Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
5 巻, 4 号
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  • 畠 芳郎, 明石 寛治
    1980 年5 巻4 号 p. 473-479
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    吸着への土壌コロイドの影響を調べるために, 土壌中の粘土鉱物, 腐植酸の種類を同定し, 各種土壌コロイドおよびモデル化合物へのピペロホスの吸着量を測定した. モンモリロナイトを含む土のほうが, カオリナイト, アロフェン等を含むと考えられる土よりも吸着量は多く, 各種粘土鉱物への吸着はモンモリロナイト>ハロイサイト>カオリナイト>アロフェンの順で多かった. また腐植酸, ピートモス, ニトロフミン酸などもピペロホスを多量に吸着し, 土壌中の吸着母体は粘土鉱物および土壌有機物であると推定された. 過酸化水素処理によって有機物を除去するとカオリン系の土壌では吸着量は減少したが, モンモリロナイト系土壌では逆に増加した. 吸着量とコロイドとの関係を明らかにするには, カオリン系とモンモリナイト系の土壌に層別した後, 重相関係数を求める必要があった. ピペロホスの土壌吸着は, 土壌コロイドの含量だけでなく, 種類やコロイド間の相互作用の影響を受ける.
  • 黄 耿堂, 松沢 安秀, 渡部 忠一, 見里 朝正
    1980 年5 巻4 号 p. 481-486
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    30数種の界面活性剤アルキルベンゼンスルホン酸塩, アルキル硫酸塩, アルカンスルホン酸塩のTMV, CMV, およびCGMMVに対する抗ウイルス性を調べた結果, 上記3グループの物質のうち, アルキルベンゼンスルホン酸塩の活性が高く, TMVに対するよりもCMV, CGMMVに対する活性が高いことが認められた. そのなかでもCMVに対し, オクチルベンゼンスルホン酸カルシウム塩, CGMMVに対し, デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の活性が最も高いことが判明した. アルキル硫酸塩についてはデシル硫酸ナトリウムがCGMMVに対して最も高い活性を示した. アルカンスルホン酸ナトリウムは概して他の2グループの化合物に比べて活性が低い. 分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸塩の数種金属塩について調べたところ, 各種塩にはおのおのTMV, CMV, CGMMVに対する特異性に違いが認められた.
  • 小川 邦彦, 相沢 宏保, 山内 文雄
    1980 年5 巻4 号 p. 487-494
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺菌剤, フルオルイミド [N-(4-fluorophenyl)-2, 3-dichloromaleimide, スパットサイド®] の土壌中における溶脱性と代謝を芳香環またはカルボニル基を14Cで標識した化合物を用いて調べた.
    フルオルイミドは, 土壌中の半減期が1日以内であり, 95%消失日数も2日と分解が速かった. 移動性を土壌カラム法で検討したところ, フルオルイミドはDDTなみに移動性がないが, 溶離中に加水分解を受け, 生成物の 4-fluorophenyldichloromaleanilic acid (I) とそのナトリウム塩 (II) は2, 4-Dなみの移動性を示した. 主分解経路は, IとIIを経て dichloromaleic acid (III) と 4-fluoroaniline (IV) への加水分解であった. IIIはさらに, 土壌微生物の関与で脱炭酸されて分解し, IVは, 土壌粒子に強く吸着されて残留するが, 芳香環が土壌微生物の関与で酸化的に分解され, 最終的にCO2を発生して消失することが明らかとなった. 他の代謝経路として, イミド環のジクロルエチレン部分が順次還元されて N-(4-fluorophenyl) succinimide が生成する経路を明らかにした.
  • 小山田 正美, 五十嵐 桂一, 鍬塚 昭三
    1980 年5 巻4 号 p. 495-501
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ナフタレン環を14Cで標識したナプロアニリド除草剤の土壌中での分解に関与する土壌要因の影響および分解生成物について, 室内実験により研究した. 理化学的性質の異なる3種類の土壌を酸化的および還元的な湛水状態とし, その土壌中におけるナプロアニリドの分解を比較すると, 土壌により若干の差はあるが, 酸化還元のいずれの状態でも速やかに分解した. tlc によって同定された分解生成物は, 主要代謝物として 1-(2-naphthoxy)-propionic acid (NPA) が同定され, 他に微量の methyl 1-(2-naphthoxy) propionate, 2-hydroxynaphthalene, 2-hydroxy-1, 4-naphthoquinone および2, 3-, 2, 6-, 2, 7-の各 dihydroxynaphthalene が検出された. 多量に生成したNPAは還元条件よりも酸化条件下で速やかに分解した. その他の分解生成物はきわめて微量で, 各土壌間および土壌の酸化還元の状態の間で顕著な差異は認められなかった. 最終的にはナフタレン環が開裂して14CO2が生成するが, その生成は還元的湛水状態よりも酸化的湛水状態のほうが速かった. また, かなりの量の放射能がアセトンでは抽出できない土壌結合体として残った.
  • 渡部 忠一, 松沢 安秀, 黄 耿堂, 見里 朝正
    1980 年5 巻4 号 p. 503-509
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    スルホン酸系界面活性剤のTMV感染に対する阻害機構を明らかにする目的で, 分岐鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸のNa塩およびCa塩 (前者をDBS-Na, 後者をDBS-Caおよび両者をDBSと略す) の作用性について, インゲンを用いる局部病斑試験法によって検討した.
    TMVとDBSを混合して接種する場合にはDBS 1,000ppmで, TMVの接種後にDBSを処理する場合にはDBS 2,000ppmで, また, DBSを処理したのちTMVを接種する場合にはDBS 2,500ppmで, 局部病斑の形成が90%以上阻害された. TMVとDBSを混合して接種する場合, その阻害効果は, 両者の量的な混合割合および混合時間によって影響されず, 主としてDBSの濃度に依存した. Ca塩がNa塩に比べていくぶん高い阻害効果を示した. TMVとDBSの相互作用を, ゲル濾過, 遠心分離およびシュリーレンパターンの測定によって調べた結果, ウィルス粒子の崩壊, 吸着または反応による不活化が阻害効果に関与しているとは考えられない. TMVを接種したのち, 約4時間以内にDBSを処理する場合には, 局部病斑の形成はほとんど完全に阻害されたが, それ以降の処理では阻害効果は減少し, 15時間後ではまったく阻害効果は認められなくなった. 葉柄部から, DBS-Caを取り込ませてTMVを接種すると, DBS-Caの水溶液濃度が200ppm以上で感染が顕著に阻害されたが, インゲン葉の葉脈に沿ってクロロシス様の薬害症状が認められた.
    以上の結果から, DBSのTMVの感染に対する阻害作用はTMV粒子の崩壊や不活化によるものではなく, 宿主細胞における, TMVの侵入からRNAの複製の開始に至る増殖初期過程が, 宿主細胞の細胞膜機能の障害および代謝抑制によって阻害されることに基づくものと推察された.
  • 中神 和人, 田中 治一
    1980 年5 巻4 号 p. 511-516
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病防除剤テクロフサラムの100ppm液をイネに散布して, イネ体内に存在する白葉枯病菌の菌数, および病原力に及ぼす影響を調査した. 水孔接種1日前, 3日後, および病斑形成後の3時期に散布して, 散布葉と無散布葉の菌数を希釈平板法で比較した結果, いずれの散布時期でも一定の傾向が認められた. 散布葉の菌数は散布2~3日後から減少し始め, 無散布葉の菌数のほぼ10%に減少すると, その後は低い水準で推移した. 散布17日, および30日後にイネから分離した菌を他のイネに接種したところ, 散布葉から得た菌はいずれも明らかに小さい病斑を形成した. この結果は, イネ体内の菌の病原力がテクロフサラムの散布によって低下し, さらにイネから分離された後もその性質を保っていることを示している. しかしながら, これらの分離菌はイネ, あるいは培地で生育することによって病原力を回復した.
  • 本田 建夫, 中神 和人, 石田 三雄, 山崎 俊治
    1980 年5 巻4 号 p. 517-520
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2-hydroxymethyl-3,4,5,6-tetrachlorobenzamide 誘導体5種を相当する 3,4,5,6-tetrachlorophthalimide を sodium borohydride で還元して合成した. これらの化合物の植物病害に対する防除活性をしらべたところ, イネ白葉枯病にはまったく効かなかったが, イネいもち病, キュウリ炭疽病には高い防除活性が認められた. 3,4,5,6-tetrachlorophthalamic acid 誘導体のイネ白葉枯病防除活性には, カルボキシル基が, 2-hydroxymethyl-3,4,5,6-tetrachlorobenzamide 誘導体のイネいもち病防除活性には, メチロール基がそれぞれ重要な役割を果たしている.
  • デスマーチェリーア J. M.
    1980 年5 巻4 号 p. 521-532
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    7種の穀物中の貯穀害虫防除剤9種の抽出および定量法を検討した. ジクロルボス, フェニトロチオン, メタクリホス, ピリミホスメチルはメタノールまたはエタノールに12時間浸漬により36時間浸漬の90%以上が抽出され, ヘキサン抽出より効率がよい. これら有機リン剤はFPDガスクロマトグラフにより定量する. 添加回収率はすべての穀物で84~100%であった. フェニトロチオンは4-ニトロ-o-クレゾールに加水分解し, 塩化バリウム添加により精製したのち比色定量することもでき, この方法は2mg/kg以上の場合に適する. 80%以上のカルバリルがエタノールに12時間浸漬により抽出される. カルバリルはナフトールとしクロルアセチル化してECDで定量するか, 4-ニトロベンゼンジアゾニウム塩を発色試薬としたtlcで半定量する. アルカリ溶液と無水クロロ酢酸のエーテル溶液によるアセチル化は95%以上進むが, 4-ニトロフェノール等の酸性フェノールでは水溶液のpHが当該フェノールのpKaに近いことが必要である. エタノール, 石油エーテル, アセトンで36時間浸漬した場合の90%以上のビオレスメトリン, フェノトリン, d-フェノトリン, ピレトリンエが石油エーテル12時間浸漬により抽出される. これらピレスロイドはアルカリ分解し, 菊酸と硫酸水銀の反応を用いて比色定量する. 添加回収率は89~95%であった.
  • デスマーチェリーア J. M.
    1980 年5 巻4 号 p. 533-537
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    小麦に収穫後処理したビオレスメトリン, カルバリル, d-フェノトリンの貯蔵中における減少速度と, 小麦の温度および平衝相対湿度との間に定量的な関係が認められた. ピペロニルブトキシドの同時処理は, ビオレスメトリンの安定性を増加させたがカルバリルの残留性にはほとんど影響しなかった. d-フェノトリンに対する影響は明らかでなかった.
  • デスマーチェリーア J. M., ゴールドリング M., ホーガン R.
    1980 年5 巻4 号 p. 539-545
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    もみ, 玄米, 白米, 大麦中の貯穀害虫防除剤の6ヵ月貯蔵後の残留量を調査した. 残留量の実測値は, 温度, 平衝相対湿度, 減少速度定数を用いたモデルによる推定値に近似していた. もみに施用された防除剤は精米工程により, もみがらとぬかに分布した. 米の炊飯による残留量の減少は防除剤の種類により異なり, ジクロルボス, メタクリホス, カルバリルではとくに大きかった. すべての防除剤は大麦をマルトとする工程で減少し, メタクリホスの減少が顕著であった.
  • 石川 尚雄, 奥貫 進, 川名 貴, 広野 好彦
    1980 年5 巻4 号 p. 547-551
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    栽培エンバクを用いて, アロキシジムの効果を検討した. 供試剤の0.4kg/ha相当量散布されたエンバクは, 2日以内に新葉伸長の完全停止がみられた. 処理後5日目の葉鞘部について, 茎頂付近の縦断面を肉眼観察した結果, 分裂組織部の褐変が認められた. しかしこのような状態での新葉, 展開葉との間には, 外見上の変化は認められなかった. その後, このような褐変は, 基部全体から各部に拡大し, 植物全体が枯死するに至った. このようなことから, アロキシジムの効果について, 茎頂部分の光学的検鏡を行なった. アロキシジム散布12時間後の茎頂分裂組織での細胞配列はきわめて不規則であり, また高倍率での検鏡では, 核はすべて凝集しており, 無処理区に見られたような分裂像は認められないことがわかった. アロキシジムはイネ科植物に卓効を示すが, これはイネ科植物の茎頂部の分裂組織に作用し, 植物を枯死に至らしめるものと推察された.
  • 内田 又左衛門, 笠井 勉
    1980 年5 巻4 号 p. 553-558
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺菌剤ジアルキルジチオールアニリデンマロナート類の大阪 (河内長野) 土壌に対する25℃での吸着定数 (K) は, メチル体の2.7からヘプチル体の605まで変化した. アルキル鎖が長くなるにつれて, Kの値が増加した. そして, logK値は疎水性パラメータであるlogP (Pは1-オクタノール・水系での分配係数) と非常によく相関するので,これらの化合物の土壌への吸着過程は, 疎水的相互作用といえよう.
    土壌カラム中でのこれら化合物の移行性もアルキル鎖の変化に伴い, 規則的に増減した. そして, 土壌への吸着定数との間には, 非常に良好な負の相関性がみられ, 吸着性の著しい化合物の移行性は低かった.
  • 久田 芳夫, 川瀬 保夫
    1980 年5 巻4 号 p. 559-564
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-プロサイミドンは Botrytis cinerea の菌糸に速やかに結合し, それは1分以内でほぼ平衡状態になった. 結合量は培地中のプロサイミドン濃度および菌糸密度に依存していたが, 温度や菌糸の代謝活性に影響されなかった. 菌体を水洗することにより結合量の95%以上が洗液に遊離したことから, プロサイミドンの結合は可逆的な反応であると思われた. プロサイミドンを処理し, 生育を完全に阻害された菌糸を, 洗って新しい培地で培養したところ, 再び生育をはじめた. このように, 菌糸細胞の生育を阻害しているプロサイミドンは, 細胞に可逆的に結合し, しかもその結合および遊離過程は速やかに進行するものと考えられる.
  • ブルックス G. T.
    1980 年5 巻4 号 p. 565-574
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    光化学および還元的脱塩素化法の組合せをディルドリン, エンドサルファン (α-およびβ-) およびイソベンザンの類縁体の調製に用いた. 1,2,3,4,7,7-hexachlorobicyclo[2.2.1.]hept-2-ene 系のC1とC4 (bridge-end) の塩素原子は影響をうけないが, C2C3 (ethylenic) とC7 (methanobridge) の塩素原子は水素原子によってさまざまの程度に置きかわる. NMRによる塩素置換位の同定は既知化合物についての知見をもとに考察を行なった. 本研究は, 還元的脱塩素化が殺虫力に及ぼす効果について異なるグループのシクロジエン殺虫剤間で一定の関係が見られるか否かを検討する研究の一環として行なわれたものである.
  • 小野 成男, 遠山 典宏, 杉岡 克己, 時枝 正則, 野村 修三, 塚田 松吾
    1980 年5 巻4 号 p. 575-584
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    作物, 土壌および水系中に残留している除草剤アロキシジム (ADS) およびその代謝分解物 (CM-I, IIおよびIII) の分析方法を検討した. 高速液体クロマトグラフ法, ガスクロマトグラフ法および紫外吸光光度法の3法を比較した結果, これら4化合物を定量するには高速液体クロマトグラフ法が最も適していた. 試料中のADSおよび分解物はメチルアルコールで抽出し, 液液分配によりADSと分解物を分離したのち, クリーンアップしそれぞれの化合物を紫外線検出器 (254nm) 付高速液体クロマトグラフで定量した.
  • 柘植 茂晃, 西村 隆信, 風野 光, 富沢 長次郎
    1980 年5 巻4 号 p. 585-593
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1) 14C-DDT, アルドリン, プロチオホス, イソチオエート, カルバリル, XMCの 1ppb 水溶液を調製し, グッピー, red snail, チカイエカ幼虫, ミジンコによるこれらの農薬の取り込みを比較した.
    2) DDTの場合, グッピーと red snail とでは取り込み量にかなりの相違が認められた. また, グッピーでは取り込まれた放射能の大部分がDDTのままで存在したが, red snail ではDDDに, チカイエカ幼虫ではDDEに変換していた.
    3) アルドリンでは14Cの取り込み量はチカイエカ幼虫>グッピー>ミジンコ>red snail の順であった. また, ディルドリンへの変換は生物種により相違が認められ, グッピーでは時間の経過とともに大部分の14Cがディルドリンに変換されるのに対し, ミジンコでは14Cは親化合物の形態で検出された.
    4) プロチオホスはミジンコを除いて生物体内で水溶性物質への代謝が顕著であり, 水溶液からの取り込みは多くても親化合物の形態での残存量は小さかった.
    5) イソチオエートの取りこみはプロチオホスよりもさらに小さく, また, いずれの生物からも親化合物は検出されなかった.
    6) カルバリルとXMCの場合, 取り込まれた放射能の大部分は水溶性または不溶性分画に分布し, 親化合物としての存在量はわずかであった.
    7) 生物による水からの農薬の取り込み量は生物種や化合物によりかなりの相違があることが認められた. また, 食物連鎖を通しての取り込みと水からの直接の取り込みとの間には必ずしも相関はなく, 生物種と化合物により食物連鎖による取り込みの寄与の程度に差が認められた.
    おわりに, メチル-14C-標識-イソチオエートを提供いただいた日本農薬株式会社, および, チカイエカを提供いただいた日本特殊農薬製造株式会社に謝意を表する.
  • 清水 利昭, 草野 忠治
    1980 年5 巻4 号 p. 595-598
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    硝酸タリウムの摂取性におよぼす糖の効果をドブネズミを用いて, 2台のリッキング・カウンターで調べた. 0.09%硝酸タリウムに7.8%糖を加えることによって, 水に対するリッキング・カウントは選好値で2になり, 糖無添加の選好値と比較すると, リッキング・カウントは10倍高くなった. また, 糖を添加した0.09%, 0.18%硝酸タリウムによる死亡率は100%となり, 糖無添加の0.09%硝酸タリウムの場合には20%であった. ショ糖を含む0.09%硝酸タリウムは, 倉庫のドブネズミの防除に水溶剤として有効であると思われる.
  • 杉山 浩
    1980 年5 巻4 号 p. 599-602
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    EDBはカイコ幼虫に対して2,000μg/g体重の局所塗布, 4,000ppm乳剤を処理した桑葉の添食あるいは全幼虫期を1,000ppm乳剤処理桑葉で飼育してもその生育, 営繭および産卵状態に有害な影響を示さなかった. しかしながら気密容器中でEDB蒸気の1時間暴露によっては死にいたる. すなわち2齢幼虫は10.4ppmで全死. 4齢幼虫は20.8ppmで全死, 10.4ppmで34%が生き残ったが上蔟することはできなかった. 5齢幼虫の場合は41.6ppm以上で全死した. 蛹は10.4ppm以上で全死した. 一方EDB暴露で生き残った蛹は正常に産卵し, 次代の卵のふ化率もまた正常な結果を示した. 卵色突然変異種 pere を用いての試験はEDBが化学的変異源であるとはいえないことが示唆された.
  • 石川 莞爾, 中村 安夫, 鍬塚 昭三
    1980 年5 巻4 号 p. 603-605
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    光照射および土壌中で除草剤ベンチオカーブから生成するベンチオカーブスルホキシドを薄層クロマトグラフおよび化学反応により同定確認した. ベンチオカーブスルホキシドは不安定な化合物で, シリカゲル薄層プレート上で一部が未同定の化合物に変化するが, その化合物はまたベンチオカーブスルホキシドに戻ることを認めた. ベンチオカーブスルホキシドは亜鉛-塩酸により, また紫外線照射によって, 容易にベンチオカーブに還元された. ベンチオカーブスルホキシドはベンチオカーブと同一のマススペクトルを与えた. これらの性質は, 合成したベンチオカーブスルホキシドでも同一の挙動を示した.
  • 中神 和人, 田中 治一, 山岡 剛, 辻野 泰宏
    1980 年5 巻4 号 p. 607-609
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病防除剤テクロフサラムを100ppm (有効成分) でイネに散布して, 葉溢液中の白葉枯病菌密度とテクロフサラム濃度を経時的に調査した. 散布イネから採取した葉溢液中の菌密度は, 葉の病斑拡大が抑制された時期には, 無散布イネのそれよりも明らかに低かった. テクロフサラムの濃度は, 葉の排水組織に付着したテクロフサラムが溶解したと推定される散布1日後の試料を除くと, 約0.1ppmあるいはそれ以下であった.
  • 本間 保男, 有本 裕, 見里 朝正
    1980 年5 巻4 号 p. 611-613
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The action of soybean lecithin on each stage of the life cycle of blast fungus (Pyricularia oryzae Cav.) was investigated by inoculation of spore suspension containing lecithin into scale tissues of onion bulb. Soybean lecithin completely inhibited the penetration of infection hyphae at a concentration of 5ppm, and sporulation was inhibited conspicuously at a concentration above 10ppm. The inhibitory effect on mycelial growth however, was very weak even at a concentration of 500ppm. While the inhibitory effect on the appressorial formation was observed at concentrations above 500ppm, and inhibition was complete at a concentration of 1, 000ppm, the inhibitory effect on conidial germination and hyphal growth was not recognized even at this latter concentration.
  • 永吉 営子, 野川 敬子, 志賀 直史, 俣野 修身, 後藤 真康
    1980 年5 巻4 号 p. 615-618
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    スイカ・トマト・ニンジン・玄米・稲わら中のメトキシフェノンをアセトンで抽出し, シリカゲルカラムおよび50%硝酸銀溶液+アルミナ (1+20) を重ねたフロリジルカラムクロマトグラフィーで精製したのち, 295nmを検出波長とする高速液体クロマトグラフィーで定量することを試みた. 検出限界はスイカ・トマト・ニンジン・玄米で0.005ppm, 稲わらで0.03ppm, 回収率は88%以上であった.
  • 桑野 栄一, 田中 淳二, 宮本 充彦, 貞包 真吾, 江藤 守総
    1980 年5 巻4 号 p. 619-621
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    種々の脂質低下剤およびその関連化合物を合成し, アズキゾウムシ (Callosobruchus chinensis) の卵に対する作用を検討した. 一般に, 脂質低下作用が報告されている化合物はかなりの殺卵作用を示した. Milkweed bug (Oncopeltus fasciatus) に対し毒性が報告されている clofibrate [ethyl α-(4-chlorophenoxy)-α-methylpropionate], はかなり強い殺卵作用を示したが, α-(4-chlorophenoxy)-α-methylpropionic acid の種々のアミド誘導体はまったく活性を示さなかった. 試験化合物中, 最も強い殺卵作用を示したのは ethyl 2,2,3-trimethyl-4-(4′-chlorophenyl)-3-butenoate であった.
  • 小野 成男, 遠山 典宏
    1980 年5 巻4 号 p. 623-626
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    リンゴおよびカンキツ中のベンゾメートを高速液体クロマトグラフィーで定量する方法を検討した. 試料中のベンゾメートはメタノールで抽出し, 液液分配および薄層クロマトグラフィーでクリンアップを行なったのち, 高速液体クロマトグラフで定量した. リンゴおよびミカンについてこの方法を試みた結果, 従来の比色法に比べて操作が簡便であることがわかった. 検出限界は0.04ppm, 0.5ppm添加の回収率は80%程度で, 十分に実用性のある方法と考えられた.
  • 吐山 豊秋
    1980 年5 巻4 号 p. 627-631
    発行日: 1980/11/20
    公開日: 2010/08/05
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