Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
11 巻, 2 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 酒井 案理, 本田 博, 大島 康平, 山本 出
    1986 年 11 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アズキゾウムシ, ヨツモンマメゾウムシは寄主アズキへ均等に産卵するが, これは卵とBCS (生物的条件づけ物質) による条件づけが少ないほうのアズキを選び, 雌が産卵していくためである. このBCSは雌雄が分泌しアズキに付着するが, 雌からのものが主な役割を果たしている. これらのマメゾウムシはBCSの多少を判別するが, 産卵阻止活性はなかった. また両種からのBCSは相互に働き, 類似の物質と考えられる. 以上よりBCSは産卵目印フェロモンといえる.
  • フェニルシクロプロパンカルボキシレートに関する研究 (第1報)
    小澤 清水, 石井 茂, 平田 公典, 広瀬 正宜
    1986 年 11 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Cyano-(6-phenoxy-2-pyridyl)methyl trans-3-aryl-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylates の殺ダニ活性について定量的な構造活性相関の解析を行なった. 酸部分のフェニル基のパラ位の置換基について Hansch-Fujita 法による解析を行なった結果, 適当な疎水性を有し, かつα位に分岐を有する置換基, たとえば tert-ブチル基が殺ダニ活性に有効であることが判明した. 本化合物は殺ダニ活性に加えて, さらに農園芸上有害な昆虫の防除にも有効である.
  • フェニルシクロプロパンカルボキシレートに関する研究 (第2報)
    小澤 清水, 石井 茂, 平田 公典, 広瀬 正宜
    1986 年 11 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Cyano-(6-phenoxy-2-pyridyl)methyl trans-3-(4-t-butylphenyl)-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylate の4種の光学異性体を合成した. このエステル体の殺ダニ活性および殺虫活性の発現は, 酸部分の絶対配置に大きく依存するが, アルコール部分の絶対配置にはほとんど依存しないことが判明した. 一方, このエステル体の対応するcis体には殺ダニ活性は認められなかった.
  • 小山田 正美, 鍬塚 昭三
    1986 年 11 巻 2 号 p. 179-187
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ナプロアニリド [2-(2-naphthoxy) propionanilide] および 2-(2-naphthoxy) propionic acid (NOP) の水溶液および湛水土壌表面水中における太陽光および高圧水銀灯による光分解について14C化合物 (naphthalene 環14Cラベル) を用いて研究した. 水溶液中でナプロアニリドおよびNOPは太陽光, 高圧水銀灯下で急速に分解した. ナプロアニリドの光分解生成物はNOP, 2-naphthol, naphthalenediols, 2-hydroxy-1,4-naphthoquinone およびいくつかの未同定化合物であった. ナプロアニリドおよび分解生成物の光分解は, 土壌に吸着することによって抑制された. 水田表面水におけるナプロアニリドの主な消失要因は, 表面水における光化学的分解と推論した.
  • 多田 満, 松本 義明, 満井 喬, 信沢 智恵子, 深見 順一
    1986 年 11 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ヨトウガ終齢幼虫を供試して1-(3,5-dichloro-2,4-difluorophenyl)-3-(2,6-difluorobenzoyl) urea (CME-134) および diflubenzuron を局所施用するとLD50は, それぞれ0.016, 0.08μgであった. 摂食法で, CME-134は, diflubenzuron に比べLD50でほとんど差がなくLD100で2倍強いことが認められた. 14C標識したグルコサミンを前駆物質として表皮および中腸の囲食膜への取込みから in vivo におけるキチン合成阻害作用を両化合物を等量施用して検討した結果, CME-134は, diflubenzuron に比べより早くこの取込みを阻害した. In vitro でもCME-134は, 表皮および囲食膜のキチン合成を阻害したが, diflubenzuron に比べわずかに弱い阻害であった. 以上の結果より, CME-134は, diflubenzuron と同じくその強力なキチン合成阻害力により殺虫力を示すことがわかった. ヨトウガ幼虫の中腸から得られたキチン合成酵素に及ぼすCME-134およびポリオキシンDの影響を調べた結果, ポリオキシンDはこの酵素を強く阻害するが, CME-134はこの酵素を1.0×10-4-4Mの高い濃度でも阻害しない.
  • 小山田 正美, 田中 俊実, 高沢 良夫, 竹松 哲夫
    1986 年 11 巻 2 号 p. 197-203
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水稲 (Oryza sativa L.) およびウリカワ (Sagittaria pygmaea MIQ.) の幼植物におけるナプロアニリド [2-(2-naphthoxy) propionanilide] の代謝について研究した. 14C-ナプロアニリドは両植物において速やかに代謝され, 殺草活性を有する2-(2-naphthoxy) propionic acid (NOP) を生成した. 水稲において, NOPは速やかにナフタレン環が水酸化され, その後グルコースと抱合した. 主な代謝物は水-可溶性物質およびメタノール/水-不溶性残渣であった. これに対しウリカワでは殺草活性を有するNOPおよび methyl 2-(2-naphthoxy) propionate (NOPM) の比率が他の代謝物より高く, 両化合物の濃度は水稲に比べ著しく高くなった. 2-Naphthol および2-hydroxy-1,4-naphthoquinone もまた生成したが, 少量のみであった. ナプロアニリドの水稲-ウリカワ間の選択殺草性の要因の一つは, 両植物における代謝様式の差によるものと推定した.
  • 宮本 美子, 西村 民男, 松本 邦臣, 渡辺 哲郎
    1986 年 11 巻 2 号 p. 205-212
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    α-アルキルアセト酢酸エチルおよびアミドと4-置換および非置換チオセミカルバジドをエチルアルコールまたは50%エチルアルコール溶媒中, 中性ないしpH 4~5の酸性条件下で反応を行ない対応する4-置換および非置換チオセミカルバゾンを得た. 1-チオカルバモイル-2H-ピラゾリン-5-オンはα-アルキルアセト酢酸エチルおよびアミドをエチルアルコール中強酸性条件下で還流することにより得た. このようにして合成したチオセミカルバゾン類および1-チオカルバモイル-2H-ピラゾリン-5-オン類のイネいもち病防除活性試験を行なった結果, チオセミカルバゾン類の中ではα-ヘキシルアセト酢酸エチルチオセミカルバゾンが強い活性を示した. そして, 1-チオカルバモイルピラゾリン-5-オン類の活性は3-メチル置換化合物のほうが3-フェニル置換化合物より大であり, とくに4-ヘキシル-3-メチル-1-(N-メチルチオカルバモイル) ピラゾリン-5-オンは最も強い防除および治療効果を示した.
  • 吉田 博, 中川 泰三, 大森 薫, 太田 保夫
    1986 年 11 巻 2 号 p. 213-218
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    S-(4-メチルスルホニルオキシフェニル) N-メチルチオカルバマート (メタスルホカルブ, カヤベスト®, NK-191) の水溶液を用い, やや低温の条件で行なったイネの水耕栽培でメタスルホカルブは濃度0.2ppmから12.8ppmで苗の根の伸長を促進し, とくに3.2ppmから12.8ppmで著しかった. メタスルホカルブ10%粉剤の用土500ml当りの原体換算量で9mgから720mgの播種前土壌混和処理 (以下メタスルホカルブ80mg処理などと記す) で23日苗, 34日苗および41日苗の根のα-ナフチルアミン酸化力を増大させた. メタスルホカルブ80mg処理は播種後12日目から14日目まで2日間5℃の低温処理を行なった14日苗の根のα-ナフチルアミン酸化力の低下を軽減した. メタスルホカルブ40mgから160mg処理は35日苗の第2葉と36日苗の第3葉の葉緑素含量を増加させ, この作用は第2葉で著しかった. メタスルホカルブ27mgから240mg処理は40日苗の第3葉の葉緑素保持力を増強させた. さらにメタスルホカルブ80mg処理は22日苗の第3葉の切り取り直後の水分減損率を増大させる傾向であった.
    以上のようにメタスルホカルブの播種前土壌混和処理はイネ苗の根の生理的活力を高め, 葉緑素含量も高く保持する. これらの作用がイネの健苗化ならびにムレ苗防除効果と密接に関係があるものと考えられた.
  • 舩城 衛介, 本山 直樹
    1986 年 11 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    栃木県益子町の豚舎から1983年に採集したピレスロイド抵抗性イエバエを, レスメトリンを用いて室内でさらに10世代連続淘汰した. 得られた系統 (益子-res 10系) と感受性のCSMA系のLD50値を比較し, 各種殺虫剤に対する交差抵抗性を調べた. 益子-res 10系は供試したすべてのピレスロイドに著しい抵抗性を示し, p,p′-DDTにも交差抵抗性を示したので, 共通のメカニズムとしてkdrか遺伝子による神経感受性の低下が暗示された. しかしγ-BHCに対する抵抗性はわずかであった. このイエバエは一般に有機リン剤にも中程度の抵抗性を示し, カーパメイト剤のプロポクサーに対しては顕著な抵抗性を示した.
  • 尾崎 守, 田中 よし美, 鍬塚 昭三
    1986 年 11 巻 2 号 p. 223-229
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    6種類の土壌を用い畑地条件下でイソウロンの分解を比較した. 一般にイソウロンは土壌中で安定であったが, 火山灰土の鹿沼および那須土壌でそれぞれ3ヵ月および6ヵ月後からイソウロンの分解が急速に進行した. 鉱質砂土および同軽植土では7ヵ月後でもイソウロンは大部分残存していた. 一方, 非火山性黒ボク土および鉱質砂壌土でイソウロンは最初から比較的容易に分解され, 半減期はそれぞれ2.1ヵ月および2.5ヵ月であった. 分解の速やかな両土壌に細菌および線菌が, 他の土壌より多く存在することを認めたが, イソウロン分解菌の存在を明らかにできなかった. またイソウロンの6種の土壌に対する吸着とそれら土壌中における分解速度に関係はなかった. イソウロン分解が遅い鹿沼および豊浜土壌でもpHを中性に調整するとイソウロン分解は促進され,とくにpH 7.0の鹿沼土壌で半減期は1ヵ月に短縮された. なお, イソウロン分解からの代謝物はその尿素側鎖のメチル基が脱離した化合物3-(5-tert-butyl-3-isoxazolyl)-1-methylurea であった.
  • 一ノ瀬 礼司, 栗原 紀夫
    1986 年 11 巻 2 号 p. 231-236
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ラット肝ミクロゾームにおけるメトキシクロールの酸化的脱メチル化速度についてメトキシル基を重水素やトリチウムで標識した基質を用いて, みかけの同位体効果を測定した. 重水素の値はすべて3以下であり大きくない. これらみかけの値から Northrop の方法を用いて算出した真の同位体効果は, ラットを誘導剤で処理した場合と, しない場合とで多少異なるが, それぞれ15.2と19.2で非常に大きかった. このことから上記脱メチル化における炭素-水素結合の酸素添加反応の遷移状態では, 直線的に炭素-水素-酵素触媒部位, の三者が並び対称性のよい形をとること, またこの酵素反応では酵素基質酷体の解離や生成物の酵素からの離脱などが, 触媒ステップとともに部分的に律速となっていることがわかった.
  • 牧野 健二, 坂田 五常, 倉本 淳二, 中山 充
    1986 年 11 巻 2 号 p. 237-243
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Ethyl 2-[4-(6-chloro-2-quinoxalinyloxy)phenoxy]pro-panoate (I)(code No. NCI-96683, quizalofop-ethyl) に代表される (2-quinoxalinyloxy)phenoxy-fatty acid 誘導体は, 茎葉処理型除草剤としてイネ科雑草防除に優れた効果を示す. 今回, 化合物IのX線構造解析により, その結晶構造を明らかにし, 次に, 結晶状態における化合物Iのコンホメーション, 分子全体の形状およびサイズを methyl 2-[4-(2,4-dichlorophenoxy)phenoxy]propanoate (II), (2,4-dichlorophenoxy)acetic acid (IIIa) および 2-(2,4,5-trichlorophenoxy)propanoic acid (IIIb) と比較検討した. その結果, 化合物Iのフェノキシプロピオン酸部におけるコンホメーションは化合物II, IIIaおよびIIIbのフェノキシプロピオン酸部のコンホメーションとよく一致した. しかしながら, 化合物Iの6-クロロ-2-キノキザリニールオキシ部は, 化合物IIの2,4-ジクロロフェノキシ部とかなり異なるコンホメーションを示し, 分子全体の形状およびサイズとも化合物Iは化合物IIと異なっていることが明らかとなった.
  • 除草剤モリネートの微生物分解 (第3報)
    今井 康史, 鍬塚 昭三
    1986 年 11 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    土壌から単離した4種のモリネート分解菌, Mycobacterium sp. (B-1), Flavobacterium sp. (B-2), Streptomyces sp. (A-1) および Fusarium sp.(F-1) によるモリネート代謝経路を14C-モリネートを用いて明らかにした. モリネートの代謝経路は菌種によって異なり, 細菌B-1およびB-2はS-ハイドロキシエチル体およびS-カルボキシメチル体を培地中に蓄積し, S-エチル基末端炭素の酸化が主要代謝経路であると推定した. これらの菌はアゼピン環-OH体およびoxo体も少量産生した. 放線菌A-1はアゼピン環-4-OH体および4-oxo体を生じ, アゼピン環4位の炭素の酸化が主要代謝経路であると推定した. この菌はアゼピン環-2-oxo体, スルホキシド体およびヘキサメチレンイミンも少量産生した. 糸状菌F-1はアゼピン環-3-OH体, 3-oxo体, 4-OH体および4-oxo体を生じ, アゼピン環3位および4位の酸化が主要代謝経路であると推定した. A-1およびF-1では上記中間代謝産物はさらに代謝され, 細胞構成物になり, またはCO2を生じた.
  • 古沢 久仁彦, 三上 信可, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1986 年 11 巻 2 号 p. 253-260
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ベンジルフェニル環およびシクロプロピル環1位を14Cで標識した1R, cis-および1R, trans-サイパーメスリンをキャベツ葉に塗布し, その消長を調べた. 消失半減期は, cis体で7~8日, trans体で4~5日であった. 処理葉から他の部位への14Cの移行はほとんど認められなかった. サイパーメスリンは, cis/transおよび1R/1Sの光異性化, エステル結合の開裂, フェニル環4位もしくはシクロプロピル環2位のメチル基の水酸化, シアノ基のアミド, カルボン酸への加水分解を受けて速やかに代謝され, これらの代謝物はさらに糖と抱合体を形成した.
  • 舩城 衛介, 田原 雄一郎, 本山 直樹
    1986 年 11 巻 2 号 p. 261-266
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    千葉県, 栃木県, 茨城県, 東京都の豚舎, 鶏舎, およびゴミ埋立地から採集したイエバエ17コロニーの数種殺虫剤に対する感受性を局所施用法で検定し, 感受性系統のCSMA系と比較した. その結果, resmethrin に対して抵抗性を示したのは1983年夏にピレスロイド抵抗性がはじめて発見された栃木県益子町の豚舎から採集したコロニーだけで, そのLD50値は5.2μg/♀, 抵抗性比は179倍であった. その他のコロニーは, 千葉県八千代市のゴミ埋立地のコロニーが若干の感受性低下を示した以外は, resmethrin に対する感受性の低下は認められなかった. また, -p,p′DDTについてはCSMA系を除いて, 供試したすべてのコロニーは高い抵抗性を示し, 有機リン剤の diazinon と fenitrothion に対しても1970年代に報告された抵抗性が維持されていることがわかった.
  • 佐藤 清, 加藤 保博, 牧 伸一, 俣野 修身, 後藤 真康
    1986 年 11 巻 2 号 p. 267-270
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    グアザチンの植物中での主分解生成物である光分解物の雄ラットにおける代謝運命を, 14C-グアザチンの光分解混合物を1回経口投与することにより調べた. 本光分解混合物の組成は, 未変化物 (39%) と主光分解物 (35%) および約8種の微量光分解物であった. 光分解物に由来する14Cの動態は, 吸収率がグアザチンにくらべ高い点 (26%以上) と, 14Cの主貯留臓器が肝臓であり腎臓への貯留性が認められない点で, グアザチンの体内動態とは明らかに異なっていた. また, 光分解物に由来する尿中代謝物の約25%は光分解物に固有であり, そのほかはグアザチンと共通であった. 一方, 植物体残留物の摂取実態に近い試験として, イヌリンゴ果実 (14C-グアザチン処理12週間後) の磨砕物を雄ラットに2時間間隔で5回経口投与した. 果実中の放射性残留物の80%以上が未変化のグアザチンであったため, 14Cの体内動態は14C-グアザチンの単独投与時と差がなかった.
  • 佐藤 清, 加藤 保博, 牧 伸一, 俣野 修身, 後藤 真康
    1986 年 11 巻 2 号 p. 271-274
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    グアザチン・三酢酸塩を散布したイヌリンゴ果樹を温室内と野外で生育させ, グアザチンとその主光分解物Pmの消失情況を比較することで, 両化合物の残留性への降雨の影響を調べた. 温室内生育群からのグアザチンの消失速度はきわめて遅く, その半減期は葉で3.4週間 (第1相) および25.4週間 (第2相), 果実で3.2週間 (一相性) であった. 一方, 野外生育群からのグアザチンの消失は速く, 葉と果実における半減期はいずれも1.4週 (一相性) であった. これらの結果, グアザチンは植物体表面から降雨により速やかに流亡することが明らかになった. グアザチンの消失速度はPmの生成量にも影響し, 野外生育群中のPmの残留量は温室内生育群に比べ明らかに低かった. また, Pm自体も降雨により流亡すると考えられた.
  • 正野 俊夫
    1986 年 11 巻 2 号 p. 275-285
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The mechanism of diazinon resistance in the Hokota strain, which was the first organophosphorus (OP) insecticide resistant houseflies reported in Japan in 1961, was investigated using 32P-diazinon and -diazoxon in vitro and in vivo. It was demonstrated that this strain has three resistant mechanisms: slow penetration of diazinon through the cuticle, high microsomal mixed function oxidase activity and high activity of phosphatase which hydrolyzes diazoxon, or an active metabolite of diazinon. About five years after the use of insecticide for housefly control had been completely stopped in order to sericulture, houseflies were collected from the same farm where the diazinon resistant Hokota fly had been found. Single pair culture of captured flies and a diazinon susceptibility test of the offspring showed that a high frequency of diazinon resistant genes was still present. The Akita-f was a strain subjected to selection with fenitrothion for 17 generations. Subsequent evaluation showed the resistance ratio of this then established fenitrothion resistant strain to susceptible SRS strain was about 4000. Crossing between Akita-f and SRS strains showed the fenitrothion resistance almost completely dominant. Linkage group analyses for the dominant factor were carried out using two multi-chromosomal marker strains by the F1 male backcross method, and the dominant resistant factor(s) was found to be associated only with the 2nd chromosome. The Wakamatsu-m strain, highly resistant to malathion, was established from a colony collected in Kitakyushu after more than 10 generations of selection with this chemical. The dominant factor(s) for malathion resistance was also located only on the 2nd chromosome. This strain possesses as its mechanisms of resistance high malathion carboxylesterase activity, high glutathione S-transferase activity and insensitive acetylcholinesterase. The linkage group of the dominant factor controlling high malathion carboxylesterase was analyzed. Results of the crossing experiments clearly showed that only the 2nd chromosome was associated with the dominant factor controlling high malathion carboxylesterase. Forty-two insect metabolites of trans- and cis-permethrin were identified in in vivo studies with American cockroaches, houseflies and cabbage loopers. The permethrin isomers were metabolized by hydrolysis and hydroxylation at the geminal-dimethyl group and the phenoxybenzyl group. The alcoholic and phenolic metabolites are excreted as glucosides, and carboxylic acid is excreted as glucosides and amino conjugates. The microsomal system was used for the metabolism of permethrin isomers by housefly and cabbage looper preparations. Esteric cleavage is more extensive for trans-permethrin than for cis-permethrin, while the relative extent of oxidative metabolism of the two isomers depends on the enzyme source. The Danish pyrethroid resistant housefly strain, 228e2b, showed cross resistance to all pyrethroid insecticides tested. Genetic study revealed that the factor resistant to permethrin was almost completely recessive and was located on the 3rd chromosome. A strain termed PyR which showed extreme resistance to pyrethroid insecticides was obtained after mating the 228e2b strain and Japanese OP resistant Wakamatsu-m strain, and after selections of their offspring by permethrin for 16 generations. In addition to nerve insensitivity, the PyR strain possessed, as a mechanism of resistance, high enzyme activity of microsomal oxidase which contributed to the detoxication of pyrethroids. Major pyrethroid resistance genes in PyR houseflies were located on the 2nd and 3rd chromosomes.
  • 池田 健一, 安井 通宏, 菅野 英夫, 前川 定支
    1986 年 11 巻 2 号 p. 287-295
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Buprofezin (2-tert-butylimino-3-isopropyl-5-phenylperhydro-1, 3, 5-thiadiazin-4-one) exhibits an effect regulating the growth of homopterous insect pests. In the steps to buprofezin, we synthesized a variety of dithiazines and thiadiazines to investigate their biological activities by the long-term observation. Some perhydrothiadiazines were first found to show the nymphicidal activity during the molting on Nilaparvata lugens STÅL. From the structure-activity relationships, the 2-imino group was seemed to be crucial for high nymphicidal activity. Introduction of an aromatic substituent onto the 5-position, especially non-substituted phenyl group, was most effective for the activity. The action of finally selected buprofezin on N. lugens were characteristic: (1) species specificity; (2) the high molt-inhibiting action through chitin biosynthesis inhibition; (3) the short longevity of adults; (4) the suppressive oviposition, and (5) the deposition of unhatchable eggs. Thus, buprofezin is considered to be an insect growth regulator rather than an insecticide.
  • 橘 邦隆, 金子 邦夫
    1986 年 11 巻 2 号 p. 297-304
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Bialaphos, L-2-amino-4-[(hydroxy) (methyl)phosphinoyl] butyryl-L-alanyl-L-alanine, is a metabolite of Streptomyces hygroscopicus and the first herbicide produced by fermentation. Bialaphos acted on foliage and was effective against a wide range of weeds including perennials. Bialaphos was slower acting than paraquat, but faster than glyphosate. It controlled the regrowth of weeds longer than paraquat but shorter than glyphosate. Translocation of radioactivity in Rumex obtusifolius treated with 14C-bialaphos was observed autoradiographically. Bialaphos did not affect emergence nor growth of crops through soil. Therefore, bialaphos is expected to be used widely for arable land including nontillage cultivation. Growth inhibition of pollen tube of Camellia japonica was recovered by the addition of glutamine. The result suggested that glutamine synthetase (L-glutamine: ammonia ligase (ADP), EC 6.3. 1.2, GS) was inhibited in the pollen. Decrease of GS activity was observed in shoots of Echinochloa utilis OHWI treated with bialaphos. Decrease in glutamine content was observed in plant leaf treated with bialaphos, but it did not appear that the decrease was a main factor for the herbicidal activity. Ammonia content in plant leaf was observed to increase in four hr after the treatment and reached about 30 to 100 times higher than the control in 24 to 48hr. The accumulation was not momentary, but maintained until the death of the plant. The high correlation between free ammonia content and herbicidal activity indicated that the toxicity of accumulated ammonia is the primary factor of herbicidal activity of bialaphos. The ammonia accumulation is considered to be a particular action of bialaphos in plants. More extensive use of microbial metabolites is expected by the fact that bialaphos was developed as a herbicide.
  • 日本チバガイギー株式会社農薬本部開発普及部登録課 , 株式会社エス・ディー・エスバイオテック企画開発部
    1986 年 11 巻 2 号 p. 307-309
    発行日: 1986/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カルブチレートの安全性評価のための各種毒性試験の結果, 本剤は急性毒性がきわめて低く, 眼に原体ではきわめて軽度の刺激性を有するものの皮膚に対してはまったく刺激性を有しない. また, 亜急性毒性試験での本剤の最大無作用量は15mg/kg/日 (雄) であり, 細菌を用いた変異原性試験はいずれも陰性を示した.
    本剤は造林地下刈用および非農耕地用除草剤としてそれぞれ昭和57年および58年に農薬登録され, これらの分野で有用な資材の一つとなっている.
feedback
Top