれもクロルフルアズロンに交差抵抗性を示さなかった.
  • 塩月 孝博, 江藤 守総
    1991 年 16 巻 4 号 p. 673-675
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    マラチオンの共力作用を示す殺菌剤IBPは, フェニトロチオン抵抗性イエバエに対してフェニトロチオンの共力作用を示した. 芳香環の2位に水酸基を持つものは非酵素的にもグルタチオンと反応しトランスフェラーゼ阻害性物質を生じた. これは, K-1, K-2などのサリゲニン環状リン酸エステル (SCP) が部分加水分解を受けたものに構造がよく似ていることから, IBPは芳香環の水酸化を受けた後, SCPと同様の機構でグルタチオントランスフェラーゼを阻害し, フェニトロチオンの共力作用を発現するものと推測された. また, 2-ヒドロキシIBPとSCPは直接トランスフェラーゼを不活性化することもわかった.
  • 白神 伸江, 鈴木 邦夫, 山口 勇
    1991 年 16 巻 4 号 p. 677-678
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Effects of calcium peroxide on the growth of anaerobic bacteria were investigated in terms of preventing fresh-water contamination by Clostridium. Calper® powder (35% CaO2), a plant-growth regulator which produces oxygen gradually in soil, was used as the sourse of calcium peroxide. Filtrate of marsh sediments and the filtrate enriched with EG broth (an anaerobes-growth medium) were prepared as the media for the anaerobic bacteria tested. The number of Clostridium butyricum significantly decreased in inverse relation to the increase of oxidation-reduction potentials (ORP) in both media by the addition of calcium peroxide. The growth of Corynebacterium was also inhibited by the addition of calcium peroxide, but the number of Corynebacterium was larger in the EG broth than in the filtrate of marsh sediments. These results suggest that calcium peroxide inhibits the growth of anaerobic bacteria with an increase of ORP, and the effect is influenced by the amount of organic matter in a medium.
  • 水谷 純也
    1991 年 16 巻 4 号 p. 679-686
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 北原 武
    1991 年 16 巻 4 号 p. 687-694
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 日本化薬株式会社化学品事業本部農薬事業部技術部
    1991 年 16 巻 4 号 p. 697-702
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シクロプロトリン原体, 1%粉剤, 2%粒剤および10%乳剤の急性毒性は弱く, 普通物相当である. 原体の眼および皮膚に対する刺激性は陰性であるが, 1%粉剤, 2%粒剤および10%乳剤は刺激性を有する. ただし, 10%乳剤の使用時濃度 (1000倍) 希釈液では陰性であった. 皮膚感作性は1%粉剤は陰性であるが, 原体, 2%粒剤および10%乳剤は陽性であった. ラットの亜急性毒性試験ならびに慢性毒性・発癌性試験では, 高用量投与群で体重増加抑制, 肝臓, 腎臓および副腎重量増加が認められた. マウスの慢性毒性・発癌性試験では高用量投与群で体重増加抑制, 肝臓重量増加が, イヌの亜急性毒性試験では体重増加抑制とそれに随伴した前立腺の可逆的低機能性萎縮が認められた. 繁殖性に及ぼす影響, 催奇形性および変異原性については特記すべき所見を認めなかった.
    シクロプロトリンの登録保留基準値は, 米0.1ppm, 果実 (ナツミカンの外果皮を除く) 0.2ppm, ナツミカンの外果皮15ppm, 豆類0.1ppm, 茶0.5ppmである.
    シクロプロトリンは農薬登録されている各製剤に貼付したラベルに記載されている使用方法および注意事項を遵守すれば, 使用場面において, 残留毒性面においても安全な農薬である.
  • 宇部興産株式会社 , 北興化学工業株式会社
    1991 年 16 巻 4 号 p. 703-707
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ヘルシード原体および水和剤の安全性評価を行なうために各種毒性試験を実施した. その結果, 本剤はラットおよびマウスに対する急性毒性がきわめて低く, ラットの吸入毒性試験では, 試験可能な最高濃度 (原体: 3.45g/m3, 水和剤2.86g/m3) においても死亡例はなかった.
    皮膚に対する刺激性および皮膚感作性はなく, 眼刺激性はきわめて軽微であった. また, 亜急性毒性試験の結果では, 雌雄いずれも一般状態に異常はなく, 死亡もなかった. 最高用量群において, 雌雄に摂餌量の低下が, また, 雄の350ppm以上の投与群に体重増加抑制が認められた. 雄において, 肝臓の生成亢進に伴う総コレステロールの増加が50ppm以上の群で, リン脂質の増加が350ppm以上の群で認められ, 350ppm以上の群の雌雄で肝臓の重量増加と2500ppm群の雌雄で軽度の肝細胞肥大が観察されたが, これは肝臓の適応性による変化と判断された. 血液検査, 尿検査, 眼科学的検査等, そのほかの検査ではペフラゾエート投与に関連する異常は認められなかった. 催奇形性はなく, 復帰変異試験, DNA修復試験および染色体異常誘発性試験はすべて陰性であり, 変異原性はまったく認められなかった.
    一般薬理試験では, マウスを用いた pentobarbital による睡眠時間に対する延長作用が観察されたが, そのほかには明確な薬理作用は認められなかった.
    ペフラゾエートはヘルシード水和剤として1989 (平成元) 年9月27日に農薬登録された稲種籾消毒剤であり, 稲種籾の主要伝染性病害である馬鹿苗病, ごま葉枯病, いもち病に有効である. とくにベンズイミダゾール系薬剤耐性の馬鹿苗病にも優れた効果を発揮する消毒剤として高く評価されている.
  • 日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部開発
    1991 年 16 巻 4 号 p. 709-712
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェノキシカルブの安全性評価のために, 原体および製剤 (25%水和剤) を用いた各種の毒性試験を実施した. その結果, 本剤は急性毒性がきわめて低いほか, 皮膚および眼に対する刺激性もほとんどなく, また皮膚感作性も認められなかった. 亜急性および慢性毒性/発癌性試験では, 体重増加抑制や肝臓重量の増加などが認められ, また, 一部試験で肝臓の病理組織学的変化が認められたが, 発癌性は認められなかった. 繁殖毒性および催奇形性も認められなかった. 細胞毒性を示す濃度においても変異原性は認められなかった.
    フェノキシカルブを25%含有するインセガー水和剤は, 農林水産省により1990年11月7日に農薬登録され, また, 本剤の登録保留基準値は, 果実2ppm, かんきつ果皮20ppm, 茶1ppmと設定されている。本剤は定められた使用基準を遵守することにより, 安全性を確保できる農薬であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.
  • 日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部開発部
    1991 年 16 巻 4 号 p. 713-717
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピペロホスの安全性評価のため各種毒性試験を行なった. その結果, 原体および混合粒剤の急性毒性は比較的低く, 急性遅発性神経毒性および顕著な薬理作用も認められなかった. 原体および混合粒剤の眼刺激性は軽度であり, 混合粒剤の皮膚刺激性はきわめて軽度であった. 原体の皮膚感作性は中等度であった.
    一方, 亜急性毒性, 慢性毒性および発癌性試験における高用量群で体重増加抑制およびChE活性の低下が認められたが, ピペロホスによる特異的な病変は認められず, 発癌性も認められなかった. また, 変異原性, 繁殖性に及ぼす影響および催奇形性も認められなかった.
    ピペロホスは, 定められた使用基準を遵守することにより安全性を確保できる農薬であり, 有用な農業資材の一つである.
  • 本間 保男
    1991 年 16 巻 4 号 p. 721-722
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 片山 新太
    1991 年 16 巻 4 号 p. 723-724
    発行日: 1991/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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