Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
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ISSN-L : 0385-1559
7 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 浅香 四郎, 伊沢 岳男
    1982 年7 巻4 号 p. 451-455
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2種の異なった土壌を用い, 湛水および畑地条件下でMCPBエチルを施用した場合, その土壌巾の消長を検討した結果, 湛水, 畑地条件にかかわらず, この化合物は速やかに加水分解されMCPBを生成した. 生成したMCPBは側鎖をβ-酸七されMCPに変化した. またオートクレープ滅菌した土壌にMCPBエチルを施用した場合には, 湛水, 畑地条件の各土壌とも施用後28日を経過しても72%以上のMCPBエチルを残留し, β-酸化のみならず加水分解も土壌微生物が大きく関与していることを示した. MCPBエチルを施用した場合の湛水, 畑地両条件下のMCPBエチル, MCBPおよびMCPの合計値の推定半減期は, 湛水条件の水田土壌で約2日 (栃木土壌)~7日 (埼玉土壌). 畑地条件で約3日 (栃木土壌)~4日 (神奈川土壌) と判定された.
  • 橋本 康, 大久保 英次, 伊藤 時夫, 山口 元吉, 田中 幸子
    1982 年7 巻4 号 p. 457-461
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    8種類の農薬に対するコイの感受性の変化を, 発眼卵から約5cmに成長する間, 調べた. 有機りん殺虫剤あるいは殺菌剤 trichlorfon, fenitrothion, Phenthoate, diazinon, IBP及びPCP除草剤に対する感受性は, 著しい変化はなく, 卵膜も, これら農薬の滲透に対し効果的な障壁となっていないことがわかった. しかし, chlornitrofen 除草剤と endosulfan 殺虫剤に対する感受性は, 発眼卵の時は低く, 成長初期は高くなったが, その後は, 再び低下した. これらの結果と既存の文献から, コイの成長に伴う農薬に対する感受性の変化の型は, マガモの場合と同様に, 農薬の化学構造あるいは作用機構により分類できるのではないか, と推察された.
  • 高瀬 巌, 小山 寛史, 上山 功夫
    1982 年7 巻4 号 p. 463-471
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    プロチオホスの紫外線および太陽光による分解性をglc GC-MSで検討した. 水溶液とヘキサン溶液のプロチオホスは紫外線照射によって速やかに分解し, glcで12種類以上の分解物が検出され, そのうち10種類が同定された. 光分解過程はフェニル基の2位の塩素の脱離, P=SのP=Oへの酸化的脱硫化, P-O-アリル, P-S-アルキル結合の開裂とそれらに続くフェノール類の遊離であった. ヘキサン溶液において, 2位の塩素の脱離, P-S結合の開裂に伴い, ホスホラン化合物, 5-chloro-2-ethoxy-1, 3, 2-benzoxathiaphosphole 2-sulfide の生成がGC-MS, GC-millimass によって確認された. 紫外線照射と太陽光線によるプロチオホスの光分解物の相違は認められなかった.
  • 高瀬 巌, 小山 寛史, 藤下 章男
    1982 年7 巻4 号 p. 473-480
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    mesulfenfos の樹幹注入または disulfoton の土壌混和の単木処理によるマツノザイセンチュウの防除効果と施用方法や時期別による樹体内の吸収・移行および分布との関係を検討して, つぎの結果を得た.
    (1) mesulfenfos を樹幹注入または disulfoton を土壌混和処理すると, 薬剤は松の樹体内に吸収移行して優れた枯損防止効果を示した. マツノザイセンチュウの防除効果と薬剤の吸収量との間には相関性が認められた.
    (2) mesulfenfos を樹幹注入すると, 注入点から上方1mでは, 注入部位にのみ薬剤は検出されたが, 高さ5~7mでは樹体内に均等に分布していた. そして, 木部の中心部より薬剤はおもに検出されたことから, 樹幹に直接注入すれば, 蒸散流に乗って上昇, 移動する垂直移行分布が認められた.
    (3) 11月から3月に薬剤を樹幹注入または土壌処理したとき, 6月の分析時に土壌処理でやや吸収量の差はあったが, 9~12月の樹体内の吸収量は変わらず, いずれの処理時期でも効果が認められた. マツノザイセンチュウの活動期間に薬剤を松に保持させて優れた防除効果を発揮させるには, 樹幹注入は5月まで,土壌処理は3月までに処理すればよい.
    (4) 土壌処理した disulfoton は比較的幹基部に多いものの, 上方の幹部や枝部にも吸収移行しており, 垂直分布が認められた. おもに木部 (外側) に多いが, 篩部からも検出されたことから, 松の根系から吸収され, 蒸散流はおもに木部の辺材と節部であることが示唆された.
    (5) 樹体内から検出された化合物は樹幹注入では mesulfenfos 自身であったが, 土壌処理では酸化体の disulfoton sulfone と sulfoxide が主であった. 土壌処理した disulfoton は土壌内で酸化されて, 酸化生成物が根から吸収移行した.
  • 小野 成男
    1982 年7 巻4 号 p. 481-485
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Application of derivative spectrophotometry to residue analysis of thiophanate-methyl [dimethyl 4, 4′-o-phenylene-bis (3-thioallophanate)] (TM) was investigated. The results showed that derivative spectrophotometry was more suitable than ultraviolet spectrophotometry and high performance liquid chromatography which were already published. TM and its degraded product, 2-methyl benzeimidazoyle carbamate (MBC), were extracted together with methanol from crop and soil and transferred into methylene chloride. After evaporating the solvent, TM was converted to MBC by refluxing with copper acetate in 50% aqueous acetic acid. After liquid-liquid separation, 4th derivative spectrum of MBC in 1N hydrochloric acid was recorded by a Hitachi spectrophotometer type 330. The amount of MBC was proportional to the difference absorbance (ΔA=A281-A285) within the range of 0-0.5ppm. The detection limit of TM was 0.008ppm when 100g of sample was used. Recoveries of TM were 80% in crop and 87% in soil, respectively.
  • 今井 康史, 鍬塚 昭三
    1982 年7 巻4 号 p. 487-497
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    モリネートの土壌中における分解経路と土壌条件による分解の相違について室内実験で3種類の水田土壌と, アゼピン環ないしはS-エチル基をラベルしたモリネートおよび無標識化合物を用い研究した. 畑地状態と湛水状態で分解を比較したところ, 土壌間差が顕著であるが, いずれの土壌でも畑地状態の方が分解速度および14CO2発生量が大きかった. また滅菌土壌ではモリネートの消失速度は著しく小さかった. 分解物として, これまですでに報告のあるスルポキシド, アゼピン環-4-OH体および4-オキソ体, S-カルボキシルメチル体およびヘキサメチレンイミンが認められ, 今回新たにアゼピン環-2-オキソ体, S-2-OH-エチル体およびエタンスルホン酸が認められた. 分解経路として, 1) イオウ原子の酸化, 2) アゼピン環の酸化, 3) S-エチル基の酸化, 4), 5) 加水分解によりヘキサメチレンイミンないしエタンスルホン酸を生ずる経路が想定され, 畑地状態では2) が, 湛水状態では3) が主要分解経路であると考えられた. 土壌の性質とモリネートの分解の関係についても考察した.
  • 農薬懸濁製剤に関する研究 (第3報)
    藤本 昌彦, 中村 利家, 村岡 悦子
    1982 年7 巻4 号 p. 499-506
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    湿式粉砕法で調製した binapacryl 懸濁剤の物理的安定性を, 主剤の粒度, 製剤の粘度, 沈降容積比および再分散性の変化を指標にして検討した.
    懸濁剤中の binapacryl は, 化学的に安定であったが, 30℃以上で顕著な粒子成長を示した. そのため製剤の物性も30℃以上で急速に変化し, 再分散の困難な強固な沈殿層 (hard-caking) を生成した.
    binapacryl には粒子成長の前後で多形は認められず, 粒子の成長過程を走査電子顕微鏡で観察した結果から, 粒子同士の結合によるいわゆる凝集成長が考えられ, この結合が生ずる原因としては焼結現象が推定された.
    懸濁剤中に水不溶性樹脂の微粉砕物を少量添加することで, binapacryl の粒子成長が明らかに抑制され, 物理的にもかなり安定化された懸濁剤をえた.
  • 農薬懸濁製剤に関する研究 (第4報)
    藤本 昌彦, 中村 利家, 村岡 悦子
    1982 年7 巻4 号 p. 507-512
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    懸濁剤中における binapacryl の粒子成長は, 工業用原体を用いると30℃で始まったが, メタノール再結晶品を用いると45℃から始まり, 明らかに差が認められた.
    再結晶に伴う binapacryl の多形転移は認められず, この原因は原体中の主不純物である4, 6-dinitro-2-sec-butylphenol (DNBP) にあることを明らかにした.
    binapacryl の粒子成長は, 分散媒中のDNBP量と保存温度で影響され, DNBP量が530ppm以上のときは30℃で成長を始めたが, 130ppm以下のときは45℃からとなった.
    DNBPによる binapacryl の粒子成長促進の機構は, binapacryl 表面に付着しているDNBP粒子が, 融点降下により約25℃から融解して液状化し, binapacryl 粒子間の結合を容易にして凝集成長を促進するためと考えられた.
  • 小林 裕子, 俣野 修身, 後藤 真康
    1982 年7 巻4 号 p. 513-516
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    グアニジン系殺菌剤 guazatine triacetate [1, 1′-iminodi (octamethylene) diguanidine triacetate] は試料中での吸着が強いため, りんご, ぶどう等の残留分析における回収率が非常に低い, そこで種々の脱吸着試薬を検討し, 塩酸グアニジン添加により回収率が著しく向上することがわかった. 試料に塩酸グアニジンを添加し, 2N水酸化ナトリウム・メタノール溶液で室温で振とう抽出し, 精製後, ヘキサフルオロアセチルアセトンでピリミジン誘導体とし, N-P FIDガスクロマトグラフで測定した. りんご, ぶどう, きゅうり, 土壌からの回収率は約90%である.
  • 児玉 治, 高瀬 幸市, 赤塚 尹巳, 上杉 康彦
    1982 年7 巻4 号 p. 517-521
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Mixed function dxidase (mfo) 系の誘導剤であるフェノバルビタール存在下で培養したいもち病菌 (P-2) より調製したミクロゾームはIBP (S-benzyl O, O-diisopropyl phosphorothiolate, キタジンP®) に作用し, IBPのP-SあるいはS-C結合を開裂し, diisopropyl phosphate (DIP) および diisopropyl phosphorothioate (DIPT) を生成した. フェノバルビタールはDIPの生成を強力に誘導したが, DIPT生成の誘導は弱かった. IBPのP-SおよびS-C結合を開裂する酵素の活性発現にはNADPHおよび酸素を必要とし, 一酸化炭素処理した還元型ミクロゾームは450nmおよび420nmに極大吸収を示した. mfoの特異的阻害剤であるSKF-525A, ピペロニルブトキシド, 一酸化炭素および電子受容体であるチトクロムc, 2, 6-ジクロロインドフェノールはDIPおよびDIPTの生成を抑制した. 以上の結果より, いもち病菌によるIBPのP-SおよびS-C結合の開裂にmfoの関与が明らかになった.
  • 山口 勇, 関戸 茂子, 見里 朝正
    1982 年7 巻4 号 p. 523-529
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺菌性抗いもち剤およびプロベナゾールは, いもち病菌の色素合成 (黒色化) に影響を与えなかったが, トリシクラゾール, CGA 49104, フサライド, ペンタクロロベンジルアルコール (PCBA) は菌系によるポリケタイド系のメラニン生合成を阻害または攪乱し, 中間体: シタロンおよび代謝物: 2-ヒドロキシジュグロン (2-HJ, 黄色色素) を共通に蓄積した. ただ, フサライドとPCBAはフラビオリン赤色色素の蓄積にはあまり影響しなかった. これら薬剤のセロハン膜法による付着器からの侵入阻害は葉鞘検定の結果とよく一致し, 薬剤の一次作用点が宿主側よりは菌側にあることを示唆した. また,これら薬剤は, いもち病菌付着器の黒化も抑制するが, トリシクラゾール, CGA 49104の存在下にメラニン合成の後期中間体: バーメロンまたは1,8-ジヒドロキシナフタレンを添加すると, 付着器からセロハン膜への穿入回復は明瞭でなかったものの, 着色阻害は完全に回復した. 一方, 2-HJとシタロンは, いもち病菌の感染過程に影響することが認められ, メラニン合成阻害に基づく付着器の未熟に加えて生理活性中間体の蓄積も薬剤の有効性に関与している可能性が考えられた.
  • 小野 成男, 山崎 悦子
    1982 年7 巻4 号 p. 531-534
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Application of derivative spectrophotometry to residue analysis of copper 8-quinolinolate in crops was investigated. The result showed that the derivative spectrophotometry was more suitable than colorimetry, atomic absorption spectrometry and high performance liquid chromatography which were already published. Copper 8-quinolinolate was extracted with acidic methanol from crops. After addition of 1% sodium chloride solution to the methanol extract, the mixture was washed with n-hexane. After neutralizing, the aqueous methanol solution was extracted with dichloromethane. Finally, the pesticide in the dichloromethane solution was re-extracted with 1N hydrochloric acid. Fourth derivative spectrum of the acidic solution was recorded by a Hitachi spectrophotometer type 330. The amount of copper 8-quinolinolate was proportional to the difference absorbance (ΔA=A252-A261) within the range of 0-0.3ppm. The detectable limit of copper 8-quinolinolate was 0.04ppm when 50g of sample was used. Average recovery was about 95%.
  • 田中 薫, 大沢 貫寿, 本田 博, 山本 出
    1982 年7 巻4 号 p. 535-537
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アズキゾウムシの交尾フェロモン, erectin, は単独では活性のない二つの区分-callosobruchusic acid と炭化水素混合物からなる. この酸部分の合成を geranyl acetate を原料として試み, (E)-および (Z)-3,7-dimethyl-2-octenedioic acid を得た. マメゾウムシ雌より採集した炭化水素混合物と合わせて交尾行動解発性をしらべたところ, E形だけが活性をしめしたので, これが callosobruchusic acid であることを明らかにした. 炭化水素区分は別に合成済である.
  • 辻 孝三
    1982 年7 巻4 号 p. 539-548
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 山元 四郎
    1982 年7 巻4 号 p. 549-551
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 嶋崎 功
    1982 年7 巻4 号 p. 553-557
    発行日: 1982/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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