The Journal of Antibiotics, Series B
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12 巻, 6 号
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  • 加藤 博, 千葉 輝男, 松原 宏, 横沢 宗治, 松本 圭祐, 丹野 恭子, 白取 治, 伊藤 政志, 石田 名香雄, 黒屋 政彦
    1959 年 12 巻 6 号 p. 391-397
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗癌性の放線菌濾液を効率高くえらび出すに当つて,(1) なるべく拾いおとさないようにすること,(2) laboriousでないことという2条件は, まず満足されねばならない。次にまた, えらび出したものの数があまりに多く,(3) つまらぬ濾液 (例, 抗かび物質) を多くひろつて精製するの愚はまたさけなければなるまいが, このためには多くのscreening trainingを要する。ただし, 最初の2つの条件がscreeningをおこなうのに際して, まず正面きつて考えるべき第1の基本線と思われる。
    第3の条件の吟味は, 更に複雑である。たとえば, 秦の主唱するEHRLICH腹水癌のSmearのcytological findingにweightをかけた方式が, 梅沢の主唱するprolongationにweightをかけた方式にくらべて重量単位あたりの毒性は高いが・かなり抗癌性のつよい濾液をえらび出し, またSloan-kettering方式のtumor spectrumを満足する物質を得るといつたevaluationが現段階でのべられている1) が, まだこれからの長い将来をまつて慎重に決定されるべきことと思われる。
    我々は最近, 抗癌性濾液のscreeningをかなり徹底的にすすめることを決意したが, その際まず1つの手段としてHeLa細胞に対するcytotoxic effect (CTE) をしらべることとした。すなわち, EAGLE2) がのべたように, すべての既知抗腫瘍物質が多くの組織培養細胞にかなり無選択に, 且つ非常に高い毒性を示すという事実は, 梅沢の下で新田3) がおこなつたHeLaに対する各種抗腫瘍物質の効果などを念頭におき, また我々がVirus学領域においてこの細胞の示すcytopathic changeの多彩さを熟知していることをも考慮に入れれば, 非常に便利な実験系と思われたし, 実際に各種抗腫瘍物質のdifferentiationを容易にしうる形態的特徴のあることを知つた4)。
    また, HeLaと同時に秦の方式に従がつてEHRLICH癌2日の腹に濾液を注射し, 3日目にSmearをつくつてcytological examinationをもおこなつた。この方式も, 本文で述べるように, HeLaでは得られない特徴をもつている。
    今回は, 最初にしらべた200株の濾液についての成績をまとめてみた。この200株のうちからは, 従来未知の抗腫瘍物質と思われるものも, 或る程度精製行程に入つており, それらについては続報の予定であるが, この論文では方法論の検討という意味で批判を仰ぎたいと思う。
  • 柴田 元雄
    1959 年 12 巻 6 号 p. 398-400
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1957年福島県猪苗代湖の湖岸の土壌から分離されたNo.43797株は, 竹尾結核研究所との抗結核菌物質のスクリーニングにおいて, Streptomycin (SM) 耐性結核菌に無効, 感性結核菌に有効で, SM群の抗生物質を生産していることが予損ざれた。この菌を培善して有効物質を抽出, 精製した結果, SMと確認され, 本菌がSM生産株の1株であることがわかつた。従来, SM生産株として報告された菌種は,S. griseus1),S. bikiniensis2),S. olivaceus3),S. mashuensis4),A. globisporus streptomicini5) がある。このうち,S. mashuensis以外の菌種は, 培養上の特徴を異にするが形態的にはいずれもstraightまたはtuftの気菌糸を生ずるgroupの菌である。S. mashuensisは形態的に, いわゆるreticuli-groupの菌で, 気菌糸はwhirlを形成する。これに対して, No.43797株は気菌糸がspiralを形成し, 培養上の特徴および炭素源の利用性も異なつた性質を示し, SMを生産する上記の各菌種とは明らかに別の菌種であり, 文献未記載の新種とみとめられるのでStreptomyces rameus, n. sp.と命名した。
  • 矢野 成敏
    1959 年 12 巻 6 号 p. 401-404
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penicillinの発見以来, 化学療法の進歩は目覚しく, 各種抗生物質の投与による細菌感染症の治療効果は驚異的な成績を収めている。上気道ならびに肺感染症に対してもまたすばらしい効果があげられているが, 慢性に経過するものまたは再発を繰返えすものなど治療に困難を感じるものも少くない。
    私は上気道ならびに肺感染症について, 喀痰中に出現する菌種および化学療法実施中の喀痰の菌の推移と化学療法との関係について考察をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 矢野 成敏
    1959 年 12 巻 6 号 p. 405-408
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 薬剤耐性のブドウ球菌感染症が多く, 殊に薬剤耐性ブドウ球菌による敗血症は死亡率の高いことで問題となつている1, 2)。当院においても, 最近, ペニシリン (PC)・ストレプトマイシン (SM)・テトラサイクリン (TC)・3重耐性のブドウ球菌敗血症4例を経験した。この4例の菌は, いずれもクロランフェニコール (CP)。エリスロマイシン (EM) に感受性であり, EM・CPの併用療法をうけ, うち3例が治癒または軽快した。
    FC・SM・TC耐性ブドウ球菌による敗血症の治療には, EMが最も有効な薬剤の1つにかぞえられるが, EM単独使用では耐性獲得の司能性が大きく, これは人体においても試験管内においても同様である3)。そこで, 耐性獲得阻止のために併用療法が望まれ, 結局残るCPが選ばれることになろう。このEM・CP併用療法はPC・SM・TC耐性ブドウ球菌敗血症に対して現在用いうるよい治療方法の1つである。私はEMとCPの併用効果の有無およびEMの耐性獲得阻止に対するCPの効果の有無について試験管内実験を試みた。なお, 同時にSM・CPの組合わせについても実験し, EM・CPの組合わせと比較した。
  • 市ノ沢 昭光
    1959 年 12 巻 6 号 p. 409-415
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリンの発見と相次ぐ抗生物質の出現によつて, 各種疾患の治療は革命的の進歩をもたらしたが, 往々にして病因菌を明らかにすることなしに, 各種の抗生物質を用いることと, 結核, 梅毒等の長期治療の止むを得ない事情等によつて, しばしば菌交代現象30) の様相を示す症例がみとめられている。現在では, 広範囲抗生物質療法によつて治癒した後に, 理由のない発熱等が続く場合には, 菌交代現象によるCandida症を疑うことは常識となつて来た。従がつて, 患者の排泄物等, すなわち尿, 喀痰, 胆汁, 血液, 糞を培養してCandidaの有無を検査する必要がある。殊に, 男子の尿, 婦人のカテーテル尿からCandidaが検出されることに意義がある。
    1946年, 抗カビ性抗生物質Actidioneの発見以来, Antifungal antibioticsは内外国において, 現在までに48種の多きにのぼるに到つた。殊に, 吾国においては, Chromin (1952, 若木ら) 2), Flavacid (1952, 高橋) 3), Rotaventin (1952, 細谷ら) 4), H-2075物質 (1952, 細谷ら) 5), Trichomycin (1952, 細谷ら) 6), Mycelin (1952, 相磯ら) 7), Microcin A, B (1952, 平ら) 8), Eurocidin (1953, 中沢) 9), Mediocidin (1954, 岡見ら) 10), Toyokamycin (1954, 菊地ら) 11), Eurotin (1955, 細谷ら) 2), Akitamycin (1957, 細谷ら) 13), その他12種類14~24) ほどの報告がある。
    1954年, 米国Rutgers大学のVINING, TABER, GREGORYら26)は, 種々のStreptomycesの菌体および培養濾液から抽出されるAntifungal antibioticsをPolyene系抗生物質とよび, 紫外線吸収の極大値から推算し, 二重結合の数によつてTetraene antibiotics (Fungicidin-rimocidin-chromin group), Pentaeneantibiotics (Eurocidinakitamycin-group), Hexaene antibiotics (Mediocidin-flavacid group), Heptaene antibiotics (Trichomycincandicidin-ascosin-eurotin group) に区別した。
    このように, Tetraene, Pentaene, Hexaene antibioticsは, 血清等によつて不活性化されるので, 生体内では, その効力を発揮できないのが欠点である。Trichornycin groupは血清によつて不活性化される程度が少いから, 治療効果26)が期待できる。
    著者は1955年以来, 細谷省吾東京大学名誉教授指導の下にAntifungal antibioticsの研究に従事していたが, 細谷, 添田, 岡田, 藤田2)(1955) が発見したStreptomyces griseusに近い菌株 (H-5592株, H-5598株) の培養菌体から抽出された抗真菌性抗生物質Eurotin, 更に精製されたEurotin A28)(1956) を用いて, 実験的Candida症の治療実験をおこない, 興味のある成績が得られたので報告する。
  • 福島 正夫, 市ノ沢 昭光
    1959 年 12 巻 6 号 p. 416-419
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    トリコモナス膣炎および腟カンディダ症は, 非常に広くひろがつた, 治りにくい煩わしい病気である。従来, 多くの薬剤が治療薬として用いられているが, たとえ一過性の効力を現わすものがあつても, 完全に根治させるものはなかつた。
    細谷教授およびその共同研究者1)~9) によつて1952年に発見された抗原虫・抗真菌性抗生物質トリコマイシン (Trmと略) は, 試験管内においても生体内においても, また臨床的にもトリコモナス腟炎および腟カンディダ症にも強い抗生作用をもつことが報ぜられた。続いて, 真柄ら10)~11), 安藤ら2), 水野ら13)~14), 山元ら16), 木下ら17) および篠塚ら18) によつてTrm腟錠はトリコモナス腟炎および腟カンディダ症に治療効果のあることが相ついで発表された。しかし近来, Trm腟錠投薬中止後に, トリコモナスおよびカンディダの腟内再現に関する検査が精密におこなわれるようになり, Trm腟錠の投与の開始後, 比較的短かい日数の後に腟から消滅することは事実であるが, それらの一部は尿道または膀胱内に逃避し, 投薬中止後, 腟内にTrmが全くなくなると, 再び尿道膀胱から下降して腟粘膜に到達し, 再び増殖し再発が起る。すなわち自家再感染があることが明らかにされ, 真柄らは, Trm腟錠およびTrm内服錠の併用療法によつて自家再感染に非常に好結果を得たことを報告した。
    著者等も, 一定期間Trm腟錠およびTrm内服錠の併用療法を施行し, 遠隔成績としてトリコモナスおよびカンディダ消失後から数カ月後におよんで培養・鏡検し, 主として再発の有無について検査した結果, 非常に好成績を得られたので報告する。
  • 実験的研究
    張 南薫
    1959 年 12 巻 6 号 p. 420-426
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penicillin (Pcと略) は主に注射によつて与えられて来たが, これは従来のPenicillinが酸に対して不安定であるため, 内服後に胃酸によつて分解され, 吸収が不完全で, 高い血中濃度が得られず, 従がつて治療効果を期待でき難かつたためである。
    従来, 内服用のPenicillinとしては, 緩衝Penicillin G, Benzathine penicillin G, Pyrimidine penicillin G等の諸型剤があるが, 高い血中, 臓器内濃度を必要とする感染症では, やはり注射用Penicillinに頼つており, これら内服用製剤は比較的軽症の治療を対象として来た。ところが, 昨今Penicillinの注射による重症アナフィラキシ一様シヨックのような副使用が出現し, ここに再び安全な内服Penicillinの検討がおこなわれるようになつた。すなわち, 米国における第3回抗生物質年次大会において, この問題が検討され, 内服Penicillinによる副使用出現率が低く1), 殊に, 1948年BEHRENS等2) によつてBiosynthesicによつて作られたPhenoxymethylpenicillin (Penicillin V) は酸に対して安定で, 内服後の吸収が確実で, 血中濃度も高いことがみとめられ, 内服Pcによる治療は, Pc Vを中心として大きく発展した3~13)。しかし, その後, 内服Pcによつても時に重篤な副作用のあることが報告され14~16), 全く安全に投与できるものではないことがわかつたが, 注射に比較すると, その発現は確かに少く1, 17~19), 内服Pcの安定した吸収によつて高い血中濃度を得ることができるならば, 臨床効果を期待し得, 内服Pcの産婦人科領域における役割は大きいと考えられる。
    本邦においても, 内服Pcの吸収, 排泄, 臨床成績については既にいくつかの報告があるが14~22), 実験的に動物について各種内服Pcの血中濃度の比較, 消化管各部位からの吸収状態, 併用薬剤や各種条件下における吸収状態について報告したものは少なく, 特に吸収後の臓器内濃度を比較検討した報告はほとんどない。
    更に, 臨床的に産婦人科領域において内服Pcの吸収, 血中濃度, 特に婦人の各種臓器内濃度について検討し, 産婦人科領域の感染症に対する臨床効果を検討した報告は全くない。本研究は, 各種内服ペニシリンについて, 実験的ならびに産婦人科領域における臨床的研究をおこなつたものである。すなわち, 第1編においては, 実験的に動物について内服Pcの血中濃度を比較し, 消化管各部位からの吸収, 薬剤併用時および各種条件下の吸収状態, 臓器内濃度を検討し, 動物に対する治療実験の成績について述べる。
  • 臨床的研究
    張 南薫
    1959 年 12 巻 6 号 p. 427-435
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第1編においては, 家兎, ラッテを使用し, 数種類の内服ペニシリンの生体内移行について実験的研究をおこない, 血中ならびに諸臓器への移行を確認し, その消長の一端を知り得た。また, 生体側の各種条件やBenecid併用の内服ペニシリンの吸収に及ぼす影響を検索し, 興味ある結果を得た。更にマウスを使用して内服ペニシリンにょる治療実験をおこない, 治療効果を確認した。本編においては, 臨床的に人体について内服ペニシリンの生体内移行を検討する一方, 産婦人科感染症に対する内服ペニシリンの治療成績について述べる。
    産婦人科領域における本剤の臨床報告は僅かに水野22), 34), 青河35)の報告があるのみで, 詳細な研究報告は未だこれをみない。
    私は各種内服ペニシリン投与後の血中濃度を比較するぼかりでなく, 胎盤, 絨毛組織, 骨盤内臓器, 胎児循環, 母乳等への移行状況も検索した。
  • 富岡 竜雄, 西堀 篤, 相川 清
    1959 年 12 巻 6 号 p. 436
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 真下 啓明, 黒田 善雄, 清水 喜八郎, 原田 敏雄, 大河内 一雄, 畠山 正己, 国井 乙彦, 山田 栄八郎, 陣立 恒夫
    1959 年 12 巻 6 号 p. 437
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1959 年 12 巻 6 号 p. 438-442
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1959 年 12 巻 6 号 p. 442
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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