背景:内臓錯位症候群・単心室患者の食道裂孔ヘルニア(HH: hiatal hernia)は,単心室循環へ悪影響を及ぼし得るが,このコホートでのHH修復術適応は定まっていない.
方法:2008年1月から2018年12月に当院で出生した内臓錯位症候群・単心室患者109人の,HH合併,修復術の有無等臨床経過を検討した.
結果:13例(12%)がHHを合併し,6例にHH手術を施行した.4例は滑脱した胃による肺静脈圧排が疑われ,いずれも滑脱した胃が心房椎体間にあり肺静脈を後方から圧排している形態であった.手術施行例のうち3例が術後十二指腸狭窄を合併,1例はHH手術周術期に死亡した.一方HH手術不要と判断した7例のうち4例はFontan手術に到達し追跡期間中(中央値104.5ヵ月,100–112ヵ月)も無症状であった.
結論:単心室患者のHH修復術は,特徴的な症状や術後経過を考慮し手術適応を決定するべきである.
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