Journal of Pesticide Science
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21 巻, 2 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 多和田 真吉, 平良 栄彦, 小波本 直忠, 石原 昌信, 当山 清善
    1996 年 21 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ゲットウ精油成分のなかでイソチモール, チモールそしてオイゲノールは植物病原菌に対してかなりの抗菌活性を有している. これらの化合物は自然環境において揮発性である. しかしながらリン酸エステルにすることで難揮発性の化合物へと変換することができる. これらの精油成分を用いてトリエチルアミンあるいは水酸化ナトリウム溶液を塩基として種々のリン剤と反応させ, 28種類のチオリン酸エステル類を合成し, それらの揮発性および抗菌活性を調べた. 揮発試験においてフェネチルアルコールおよびイソチモールは9日および14日後にはほとんどすべて揮発しており, オイゲノールは14日間で89.2%の揮発率であった. それらのリン酸エステルである dimethyl isothymyl phosphorothionate (17), dimethyl eugenyl phosphorothionate (19), dimethyl phenethyl phosphorothionate (20) および diethyl phenethyl phosphorothionate (25) はわずかしか揮発せず14日間で4.0, 2.3, 12.6および7.6%の揮発率であった. 合成化合物の植物病原菌に対する抗菌活性では, 全体的にジメチル誘導体のほうが活性が強く, なかでも化合物20がもっとも強い抗菌活性を示し, ピシウム菌と白絹病菌に対して10ppmでそれぞれ39.6および56.6%の阻害率を与え, 市販の Iprobenfos と同等の活性を示した.
  • 渡辺 高志
    1996 年 21 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    大気中に存在する農薬を効率的に分析するための捕集方法として, シリカゲルカラム (セップパック™カートリッジ) の適用性について, 空中散布農薬や使用量の多い38種類の農薬を対象に捕集率, 捕集操作時の安定性および回収率を検討した. その結果, シリカゲルカラムからの回収率はいずれの農薬も良好であった. 捕集操作時の安定性はジスルホトンとフェンチオンで悪く, これらの分解・減少は, 大気中の酸素によって酸化されたと推定された. しかし, その他の農薬の捕集操作時の安定性は良好であった. ジメトエート, ピペロホス, ブタミホスおよびホスメットの捕集率は低かったが, これらと前記2農薬以外の32農薬については実用上問題のない回収結果が得られた. また, シリカゲルカラム中での農薬の保存安定性は, エジフェンホス, シメトリン, ジメチルビンホス, テトラクロルビンホスおよびEPN等の一部の農薬に不安定なものがみられたので, 大気を吸引したシリカゲルカラムは, 抽出を行なうまでの間は-15℃以下で保存する必要が認められた.
  • 金岡 淳, 山口 力雄, 今埜 隆道
    1996 年 21 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ブプロフェジン (アプロード®) は, トビイロウンカ♀成虫に対して実用濃度以上での寿命短縮, 産卵抑制または艀化抑制作用を示すことが知られているが, 今回さらに低濃度での影響について検討を行なった. 対照のデルタメスリン0.4~0.00064ppmをトビイロウンカ5齢~成虫に継続処理した場合, 成虫発育後の卵巣小管数, 産卵数の増加および寿命延長が認められた. これに対しブプロフェジン処理区では, 5齢に影響のなくなる0.4ppm以下でも成虫脱皮後の産卵抑制および寿命短縮の傾向が認められた. 致死量以下の薬量におけるこのような効果は, 天敵への影響が小さいこととあわせ, ブプロフェジンがリサージェンスをきわめて起こしにくいIGRであることを示唆した.
  • 金 興泰, 鎌倉 高志, 山口 勇
    1996 年 21 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ペンシクロンはきわめて作用特異性の高い薬剤で, Rhizoctonia solani の同一菌糸融合群 (AG4) に対してもその作用に顕著な差異が認められる. 菌糸融合群4に属するR-C株 (ペンシクロン感受性) およびRh-131株 (同薬剤非感受性) を選び, 病原菌の細胞膜強度に及ぼすペンシクロンの影響を検討したところ, R-Cではプロトプラストからのコロニー再生率が薬剤存在下での低浸透圧処理により対照区 (低浸透圧処理のみ) に比べて有意に減少した. しかし, 薬剤を洗浄後, 低浸透圧処理すると対照区と同等なコロニーの再生率を示した. 一方, Rh-131ではプロトプラストからの再生率は低浸透圧処理により減少するが, ペンシクロン存在下におけるコロニーの形成は逆に促進されるような結果が得られた. ペンシクロン処理直後の短時間の間の薬剤の細胞膜に及ぼす影響をプロトプラスト懸濁液の吸光度の変化を測定して調べたところ, R-Cのプロトプラスト懸濁液に薬剤存在下で低浸透圧処理すると懸濁液の吸光度は顕著に減少したが, Rh-131のプロトプラスト懸濁液での低浸透圧処理の効果はペンシクロンの存在によって有意な影響を受けなかった. これらの結果からペンシクロンは感受性菌の細胞膜に特異的に影響を与えることが示唆された.
  • 松本 公平, 井手 欽也, 早瀬 善男, 高橋 俊夫, 武田 禮二, 林 幸之
    1996 年 21 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カラスムギ (Avena fatua L.) はコムギ畑における強害雑草の一つであり, それを茎葉処理で防除できるものの一つとして, ジクロホップメチルが現在広く使用されている. しかし, そのジクロホップメチルは他のアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤に比べて低活性である. 今回, 著者らが新規に合成した2-[4-(3,5-ジクロロ-2-ピリジニロキシ)フェノキシ]プロピオンアミドキシ酢酸誘導体のなかにコムギ・カラスムギ問で選択性を示す化合物を数種見いだした. それらのなかで, N-エチル-2-[4-(3,5-ジクロロ-2-ピリジルオキシ)フェノキシ] プロピオンアミドキシアセトアミド (23) はジクロホップメチルと比べて, カラスムギに対する除草活性は2~4倍強く, しかもコムギ・カラスムギ間でそれと同程度の選択幅を示した.
  • 味方 和樹, 山元 章裕, 田代 茂喜
    1996 年 21 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イマゾスルフロンの湛水土壌中における分解性を, イミダゾピリジンおよびピリミジン環の炭素を14Cで標識した化合物を用いて実験室条件下で検討した. 好気的および嫌気的条件下におけるイマゾスルフロンの半減期はそれぞれ約60日および3日と求められ, 分解速度に顕著な違いがみちれた. イマゾスルフロンはスルホニル尿素結合の開裂およびモノ脱メチル化反応を受け, 主要分解物として 2-amino-4,6-dimethoxypyrimidine (ADPM), 2-chloroimidazo-[1,2-a]pyridine-3-sulfbnamide (IPSN) および 1-(2-chloro-imidazo[1,2-a]pyridin-3-ylsulfonyl)-3-(4-hydroxy-6-methoxypyrimidin-2-yl)urea (HMS) を与えた. 処理後360日間における14CO2の生成量は, 好気的および嫌気的条件でそれぞれ11.0~48.3%および1.6~4.4%であった. 滅菌土壌の好気的および嫌気的条件下における処理30日後のイマゾスルフロンの分解性および分解生成物の量はHMSを除き, いずれも非滅菌土壌の好気的条件下のそれらとほぼ同じであった. イマゾスルフロンは, 好気的条件ではスルホニル尿素結合が加水分解を受けてADPMおよびIPSNを生成しながら漸次消失し, 最終的には二酸化炭素にまで分解され, 一方, 嫌気的条件では土壌微生物による分解を受けた後, 非抽出性化合物に変換されるものと考えられた.
  • 松田 一彦, 居原田 晃司, 駒井 功一郎, 沖本 浩, 上野 民夫, 西村 勁一郎
    1996 年 21 巻 2 号 p. 179-185
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピレスロイドのレセプターを同定するために, 合成ピレスロイドであるカデスリンと同じ酸部分をもち, 光反応性トリフルオロメチルジアジリン基をアルコール部分にもつエステルを合成した. 化合物のワモンゴキブリに対する殺虫活性は, 既報の定量的構造活性相関式から予想した値とよく一致した. 化合物は多くのピレスロイドと同様に, アメリカザリガニおよびワモンゴキブリの神経軸索膜に脱分極性後電位を誘起し, 静止膜を脱分極させた. また, アメリカザリガニの神経軸索標本およびラット由来のGH3細胞で測定したナトリウムイオン電流に対してもピレスロイド様の電流変化を引き起こした. これらの結果から, 化合物はピレスロイドの標的タンパク質を探索するための光反応性プローブとして用いることができるものと考えた.
  • 正田 航, 飯田 哲司, 内田 淳, 河野 均, 佐藤 幸治, Beate NICOLAUS, Peter BÖGER, 若林 攻
    1996 年 21 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1,2-Alkylene-1,2,4-triazolidine と 3,4-alkylene-1,3,4-thiadiazolidine 系化合物を合成し, それらの植物毒性をトウモロコシの protoporphyrinogen-IX oxidase, Scenedesmus acutus, Echinochloa utilis を用いて検討した. これらの化合物は, protoporphyrinogen-IX oxidase を阻害し, エタンを発生し, クロロフィルを減少させ, 生長を阻害した. 以上のことから, 両化合物群は peroxidizing 除草剤であることが確認された. また, 炭素数3, 4, 5の alkylene 鎖をもつ triazolidine 系化合物のなかでは, 炭素数4の化合物がもっとも高い植物毒性活性を示した. さらに, triazolidin-onethione, -dithione 系化合物は -dione 系化合物よりも高い植物毒性活性を示したことから, 強い peroxidizing 除草剤を得るためにはS原子の導入が重要であることがわかった. Protoporphyrinogen-IX oxidase 阻害においては, triazolidine 系化合物は thiadiazolidine 系化合物よりも高い阻害活性を示したが, peroxidative 活性においてはほぼ同等であった. この事実には, thiadiazolidine から triazolidine への異性化反応が関与していることが考えられた.
  • 中川 好秋, 西村 勁一郎, 泉 恵一, 木下 勝敏, 木村 隆, 栗原 紀夫, 藤田 稔夫
    1996 年 21 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    二つのベンゼン環上にさまざまな置換基をもつ N-[5-(substituted phenyl)-1,3,4-thiadiazol-2-yl] benzamide 類を29種類合成し, ニカメイチュウの培養表皮系を用いてN-アセチルグルコサミンの取込み阻害活性を求め, 活性に及ぼすベンゼン環置換基の効果を定量的に解析した. その結果, チアジアゾールの5位に結合したベンゼン環上の置換基の電子求引性および疎水性が高いほど活性は上昇することが明らかとなった. 一方, ベンズアミド部を置換したものについては阻害活性を示す化合物が少なかったため, 有意な相関式を得ることができなかった. この場合, ベンゾイルフェニルウレア類のベンズアミド部で得られた結果とは異なり, 定性的ではあるが, 活性上昇にとってメチル基やメトキシ基などの電子供与性置換基の導入が好ましいことが明らかになった. また, 酸化代謝阻害剤であるピペロニルブトキシドを併用することによって, アルキル置換体の活性が顕著に上昇した. 局所投与法によってニカメイチュウに対する殺虫活性を測定したところ, N-アセチルグルコサミンの取込み阻害活性の高いものは殺虫活性を示したが, ベンゾイルフェニルウレア類に比べると, 殺虫活性はそれほど高いものではなかった.
  • 宮川 恒, 石原 亨, 桑原 保正, 上野 民夫, 真山 滋志
    1996 年 21 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    エンバクに対してファイトアレキシン誘導活性を示す4種のエリシター (N-アセチルキトペンタオース, キトペンタオース, 銀イオンおよびビクトリン) について, それらの1) 電解質漏出作用, 2) エリシター活性に及ぼすカルシウムイオン添加の影響, 3) エリシターが誘導する代謝物の組成を比較した. いずれの場合においてもN-アセチルキトペンタオースとそれ以外のエリシターは異なった作用を示し, この結果からエンバクにおけるファイトアレキシン誘導機構は少なくとも2種類存在することが示唆された. N-アセチルキトペンタオース以外のエリシターでは, それらがもたらす細胞膜傷害作用が引き金となって2次的に誘導が起こると考えられるのに対して, N-アセチルキトペンタオースによる誘導は, 何らかのレセプターを介した, より直接的な機構によるものと推察される.
  • 京川 吉正, 安部 浩, 夏目 雅裕, 腰岡 政二
    1996 年 21 巻 2 号 p. 209-211
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ブラシノライドによるイネ葉身屈曲およびマングビーン上胚軸伸長の促進活性を指標にして, ステロール (スチグマステロール,β-シトステロール, カンペステロール) グルコース配糖体の相乗作用を調べた.β-シトステロール配糖体とカンペステロール配糖体は3対2の混合物のままで調べられた. ステロール配糖体は単独ではまったく生物活性を示さないが, ブラシノライドと混用すると, ブラシノライド単独よりもイネ葉身屈曲試験において約6倍, マングビーン上胚軸伸長試験において約10倍活性が増強されることが明らかとなった. ブラシノライドに相乗作用を示すのはスチグマステロール配糖体に限られ, カンペステロール/β-シトステロール配糖体には観察されなかった.
  • 林 治煥, 植野 英樹, 三芳 秀人, 宮川 恒, 岩村 俶, 上野 民夫
    1996 年 21 巻 2 号 p. 213-215
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    植物病原 Bipolaris bicolor の生産する植物毒素コクリオキノン類のミトコンドリア電子伝達系に対する作用を, ウシ心筋およびジャガイモ塊茎より調整した酵素系を用いて検討した. コクリオキノン類は電子伝達複合体I~IVのうちIの活性を阻害し, 速度論的解析から阻害部位はキノン還元部位であることが明らかとなった. 他の複合体に対しては実質的な阻害作用は認められなかった. 複合体I~IVがいずれもキノン還元部位をもつことを考慮すると, コクリオキノン類は複合体Iのキノン還元部位との相互作用に適した立体構造を有するものと考えちれた.
  • 尾添 嘉久
    1996 年 21 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 安田 弘法
    1996 年 21 巻 2 号 p. 223-230
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 利部 伸三
    1996 年 21 巻 2 号 p. 231-239
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • Jeffrey G. SCOTT
    1996 年 21 巻 2 号 p. 241-245
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 石田 泰雄, 吉川 治利, 太田 一成, 熊崎 安襄
    1996 年 21 巻 2 号 p. 247-258
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 山本 進, 縄巻 勤, 若林 猛, 葛西 豊
    1996 年 21 巻 2 号 p. 259-268
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 山口 勇
    1996 年 21 巻 2 号 p. 269
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 大渕 悟
    1996 年 21 巻 2 号 p. 271
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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