除草剤クロルプロファム (CIPC) の環境および作物試料における残留量を測定するために酵素免疫測定法を開発した. CIPCハプテンと担体蛋白質との結合体を免疫原とし, 免疫したマウスから調製した脾臓細胞とミエローマ細胞を融合し, 3種の抗CIPCの抗体を産生するハイブリドーマのクローンを樹立した. これらの抗体について競合間接ELISAのCIPCによる阻害曲線を求めた結果, 測定可能な範囲は05~10ppb, 5~100ppb, 50~500ppbであった. また, 50%阻害を示す濃度 (IC
50) はそれぞれ1.6ppb, 13ppb, 161ppbであった. さらに, 他のカーバメイト系農薬および構造類縁化合物に対する交叉反応性を検討した結果, 3種のモノクローナル抗体はこれらの化合物とほとんど反応性を示さず, 非常に特異性が高かった. CICPを水道水, 土壊およびバレイショ試料に添加し, 添加回収率をHPLCによる測定値と比較したところ, 両価に高い相関が得られた. これらの抗体はメタノールに対する耐性が強く, 試料をメタノールで抽出して, 抽出液をそのまま希釈することによる簡便, 迅速な残留農薬の測定が可能である.
抄録全体を表示