The Journal of Antibiotics, Series B
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9 巻, 1 号
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  • 田中 譲
    1956 年 9 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    B. subtilisの産生する抗生物質として, 現在まで報告されたものには, Antibiotic X. G(1),: Bacillomycin(2), Eurnycin(3), Mycosubtilin(4), Bacitracin(5), Bacilipin A及びB, Bacilysin(6), Endosubtilysin(7), Globisin(8), Subtilin(9), Subtilysin(10), Subtenolin(11), Subtilin C(12), Xanthellin(13), 等がある。
    近時, 病原性真菌類に対する抗生物質の発見が急務とされ, 数多の新抗真菌性抗生物質を生み出した。しかしながら, それらは大多数Streptomyces属のつくり出す物質であり, 細菌類のりくるものは極めて少く, 臨床上に用いて効果の認められているものは少ない。
    ここに報告する新抗真菌性物質B-456物質は, 枯草菌に属する1細菌のつくるもので, 現在までに報告された抗真菌性抗生物質とはその性質を異にし, 別に報告(29)したように, その臨床成績の結果に照らしても, 今後の研究と相俟つて, かなり期待し得るものと思われる。
  • Brevolinの化学的研究
    元村 裕
    1956 年 9 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    私はB. brevis (B-451) の産生する1新ポリペプチド性抗生物質を分離してBrevolinと命名し, 抗菌像, 抽出法, 安定性, 毒性及び2, 3の化学的性質について, 先に第1 (1) 報に報告した。Gramicidin, Gramicidin S, Gramicidin Jについては, いずれも環状構造をなすことが知られ, CONSDEN, GORDON, MARTIN (2)(3)(4)(5) 及び大谷, 斎藤 (6) 等によつてその構造が明らかにされた。これらのポリペプチド性抗生物質の化学性状を探求することは, これらの物質の作用機作および毒性, 抗菌力の生体との関係を明らかにする上においても必要であると考えられる。
    Brevolinは, 第1報に報告したように, Serine, Glutamin酸, Ornithine, Glycine, Valine, Tyrosine, Leucine, Arglnine, Histidineの9種のアミノ酸よりなるポリペプチドである。以下, このポリペプチド構造に関する化学的研究を報告する。
  • Brevolin誘導体の毒性及び抗菌作用について
    元村 裕
    1956 年 9 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    微生物の産生する抗生物質の分離は数多くなされたが, 有芽胞細菌では, Polymyxin, Bacitracin等が実用の域に達しているのに過ぎない。これは単に生物学的活性が少ないという理由のみでなく, その多くは体内の毒作用が強いことに起因しており, これがどのような機作にもとずくものであるかを探究することは, 興味あることと思われる。私がB. brevis(B-451) から分離した物質“Brevolin”は, 第1報及び第2報にその詳細を発表したように, グラム陽性, 陰性細菌および抗酸性菌等に広範な抗菌力をもつが, その毒性はマウス腹腔内注射によりLD50=12.32mg/kgというかなりの毒性を示すため, 実用には供せられない。そこで私は, これに対し化学構造上になんらかの変化を与え, その結果, 抗菌力や毒作用にどのような変化がおこるかを検討し, その変化を帰納的, 化学的に探求することによつて, 抗菌力及び毒作用がBrevolin分子内のどのような構造に起因するか, 且つまた, その毒作用と抗菌力の相関々係を明らかにし, ひいては抗菌力を損わずに無毒化できる1つの手掛りができるのではないかと考え, 次の実験をおこなつた。
    Brevolin分子中に存在するアミノ酸は, Ornithine, Histidine, Serine, Glycine, Glutamic acid, Tyrosine, Valine, Leucine, Arginineの9種であり, これらのうち最も生物学的活性に影響をもつものと考えられる基は, 本物質中の遊離アミノ基であるOrnithineのδ-アミノ基, Histidineのグリオギザリン核, Arginineのグアニヂノ基, TyrosineのPhenol性水酸基であるが, 反応性基としてはいずれの基も選択的に作用する試薬がなく, 反応性基を1つ1つ検討してゆくことは不可能である。ヨードはHistidineのグリオギザリン核とTyrosineに由来するPhenol核に対し特異的であり, また, LI(1)はTyrosineのヨード化はHisitidineのヨード化速度よりも30倍~100倍早く, 試薬が過剰に存在し, 反応時間が長い時のみHistidineがヨード化されることを指摘している。また, ホルマリンが細菌毒素に作用して, これを無毒化することは早くからヂフテリア毒素のトキソイド化において認められ, 抗生物質においてはLUWIS, SCHALLES, MANN (2)(3) によつてGramicidinをホルマリンで処理することによつて, その毒性の低下の著るしいことを報告されている。本邦においても, 西村(4)が抗生物質の溶血能力の不活性化について報告している。そこで私は, 先ずホルマリン, ヨードの誘導体をつくり, その作用を検討した。
  • ペニシリン醗酵培地中のフェニール酢酸の定量について
    喜井 晴夫
    1956 年 9 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    私は先に, フェニール酢酸の新微量比色定量法を考案して報告したが(1)(2), この方法によつて, ペニシリン醗酵培地中のフェニール酢酸 (PAA) を定量するに当つては, ペニシリンG, PAA近接体, 各種アミノ酸等が本反応に種種の影響を与えることが考えられる。そこで予備実験としてこれらを検討し, 本法によつて得られる値はほぼPAAのみによるものと考えて差支ないという結果を得た。
  • 1956 年 9 巻 1 号 p. 22
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 束村 道雄, 三浦 幸二
    1956 年 9 巻 1 号 p. 23-25
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    結核菌におけるStreptomycin (SM) 耐性の発現がpara-aminosalicylic acid (PAS) によつて阻止されることは, GRAESSLE & PIETROWSKI(1)(1949) がin vitroで実験し, 次いでTEMPEL, et al.(2)(1951) が臨床的に確めた。しかしその後, SM-PAS併用療法でもSM耐性の出現を遅延させても阻止できないことが分つた (Medical Research Council(3)(1952); DANIELS, et al(4)(1952); ROSS(5)(1952); 国立療養所協同研究班報告(6)(1954))。
    またisonicotinic acid hydrazide (INAH) 耐性が, PAS併用によつて阻止されることも報告されている (Co-L & Eacute;TOS(8)(1953); Medical Research Council(9)(1953); 沼田(10)(1954); Tuberculosis Chemotherapy Trials Committee(11)(1955))。PASの併用がSM耐性を遅延させることは疑いのないところであるが, PAS耐性が既に存する時ににはSM-PAS併用をおこなつても, PAS感性の場合よりも容易にSM耐性が出現することが知られている (Medical Research Council(12)(1953))。INAH-PAS併用の場合も, 同じようにPAS耐性の存在時には容易にINAH耐性が出現するといわれている (沼田(10)(1954); 芳賀(13)(1954)) 。
    そこでこの報告ではSM-PASまたはINAH-PAS併用療法における耐性の出現形式を観察し, より有効な耐性阻止方法を得ることを目的とした。
  • Sarkomycin Activityに関する知見について
    古武 彌久, 仁井田 太郎, 猪原 健夫
    1956 年 9 巻 1 号 p. 26-28
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sarkomycinの本質は抗癌力にあるので, 製造時各工程の検定も抗癌力を主体としておこなうのが理想である。しかし, 現在これについて適当な方法がなく, 従がつて抗癌力と抗菌力とは平行関係にある理由に基ずいて, 専らS. aureusによるCup-plate法で力価を求め, それから抗癌力を推定し, 最終的には25日間を要する動物試験によつて決定する方法がおこなわれている(1)。最近各種試料の検定結果を見ると, Cup法の抗菌力は必ずしも抗癌力と一致しないものがあり, 抗菌力測定法としてはCup法は適切でないことを推測させたので, その測定法に種々検討を加えたところ, 振盪培養法を併用したDilution assayの結果が動物試験による抗癌力との関連も密接であり, Cup法に代つてSarkomycin研究上有用な方法となるものと考えたので, 以下, 本法の概略ならびにSarkomycin activityに関する若干の知見を報告する。
  • 水野 民也, 大橋 正明, 酒井 昭美, 藤部 史郎
    1956 年 9 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 植物病症に対する予防治療剤としての抗生物質に関する報告も多く, Streptomycin, Antimycin, Actidione, Antiblastin等については, 既に圃場試験の段階まで進展している。これら抗生物質に関する研究は, 植物体表面に撒粉または噴霧する方法によるものが多いが, 根部からの吸収によつて予防または治療効果を期待する全身予防剤としての研究も進展し, 鈴木等(3)はAntiblastinの稲熱病に対する全身予防効果を認め, 植物ホルモン的効果も期待できることを報告している。DILLER(4), BONDE(5), MITCHELL(6)等もin vitroでの成功を報じている。更に, LOCKHEAD及びLANDERKIN(7)は, 土壤中の90種の徴について検討し, その交互作用から微生物学的平衡について報告し, WEINDLING(8)はTrichoderma lignorumの発育が柑橘類の立枯病を防止すると報告している。GOTTLIEB及びSIMINOFF(9)は, アルファルファの乾草を土中にすき込むとStreptomyces venezuelaeのChloroamphenicol生産が増加し, tryptoneの添加で更に増大すると報告し, YOUNG(10)等はXylaria multiphxin vitroで樫の立枯病の生育を完全に阻止すると報告している。
    しかし, これらの報告は殆んどが室内実験の域を出ず, 実用化は今後の研究にまつよりほかない。Trichomycin(1)(2)はSclerotinia属の大型分生子時代といわれるCandidaに対して顕著な阻止力を持つ点からみて, 植物病予防治療剤としての効果が期待できるので, 数十種の植物病原菌についてその効果を検討し, うち20数種についてin vitroで予防治療剤としての効果を認めたので, ここに報告する。
  • 1956 年 9 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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