Streptomyces erythrochromogenesの産生する抗癌物質であるSarkomycinの発見が, 国立予防衛生研究所梅沢博士等1)2)3) (1953) により報告されたが, 現在までにSarkomycinは結晶として単離されておらず, また構造式も決定されていない。定量法としては本抗癌物質が, 同時に抗菌作用を示すことが発見者等により明かにされ, 試験菌として
M. pyogenes var. aureus 209 Pを用いて, Agar diffusion methodにより定量されるのが唯一の方法であるが, 該法による感度は低く, 通常Penicillinの約1/7,000であり, 定量誤差も大きいものと思われる。
著者等はより感度の高い, 測定法の比較的簡便な化学的定量法に関し研究をおこなってきたが, 本品の構造式が未映定のため, 先ず次の反応試験を試みた。即ち, Biuret反応, 坂口反応, Xanthoprotein反応, Molish反応, Feh1ing液試験及びPhenol試薬による反応をおこなったが, いずれも (-) であり, またmicro-Kjeldahlによる窒素も殆んど感じなかった。
従がって, SarkomycinがAnthrone試薬によって, Polyhydroxy alcohol, Protein, Vitamin C等と同様に赤色の反応を示すことを知り, これを利用して比色定量法の確立を試みたので, その結果を報告する。
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