1)
14C-DDT, アルドリン, プロチオホス, イソチオエート, カルバリル, XMCの 1ppb 水溶液を調製し, グッピー, red snail, チカイエカ幼虫, ミジンコによるこれらの農薬の取り込みを比較した.
2) DDTの場合, グッピーと red snail とでは取り込み量にかなりの相違が認められた. また, グッピーでは取り込まれた放射能の大部分がDDTのままで存在したが, red snail ではDDDに, チカイエカ幼虫ではDDEに変換していた.
3) アルドリンでは
14Cの取り込み量はチカイエカ幼虫>グッピー>ミジンコ>red snail の順であった. また, ディルドリンへの変換は生物種により相違が認められ, グッピーでは時間の経過とともに大部分の
14Cがディルドリンに変換されるのに対し, ミジンコでは
14Cは親化合物の形態で検出された.
4) プロチオホスはミジンコを除いて生物体内で水溶性物質への代謝が顕著であり, 水溶液からの取り込みは多くても親化合物の形態での残存量は小さかった.
5) イソチオエートの取りこみはプロチオホスよりもさらに小さく, また, いずれの生物からも親化合物は検出されなかった.
6) カルバリルとXMCの場合, 取り込まれた放射能の大部分は水溶性または不溶性分画に分布し, 親化合物としての存在量はわずかであった.
7) 生物による水からの農薬の取り込み量は生物種や化合物によりかなりの相違があることが認められた. また, 食物連鎖を通しての取り込みと水からの直接の取り込みとの間には必ずしも相関はなく, 生物種と化合物により食物連鎖による取り込みの寄与の程度に差が認められた.
おわりに, メチル-
14C-標識-イソチオエートを提供いただいた日本農薬株式会社, および, チカイエカを提供いただいた日本特殊農薬製造株式会社に謝意を表する.
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