Chloramphenicolの実験的細菌感染症に対する効果は, 人血から採取したγ-Globulinの併用によつて, 著るしく高められる。それは, 両者が共同的に作用し, それぞれの効果を相乗的に高め, 著るしい治療効果を発揮するといわれる (FISHER1), WAISBREN2) および堀田3, 4))。
私共では, このFISHER等の研究によつてみとめられた治療効果を充分に発揮し得る新らしい製剤を求めて釆たが, その結果, γ-GlobulinとChloramphenicolを混合凍結乾燥し, 両成分の不活性化がみとめられないで, Chloramphenicolの分散状態を良好に保つ新製剤を得た。
このものは, Chloramphenicolとγ-Globulinをアルコール中から共沈澱させ, 水に対する親和性を高めた乾燥製剤であるが, 我々はこれを`グロブリン-C'となづけている。その製法の概略を第1図に示す。
筆者は, このグロブリン-Cを使用して, それの細菌感染症に対する動物実験的効果を検討して来たが, この結果が, 先の研究者の実験結果と一致することを確認している5) 。その後, 引継いて数多の供試品を諸大学研究室ならびに諸医家に配布し, その動物実験的および臨床的治療効果の検討を依頼したが, ここでも同様に, グロブリン-Cの顕著な効果をみとめ得た。
本実験では, 市販されているChloramphenicol製剤2種とグロブリン-Cとを使用して, それぞれの製剤を人体に投与したときの血中濃度の推移について比較検討した結果を報告する6)。
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