日本血管外科学会雑誌
検索
OR
閲覧
検索
19 巻 , 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
巻頭言
原著
  • 金岡 祐司, 大木 隆生, 戸谷 直樹, 石田 厚, 立原 啓正, 平山 茂樹, 黒澤 弘二, 墨 誠, 太田 裕貴, 金子 健二郎
    19 巻 (2010) 4 号 p. 547-555
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    【はじめに】胸部大動脈瘤(TAA)におけるステントグラフト治療(TEVAR)について検討した.【対象と結果】2006年6月からTAG胸部大動脈ステントグラフト(W. L. Gore & Associates, Inc., Flagstaff, Arizona, USA)(以下TAG)が保険収載されるまでの2年間にTAAでopen repair困難とされた症例65例に対してTAG 80個を用いてTEVARを行った(破裂8例を除く).男性49例,女性16例で,胸部下行大動脈瘤が45例,弓部および遠位弓部大動脈瘤が20例であった.胸部下行の45例はTEVARのみで治療可能であった.弓部大動脈瘤の3例で左総頸動脈ぎりぎりにTAGをdeployするために経皮的に頸動脈を穿刺して0.018"のワイヤを上行大動脈に挿入してTAGをdeployした(carotid puncture wire protection).5例は胸骨正中切開で上行大動脈より頸部分枝の再建を施行した後に,3例は頸部分枝間のバイパス後にTEVARを行った(同時手術).また上行大動脈も拡大していた3例は弓部置換+elephant trunkを先行し,1~3カ月後にTEVARを行った.弓部TEVAR後の1例に心筋梗塞による突然死,1例に上行大動脈解離,total debranchingの1例に脳梗塞を認めた.また,弓部の2例でエンドリークを認めた.【まとめ】胸部下行大動脈瘤に対するTEVARの成績は非常に良好であったのに対し弓部を含む大動脈瘤は左鎖骨下動脈をcoverしてもTEVARのみでは対応できない場合が多くみられた.Debranching,弓部置換+elephant trunkなどの外科手術と組み合わせることにより適応はさらに広がったもののその成績は未だ改善の余地があると思われた.
    抄録全体を表示
症例
  • 山本 清人, 杉本 昌之, 児玉 章夫, 成田 裕司, 小林 昌義, 古森 公浩
    19 巻 (2010) 4 号 p. 557-560
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    左足背が壊死した75歳男性に腓腹動脈へのバイパス術を施行した.血管造影では,左外腸骨動脈,総大腿動脈,浅大腿動脈,大腿深動脈起始部,膝窩動脈,下腿3動脈は閉塞し,後脛骨動脈が下腿末梢部でかすかに開存していた.術式は,右大腿-左腓腹動脈-後脛骨動脈バイパスを予定した.手術時,後脛骨動脈は切開時内腔から血流が認められなかったため後脛骨動脈へのバイパスは断念し,自家静脈を用いて右大腿-左腓腹動脈バイパス術を施行した.術後下腿切断を要したが,腓腹動脈バイパスにより大腿切断を免れ膝関節を温存することができたと考えられる症例を報告する.
    抄録全体を表示
  • 坂下 英樹, 田中 厚寿, 鬼塚 誠二, 廣松 伸一, 明石 英俊, 青柳 成明
    19 巻 (2010) 4 号 p. 561-564
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.71歳時腹部大動脈瘤に対して自作ステントグラフト(tapered type)+大腿動脈-大腿動脈交差バイパスによる治療を施行され外来経過観察を行っていた.術後31カ月目にtype Iエンドリークを認め,再手術となった.ステントグラフトが瘤内に落ち込むようにmigrationし,中枢からのtype Iエンドリークを認めたため中枢端にバーブを有するZenithを選択し,Converterを用いてaorta-uniiliac typeとすることとした.手術は問題なく終了し,CT(computed tomography)でもエンドリークは消失した.本症例で用いた自作ステントグラフトはバーブやナイチノールアンカーといった固定装置を有しておらず,エンドリークの原因の一因となったことが考えられる.
    抄録全体を表示
  • 山浦 一宏, 西村 和典
    19 巻 (2010) 4 号 p. 565-568
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.他院にて左肩関節前方脱臼に対し,徒手整復を受けた.その後,とくに問題なく経過していたが,受傷約2週間後に左肩関節,腋窩周囲の腫脹および疼痛が出現したため他院に入院した.関節,骨の異常は認められなかったため,保存的に経過観察されていたが,同部位の腫脹,疼痛は徐々に増悪した.入院約2週間後に造影CT検査が施行され,腋窩動脈に接した仮性動脈瘤が認められたため,当院へ搬送となった.手術は,腋窩動脈損傷部を人工血管で置換し,血腫除去を行った.術前からの左腕神経叢不全麻痺は,術後も残存した.肩関節脱臼整復後には,まれではあるが血管損傷の合併症もあり,さらに本症例のように緩徐な経過をとる,腋窩動脈仮性動脈瘤もあることに留意する必要がある.
    抄録全体を表示
  • 野口 亮, 吉戒 勝, 麓 英征, 伊藤 学, 大西 裕幸, 入江 康司
    19 巻 (2010) 4 号 p. 569-572
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.数年前から続く右下肢痛が増強し当院受診.明らかな下肢の外傷,血管内治療等の既往はなかった.下肢エコーおよび造影CT上,内部に壁在血栓を伴う50×32 mmの紡錘状腓骨動脈瘤を認めた.瘤のサイズが巨大で血管内治療は困難であり,また瘤による周囲組織の圧迫が痛みの原因であるため外科治療を選択した.手術は腹臥位で後方到達法にて瘤を露出,末梢側は閉塞しており,瘤縫縮術を施行した.術後は下肢の虚血,歩行障害等の合併症なく経過した.腓骨動脈瘤は極めて稀であり,後方到達法による外科治療は有用である.
    抄録全体を表示
  • 藤村 博信, 黒瀬 公啓
    19 巻 (2010) 4 号 p. 573-577
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    症候性膝窩動脈瘤を6例7肢経験し,全例で救肢に成功し得たので報告する.6例中2例は破裂で発症し,2例は急性閉塞,残る2例は間歇性跛行と末梢塞栓症状にて発症した.破裂症例と急性閉塞症例は緊急手術となり,他の2例は予定手術を行った.到達法は動脈瘤の位置を術前評価することにより決定し,3例は内側,3例は後方アプローチにて行った.術式は仮性動脈瘤の破裂症例のみ修復にて対処したが,他の5例は全例で人工血管置換術を行った.血栓が瘤を越えて末梢まで広がっていた場合は,血栓除去も同時施行した.両側性の1例は両側同時手術を行った.全例で術後経過は良好であった.膝窩動脈瘤は症候性に発見されることが多く,迅速な診断と治療を行わないと大切断に至ることもある.適切な治療方針の決定が必要である.
    抄録全体を表示
  • 伊從 敬二, 有泉 憲史, 神谷 健太郎, 橋本 良一
    19 巻 (2010) 4 号 p. 579-582
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    後方アプローチによる膝窩動脈-後脛骨動脈バイパスを行ったベーチェット病膝窩動脈仮性瘤の1手術例を経験した.症例は28歳の男性で4年前に不全型ベーチェット病と診断された.2カ月前に突然,左膝窩部の腫脹と疼痛を認めた.CTで前脛骨動脈分岐部の膝窩動脈腹側に壁在血栓を伴う巨大な嚢状瘤を認め,膝窩動脈および脛骨腓骨動脈幹は瘤により背側に圧排されていた.手術は膝窩動脈および脛骨腓骨動脈幹が直視できる後方アプローチでそれぞれを結紮し,同一体位で膝関節部膝窩動脈から下腿下1/3の後脛骨動脈に大伏在静脈でバイパスをおいた.後方アプローチによる後脛骨動脈バイパスが必要となる頻度は低いが,本例では膝窩部動脈と脛骨腓骨動脈幹の処理が必須であったことと中枢側吻合血管として膝窩動脈を使用したことから本法は有用であった.
    抄録全体を表示
  • 出雲 明彦, 内田 孝之, 安藤 廣美, 安恒 亨, 田中 二郎, 鮎川 勝彦
    19 巻 (2010) 4 号 p. 583-587
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤や腸骨動脈瘤が動静脈瘻を合併する病態は稀で,その瘻孔の大きさに伴う短絡量により臨床症状は多彩である.今回,左下肢深部静脈血栓症,急性腎不全にて発症した動静脈瘻を伴う右総腸骨動脈瘤の1例を経験したので報告する.85歳,女性.嘔吐,気分不良ありで近医受診したところ,乏尿,腎機能悪化を認め,腎尿路系の感染症を疑われ入院となった.入院中に左下肢の疼痛,腫脹が出現し当院紹介となった.精査にて動静脈瘻を伴う右総腸骨動脈瘤と診断し,緊急手術となった.手術は,動脈瘤切除+人工血管置換術と瘻孔閉鎖を施行した.術直後より腎機能は回復した.術後12日目より深部静脈血栓症に対して抗凝固治療を行い,術後52日目に退院となった.深部静脈血栓症,急性腎不全で発症した動静脈瘻を伴う右腸骨動脈瘤を経験した.特異な症状で発症するため,腹部大動脈瘤,腸骨動脈瘤をもつ患者の鑑別疾患として救急の場ではとくに重要である.
    抄録全体を表示
  • 長尾 俊彦
    19 巻 (2010) 4 号 p. 589-592
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)は骨髄への心大血管手術などの高侵襲によって急性転化や類白血病化することにより致命的となりうることが報告されている.症例は86歳男性で慢性的な血小板減少と軽度貧血を伴った高血圧症にて外来通院中であった.腹部に偶然拍動性腫瘤を指摘され腹部大動脈瘤治療のため入院になった.瘤の形状や全身状態から手術療法を選択した.全身麻酔と硬膜外麻酔にてYグラフト置換術を行った.複雑な瘤の形状などから長時間の手術になったが問題なく終了した.しかし術後早期から極端な白血球増多がみられ,その後呼吸不全を生じ多臓器不全となり死亡した.術後の骨髄検査などより術前からCMMoLの状態であったことがわかった.したがって術前検査からCMMoLの診断が得られた場合はステント治療などのできるだけ低侵襲な治療を選択すべきであると考えられた.
    抄録全体を表示
  • 金 一, 中島 隆之, 高橋 研, 大島 祐, 岡林 均
    19 巻 (2010) 4 号 p. 593-597
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    血管型ベーチェットによる胸腹部大動脈瘤は稀であり,また,血管外科手術後には吻合部仮性瘤の発生がしばしば問題となる.症例は35歳男性.繰り返す胸背部痛を主訴に来院.胸腹部CT検査にて胸部下行および上腸間膜動脈近傍にsaccular typeの動脈瘤が認められた.既往歴にて再発性口腔内潰瘍,座創様皮疹,静脈洞血栓症,ブドウ膜炎を認めたことから血管型ベーチェットと診断された.手術は部分体外循環下に胸腹部人工血管置換術を施行し,腹腔動脈,上腸管膜動脈,両側腎動脈の再建に加え,Adamkiewicz 動脈を含めた肋間動脈の再建を施行した.術後の経過は良好であり,また,術前後のステロイド内服による厳重な炎症コントロールを行っている.現在術後5年以上が経過しているが,吻合部仮性瘤の発生など明らかな異常は認められていない.ベーチェット病における胸腹部人工血管置換術後5年以上を経過した症例報告は稀であり報告した.
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top