新生児期にChloramphenicolを大量に使用すると, 重篤な副作用を生ずるということは, 既にBUNS等1~4) によつて報告されている。この成因については, いわゆるAgranulocytosisというような中毒症状ではなく, 新生児期における腎機能の低下と, 肝解毒機能の低下に, その主因があるといわれており, Gray syndromeと呼ばれている5) 。
このような副作用に関連して, 未熟児ではChloramphenicolの血中濃度が非常に高値に達するということが, WEISS等5, 6) によつて発表されている。しかし, WEISS等5, 6) は, Chloramphenicolのactiveおよびinactiveのものを合わせて, 血中のnitro compoundsとして全量を測定している。
藤井7) らの抗生物質微量測定法の確立によつて, 新生児においても, ごく僅かの血清で, 抗生物質の血中濃度の測定が可能となつた。私達はこの微量測定法を用いて, 新生児および未熟児を含む小児の血中のactiveなChloramphenicol を生物学的に測定したので, ここに報告する。
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