日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2011年年会講演予稿集
選択された号の論文の715件中51~100を表示しています
  • 安岡 裕太, 早川 知克, 野上 正行
    セッションID: 1C34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    本研究室ではこれまでにEuO含有ガラスが可視域で大きなファラデー回転を示すことを報告してきたが,実用化のために更に大きなファラデー効果を示す材料が求められている.ファラデー効果の大きさは磁化率に比例することが知られており,そこで今回はEuO含有ガラスにCo2+及びFe2+を加えることで磁気特性の改善を試み,ガラス組成の違いによるファラデー効果の変化について調査を行った.その結果として遷移金属イオンを添加したガラスは70EuAl2O4-30SiO2ガラスより大きなVerdet定数を示すことがわかった.この理由としては,磁化測定の結果から遷移金属イオンがガラス中でフェロ磁性カップリングを形成することが示唆されており,これによって磁化が増大し,低温領域でのVerdet定数が増大したと考えられる.また,室温付近でのVerdet定数はどのガラスも同程度の値を示しているが,これは熱擾乱の影響によりフェロ磁性カップリングが解消されたためであると考えられる.
  • 金西 啓太, 崎田 真一, 紅野 安彦, 難波 徳郎
    セッションID: 1C35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    Bi2O3-ZnO-B2O3系ガラスは高いガラス形成能をもち、析出するBi2ZnB2O7(BZB)結晶は高い非線形光学定数を有していることから、本研究では優れた非線形光学特性を持つ結晶化ガラスの作製条件を探索した。ガラスの基礎物性、結晶化挙動および結晶化ガラスの非線形光学特性を調査し、析出形態制御による高機能化へ展開させることを目的とした。 変形が少ない430℃で48 hの熱処理を行い、表面を約20 μm研磨することにより表面が平滑で目的結晶相のみが析出した結晶化ガラスを作製した。Makerフリンジ法による非線形光学特性の評価を行った結果、標準試料のy-cut 石英の約0.7倍の第2高調波を観測した。
  • 松倉 亘, 矢野 哲司, 田口 潤, 岸 哲生, 柴田 修一, バージニ ナザバル
    セッションID: 1C36
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    ガラスファイバーの径をサブミクロンオーダーまで細くしたテーパーファイバーは通常の光ファイバーとは異なる性質を持つことが知られている。テーパーウエスト径の減少に伴い、伝搬光の染み出し(エバネッセント波)が大きくなることや非線形性が増大するといった特性は、光源やセンサ、更に非線形光学効果を利用した光デバイスなどとしての応用が期待されている。本研究では、高屈折率ガラス材料として知られるカルコゲナイドガラスを用いて、化学エッチング法によるテーパーファイバーの作製を試みた。
  • 増野 敦信, 井上 博之
    セッションID: 1D18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    特異なガラス構造,2.1を超える屈折率,高いイオン性を有しているBaTi2O5ガラスについて,Ba2+をCa2+で置換した場合の物性の変化を調べた.Ba1-xCaxTi2O5組成でのガラス化範囲は0 ≤ x ≤ 0.85であった.密度とモル体積はどちらも線形的に減少していることから,ガラス構造に不連続な変化は無いと考えられる.ラマン散乱測定からもガラス構造の連続的な変化が裏付けられた.示差熱分析からガラスの熱特性を評価したところ,xの増大とともにガラスの安定性が上昇することがわかった.また,Ca量の増加とともに,光学バンドギャップの減少,屈折率の増大が見られた.
  • 林 昌平, 早川 知克, 宮澤 杉夫, 大橋 玄章, 渡邊 敬一郎
    セッションID: 1D19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    透光性アルミナ焼結体の光透過特性を理解する上で重要な要素に結晶粒の屈折率差Δnがある.アルミナの結晶構造はコランダム型六方晶系に属し光学異方性を持つ複屈折結晶であるためアルミナ焼結体は粒界で屈折率差を生じ,それは直線透過率を下げる一因となる.そこで本研究では,ラマンマッピング法を用いて粒毎に結晶方位を測定し,その結果から粒毎の屈折率を計算し各粒間の平均屈折率差Δnaveを検討したので報告する.
  • 上玉利 修利, 本間 隆行, 黒木 雄一郎, 岡元 智一郎, 高田 雅介
    セッションID: 1D20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    窒化アルミニウム(AlN)は、6.2 eVのワイドバンドギャップを有しているため、透光性材料として注目されている。これを放電ランプの発光管として応用するためには、高い演色性を有することが重要になる。我々は、これまでに1850℃で5 h焼成したAlN焼結体の透過率に及ぼすCa3Al2O6と炭素の添加効果について報告した。本研究では、種々の焼成条件で作製したAlNセラミックスの光透過スペクトルに及ぼす炭素の添加効果について調査を行った。その結果、0.2 – 0.5 mass%の炭素を添加して1800-1850℃で5 - 10 h焼成した試料は、高い演色性を示すことがわかった。
  • 安 麗瓊, 伊藤 暁彦, 後藤 孝
    セッションID: 1D21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    放電プラズマ焼結 (SPS) 法を用いて透光性Y2O3焼結体を作製し、焼結温度がY2O3焼結体の焼結密度、微細構造および光学特性に与える影響について調べた。焼結温度1473から1923 Kで作製したY2O3焼結体は、いずれも立方晶であり、相対密度は99%以上であった。一方、焼結温度を1373から1823 Kへと増加させると、焼結体の結晶粒径は0.2から2.3 μmへとゆるやかに増大したが、焼結温度1873 K以上では異常粒成長が認められ、1923 Kでは粒径が100 μm程度まで成長した。焼結温度1473から1823 Kで作製したY2O3焼結体には透光性が認められたが、異常粒成長が観察された焼結温度1873から1923 Kで作製した焼結体は不透明であった。大気中1323 K、21.6 ksの熱処理により、透光性は向上した。特に、焼結温度1573 Kで作製したY2O3焼結体の熱処理後の透明度は、550 nmで55%、2000 nmで82%と最も高い値を示した。
  • 高橋 司, 田崎 義昭, 田中 素之, 田平 泰規, 八島 勇
    セッションID: 1D22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    光学セラミックスの研究は近年盛んであり、酸化物に関しては単結晶と遜色のない特性が報告されている。一方、硫化ルテチウムはシンチレータ材料として優れた特性を持つことが報告されているが、希土類硫化物は高融点かつ硫黄の蒸気圧が高いために不安定であり、高品位な結晶育成が困難である。そこで我々は光学セラミックス作製技術を用いて透光性硫化ルテチウムセラミックスを作製した。
  • 杉山 誠, 横田 有為, 柳田 健之, 伊藤 暁彦, Liqiong An, 藤本 裕, 吉川 彰, 後藤 孝
    セッションID: 1D23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    シンチレータの開発では、高い透明度を有する単結晶に焦点があてられてきた。しかし、近年透明セラミックスの焼結技術の向上によって、セラミックスにおいても高い透明度を得られるようになり、シンチレータへの応用が検討されるようになった。本研究では、SPS (Spark Plasma Sintering)により試料の焼結を行った。SPSでは透明度は真空焼結に劣るが真空焼結法に比べて短時間での試料作製が可能である。しかし、SPSにより作製された透明セラミックスのシンチレーション特性を系統的に評価した例はない。本研究では、セラミックスシンチレータ開発におけるSPSの有用性を調査するために、シンチレータ特性が良く調べられているCe添加YAGおよびYb添加YAGを作製した。
  • 深堀 明博, 柳田 健之, 山根 久典, 吉川 彰, 安 丽琼, 伊藤 暁彦, 後藤 孝, 池上 隆康
    セッションID: 1D24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    [背景と目的]レーザやシンチレータといった光学材料は高い透明度が要求され“Cz”法で育成された大きな単結晶が商品化されている。商品化以前の、新規単結晶材料探索の研究段階では“マイクロ引き下げ法”により小さめの結晶を高速育成しスクリーニングを行っている。一方の透明セラミックスだが、作製方法としてHIP、ホットプレス、真空焼結、スパークプラズマ焼結という方法があり、上記単結晶育成方法と同様の関係にあるのが、“前駆体合成を経由した後に真空焼結”する方法と“スパークプラズマ焼結(SPS)”である。今回、立方晶系の構造で光学異方性がなくセラミックスでも高い透明度が期待できるY2O3を2つの方法で作製し、光学(透過率、α線発光スペクトル)及びシンチレーション特性(γ線励起波高値スペクトル、放射線励起Decay time、Non-proportionality, Energy resolution)を比較することにより、SPSは、セラミックスの高速作製の優位性だけでなく、透明セラミックのスクリーニングにも適していることを物性値を比較しながら議論する。 [実験方法] 真空焼結によるY2O3セラミックス(Fig. 1(a))は、硝酸イットリウムにアンモニア水を滴下して前駆体を合成後、1100℃で仮焼き、一軸成形、CIPにて等方圧成形を経て、1700℃での真空焼結により得られた。SPSによるセラミックス(Fig. 1(b))はカーボンダイスに市販粉末を入れ100MPaに加圧してパルス通電により1300℃で焼結した。表面はSEMにて反射電子を計測することにより観察し、光透過率をJasco 550スペクトルメーターを用いて測定した。241Amα線を照射して発光波長を調べた。パルス波高値スペクトルは、サンプルに各種(137Cs, 22Na, 60Co, 152Eu)γ線源を照射し、700Vの高電圧を印加した光電子増倍管(PMT)でシグナルを検知し、プリアンプ、波形整形アンプ(0.5μs)を経由後にパソコンでモニタリングした。Decay timeはPMTからのシグナルを直接オシロスコープで測定した。 [結果と議論]作製したセラミックスはFig. 1に示すようにどちらも透明度が高い。α線励起後に双方のセラミックスは350 nmで発光した。137Csγ線を照射してパルス波高値スペクトルを測定した所、真空焼結サンプルは発光量を7200 photons/MeV、SPSサンプルは5100 photons/MeVと見積もることが出来た。各種γ線源(137Cs, 22Na, 60Co, 152Eu)を用いてnon-proportionalityを求めたところどちらも非常に良好なproportionalityを示した。また137Cs照射後光電吸収ピークのエネルギー分解能は、真空焼結セラミックが18%で、SPSによるセラミックスが16%とほぼ同等であった。このように、SPSサンプルは真空焼結サンプルと遜色のない特性を示しており、高速作製という特徴だけでなく優れたシンチレーション特性を示す透明セラミックス作製にも適していることが分かった。
  • 川野 哲也, 福田 健太郎, 山根 久典, 末廣 隆之, 佐藤 次雄, 柳田 建之, 河口 範明, 藤本 裕, 吉川 彰
    セッションID: 1D25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    (Mg1–xMnx)2B2O5の固溶体をx = 0.05, 0.15, 0.20, 0.30の組成で合成した。 結晶構造は,三斜晶系,空間群P-1で、2つあるMgサイトのMg原子の一部を均等にMnで置換するモデルで解析された.いずれのMn量xの固溶体においても,可視光領域では,414 nmのd–d遷移励起で,670 nmにピークを持つブロードな深赤色の発光スペクトルが観察された.発光強度は,x = 0.05のMn量で最大となった後,xの増加にともなって低下した.電荷移動遷移とみられる160 nmの真空紫外光励起でも,670 nmの発光が観察され,その強度は414 nmの可視光励起の場合に比べ10倍以上であった.(Mg0.95Mn0.05)2B2O5の多結晶体を角板状に加工後,シリコン受光素子の前に貼り付けて,中性子検出を試みた.その結果,熱中性子照射で,シリコン受光素子の電圧-電流特性に応答が観測され,中性子の検出が可能であることが示された.
  • 柳田 健之, 藤本 裕, 横田 有為, 吉川 彰, 八木 秀喜, 柳谷 高公
    セッションID: 1D26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    PET用透明セラミックスPr:LuAGを作製し、そのシンチレーション特性の評価を行った。結果として、Pr を 0.3-0.4 mol% 添加した組成において、単結晶 Pr:LuAG の発光量を凌駕することが分かった。
  • 瀬川 浩代, 井上 悟
    セッションID: 1D28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    金属表面で誘起される局在表面プラズモン共鳴を利用することによって、レジストをナノサイズでパターニングできることが知られており、これまで金のボウタイ構造によって作られる数nmのギャップ間に生じる表面プラズモン共鳴によって誘起される増強電場を用いて光感応性を有する有機-無機ハイブリッド材料のナノ加工が可能であることを明らかにしてきた。一方、表面プラズモン共鳴は金属表面で干渉をすることから、それを利用することによって光の回折限界を超える微細な加工が可能であることが報告されている。本研究では、プラズモン共鳴の干渉を利用することにより微細なパターンをフォトリソグラフィによりTiO2-有機ハイブリッド材料において作製し、TiO2のナノパターンを簡便に作製する方法を検討した。
  • 小田 進也, 内山 弘章, 幸塚 広光
    セッションID: 1D29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    ゾル-ゲル法によりチタニア•ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ハイブリッド薄膜を作製し、出発溶液におけるHPC量、HCl量、H2O量がハイブリッド薄膜の屈折率、亀裂発生を伴わない限界厚さ、硬度に及ぼす効果を調べた。HPC量の増加とともに、亀裂発生を伴わない限界厚さは増加するが、屈折率は減少した。HCl量の増加とともに限界厚さは減少し、屈折率は増加した。H2O量の増加とともに限界厚さは一旦増大した後減少し、H2O/Ti(OC3H7i)4モル比≒1.13において極大値を示した。一方、屈折率はH2O量を変化させてもあまり変化しなかった。
  • 筒井 雄史, 早川 知克, 不動寺 浩, 野上 正行
    セッションID: 1D30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    金ナノ粒子は表面プラズモン共鳴(SPR)特性を示し,それに起因して様々な光学特性を示すことから,次世代光学デバイスへの応用が期待されている.しかし,光学デバイスへの応用には,液相中で合成される金ナノ粒子を基板上に,極度な偏析を招くことなく,安定して固定化させることが必要とされている.本研究では,金ナノ粒子をPolydimethylsiloxane(PDMS)中に固定化するとともに,PDMSの膨潤に伴い,金ナノ粒子の粒子間距離を制御し,SPR波長を変化させることを目的に実験を行った.
  • 柳田 さやか, 安盛 敦雄
    セッションID: 1D31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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     金属微粒子は特異な光学的特性や触媒特性を持つことから、機能性材料としての研究が盛んに行われている。微粒子の凝集によってこれらの特性が変化してしまうことから、実用化に際しては粒子を高分散させた状態での固定化技術が求められている。  基板上に金属微粒子を作製する方法の一つとして光電着法が挙げられる。光電着法とは、金属塩の溶液中で酸化チタン等の光触媒に光を照射することにより、光触媒表面で起こる光還元反応を利用して金属微粒子を析出させる方法である。しかし、この方法では紫外光のあたる光触媒の最表面でしか還元反応が起こらないため、金属微粒子の高密度化及び粒子層の多層化は困難であった。  一方、交互積層法はコーティングプロセスの一種で、反対の電荷を持つ化学種の溶液に基板を交互に浸漬させることで、静電引力により基板上に複合体多層膜を形成する手法である。 本研究では、光電着法に交互積層法を組み合わせることで、酸化チタン-金微粒子の多層膜を作製することを検討した。
  • 山本 泰河, 徳田 陽明, 正井 博和, 横尾 俊信
    セッションID: 1D32
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    環境問題への関心の高まりから、様々な機能性材料の低環境負荷合成法の開発が活発に行われている。特にガラス材料は、その製造過程で1000 ℃以上の溶融プロセスが不可欠であり、新しい合成法による機能性ガラス材料の低温合成法の確立は重要な研究課題の一つである。我々は近年、酸塩基反応やアルコール縮合による低温無溶媒反応を用いた種々の有機-無機ハイブリッド材料を報告している。本研究ではフェニル亜リン酸とアルコキシボラン化合物を無溶媒・無触媒で常温~300 ℃で反応させることにより、有機修飾されたホウリン酸塩系のハイブリッドガラス材料を作製することを目指した。今回は、合成条件による軟化温度、ガラス構造の変化について述べる。
  • 鈴木 琴美, 永山 修平, 梶原 浩一, 金村 聖志
    セッションID: 1D33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    材料合成において、試薬の使用量の削減は重要な課題である。原料溶液の混合を2回に分けることによって、LaF3ナノ結晶ドープシリカガラスを、従来ゾル-ゲル法で共溶媒として多用されているアルコール使用せず合成することに成功した。LaF3ナノ結晶は、前駆体溶液に添加したトリフルオロ酢酸錯体の熱分解を利用して生成させた。乾燥ゲルは、半透明であり、焼結中の発泡を伴わず比較的短時間でガラス化できた。
  • 児山 英樹, 早川 知克, 野上 正行, フィリップ トーマス
    セッションID: 1D34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    TeO2は高い3 次非線形光学特性や低フォノンエネルギー等の特徴を有する,将来性の高い材料の1 つである.これまで本研究室では様々なTeO2 系ガラスの作製を行い,非線形光学特性の向上や新規蛍光材料の合成を試みてきた.本研究では,ゾル-ゲル法を用いたTeO2 系ガラス薄膜の作製を目的としており,これまでにTeO2–TiO2 ガラス薄膜の作製及びEu3+をドープした蛍光薄膜の作製に成功した.今回は,TeO2–TiO2 ゾルゲル薄膜の蛍光特性について報告する.
  • 城所 拓郎, 冨田 恒之, 谷口 貴章, 布施 啓示, 勝又 健一, 松下 伸広, 岡田 清, 徳善 公一, 曽我 公平
    セッションID: 1D35
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    YVO4:Eu3+赤色蛍光体は強い発光強度を示すため、今まで主にバルク体としてディスプレイなどに広く応用されてきた。しかし、近年では蛍光体をバイオの分野に応用しようとする研究が多く報告されている。バイオの分野に蛍光体を応用するためにはナノ粒子であり、水に分散させることが重要である。水に分散させると粒子表面に消光因子となるOH-が吸着してしまうため発光が弱くなってしまう。そこで、我々はSiO2被覆によるコアシェル粒子に注目した。 有機溶媒に分散するオレイン酸修飾ナノ粒子を合成し、W/O型エマルションを用いてストーバー法を行った。そして得られたサンプルは水に非常に良く分散した。
  • 林 亜希美, 横山 久範, 高橋 良夫, 安達 信泰, 太田 敏孝
    セッションID: 1F17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    強化磁器食器にピンク色の加飾をイングレーズにより行った場合の強度について検討を行った。種々の熱膨張係数を有するフリットを水と混合して、市販強化磁器に約20mm幅で塗布し1230℃で焼成を行った。ピンク顔料とフリット及び水を混合し同様に焼成を行った。各試験体の曲げ強さを測定した結果、フリットのみの場合は強度に影響は見られないが、顔料とフリットを混合した場合には強度が低下した。
  • 片山 正貴, 佐藤 駿, 小林 雄一, 長島 崇, 水谷 滋男, 磯山 博文
    セッションID: 1F18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    持続可能な社会の実現に向けて,多くの産業分野ではエネルギーの使用を減らす努力が行われている。従来の陶磁器の場合は,緻密に焼結させるために1250~1400℃の高温で焼成する必要があり,エネルギーの消費を削減することは困難である。焼成プロセスにおけるエネルギー消費量の削減のため、カオリンと炭酸カルシウムの混合物を利用した1000℃以下で緻密に焼結する低温焼結磁器素地を開発した。焼成方法の簡易化と焼成時間の短縮化をめざし,家庭用電子レンジを用いた低温焼結磁器素地の迅速焼成について検討した。その結果,家庭用電子レンジを利用した焼成でも電気炉焼成と遜色のない140MPa以上の強度を発現できた。
  • 原田 達也, 江木 俊雄, 高田 潤
    セッションID: 1F19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    島根県西部地域で生産される石州瓦の原料の一つとして島根県浜田市金城町一帯に分布する風化花崗岩の利用を検討しており、現行瓦粘土に風化花崗岩を配合した配合粘土の乾燥時の反り特性を評価している。本研究では、風化花崗岩中に含まれる管状のハロイサイトが配合粘土の乾燥時の反りに及ぼす影響について検討した。その結果、現行瓦粘土および風化花崗岩配合粘土では土練機の押出口の位置に依存して反り量が増大し,風化花崗岩配合粘土の方が著しい.他方, ハロイサイト配合粘土では押出口の位置が0mmにおいて他の試験体よりも反り量が大きいものの, 押出口の位置に依存せずほぼ同じ反り量となった.
  • 杉山 友明, 田原 和人, 山本 賢司, 盛岡 実, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    下水道施設では微生物が生成する硫酸により,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの劣化が問題となっており,補修材料も含めて優れた耐硫酸性材料が切望されている。アルミナセメントは耐硫酸性材料として期待されており,補修材として使用するためには,ポリマーエマルションを混和した,ポリマーセメントとして利用される可能性が高い。既に,著者らはポルトランドセメント系ポリマーセメントの複合化機構としては,ポリマーフィルム形成と粒子分散性が重要であることを報告している1)。本研究では,アルミナセメントを用いたポリマーセメントの複合化機構と,耐硫酸性について検討を加えた。
  • 小泉 公志郎, 露木 尚光
    セッションID: 1F22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    特殊な手法により開発したケイ酸水溶液と市販の水酸化カルシウムによるケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)の合成を試みた。 研究の結果,急速なポゾラン反応によりC-S-Hが生成していることが分かり,強度発現を有する硬化体の作製が可能であった。
  • 依田 侑也, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    セメント系材料における重金属の固定化に関しては、セメントの水和・硬化反応とともに、周囲環境に与える影響を考慮する上で重要であり、特に重金属の代表であり、セメント中に多く含まれる六価クロムの固定メカニズムをコンクリート廃材中の再生微粉等の利用を考える場合には、明らかにする必要がある。本研究では、高炉スラグを多量に含有したセメントに流動性改善に効果のある石灰石微粉末(LSP)を添加した系における生成物と六価クロム固定化メカニズムについて検討を加えた。なお、本研究は再生微粉を利用する際にも重要な知見を与えるものと思われる。
  • 大宅 淳一, 平野 壮哉, 三五 弘之, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    アルミネート相の水和物であるAFm相は、さまざまな陰イオンをイオン交換反応により層間に取り込むことが知られている。このアルミネート相は、混和材として用いられている石灰石微粉末中の炭酸イオンを取り込んだAFm相であるカルシウムアルミネートモノカーボネート水和物(以下Mc)を生成する。本研究は、Mcのイオン交換反応の検討として、McにCaCrO4を添加して、クロム酸イオンの固定状態を検討することとした。実験で用いたMcは、固相合成したCa3Al2O6と炭酸カルシウムから水和合成した。なお、水和後にXRDによりcalciteが完全に消失していた。そこで、Mc 1molに対して、クロム酸カルシウム(CaCrO4・nH2O,n=0.3)を0-2.00 molの範囲の割合で混合した。この固体混合物の1 gに対して20 mLの蒸留水を加えて、42日間撹拌した。所定期間終了後、固液分離した。XRDパターンより、McはCaCrO4添加量の増加に伴い減少し、一方calciteが生成した。なお、添加量が0.25-1.00の範囲で2θ=10.5および21.1°付近に特異的なピークが現れたが、クロムおよび炭酸イオンを含むAFm相であると思われる。
  • 松井 久仁雄, 小川 晃博, 松野 信也, 菊間 淳, 綱嶋 正通, 石川 哲吏
    セッションID: 1F25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    放射光X線を用いたその場X線回折により、水熱下におけるトバモライトの生成反応のメカニズムを解析した。原料として、粒度の異なる3種類のシリカ源と試薬水酸化カルシウムを用いた。これらと水を水/固体比:1.5で混合し、底部に水をためた圧力容器に設置し、190℃での反応過程を調査した。粒度が最も小さいシリカ(平均粒径2.2ミクロン)を用いた系では、トバモライトが生成せず、擬結晶質C-S-Hが生成した。他の2試料ではトバモライトの生成が認められ、その生成速度はシリカ原料の粒度に著しく影響された。
  • 宮下 康彦, 杉山 友明, 新 大軌, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    高層RCや高靭性材料の基盤技術としてReactive Powder Concreteなどの超高強度コンクリートについて多くの研究がなされている。これらを用いたプレキャスト部材を利用することを考えると、オートクレーブによる水熱反応の利用が有用であると思われる。本研究では超高強度セメントすなわち超低水粉体比の試料を用いて、反応時間を変化させ水熱反応および加熱養生を行った場合の水和生成物や各種構成化合物の条件下で異なる養生条件で生成したセメント硬化体について反応率を測定し、水銀圧入法により測定した硬化体の細孔径分布と関連させ検討を加えた。
  • 鈴木 浩明, 新 大軌, 大塚 拓, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
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    フライアッシュ(以下FA)は現在セメントクリンカー原料として多量に利用されており、CO2削減のための混合材として期待されている。ポゾラン反応による長期強度の増進、アルカリシリカ反応の抑制などの長所があるものの、初期反応の遅れや品質のばらつきなどが問題とされている。本研究では異なったキャラクターのFA5種類を用いて中長期的な反応、特にフライアッシュのポゾラン反応性に着目して検討を行った。また養生温度のポゾラン反応性に及ぼす影響についても検討を加えた。ガラス化率とブレーン値はFAの反応率と関係があること考えられる。
  • 佐川 孝広, 名和 豊春
    セッションID: 1F29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,セメント系材料の定量分析手法として,X線回折リートベルト法が発展してきている。本研究では,普通セメントおよび高炉セメント硬化体について,定量分析手法としてのリートベルト法の適用に加え,解析において精密化された結晶構造に関するパラメータから,生成した水酸化カルシウムの結晶形態の評価を試みた。水酸化カルシウムの格子定数および単位格子体積の経時変化により,普通セメントでは,材齢初期に粗大な水酸化カルシウムが生成し,材齢の経過とともに六角板状結晶の底面が成長した微細な結晶が生成すること,高炉セメントでは結晶形態の変化はあるが生成する結晶の大きさは一定の値で推移することがそれぞれ確認された。
  • 杉山 友明, 新 大軌, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    現在、数nm~20μmまでの多孔体の空隙構造解析には主に水銀圧入法が用いられている。しかし、今後、このような有害物質を利用した分析手法が恒久的に利用できる可能性は環境負荷の観点から低い。また、劣化したコンクリート等の脆弱な硬化体では、測定中に硬化体組織が破壊され空隙構造を正しく解析できないことも指摘されている。新たな空隙構造解析手法として、多孔性材料中の空隙水の凍結・融解温度が空隙径によって異なる現象を利用し、その吸熱・発熱挙動をDSCにより分析して空隙構造を解析するサーモポロメトリーが注目されている。本研究では基礎的な材料としてセラミックス多孔体を使用し、サーモポロメトリーによる空隙構造の解析について水銀圧入法と比較し、検討を加えた。
  • 井ノ川 尚, 山下 純成, 安藤 重裕, 野村 博史
    セッションID: 1F31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    流動層セメント焼成システム(以下、FAKS)は、炉内の均一な粒子混合状態と一様な温度分布により、他の炉型式に比べ優れた反応効率を有する革新的なセメント製造技術である。カワサキプラントシステムズ_(株)_(現 川崎重工業_(株)_)は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の国際石炭利用対策事業において、中国山東省に1,000t/日のFAKSを建設し、その性能確認のため試験製造を実施した。この研究ではFAKSにて製造されたクリンカーを用いて、化学分析、リートベルト解析及び反射顕微鏡観察を実施した。試料はFAKSの安定稼動中に採取され焼成状態は概ね良好であったが、原料化学組成による影響及び焼成条件による影響を受けた特徴が認められた。
  • 安斎 剛史, 新 大軌, 李 元準, 坂井 悦郎
    セッションID: 1F32
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    セメント産業が排出する二酸化炭素量を大幅に削減する手段として、セメントクリンカーを高炉スラグなどの混合材で置換するといったが方法があげられる。高炉スラグを60~70%以上含有する高炉スラグ高含有セメントでは高性能AE減水剤などの化学混和剤を用いた系では水和遅延の低減のため、スラグの粉末度を上げる、石灰石微粉末を添加するなどの方法が必要であるといった報告がある。本研究ではそれらが高炉スラグ高含有セメントの水和反応や材料特性に及ぼす影響について議論した。水和生成物は高炉スラグの粉末度では変わらずAFt,C-S-H,CHでありわずかながらAFmも確認された。石膏量を減らすとAFmがより多く生成し、石灰石微粉末を添加した場合ではAFmがヘミカーボネイトに変化した。
  • 山内 紹裕, 新 大軌, 坂井 悦郎, 池尾 陽作
    セッションID: 1F33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    解体コンクリートのリサイクルにおいて、粗骨材の利用技術は確立されているが、発生する再生微粉の処理が問題とされている。本研究では解体コンクリートから得られる再生微粉について、分級処理を行うことにより、高炉スラグ高含有セメントの刺激剤としての可能性について検討を加えた。また、得られた再生微粉をサーマル処理した場合の効果についても検討を行った。
  • 後藤 誠史, 浅賀 喜与志, 鯉渕 清
    セッションID: 1F34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    スラグの水和反応における水和生成物の検討を行った。コンダクションカリメータ、XRD, 熱力学データなどを用いて検討した。スラグの溶解度は、AFt、AFmの中間にあり、スラグの水和反応では、AFmが生成しにくいことが確められた。
  • 榎本 尚也, 木村 純平, 稲田 幹, 田中 優実, 北條 純一
    セッションID: 1G17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    溶液合成における多様なプロセス因子の中で、見過ごされがちな因子が生成物に多大な影響を与えた例として、均一沈殿法による酸化亜鉛ナノスクリュー合成およびStoberプロセスによるシリカ球合成の例を紹介した。弱アルカリ~中性におけるナノスクリュー生成には、ガラス容器からのケイ素及びアルミニウム成分溶出が主要な役割を果たした。シリカ球合成において、出発溶液のエイジ(溶液を作製してからの経過時間)は粒径と単分散性を顕著に増大させた。
  • 山下 誠司, 渡辺 秀夫, 白井 孝, 藤 正督
    セッションID: 1G18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    当研究室では、層状複水酸化物を前駆体として用いた液相法による酸化亜鉛マイクロチューブの新規合成法の開発、検討を行っている。酸化亜鉛マイクロチューブのような中空構造を持つ粒子は、高比表面積、低密度、物質内包性などの特性を持つため断熱材、軽量材、複合材などの幅広い分野での応用が期待されている。本合成手法では、前駆体である層状複水酸化物[Znx(OH)10-yCly-H2O]が液相中での溶解再析出を起こす事で、ロッド状及びチューブ状の酸化亜鉛粒子を合成する事に成功している。。しかし、現状ではその形成メカニズムや合成条件の詳細についてはまだ不明な点が多く存在している。本発表では、反応により生成した前駆体の結晶構造及び組成、加熱時の結晶構造安定性と、液相中における加熱時の粒子形状及び結晶構造の経時変化について報告する。
  • 董 暁麗, 黄 昀昉, 殷 しゅう, 佐藤 次雄
    セッションID: 1G19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    酸化亜鉛は光触媒、カソード発光体、化学センサー、紫外レーザー材料等、幅広く利用されている。酸化亜鉛ナノ・マイクロ結晶の形態・配列の高次制御は重要であり、バルク材料にないスマートな機能の発現が期待される。本研究では、溶液反応を用い、アルミニウムをドーピングした酸化亜鉛の合成と形態制御について検討し、電気伝導性などの物理化学特性評価を行った
  • 細野 英司, 徳永 毅志, 上野 慎太郎, 緒明 佑哉, 今井 宏明, 周 豪慎, 藤原 忍
    セッションID: 1G20
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    ZnOは種々の機能材料として研究開発されており、特性向上のための形体制御も盛んに研究されている。また、ナノスケールでの形状・形態を制御するために、界面活性剤を用いた溶液法による機能性無機材料の合成法が研究されている。本研究では界面活性剤としてCTAC(セチルトリメチルアンモニウム=クロリド)を用いて、ZnOの溶液合成プロセスを行い、ZnOが特異な成長を遂げることを見出した。そこで、成長メカニズムの解明を目指して種々の条件にて合成を行い、得られる形態との関係を考察した。
  • 上野 慎太郎, 藤原 忍
    セッションID: 1G21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
     ワイドギャップ半導体の色素増感光化学過程を利用した色素増感太陽電池(DSSC)は,低コスト・低環境負荷等の点から次代のエネルギー源として期待されている.DSSCは透明導電性基板/酸化物半導体/色素からなるアノードと電解液およびカソードから構成されるが,動作中のアノード近傍では多くの物質移動や電荷移動が起こっているため,電池性能は特にアノードの微細構造に強く依存する.そこで我々は,アノードの微細構造制御による電池性能の改善に取り組んでいる.バンドギャップ3.37 eV を持つn 型半導体の酸化亜鉛(ZnO)は形態制御が容易であり,電極の微細構造をデザインするにあたって有利である.本研究では均一沈殿法の化学反応を利用してアノードを作製している.この方法は,尿素の加水分解により放出されるOH–によって系のpHを制御し,亜鉛源を含む水溶液から基板上に前駆体である層状水酸化炭酸亜鉛(LHZC)膜を得るもので,原料である亜鉛塩のアニオン種に応じて膜の微細構造が変化することが分かっている.今回はギ酸亜鉛二水和物を原料に用いて,新たな形態を持つLHZC厚膜の作製を試みた.この膜を焼成すると,LHZC膜の形態を保ったままZnO膜へと変化する.これにN719色素を吸着させたところ,4%を超える変換効率を示した.
  • 諸 培新, 金 仁華
    セッションID: 1G22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    1988年、中国合肥工業大学応用物理専攻卒業;1991年、中国科学院光電技術研究所光学材料専攻修士;2002年、名古屋大学工学研究科物質化学専攻博士を取得。その後、日本学術振興会外国人特別研究員を経て、2005年財団法人川村理化学研究所に就職、現在に至る。研究趣味は機能性ナノ材料、有機無機複合材料、ナノ構造体の制御、環境・エネルギー関係新材料など。主任研究員
  • 上川 直文, 松本 貴彬, 小島 隆, 掛川 一幸
    セッションID: 1G23
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
     硫化亜鉛(ZnS)は代表的な蛍光体材料であり、金属イオンのドープによりその蛍光発光特性の制御が可能である。本研究では、エチレングリコール(EG)が遷移金属イオンに強く配位し、粒子の成長や凝集を抑制しナノ粒子の分散の安定性を向上させる機能に着目した。そこで、水溶液中で調製したZnS沈殿をEG中にて解膠し再分散させる非常に簡便な方法により、Mn2+およびCu2+ドープZnSナノ粒子分散ゾルが得られた。特に、Mn2+ドープZnSゾルの場合は特有のオレンジ色の蛍光発光を示した。Cu2+ドープの場合は沈殿生成用水溶液にカルボン酸イオンを添加することで蛍光発光特性を改善することができた。
  • 細川 三郎, 上垣内 啓介, 井上 正志
    セッションID: 1G24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    イットリウム酢酸塩とアルミニウムイソプロポキシドのグリコサーマル反応により得られた合成直後のY3Al5O12に355 nmの励起光を照射すると400-500 nmに幅広い発光が観察された。しかし、本発光は800 ℃以上の温度で焼成した試料では観察されなかった。また、これらの試料をリートベルト解析したところ、合成直後の試料では酸素欠陥およびAl欠陥が認められたが、800 ℃以上で焼成した試料ではそれらの欠陥は解消されていた。以上の結果から、グリコサーマル合成して得られたY3Al5O12の特異な発光は、格子中の欠陥サイトに起因しているものと考えられる。
  • 桑谷 俊伍, 梶原 浩一, 金村 聖志
    セッションID: 1G25
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    シリカガラス中の希土類イオンの分散性を向上させる方法として希土類イオンとともにリンを添加する方法が知られているが、リン酸などの典型的なリン化合物は、溶液中で希土類イオンと不溶性の沈殿を生じる。ゆえに、希土類イオンとリンが共ドープされたシリカガラスの液相合成はこれまで報告されていない。本講演では、ゾル-ゲル法により、希土類イオン-リン共ドープシリカガラスの作製に成功したので報告する。 希土類元素としてテルビウムを用い、POH結合を持たないリン源を用いることで均一透明な前駆体溶液が得られた。この溶液は半透明または不透明なゲルとなりその後の焼成によって透明なガラスとすることができた。テルビウムイオンはSiに対して最大2at.%ドープすることができた。
  • 安下 千裕, 加藤 英樹, 垣花 眞人, 上田 恭太
    セッションID: 1G26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    水溶性ケイ素化合物を用いた溶液法により作製した酸化物前駆体をアンモニア流通下で焼成することで、ほぼ単一相のBa3Si6O12N2:Eu2+を合成した。得られた Ba3Si6O12N2:Eu2+は、固相法により作成した試料と比較して約1.5倍の発光強度を示した。
  • Jihae Kim, Satoko Tezuka, Hideki Kato, Masato Kakihana
    セッションID: 1G27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    In the search of new phosphor, Eu2+-activated aluminosilicate series was prepared by solution based parallel synthesis combined with polymerizable complex method along with the use of water soluble silicon (WSS). Among the MAlSixOy:Eu2+(M = Li, Na and K) series, Eu2+ activated NaAlSixOy with x = 0.5 (blue), 1 (yellow-green) and 1.5 (yellow-green) were discovered with emission peak maxima at 473nm, 553nm and 552 nm, respectively.
  • 石田 兼基, 片桐 清文, 河本 邦仁, 冨田 恒之
    セッションID: 1G28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    現在、蛍光ナノ粒子はバイオイメージング等の分野で応用が期待されており、さかんに研究されている。しかし、量子ドット等の蛍光ナノ粒子は、励起光である紫外光が生体組織への透過性が低く、また原料として人体に有害であるカドミウムを含んでいる点で課題も多い。これに対し、生体組織への透過性が高い近赤外光を励起光源とするアップコンバージョン(UPC)蛍光体が注目を集めている。本研究では、液相プロセスで有機溶媒中に分散可能なオレイン酸修飾UPC蛍光ナノ粒子を合成し、さらにこれを脂質膜で修飾することにより、水系溶媒に対して安定に分散可能なUPC蛍光ナノ粒子の合成を試みた。原料として各元素の塩化物を用い、有機溶媒で還流してオレイン酸修飾NaYF4:Yb/Er粒子を合成した。得られた粒子が980 nmの近赤外光で可視光の蛍光を発することを確認した。さらに、この粒子を脂質膜で被覆することで水系溶媒に安定に分散することも確認した。
  • 片桐 清文
    セッションID: 1G29A
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、液相プロセスによる無機材料の合成と有機分子の自己組織化を巧みに組み合わせることで、従来の有機-無機ハイブリッド材料の開発を行った。脂質類似構造を有するオルガノアルコキシシランを合成し、その加水分解/重縮合と自己組織化によって、細胞膜類似構造とシリカ類似表面を有する「セラソーム」の開発に成功した。このセラソームは従来のリポソームにと比較して極めて高い構造安定性を示した。 また、コロイド粒子をテンプレートとした交互積層法で外部刺激に応答して内包物を放出するマイクロカプセルを開発した。TiO2を用いることで紫外線応答カプセルを、磁性ナノ粒子を用いることで磁場応答性カプセルの作製に成功した。
  • 榊原 孝記, 若林 隆太郎, 河原 一文, 末木 俊輔, 清水 功雄, 黒田 一幸
    セッションID: 1G31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/30
    会議録・要旨集 フリー
    重合可能な多重結合を有する新規オルガノアルコキシシランを合成した。合成したオルガノアルコキシシランを前駆体とし、ゾル‐ゲル反応を経てシリカ‐有機ハイブリッドを得た。得られたハイブリッドのFT-IRスペクトルは、多重結合を保持しつつ、シロキサン骨格を形成したことを示した。また、XRDパターンにおいて、低角度に単一のピークを観測したことから、得られたハイブリッドがナノスケールの周期性を有することが示された。さらに、真空中での加熱により、得られたハイブリッドが有する多重結合の重合についても検討した。
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