ストレプトマイシン (SM) 耐性菌の出現に関する遺伝学的機序に関して, 2説の存在することは既に述べた (1)(2)。突然変異による高耐性菌の出現は, 特に大腸菌では高率に出現するが, この突然変異による耐性菌の出現 (3) が唯一のものでなく, 淘汰的に作用しないSMの低濃度に
Sal. Enteritidis 1891を継代することによつても耐性菌の出現がみられるので, SM自身が細菌に対し変異を誘導する作用を有している。
細菌を培養する場合には, 菌の分裂増殖に伴なつて少数の耐性菌が突然変異によつて生じ, この際, 培地中に菌の発育を阻止しない程度の低濃度のSMが存在すれば, SMの誘導変異作用によつても変異菌が生ずるので, この突然変異ないしSMによる誘導変異をなくして, SMと細菌との相互作用による細菌のSMに対する適応現象を観察するには, 細菌を分裂増殖しない状態におくことも1方法であるとされている。
そこで私は, resting cellとして定常期及び誘導期の菌を用い, 以下のような実験をおこなつたので報告する。
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