Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
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ISSN-L : 0385-1559
8 巻, 4 号
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  • 鈴木 隆之
    1983 年 8 巻 4 号 p. 419-428
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium sp. の洗浄菌とPCPを無機塩溶液中で培養すると, 培養液中にすでに報告した pentachloroanisole (PCA) と tetrachloro-1,4-dimethoxybenzene (TCHD) のほかに, 新たに代謝物として tetrachlorocatechol (TCC), tetrachlorohydroquinone (TCHQ), tetrachloro-2-methoxyphenol (TCCM), tetrachloro-4-methoxyphenol (TCHM), および tetrachloro-1,2-dimethoxybenzene (TCCD) の生成を確認した. この洗浄菌によってTCHQはTCHMを経てTCHDに変化し, TCCはTCCMを経てTCCDに変わることを確かめた. これらの結果から, PCPは Mycobacterium sp. によっておもにメチル化されるが, 同時に一部はオルトあるいはパラ位の水酸化とそれに次ぐ段階的メチル化を受けて代謝される経路を提示した. この代謝におけるメチル化の最大速度はpH 6.5と7.0の間に認められたが, 水酸化はpH 6.0以下に最大速度を示した. また, 培養液中への栄養物質の添加はメチル化の速度を著しく増大させ, このような条件下ではPCAのみしか検出されず, 水酸化による代謝物は認められなかった. PCAの Mycobacterium sp. と稲の発芽種子に対する毒性を調べたが, PCPに比べ著しく低かった.
  • N-Benzylbutanamides の除草活性 (第5報)
    桐野 修, 鈴木 幸雄, 柳 和則, 曽我部 明海, 美濃部 正夫
    1983 年 8 巻 4 号 p. 429-436
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    光学活性 N-benzylbutanamide を合成し, Scirpus juncoidesEchinochloa crus-galli に対する除草活性をバイアル試験にて測定した. N-(1′-methyl-1′-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (S-47) と (2R,1′S)-(-)-N-(1′-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (S-44) の結晶構造は, X線解析により滑らかな形をしていることがわかった. また, (-)-2-bromo-3,3-dimethylbutanoic acid の絶対立体配置はRと決定された. S-47の (R)-(+) 異性体は (S)-(-) 異性体に比べ, 感受性の高い S. juncoides に対しては約10倍活性が高かったが, 感受性のより低い E. crus-galli に対しては活性差は小さかった. S-44では, 酸部位がR-配置かつアミン部位がS-配置であることが高活性に必要であった.
  • 山田 忠男, 鈴木 隆之
    1983 年 8 巻 4 号 p. 437-443
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    稲わらと米粒を多量に混入した水田試験区に, ベンチオカーブを多量に散布すると, 約1ヵ月後, 土壌中に脱塩素ベンチオカーブを生成し, 水稲に媛化症状を呈した. この試験区にベンチオカーブと同時に施用されていたCNPの還元的脱塩素物質生成状況を明らかにするため, 土壌を熱アルカリ処理し, CNP-アミノ体とその脱塩素アミノ体を抽出し, TFA化してGCおよびGC-MSにより同定・定量した. すなわち, 本実験では, CNPを含む一群の残留物質を, ともにアミノ体としてまとめて抽出し分析した.
    これらの方法により, 2,6-dichlorophenyl-アミノ体が, CNP施用後34日以降に検出され, その最高値は乾土当り1.50ppmであった. つづいて, 2-chlorophenyl-アミノ体と phenyl-アミノ体も少量ずつ検出された. しかし, 2,4-dichlorophenyl-アミノ体と 4-chlorophenyl-アミノ体は痕跡量以上には検出されなかった. これらの結果から, この土壌では, trichlorophenyl 基のパラ位の塩素の置換で始まる還元的脱塩素経路が働いたことが確認された. 土壌中におけるCNPの脱塩素は, ベンチオカーブの脱塩素よりも, 生成時期がややおそく, 生成物は安定であると認められた.
  • 駒井 功一郎, 岩村 淳一
    1983 年 8 巻 4 号 p. 445-450
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ステビオール配糖体であるステビオシド, レバウデオシドB, ステビオシドA3, ズルコシドAおよびレバウデオシドCを供試して, イネおよびレタス幼苗に対する活性を検討した. イネ矮性種, 短銀坊主の幼苗根部に100μMを処理することで, 供試した6配糖体はいずれも葉鞘の伸長を促進した. しかし普通種, 日本晴に対しては伸長促進活性は認められなかった. またイネ幼苗の子葉鞘に供試成分を滴下した場合でも, 短銀坊主では活性が認められた. 一方, レタス幼苗に処理した場合でも, 胚軸ならびに幼根の伸長を促進した. しかしその活性はアグリコンであるステビオールより低かった. これらの結果は処理した植物体中で, シベレリン様物質への転換を示唆するものと考えられる.
  • 磯部 直彦, 松尾 昌季, 宮本 純之
    1983 年 8 巻 4 号 p. 451-465
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(1-Methyl-1-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (bromobutide) のカルボニル基またはフェニル基14C標識体を5mg/kgの割合で雌雄ラットに1回経口投与すると, いずれの場合も14Cは速やかかつほぼ完全に糞尿中に排泄された. 投与後7日目の組織器官中の14C残留量は1g組織当り雄で0.11μg, 雌で0.07μg bromobutide 相当量以下であった. 糞尿中の代謝物のうち, フェニル基の水酸化は投与14Cの32~40%, t-ブチル基の酸化は58~63%, 脱ブロム化は50%以上の代謝物が受けており, グルクロン酸抱合化とともにこれらの代謝が主要であることが判明した. アミン側メチル基の水酸化物は少なく, アミドの水解物や硫酸あるいはアミノ酸抱合体は糞尿中に検出されなかった. 雄ラットに高用量 (125mg/kg) の [carbonyl-14C] bromobutide を投与すると酸化をほとんど受けない代謝物が低用量 (5mg/kg) 投与時より多く排泄されたが代謝物の種類は同様であった.
  • メプロニルの作物・土壌残留に関する研究 (第1報)
    浅野 譲, 石川 莞爾
    1983 年 8 巻 4 号 p. 467-474
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺菌剤 mepronil の微量分析を行なうため臭素化, TFA化ならびにPFB化の3種類の誘導体化を比較検討した. 簡便な操作による臭素化が他の反応より優れていることを認めた. 臭素化生成物は安定でしかもECDに高感度の dibromomepronil であった. 臭素化液はベンゼン: メタノール混合液 (99:1, v/v) に2%の臭素を溶かしたもので, mepronil との反応性が非常によく, 反応は氷冷下でも30分以内に定量的に進行した. 臭素化剤の組成, 反応条件は従来の条件に比べて簡便であるうえ, mepronil の類縁化合物, また, ベンゼン環をもつ他の農薬の多くも容易に臭素化できた. 生成物中の置換臭素は, mepronil 類縁体では2原子, また, ベンゼン環をもつ他の農薬では1原子が多く, 化合物により異なった. 以上のほか, mepronil の酸およびアルカリによる加水分解を行ない, mepronil が非常に安定であることを認めた.
  • メプロニルの作物・土壌残留に関する研究 (第2報)
    浅野 譲, 大石 利治, 安間 勝男, 阿部 洋, 石川 莞爾
    1983 年 8 巻 4 号 p. 475-482
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ECD-GCによる土壌中の mepronil の高感度分析法を確立した. 方法は加熱抽出, 液々分配, 臭素化, シリカカラムクロマトグラフィーおよび定量の操作より成り立っている. mepronil 処理後湛水状態もしくは畑地状態で2ヵ月以上の長期間経過した試料により抽出条件を検討し, 抽出溶媒としてはメタノールおよび12N KOHの混合液 (3+1) がもっとも抽出効率がよく, さらに加熱することにより効率が増加することを認めた. 数種類の土壌について回収率を求めたところ, 水田土壌では添加量の90%以上, また, 畑地土壌では同じく80%以上回収された.
  • 村上 信義, 内田 又左衛門, 藪谷 邦宏, 岡田 道則, 相澤 宏保
    1983 年 8 巻 4 号 p. 483-491
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ラットに経口投与した [アニリン環-14C] flutolanil (20あるいは100mg/kg) の放射能は速やかに尿および糞中に排泄され, 呼気中CO2には検出されなかった. 血中放射能濃度は2時間後に最高値 (それぞれ4.2あるいは12.5μg 14C-flutolanil 当量/ml) に達し, その後速やかに減少した. 14C-flutolanil (20mg/kg) 投与72時間後には, いずれの組織および器官にも高い放射能の残存はなかった. 24時間までに得られた尿および糞中にそれぞれ投与量の2.3および1.2%の flutolanil が検出されたが, 多くは代謝物としてであり, 尿中に抱合型, 糞中に遊離型として排泄されていた. 代謝物として, 3′-(1-hydroxycarbonylethoxy)-2-(trifluoromethyl)benzanilide (3), 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (4), 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (5), 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (8) およびそれらの抱合体 (glucuronide あるいは sulfate) が同定された. 主代謝物は5であり, 遊離型および抱合型を合わせると, 投与量の57% (尿中に51%, 糞中に6.5%) を占めていた. 胆汁中には24時間で20%の5が, おもに (90%以上) 抱合体の形で排泄されていた. 胆汁への5の抱合体の分泌量は糞中への排泄量を上回っており, 胆汁中抱合代謝物は腸内で脱抱合化され, 再吸収されることが示唆された. flutolanil のラットにおける代謝は, おもに脱-O-アルキル化あるいはアニリン環の水酸化を経て, 生成するフェノール類の抱合によるものであり, ベンゾイル環の水酸化あるいはアニリド結合の加水分解はみられなかった.
  • N-Benzylbutanamides の除草活性 (第6報)
    橋本 俊一, 桐野 修, 古沢 久仁彦, 大塩 裕陸
    1983 年 8 巻 4 号 p. 493-498
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(α,α-dimethylbenzyl)butanamide 4種の殺草スペクトラム, 処理部位の効果, 土壌移行性などの除草性を調べた. また, 光学活性N-(α,α-dimethylbenzyl)butanamides のハマスゲ (Cyperus rotundus) に対する除草活性をポット試験により求めた. その結果, N-(1-methyl-1-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (S-47)は, 土壌混和処理法によるポット試験で, ハマスゲ, キハマスゲ, ノビエ, トウモロコシ, 大豆, 棉の生育を抑制する広い殺草スペクトラムを示した. S-47の p-methyl 誘導体と N-(1-methyl-1-phenylethyl)-2-ethyl-3,3-dimethylbutanamide (PEB) は, ハマスゲに対してのみ強い除草活性を有し, 作物にはまったく薬害を示さなかった. 全化合物とも土壌移行性はかなり大きかった. またd-異性体の活性はl-異性体より高く, PEBの p-methyl 誘導体のd-異性体が最も高い活性を有することが示された.
  • 抗植物ウイルス剤に関する研究 (第1報)
    中島 哲男, 寺岡 徹, 重松 太一郎, 春日井 啓之
    1983 年 8 巻 4 号 p. 499-503
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    界面活性剤, カチオンポリマー, アニオンポリマーのTMV感染阻止効果を前処理法により Xanthi-nc 上で検討した. 界面活性剤のなかでは, AOSが阻止効果が高く薬害を示さずに, TMV感染阻止剤としてすぐれた性質を示した. アニオンポリマーのなかでは, アルギン酸ナトリウムよりも高い活性を示す化合物はなかった. カチオンポリマーのなかでは, MOEA・TMCが, 薬害がなく, 活性も高く, TMV感染阻止剤としてすぐれ, 土壌接種法による Bright Yellow でのTMV感染阻止効果も高かった. これらのことから, カチオン四級アンモニウムポリマーの抗植物ウイルス剤としての可能性が示唆された.
  • 抗植物ウイルス剤に関する研究 (第2報)
    中島 哲男, 織田 雅次, 寺岡 徹, 重松 太一郎
    1983 年 8 巻 4 号 p. 505-511
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カチオン四級アンモニウムポリマーのポリ (メタクリルオキシアルキルアンモニウム) およびポリ (ジアリルアンモニウム) のTMV感染阻止効果を, 前処理法, 混合接種法, 土壌接種法により検討した.
    ポリ (メタクリルオキシアルキルアンモニウム) のなかではポリ (3-メタクリルオキシ-2-メチルプロピル-2-トリメチルアンモニウムメチルサルフェート) (MOBA・TMMS) が, ポリ (ジアリルアンモニウム) のなかではジメチルジアリルアンモニウムクロライド (MAA) と(3-クロロ-2-ヒドロキシ) プロピルジアリルアミノ塩酸塩 (PAA) との仕込みモル比6:1の環化重合物 (CMPA) が, 最も高い活性を示した. それらの全身感染タバコに対する効果では, CMPAが最も活性が高く, MOBA・TMMSがそれに次いだ.
    CMPAとアルギン酸ナトリウムを供試して, TMV感染阻止作用の比較を行なった. TMV粒子に対する凝集力や混合接種法による試験では, CMPAがすぐれた効果を示したが, 前処理法による試験では, 両ポリマーともほぼ同等の効果を示した. これらのことから, カチオン四級アンモニウムポリマーは, アニオンポリマーとTMV感染阻止の機構が異なり, ウイルス粒子表面へ吸着することにより, 抗TMV活性を発現させていると考えられる.
  • 早瀬 善男, 高橋 哲也
    1983 年 8 巻 4 号 p. 513-517
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イソウロンは蒸留水中では光に安定であるが, 増感剤としてアセトンを添加すると, 速やかに分解され, 3-(5-tert-butylisoxazolyl)-1-formyl-1-methylurea (I) と3-(5-tert-butylisoxazolyl)-methylurea (III) を生成した. なお, Iは遮光条件においても容易にIIIに加水分解されるので, IIIの生成経路のひとつとしてIの経由が考えられる. 一方, イソウロンの光照射溶液中にHCHOが副生していることを, ジメドン添加によるメチレンビスジメドンの単離によって確認した. HCHOの副生は不安定な3-(5-tert-butylisoxazolyl)-1-hydroxymethyl-1-methylurea (II) の脱ホルミル化によるものと考えられるので, IIIの第2の生成経路としてIIの経由が考えられた.
  • Paul N. P. CHOW, Alex W. MacGregor
    1983 年 8 巻 4 号 p. 519-527
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Sethoxydim (0.1kg/ha) に共力剤として硫安および非イオン界面活性剤を加え, 野生エンバクの防除効果を検討した. その結果硫安または界面活性剤 (Atplus 411F, または Citowett Plus) をそれぞれ単独で加えたときよりも, 両剤を同時に加えたときに殺草力が増加した. 5種のアンモニウム化合物と6種の硫酸イオン化合物を散布溶液に0.04Mを添加した試験では, 硫安と界面活性剤の同時混合が最も有効で, アンモニウムチオシアネート混合に比べて明らかに有効であった. Sethoxydim の散布溶液は酸性側 (pH 4またはpH 6) で活性が高く, アルカリ性 (pH 8) で劣ったが, 硫安および Atplus 411Fを加用することによって, pHによる効果の変動はなかった. Sethoxydim (0.1kg/ha) 溶液に高濃度 (0.5~2.5%) の硫安を加えると野生エンバクの殺草力は減少するが, Renex-36を0.1~2.5%加えることによって殺草効果が回復した. 全試験を通じて野生エンバクの防除効果は, Sethoxydim 0.1kg/haの散布溶液に硫安0.5%, Renex-36 0.5%の加用が最高であった. Sethoxydim の浸透試験をトウモロコシ葉切片により行なったところ, これら添加剤の加用によって明らかに浸透促進効果を示した. Sethoxydim の散布溶液に硫安および界面活性剤を添加することによって, 野生エンバク葉面の epicuticular wax の付着が変化することが判明した.
  • 内田 又左衛門, 大堀 祐司, 杉本 達芳, 相澤 宏保
    1983 年 8 巻 4 号 p. 529-535
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    [Aniline 環-14C(U)] フルトラニルの火山灰 (栃木) および沖積 (埼玉および岡山) 土壌における分解を調べた. フルトラニルは土壌中では比較的安定で, その半減期は160~320日と推定された. 湛水条件下での減少が畑地条件下よりも速やかであった. また, 有機物含量の高い栃木土壌での減衰が最も速かった. 分解生成物は14CO2 (添加14Cの3~7%) と結合型残留物 (同 9~29%) を除けば, いずれも少量であった. 湛水条件では 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide, 3′-(hydroxymethyl)ethoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide および 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide が検出同定された. さらに畑地条件では, 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide と 3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide の生成も認められた.
  • 内田 又左衛門, 小川 邦彦, 杉本 達芳, 相澤 宏保
    1983 年 8 巻 4 号 p. 537-544
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水面施用した [aniline 環-14C] flutolanil はイネによく吸収され, 27日後に葉身中の放射能は最高濃度 (93.7ppm 14C-flutolanil 相当) に達した. その後, 緩やかに減少し, 81日後では83.0ppm相当となった. 玄米中への移行はわずか (0.5ppm相当) であった. イネにおける代謝は比較的速く, 9日目以降の葉身中放射能は大半が抽出性あるいは結合性の代謝物に帰属できた. イネからは, 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (2), 3′-(hydroxymethyl)ethoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (3), 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide (4), 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (6), 3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide (7) および2, 3, 4, 6の抱合体が得られた. キュウリの葉面に塗布した 14C-flutolanil は13日後でも70%以上が表面から回収された. しかし, わずかながらイネと同じ代謝物が検出できた.
  • 山口 勇, 関戸 茂子, 瀬戸 治男, 見里 朝正
    1983 年 8 巻 4 号 p. 545-550
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トリシクラゾール, CGA 49104などの非殺菌性抗いもち剤は, いもち病菌のメラニン生合成を阻害し, 中間体シタロンやその代謝物2-ヒドロキシジュグロン (2-HJ) を蓄積させるが, これらの蓄積物質をいもち病菌のスフェロプラストに処理すると, とくに2-HJにおいてスフェロプラストからのコロニー形成阻害が顕著に認められた. 2-HJは, スフェロプラストの呼吸系および生体高分子の生合成を阻害し, また14C-グルコース, ウリジン, フェニルアラニンの細胞内への取込みを著しく抑制した. 一方, CGA 49104は, いずれの系に対しても阻害作用がまったく認められなかった. これらのことから, CGA 49104などの非殺菌性抗いもち剤によって, いもち病菌が, とくに感染母体である付着器のようなメラニン合成の活発な器官において細胞毒性を有する二次代謝物を生成または蓄積することが, 同菌自身の感染機能の喪失に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
  • 磯部 直彦, 松尾 昌季, 宮本 純之
    1983 年 8 巻 4 号 p. 551-559
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(1-Methyl-1-phenylethyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutanamide (bromobutide) のマウスにおける代謝を検討し, ラットの結果と比較した. カルボニル基炭素標識 bromobutide を5mg/kgの割合でマウスに1回経口投与すると14Cは速やかに尿および糞中に排泄された. 排泄速度はラットに比べ速く, 尿への排泄が多い (70%) 点でラットと異なっていた. 投与後7日目の組織残留14C量は1g組織当りいずれの組織においても0.1μg bromobutide 相当量以下でラットより少なかった. おもな初期代謝はマウスでは芳香環水酸化, ラットではω-水酸化と芳香環水酸化であった. Bromobutide の水酸化物のグルクロン酸抱合体はラットおよびマウスの主要代謝物で, ラットでは胆汁, マウスでは尿中に多く排泄された. この種差は, 胆汁排泄の分子選択性の差によると考えられた. ラットは胆汁排泄代謝物を腸肝循環し, この間にさらに酸化や脱ブロム化を行なった. Bromobutide のラットにおける主要な初期代謝は酸化であったが, 約12.4%はまず脱ブロム化を受けると推定できた.
  • 風野 光, 小山 正一, SUTRISNO
    1983 年 8 巻 4 号 p. 561-565
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    プロパホスはツマグロヨコパイには殺虫力を示すがハスモンヨトウに対して殺虫力をもたない. プロパホスは両者の昆虫により代謝されるが, ツマグロヨコバイでは代謝物としてプロパホススルポキシドとプロパホススルホンがおもに生成し, ハスモンヨトウではこれらのプロパホス酸化体の生成は少なく, 分解物である 4-methylsulfinylphenol と 4-methylsulfonylphenol また水溶性代謝物の生成量が多かった. プロパホスの in vitro におけるアセチルコリンエステラーゼ (AChE) に対する阻害力は弱いが, 酸化体は両者昆虫体ホモジネートのAChEに対して阻害力を示した. また, プロパホスを局所施用した昆虫のAChE活性を測定したところ, ツマグロヨコバイでは施用4時間後から顕著な活性の低下が認められたが, ハスモンヨトウのAChE活性には薬剤を施用した昆虫と無処理の昆虫との間に活性の差が認められなかった. 以上の結果から, プロパホスのこれら2種の昆虫間における殺虫選択性は薬剤代謝の相違に基づくものと考えられた.
  • 前田 尚良, 川島 操子, 堀出 文男, 辻 孝三
    1983 年 8 巻 4 号 p. 567-574
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    サリチオンは加熱により転位して2種類の異性体, S-メチル体とS-ベンジル体に変化した. 異性体はさらに熱分解して, それぞれの対応するスルフィドを生成する. ジメチルスルフィドのガス発生開始温度は, スミチオンの場合よりも低温度側にあった. 密閉系でのサリチオンの熱分解は自動触媒的に進行した. これは, 生成したスルフィド―とくにジメチル・スルフィド―が異性化を促進するためであると考えられた. サリチオンの熱安定化方法を検討し, 安定化の機構についても考察した. i)サリチオンの保存には, 気体透過性のある紙袋や, ポリエチレン袋が好ましい. ii)β-シクロデキストリンへの包接化や, iii)β-ナフチルアリルアミンの添加は, 安定化に効果があった.
  • 高野 仁孝, 小栗 幸男, 加藤 寿郎
    1983 年 8 巻 4 号 p. 575-582
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    S-3308の抗菌作用機作について, トウモロコシ裸黒穂病菌 (Ustilago maydis) を用いて検討した. 本菌を液体培地で振とう培養すると小生子の状態で増殖するが, S-3308 (2ppm) 含有培地で培養すると小生子数および菌体乾重の増加は強く抑制され, 分岐やくびれなどの特有の形態変化が認められた. これらの形態異常は, 本菌にトリアリモールを処理したときのものと酷似していた. ところで本剤は, タンパク質および核酸の生合成にはほとんど影響を与えなかったが, 100ppm処理によって呼吸阻害を引き起こした. しかし本剤の抗菌活性は, 呼吸阻害が認められない低濃度区においても認められたことから, 呼吸阻害作用のみで本剤の抗菌性を説明することは困難と考えられた. 一方本剤は, 2ppmで本菌のエルゴステロール生合成を強く阻害した. すなわち, 本剤処理によってエルゴステロールの相対量が低下し, その前駆体で14位にメチル基を有する24-メチレンジヒドロラノステロール, 14α-メチル-Δ8,24(28)-エルゴスタジエノールおよびオブツシホリオールの蓄積が認められた. また, 14C-アセテートの脂質画分への取込み実験においても, 同様の結果が得られたことから, 本剤の抗菌活性は, エルゴステロール生合成系における14位の脱メチル化反応の阻害に起因するものと考えられた.
  • 環状イミド化合物の生物活性 (第7報)
    高山 千代蔵, 今城 春生, 桐野 修, 宮下 芳勝, 佐々木 慎一
    1983 年 8 巻 4 号 p. 583-586
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    前報にて, ナシ黒斑病菌 (Alternaria kikuchiana) に対する1-acyl-3-(3,5-dichlorophenyl)-2,4-imidazolidinediones の抗菌活性に及ぼすアシル部分の置換基の物理化学的効果を,π(疎水性),σ*(電子的効果), Ecs (立体的効果) および3級置換基に対して1その他の置換基に対して0をとるダミー変数#3°を用いて解析した. 最近, この構造活性相関について, さらに研究を進めた. その結果, ダミー変数#3°の代りに, 置換基の結合軸に直角な方向における最小幅を表わす STERIMOL パラメータB1を用いることにより, 相関性をさらに改善することができた. 得られた相関式中のB1項に基づいて, 置換基の最小幅が小さくなるほど, 活性が大きくなることが明らかになった. これは, アシル残基がはまり込む標的上の仮想的な穴が特定の一方向においてかなり狭いという, 前報にて示唆された知見を支持する.
  • 遠藤 正造, 升田 武夫
    1983 年 8 巻 4 号 p. 587-590
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Concentrations of cartap and monocrotophos in rice plants treated with granular formulations at different growth stages were measured, and toxicity of each insecticide, applied to rice plants by root dipping method, to rice leafroller larvae was evaluated. Cartap concentrations in the leaf blades of rice plants at the boot stage and the panicle formation stage reached a maximum of 3.2 and 2.1ppm 3 days after application, respectively, while the concentration of the maximum tillerring stage reached a maximum of 0.94ppm 15 days after application. Concentrations of monocrotophos in the leaf blades of the three stages reached a maximum of 1.4, 2.3 and 2.1ppm 3 days after application, respectively. LC50 values were calculated from mortality and insecticide concentration in the leaf blades, and LC50 (24hr) values in 1st, 3rd and 5th instar larvae for cartap were 0.68, 1.4 and 5.6ppm, and those for monocrotophos 0.60, 1.2 and 4.0ppm, respectively. Periods of exceeding LC50 (24hr) levels for 1st instar larvae of cartap and monocrotophos in the leaf blades were 27 and 10 days at the boot stage, 25 and 9 days at the panicle formation stage and 21 and 11 days at the maximum tillerring stage, respectively.
  • ハスモンヨトウ幼虫における摂食阻害物質の作用機構 (第5報)
    Alice Girgis ANTONIOUS, 斎藤 哲夫, 宮田 正
    1983 年 8 巻 4 号 p. 591-593
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-アセチルコリンを用いて測定したハスモンヨトウ5齢幼虫頭部のアセチルコリンエステラーゼ (AChE) に対するクロルジメホルムとクレロディンの in vitro 阻害は認められなかった. リーフディスク法でこれら摂食阻害物質を投与された幼虫でもAChEの阻害作用は認められなかった. この昆虫の頭部の磨砕液のモノアミンオキシダーゼ (MAO) 活性は認められなかった. これらのことから, これら摂食阻害物質の昆虫に対する作用にAChEおよびMAOは関与'していないものと考えられる.
  • Virapong NOPPUN, 宮田 正, 斎藤 哲夫
    1983 年 8 巻 4 号 p. 595-599
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    4種有機リン殺虫剤, 2種カーバメート殺虫剤, カルタップおよびフェンバレレートを用い, コナガ4系統の薬剤感受性を局所施用法により調べた. 殺虫剤抵抗性2系統では3種 (フェンソエート, プロチオフォス, サイアノフォス) の有機リン殺虫剤に高度の抵抗性を, 2種 (アセフェート, メソミル) のカーバメート剤とカルタップに中程度の抵抗性を示した. しかし, ジクロルボスとフェンバレレートには抵抗性を示さなかった.
  • 尾添 嘉久, 持田 和男, 中村 利家, 清水 淳, 江藤 守総
    1983 年 8 巻 4 号 p. 601-605
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    27種類のBPのイエパエに対する殺虫活性を調べ, マウスに対する毒性と比較した. 殺虫活性は哺乳類毒性に比べ, かなり弱かったが, 3位および4位置換基の両活性に及ぼす効果が異なっていた. このことは作用点の標構造/性質の差異を反映している可能性もあり, 作用点探索のためのプローブとしてのBPの有用性を示唆している.
  • 陳 玉麟, 呉 天基, 葉 鴻展, 王 一雄
    1983 年 8 巻 4 号 p. 607-611
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    温室においてサトウキビを25週間栽培し, 14Cで標識したイソウロンの本植物による吸収および転移を調べた結果, イソウロンの土壌中よりの吸収は初めの7週間において速やかに行なわれ, 各部位の比放射能 (cpm/g・dry wt) は4~7週間において最高を示した. 大部分の活性は2週間後には葉部に転移し, 主として若葉に集積したが, 後期においては老葉のほうが多かった. 7週間以内の葉部を用いてMeOH-H2Oで抽出した結果, 可溶部は97.7~94.4%を占め, これらのうちCH2Cl2可溶部は時間の経過に伴い減少し73.4から26.3%を示したが, これに反し水溶部は24.6から69.4%と増加した. 水溶部を加水分解後さらにCH2Cl2で抽出される部分が5.4から17.7%あったことから, 一部分の代謝物が抱合体として存在していることを示唆した.
  • 宮本 徹, 戸枝 一喜, 山本 出
    1983 年 8 巻 4 号 p. 613-617
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    S-(4-Chlorophenyl) diethyl phosphorodithioate のラット肝ミクロゾーム酸化酵素系による代謝で, オキソン体のほか, S-(4-Chlorophenyl) S-ethyl ethyl phosphorodithiolate と 4-chlorophenyl diethoxyphosphinyl disulfide を特別な分析操作で見いだした. 本法では, 不安定なホスフィニルジスルフィドをジアゾメタンついでUV処理で安定な誘導体にして分析している. これにより, S-アルキル異性体やホスフィニルジスルフィド体が含イオウ有機リン農薬の活性代謝物となる可能性が示された.
  • 森 秀樹, Gary M. WILLIAMS
    1983 年 8 巻 4 号 p. 619-625
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Many organochlorine pesticides exert a specific carcinogenic effect on rodent liver, particularly in strains with a high spontaneous background of liver neoplasms. None have been demonstrated to be genotoxic. In contrast, DDT is a liver neoplasm promoter and recently several have been found to inhibit intercellular communication, a property associated with neoplasm promoters. Therefore, it is proposed that these agents produce their liver carcinogenicity through an epigenetic mechanism involving neoplasm promotion. A number of considerations indicate that the hazards of epigenetic carcinogenic agents are distinct from genotoxic carcinogens. Accordingly, the organochlorine pesticides are suggested not to represent a human cancer risk at low levels of exposure.
  • 山本 出
    1983 年 8 巻 4 号 p. 627-633
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 関根 文三
    1983 年 8 巻 4 号 p. 635-636
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 細辻 豊二, 大沢 貫寿
    1983 年 8 巻 4 号 p. 637
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 大山 廣志
    1983 年 8 巻 4 号 p. 638-641
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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