Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
16 巻, 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • ネライストキシンおよびその関連化合物の研究 (第1報)
    光寺 弘幸, 小西 和雄
    1991 年 16 巻 3 号 p. 387-395
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1,3-ジチアン環が化学的に容易に1,2-ジチオラン環に変換することにヒントを得て, 生体内でネライストキシン (4-dimethylamino-1,2-dithiolane) に変換するよう, 2位, 5位に種々の置換基を導入した1,3-ジチアン誘導体を合成し, その構造と生物活性の関係を検討した. その結果, 5位が無置換の化合物や水酸基またはアシルオキシ基で置換された化合物はほとんど生物活性を示さないが, 5位に二置換アミノ基 (とくに, ジメチルアミノ基), 2位にアセチル基, エトオキシカルボニル基, ベンゾイル基, シアノ基等の電子吸引性基を有する化合物が強い殺虫, 殺ダニ活性を示した. とくに, 2-cyano-2-(N,N-diethylthiocarbamoyl) thio-5-dimethylamino-1,3-dithiane などが, ニカメイガ, ニジュウヤホシテントウムシ, ナミハダニに対して卓効を示した.b
  • ネライストキシンおよびその関連化合物の研究 (第2報)
    光寺 弘幸, 小西 和雄
    1991 年 16 巻 3 号 p. 397-404
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    5位にジメチルアミノ基を, 2位に電子吸引性基を導入した 1,3-dithiane 誘導体が強い殺虫・殺ダニ活性を有することを前報で報告した. 本報では, 5位にジメチルアミノ基を, 2位の一方にシアノ基を, もう一方に置換ベンゼンまたは置換カルバモイルを有する 1,3-dithiane 誘導体を合成し, その構造と生物活性の関係を検討した. その結果, いずれの化合物も優れた殺虫活性を示した. なかでも, 2位の一方にハロゲン置換ベンゼンまたは, 窒素原子が炭素数6から10のアルキルで置換されたカルバモイル基を有する誘導体が強い殺虫・殺ダニ活性を示した. とくに, 2-cyano-5-dimethylamino-2-(N-n-nonylcarbamoyl)-1,3-dithiane は, ニカメイガ, ヒメトビウンカ, ハスモンヨトウ, ニジュウヤホシテントウムシ, ナミハダニに卓効を示した. 2-Cyano-5-dimethylamino-1,3-dithiane 類の酸化, 還元反応でネライストキシンモノオキシド (4-dimethylamino-1,2-dithiolane 1-oxide), およびジヒドロネライストキシン (2-dimethylamino-1,3-dimercaptopropane) が得られ, また合成した 1,3-dithiane 誘導体の殺虫活性発現の仕方, 殺虫スペクトルがネライストキシン関連化合物 (カルタップ, ベンスルタップ等) と酷似していた. これらのことより, 著者らが合成した 1,3-dithiane 誘導体もカルタップ, ベンスルタップ等と同様に生体内においてネライストキシンに変換され殺虫・殺ダニ活性を示すプロドラッグと考えられ, 2位の電子吸引性基は生体内への浸透を促し, 代謝によってネライストキシンに変換されやすくするために有用であると考えられる.b
  • 小林 裕子, 神保 裕子, 俣野 修身, 後藤 真康
    1991 年 16 巻 3 号 p. 405-411
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピーマンおよびユリ根の抽出最終液中におけるトリフルミゾールとその代謝物 (FM-6-1) の安定性について明暗条件下で検討した. 明所においてピーマンでは, 両化合物とも時間とともに著しく減少した. 168時間後には, トリフルミゾールは3.7%, FM-6-1は33.9%になった. この現象は, 最終溶液にアセトニトリルを用いた時に最も顕著であった. 一方, ユリ根においてはアセトニトリル中においても両化合物の減少はまったく見られなかった. クロロフィル添加のアセトニトリル中のトリフルミゾールおよびFM-6-1もまた, 暗所より明所において時間とともに減少し, 新化合物を生成した. この新化合物はピーマンから生じた化合物と同じと思われる. 以上のことからアセトニトリル抽出液中におけるトリフルミゾールおよびFM-6-1の安定性は, クロロフィルおよび光によって影響を受けると思われる.
  • 大坪 敏朗, 竹田 久巳, 津田 重典, 辻 孝三
    1991 年 16 巻 3 号 p. 413-418
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェンバレレートマイクロカプセルおよびフェンプロパスリンマイクロカプセルを用い, マイクロカプセルの粒径 (D) および膜厚 (T) と耐雨性, 薬害およびラットに対する急性経口毒性との関係について検討した. フェンバレレートマイクロカプセルの耐雨性は主としてTにより制御され, Tが小さくなるほど耐雨性が向上した. またTが約0.05μmになった場合にはマイクロカプセルはフェンバレレート乳剤よりも優れた耐雨性を示した. Dの効果は無視できないもののその寄与は小さかった. フェンバレレートマイクロカプセルのキャベツ, ハクサイ, キュウリに対する薬害を調べた結果, Tが大きくなるにつれ薬害は低下した. Dの効果は明確ではないが, その影響は小さいものと判断された. フェンプロパスリンマイクロカプセルのラットに対する急性経口毒性は DT値が大きくなるほど低下した. 毒性は, マイクロカプセルからの有効成分放出速度により制御されているものと推測された.
  • 村林 旭, 益子 道生, 新川 求, 白根 昇, 古田 哲夫, 林 幸之, 牧角 徳夫
    1991 年 16 巻 3 号 p. 419-427
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1-(4-クロロフェニール)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) シクロヘプタノールの立体異性体間の抗菌および植物生長阻害活性について検討した. その結果, 供試した多くの菌に対してシス体 (SSF-109) が, 強い抗菌活性を示し, イネ幼植物の生長に対しては, トランス体のほうが強い阻害活性を示した. 同様に, 1-置換-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) シクロヘキサノール誘導体の立体異性体に関してもシス体が強い抗菌活性を示し, イネ幼植物に対してはトランス体が強い生長阻害活性を示した. 一方, R. necatrix に対してはシクロヘプタノール誘導体ではトランス体のほうがシス体より抗菌活性が高く, シクロヘキサノール誘導体では両異性体ともほとんど抗菌活性を示さなかった. SSF-109の光学異性体に関して抗菌および植物生長阻害活性について検討した結果, (l) 体が (d) 体より強い抗菌および植物生長阻害活性を示した.
  • Erni MARTANI, 瀬戸 昌之
    1991 年 16 巻 3 号 p. 429-434
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    地下水から細菌の一種 (E-6) を単離した. この地下水の微生物群集は0,1μg炭素/mlの2,4-dichlorophenol (DCP) を分解できなかった. 濾過滅菌した地下水ではE-6の純粋培養は, その接種密度にかかわらず, 0.1μg炭素/mlのDCPを分解した. しかしながら, E-6を微生物群集を含む地下水に接種すると, その接種密度が106細胞/mlのように高いとき以外は, E-6はDCPを分解できなかった. これらの結果は, E-6が微生物群集内でDCPを分解できないのは栄養塩類の欠乏, DCP濃度の低さ, そして, 阻害物質の存在のためではないことを示唆する. DCPを分解できないのは, 微生物群集によるDCP以外の溶存有機炭素 (DOC) の除去とE-6がDCPを共役代謝 (cometabolism) するためであろう. すなわち, DOCの除去とDCPの共役代謝のために, E-6はDCPの検出可能な分解を示すのに必要な密度まで増加できないからと考えられた.
  • In Vivo オーキシン活性との比較
    水戸 信彰, 宗利 一郎, 宮門 正和, 田中 鎮也
    1991 年 16 巻 3 号 p. 435-439
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トウモロコシにおいて同定されている膜結合オーキシン受容体へのオーキシン型除草剤の結合を調べ, これら除草剤の成長促進活性, エチレン発生誘導活性および成長阻害活性と受容体への結合を比較した. 受容体への結合と成長促進活性との間には相関が認められた. しかし, エチレン発生誘導では, 受容体にまったく結合しないベナゾリンが受容体に結合するダイカンバと同等以上のエチレン発生誘導を示し, エチレン発生誘導は今回検討した膜結合型の受容体以外の受容体によって引き起こされていることが示唆された. またベナゾリンおよびキンクロラックは受容体にまったく結合しないにもかかわらず, 茎葉部の伸張を強く阻害した. 以上の結果から, ベナゾリンおよびキンクロラックの成長阻害活性はトウモロコシ膜結合型オーキシン受容体への結合には起因していないことが示唆された.
  • 三宅 敏郎, 春山 裕史, 小倉 友幸, 満井 喬, 桜井 成
    1991 年 16 巻 3 号 p. 441-448
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピリダジノン環を有する新規JHM, NC-170は, ツマグロヨコバイをはじめとする4種のヨコバイ類の変態を強く阻害し (ID50=5.2×10-11~3.7×10-12g/larva), その活性はJH-1の10~30倍であった. 更に, NC-170は, ツマグロヨコバイ成虫の産卵には影響を与えないが, 4ppm以上の茎葉散布で産下された卵の孵化を強く阻害する. これは, 卵内に取り込まれたNC-170が胚子発生の初期の生理現象を攪乱し, その結果, 孵化が阻止されるものと想像された. NC-170のJH様作用がツマグロヨコバイの野外個体群に与える影響を調べたところ, 100ppmの茎葉散布により, 6週間以上にわたってその密度を低く抑え, NC-170の防除剤としての可能性が示唆された. この効果は, NC-170の稲体上での長期の残効性に, 大きく依存しているものと考えられた.
  • 宮本 徹, 山本 出
    1991 年 16 巻 3 号 p. 449-455
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Prothiophos oxon およびそのS-アルキル同族体 (S-メチル, エチル, ブチル体) をラット肝ミクロゾームーサイトソール系中次の3条件下37℃で30分間反応させた. (a) NADPH, GSH無添加, (b) NADPH添加 (S-oxide 生成条件), (c) NADPHとGSH添加. 反応後砂糖を加えて凍結乾燥し, 感受性高槻系イエバエに給餌し, 各条件下での反応混合物の殺虫効果をみた. 各化合物の用量は. 反応後残存するS-アルキルオキソンによる殺虫効果の発現にかなり時間がかかるよう各化合物のLD50に応じ加減した. 48時間までの殺虫効果の途中経過をみるに, S-メチル体の場合, (c) では (a) に比べ反応後のS-メチル体の量が約1/2にもかかわらず, 死虫率はほぼ同じで, 殺虫効果はS-メチル体によるだけでないことを示唆し, また (b) に比べ, S-メチル体の量がほぼ同じにもかかわらず, 死虫率が高いことは, 反応条件下 S-oxide は生成しても分解しやすいが, GSHにより安定化した殺虫化合物ができていることを示唆している. また (c) からサイトソールを抜いた系では死虫率は減少した. 他の化合物でも同様の傾向が認められた. このことはこれら化合物の殺虫効果に, ミクロゾームーNADPH系による活性中間体 S-oxide のほかに, GSH-グルタチオンS-トランスフェラーゼ (GST) 系が関与する新たな活性中間体の寄与を示唆している.
    同上の in vitro 実験系に, 牛赤血球アセチルコリンエステラーゼ (AChE) を添加して反応させたところ, 反応混合物のAChE阻害は, アルキル基の違いにかかわらず, (c) が高く, またGSHの量が多いほど高かった. GST活性の増大した抵抗性八千代系と上記感受性イエバエとに, 上記の反応混合物を与えた場合, (a) では抵抗性系の死亡開始は感受性系に比べ遅いのに対し, (c) では抵抗性系の死亡開始は早くなり, 長い時間に渡り (a) より高い死虫率を示した. 感受性系では (a) (c) 間の差は初期のみであった。
    以上の結果から, これら化合物は S-oxide を与え, これがAChEを阻害する一方, GSH-GST系により, GSHに抱合化された活性中間体を与え, このものもAChEを阻害し, 殺虫効果を呈するとの仮説を提示する.
  • 小川 雅男, 丸山 茂, 大坪 敏朗, 津田 重典, 辻 孝三
    1991 年 16 巻 3 号 p. 457-464
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール (PEG) またはポリプロピレングリコール (PPG) を用いて, ピレスロイドの乳剤化を検討した. PEGおよびPPGの平均分子量 (Mw) がおのおの150および134以上のとき, フェンプロパスリンは10%まで, エスフェンバレレートは20%まで相溶性が良好であった. また, PEGおよびPPGのMwがおのおの150~600および134~300のとき, フェンプロパスリン5, 10%乳剤およびエスフェンバレレート5, 10, 20%乳剤は, いずれも乳化安定性が良好であった. PPG (Mw=300) を溶剤としたフェンプロパスリン5%乳剤の乳化分散性は, 5~20℃では100%であったが, 250Cおよび30℃では約80%とやや低下した. この乳剤に少量の乳化剤を添加すると, 高温での乳化分散性が向上した. PEGまたはPPGを溶剤としたフェンプロパスリンおよびエスフェンバレレート5%乳剤とPEGを溶剤としたフェンバレレート, パーメスリン, d-フェノスリンおよびサイパーメスリン10%乳剤は, いずれも対応する通常の乳剤に比べ急性経口毒性が明らかに軽減された. PEGまたはPPGを溶剤としたエスフェンバレレート5%乳剤は, ウサギの眼に対する刺激性も軽減された. さらに, PEGまたはPPGを溶剤とした乳剤は, 臭気や引火性の面でも通常の乳剤より優れていた. これらの乳剤は, 保存安定性, 低温安定性, 自己乳化性, 生物効力も良好であった.
  • 大井 正典, 本山 直樹
    1991 年 16 巻 3 号 p. 465-473
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    連合作用が発揮される理論的条件を探索するために, 単一の酵素による解毒と作用点の阻害のみが含まれる単純なモデルに, 透過や活性化などの要因を加えてコンピュータシミュレーションを行なった. 組み合わせた二つの薬剤は解毒酵素を拮抗的および非拮抗的に阻害し合う状態を仮定した. その結果連合作用に関して以下のような性質が明らかになった.
    1) 相乗作用の基本的条件は次の条件が満たされることである.
    VB<<VAIB/IA, KB<<KAIB/IAかつKB<<IB
    なお, AとBは薬剤AとBを示し, それぞれの薬剤は Michaelis-Menten 型の速度式によって最大解毒速度 (V) と Michaelis 定数 (K) に依存して解毒される. また, Iは解毒過程を含んだ条件で作用点を50%阻害する薬剤の濃度, すなわちI50を表わす. IAが小さく, VAが大きいほうがこの条件を満たすことから, 薬剤Aは作用点に対する阻害能力が大きく, かつ解毒されやすいという条件が必要である. 薬剤Bは作用点を阻害するのに必要な濃度よりも低濃度で薬剤Aの解毒を阻害できなければならない. この条件を満たすほど“相乗作用のポテンシャル”は大きく, 薬剤Bが薬剤Aの解毒酵素を阻害する結果, 薬剤Aの濃度が増し作用点の阻害速度を増加させることになる.
    2) 相乗作用が最も大きくなる薬剤AとBの混合比はIAとIBの比 (LD50の比) に等しい.
    3) 組み合わせた両薬剤の皮膚透過性が遅くなるほど, 相乗作用のポテンシャルが十分に発揮されなくなり, 相乗作用は減少する.
    4) 薬剤間の相互作用が発揮される解毒酵素以外の酵素による解毒速度が大きいほど, 相乗作用は小さくなる.
  • 大井 正典, 本山 直樹
    1991 年 16 巻 3 号 p. 475-480
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺虫剤の相乗作用の大きさはおのおのの薬剤の解毒酵素に対する親和性, 解毒速度および解毒酵素の存在下での作用点阻害のI50値によって予測できるという理論的解析の結果を証明するために, in vitro 実験を行なった. 単一の酵素 (ブタ肝カルボキシルエステラーゼ) (CE) による解毒と作用点 (電気うなぎAChE) 阻害のみが含まれる単純なモデルを用いて, 相乗作用の予測に必要な各パラメータを求めたところ, マラオクソンとパラオクソンおよびマラオクソンとジクロルボスの組合せが最も相乗作用の条件を満たしていた. 各種組合せによるAChE阻害のI50を比較したところ, 上記の組合せは実際に高い相乗作用を示し, また, 相乗作用の最も大きくなる混合比は薬剤単独でのI50の比に等しかった. 以上の結果はコンピュータシミュレーションによる理論的解析の結果を支持した.
  • 殺菌活性を有する N-phenylformamidoximes の研究 (第1報)
    早川 公一, 中山 章, 西川 博明, 中田 昭, 佐野 慎亮, 横田 因
    1991 年 16 巻 3 号 p. 481-490
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(3,5-Dichlorophenyl)-N′-methoxyformamidine (DPMF) は methyl N-(3,5-dichloroPhenyl)carbamate (MDPC) と同様, Botytis cinerea のベンズイミダゾール系殺菌剤耐性菌に対し, 高い抗菌力を示し, ベンズイミダゾール系殺菌剤との間に負相関交差耐性が認められた. さらに, DPMFの B. cinerea に対する作用を顕微鏡観察したところ, その形態異常はMDPCの作用と酷似していた. こうした殺菌作用の類似性を理解するために, DPMFとMDPCの構造類似性を計算機化学の手法で解析した. その結果, これら2個の分子は, 官能基部分の化学構造が異なるにもかかわらず, あるひとつの安定コンフォメーションで, 分子周辺の静電ポテンシャル分布および立体構造がきわめて高い類似性を示し, 両者の bioisosterism の関係が分子構造の類似性により理解された.
  • 植物葉の濡れ現象に関する研究 (第1報)
    渡部 忠一, 山口 勇
    1991 年 16 巻 3 号 p. 491-498
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    植物葉の濡れ状態を定量的に評価するため, 葉浸漬法を検討した. Direct Fast Scarlet 4BS 1.0%と界面活性剤0.2%を含有する浸漬液 (表面張力: 21.5~63.5mNm-1) の葉表面の付着形状を6タイプ (A-E, O) に分類した. 連続的薄膜付着 (A-1) を形成する浸漬液を用いて, 葉表面の付着量分布を測定すると, 浸漬深がイネ葉で10cm, ダイズ・ササゲ等の葉で5cm以上で付着量(μl/cm2) 一定の領域 (Up-2領域) が出現し, この領域に葉表面に個有の付着が生じ, また, 葉先端に生ずる浸漬液の滞留は葉先端の形状に影響され, 付着量分布の一要因になるものと考えられた. 8科23種の作物葉のUp-2領域と全葉の付着量を測定すると, Up-2付着量は約0.6~1.1μl/cm2の狭い範囲に集中したが, 全葉付着量では, 科に特徴的な付着量を示すもの (ウリ・アブラナおよびアオイ科) を科内で変動するもの (イネ・マメおよびナス科) などが認められた. 本葉浸漬法によって葉表面の個有の濡れ状態を溶液と葉表面の相互作用の結果として評価することが可能である.
  • 平島 明法, 吉井 豊, 原田 夕紀子, 賀 紅武, 江藤 守総
    1991 年 16 巻 3 号 p. 499-507
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    チアザホスホリジン類は, アミノアルコールより硫酸エステルを経て得た2-メルカプトチアゾリンの塩酸触媒加水分解により合成したアミノチオールと, チオリン酸ジクロリドより合成した. チアザホスホリジン (SP) は, 局所施用法でイエバエに対し, オキサアザホスホリジン (OP) より高い殺虫活性を示した. OP, SPともに, メトキシ体はエトキシ体よりも活性が高く, よりかさ高い疎水性置換基を4位に持つ誘導体がより高い殺虫活性を示したが, SPにおいては, かさ高い疎水性置換基の導入による殺虫活性の増加はOPの場合よりも著しくなかった. OP, SPともに, ゴキブリ神経アデニレートシクラーゼを活性化しなかったが, オクトパミンに対して拮抗作用を示した.
  • 武藤 尚志
    1991 年 16 巻 3 号 p. 509-516
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 前田 進
    1991 年 16 巻 3 号 p. 517-522
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 塩月 孝博
    1991 年 16 巻 3 号 p. 523-531
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Salithion, one of saligenin cyclic phosphates (SCPs) was effective against organophosphorus (OP)-resistant houseflies. The synergism of some non-insecticidal SCPs, K-1 and K-2, with fenitrothion was found in the resistant strains. One of the OP-selection was the alteration of acetylcholinesterase (AChE) to be insensitive against the oxon-type of OPs, and the insensitive AChE had low affinity with OP-oxons, whereas salioxon had a high inhibitory activity for the enzyme of the resistant insects. On the other hand, the OP-selection also increases high activities of detoxifying enzymes, including glutathione transferase (GSH-t), which also catalyzed the demethylation of fenitrothion. Salithion was stable against the biodegradation. Moreover, SCPs inhibited the degradation of fenitrothion. Both the demethylation of fenitrothion and the glutathione (GSH) conjugation of l-chloro-2, 4-dinitrobenzene were inhibited by the GSH conjugate of SCPs, i. e., S-(2-hydroxybenzyl)glutathione, in a manner of competition with GSH. SCPs inhibited the GSH-t directly and irreversibly in the absence of GSH. In conclusion, SCPs play significant role as effective inhibitors on the important points of OP-resistant mechanisms, AChE and GSH-t, in different mode, that is, a phosphorylation and an alkylation. These actions are considered to contribute to the biological activities of SCPs, i. e., the high insecticidal potency of salithion against OP-resistant insects and the synergistic effect of K-1 and K-2 with some OPs.
  • 津田 重典
    1991 年 16 巻 3 号 p. 533-543
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    A pesticide formulation should be designed rationally to maximize its pesticidal efficacy by thoroughly investigating the relationship among the formulation factors, the physical properties of the formulation and its pesticidal efficacy. By the rational design of the formulation, pesticides can be used efficiently to the purpose, and maximum efficacy can be obtained by using the smallest amount of pesticide. Standing on this concept, authors studied the influence of the physical properties of aerosol formulations on their insecticidal efficacy. The insecticidal efficacy of an aerosol formulation is thought to be influenced by the behavior of the spray-droplets in the air and by the permeability of the insecticide through the cuticle of the insect to reach the nervous system. Then, the spray-droplet size and the solvent used for the aerosol formulation are thought to be the two most important factors. The spray-droplet size was decisive to maintain the concentration of airborne spray-droplets; the smaller the spray-droplets, the longer the concentration maintained. However, there existed an optimum spray-droplet size to maximize the insecticidal efficacy, which was around 30μm. This result was explained by the effect of the balance of the catch efficiency of airborne spray-droplets by flying insects which was affected by the inertia of spray-droplets, and the maintenance of the concentration of airborne spray-droplets which was affected by their settling speed. Among the solvents used for the aerosol formulation, the most effective one for knockdown efficacy was tetradecane. This solvent was thought to facilitate the insecticide to penetrate into insect through the cuticle.
  • 吉田 充
    1991 年 16 巻 3 号 p. 545-554
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    13C and 1H NMR spectroscopy were applied on fungicide pharmacology in cellular level, and two-dimensional 1H NMR spectroscopy in molecular level. Mycelia of Pyricularia oryzae were incubated with [methyl-13C]methionine, and 13C NMR spectrum of the intact mycelia was measured. After 3hr incubation, N-methyl signal of choline appeared at 54.9ppm showing that methyltransfer from methionine into choline can be observed by the 13C NMR. Treatment with 350μM iprobenfos inhibited the choline biosynthesis. Isoprothiolane also inhibited the methyltransfer at the concentration of 140μM. The observed spin-spin relaxation time (T2) of intracellular water protons reflects the membrane water permeability. Effects of various types of fungicides on the membrane were, then, investigated by using the T2 of the water protons in the mycelial cells of Botrytis cinerea. Treatment of the cells with ionophores remarkably increased the membrane water permeability, which suggests that the water molecules exchange through the ion channels of the ionophores. Phosphatidylcholine biosynthesis inhibitors, as well as ergosterol biosynthesis inhibitors, slightly increased the membrane water permeability. This result indicates that phosphatidylcholine and ergosterol have no direct relation to the membrane water permeability though some secondary effects were observed through the change in the membrane structure. Some SH inhibitors increased the membrane water permeability probably by binding to the proteins at ion channels. The structure of the complex of a deoxyoctanucleotide, d(GCAATTGC)2, and berenil, a trypanosidal drug, was analyzed by two-dimensional 1H NMR spectroscopy. The nuclear Overhauser effects (NOE) between the two molecules and the ring current shifts revealed that berenil binds in the minor groove of d(GCAATTGC)2 retaining the overall B conformation of the octanucleotide duplex. It is likely that the complex has hydrogen bonds between the berenil amidine protons and the carbonyl oxygen of the external thymine or the purine nitrogen of the internal adenine.
  • 塩野義製薬株式会社植物薬品開発部 , 武田薬品工業株式会社アグロ事業部農薬研究所
    1991 年 16 巻 3 号 p. 557-561
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トリフルラリンの安全性評価のための各種毒性試験を実施した.
    本剤の急性毒性は弱く普通物に該当する. しかし乳剤, 粒剤ともウサギにおいて眼刺激性が認められ, 乳剤では皮膚刺激性も認められた. また乳剤ではモルモットにおける皮膚感作性が陽性であった. 一方, 原体のサルにおける経皮吸収率は約0.1%ときわめて低く, ウサギにおける亜急性経皮毒性試験でも全身性の毒性症状は認められなかった.
    慢性毒性/発がん性試験では, 中間・高用量群のラットおよびマウスに体重増加の抑制, 肝臓重量の増加, および進行性糸球体腎症 (炎), 腎結石等の腎毒性が認められた. イヌでは高用量群に肝臓重量の増加が認められたのみであった. 発がん性はマウスでは認められず, ラットでは中間・高用量群で膀胱腫瘍, 全用量群で腎臓腫瘍の発生率が上昇したが, 腫瘍の総発生率にはトリフルラリン投与による影響は認められなかった.
    ラットにおける2世代繁殖試験では繁殖に及ぼす影響は認められず, 催奇形性試験では, ラットでは1000mg/kg/日以下, ウサギでは225mg/kg/日以下の用量で催奇形性は認められなかった. 各種変異原性試験の結果はすべて陰性であった.
    薬理試験ではトリフルラリンに特異的な作用というよりもむしろ急性中毒症状と考えられる異常歩行, 振戦等の中枢神経系に対する影響が認められたが, トリフルラリンのおもな薬理作用は利尿作用および肝機能抑制作用であった. 本剤の解毒薬としてはグルタチオン, グルクロン酸アミドおよび硫酸アトロピンが有効であった.
    トリフルラリンは昭和41年, 乳剤の大豆, ラッカセイ, カンショ, ナタネ, 小麦, ニンジン, キャベツ, 大根, トマトで日本において初めて登録され, 昭和44年には2.5%粒剤のラッカセイ, 3.0%粒剤の水稲に登録された. その後他作物への適用拡大を順次実施し, 畑作物, 野菜を始め, 花き花木, 工芸作物, 果樹, 公園・庭園等幅広い分野に登録された.
    トリフルラリンの登録保留基準値は, 米, 麦・雑穀, 果実, 野菜, イモ類, 豆類, 茶のいずれも0.01ppm (ただしニンジンは0.2ppm) と設定されている.
    トリフルラリンは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
  • アグロ・カネショウ株式会社開発部 , クミアイ化学工業株式会社研究開発部 , サンケイ化学株式会社開発部 , 三共株式会社農薬開発普及部 , ...
    1991 年 16 巻 3 号 p. 563-567
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    8-ヒドロキシキノリン銅をラット, マウスおよびウサギに経口および経皮投与または全身暴露した時の急性毒性はきわめて弱い. また, ウサギの眼粘膜に対する刺激性は認められたが, 速やかに回復し, 皮膚に対する刺激性はほとんど認められない. ラット, マウスまたはイヌを用いた亜急性/慢性毒性試験では, いずれかの試験においても500~2000ppmの投与量で軽度な貧血および貧血に関連した肝, 腎等における色素沈着が認められたが催腫瘍性は認められず, また200ppm以下の投与量では全く影響が認められなかった. ウサギおよびラットにおける催奇形性は認められず, ラットにおける繁殖性および胎仔発育に対する影響も認められていない. 細菌を用いた復帰変異性, DNA修復性並びにラットまたはチャイニーズ・ハムスター肺線維芽細胞を用いた小核試験および染色体異常誘発性はいずれも陰性であったことから, 8-ヒドロキシキノリン銅の変異原性は陰性であると判断された, 一般薬理試験においても, 試験項目の範囲では, 生体機能に対する薬理学的作用は認められていない.
    本剤は, 1964年に上市されて以来, 定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つとして好評を得ている.
  • 奥 八郎
    1991 年 16 巻 3 号 p. 569-570
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 西村 勁一郎
    1991 年 16 巻 3 号 p. 571-572
    発行日: 1991/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top