日本地球化学会年会要旨集
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G1 大気とその境界面における地球化学
  • 高橋 嘉夫, 近藤 裕介, 吉田 舜太郎, 末岡 優里, 栗栖 美菜子, 増田 曜子, 松井 洋平, 妹尾 啓史, 山口 瑛子
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 1-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    スメクタイトなどの粘土鉱物は、環境中に普遍的に存在し様々な反応に関与する。特にスメクタイト層間への陽イオンの吸着については多くの研究がある。一方、スメクタイトの8面体層中に存在する鉄(Fe)のFe(II)とFe(III)の価数変化に由来する酸化還元反応について実際の環境中での役割を議論した研究は少なく、特に大気中での化学成分や化学反応への影響は、殆ど研究がない。本研究では、スメクタイトによる酸化還元反応が大気化学に与える影響について、(研究1) スメクタイトによる水田土壌中の酸化還元反応の緩衝作用によるメタン生成の抑制、および、 (研究2) スメクタイトによる大気中の+4価の硫黄(S)の硫酸イオンへの酸化反応、に関する萌芽的成果を紹介する。

  • 高田 幸太郎, 角皆 潤, 中川 書子, 伊藤 昌稚, 佐藤 晋太郎, 亀山 宗彦
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 2-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    メタンは一般に嫌気的環境で生成され、好気的環境で酸化分解されるという特徴をもつ。しかし海水は表層水を中心に大気平衡よりもメタンが過剰に溶存してており、古くからこの矛盾は「メタンパラドックス」と呼ばれてきた。本研究は炭素同位体比に加えて水素同位体比を測定し、外洋海水中の過剰メタンの供給源の解明に挑戦した。表層海水中の試料の多くは大気平衡状態と比べてメタンが過飽和となっていることが確認出来た。海水中の過剰メタンの水素同位体比を求めたところ、平均-54.7 ‰となった。そして、本研究が世界で初めて明らかにした過剰メタンの水素同位体比値は、平均-29.4 ‰となった。本研究で観測した高い水素同位体比は沈降粒子内の還元環境下で生成したメタン酸化的な海水中に放出される過程で進行した酸化分解に伴う残渣効果が原因であると考えられる。

  • 豊田 栄, 笹川 基樹, 町田 敏暢, 遠嶋 康徳, 吉田 尚弘
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 3-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    北半球中高緯度においてN2Oアイソトポキュル比の緯度・高度分布と長期変動を明らかにし,N2Oの発生・消滅動態を解析することを目的とした定点観測を行った。沖縄・波照間島(高度47m)およびロシア・ノボシビルスク上空(500 mおよび7000 m)で2005年から2022年までの期間において,濃度の増加に対応してバルク窒素同位体比(d15Nbulk)は約0.05‰/年,酸素同位体比(d18O)は約0.03‰/年で減少した。一方15N-site preference (SP, NNO分子内中央と端のNについてのd15Nの差)は,有意な長期変化は認められなかった。長期変動傾向を詳細に解析したところ,ノボシビルスクでは2010-2016年にN2O濃度の高度差の増加および各高度におけるアイソトポキュル比の短期的変動がみられ,地表発生源や成層圏起源N2Oの寄与率変化が示唆された。

  • 田中 祥太, 栗栖 美菜子, 飯塚 芳徳, 名取 幸花, 高橋 嘉夫
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 4-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    大気中に浮遊する粒子であるエアロゾルの化学的性質は、人間活動や自然環境の変化を記録しており、特に過去のエアロゾルはアイスコアなどに保存されている。本研究では、近代以降の人間活動の影響がエアロゾルの化学的性質にどのように現れるかを解明するため、1800年以降の記録を高解像度で残すグリーンランド南東ドームのアイスコアを用いて、亜鉛の化学種と同位体比の分析を進めた。亜鉛などの微量金属の化学種や同位体比は、排出起源等を推定する有力なツールであるため、過去に例のなかったアイスコア試料に対して応用した。亜鉛の化学種では、硫酸亜鉛など人為起源のガスと大気中で反応した化学種を検出した。また、亜鉛の同位体についても進捗を報告する。

  • 栗栖 美菜子, 田中 祥太, 飯塚 芳徳, 名取 幸花, 高橋 嘉夫
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 5-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    産業革命以降、人為的な活動により鉄や亜鉛などの微量金属元素が大気に排出され、大気中の雲水形成過程や、海洋沈着後のプランクトンの増殖度合いなどに影響を与えてきた。本研究では鉄に着目し、大気中の微量金属元素の沈着量や大気中での性質の変遷を明らかにするために、グリーンランド南東ドーム(SE-Dome II) アイスコアに保存されたエアロゾル中の鉄の濃度・化学形態・水溶性を経年・季節的に復元した。特徴的な点として、1970年頃に鉄溶解性が極大となり、その後現在にかけて減少する傾向が見えた。これには大気中の酸性物質のフラックス変化に伴う鉄の溶解反応の度合いの変化や、鉄の排出源の変化などが関係していると考えられる。

  • 定永 靖宗, 松木 篤
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 6-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    中国をはじめとした東アジア地域では、大気汚染物質の排出量が減少傾向にあるが、その減少率は物質によって異なり、近年では窒素酸化物由来の越境汚染の相対的な重要性が高まっている。我々は約15年前から能登半島珠洲市において、総反応性窒素酸化物、ガス状硝酸と粒子状硝酸の和である無機全硝酸、オゾン、一酸化炭素等の通年連続観測を実施している。本講演では、これまで珠洲において実施してきたこれら越境大気汚染物質の長期連続観測結果について報告する。

  • 渡辺 幸一, 樋掛 辰真, 中西 彩水, 中澤 暦, 酒徳 昭宏, 田中 大祐
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 7-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    立山・室堂周辺で採取された着色表層雪試料では、未ろ過状態で冷蔵保存している間にpHが大幅に低下し(pHが5から3程度に)、硫酸イオン濃度が大きく増加する現象がみられた。一方で、ろ過した試料についてはpHの低下(硫酸イオン濃度の増加)はみとめられなかった。試料をろ過したフィルターについて、SEM・EDXで観察、元素分析を行ったところ非水溶性の硫黄が有意に存在していることが確認され、室堂近郊に存在する弥陀ヶ原火山の噴気孔である地獄谷由来によるものと考えられた。未ろ過で冷蔵保存中に硫黄酸化細菌による(未酸化状態の硫黄成分からの)硫酸生成が起こっていた可能性が考えられる。なお、他地域で採取された着色雪試料については、冷蔵保存中の大幅な硫酸イオン濃度増加やpHの低下は認められず、保存中の硫酸生成は室堂周辺など火山噴気の影響を受けやすい地域に限られた現象であると考えられる。表層雪試料(未ろ過)中の水銀濃度は通常の降水や4月の室堂平の積雪中の濃度よりも2桁以上高く、硫黄などと同様に、火山由来の非水溶性の粒子状水銀も融雪期の表層雪中に大きく濃縮しているものと考えられる

  • 牧 輝弥, 石川 輝, 五十嵐 康人
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 8-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    バイオエアロゾル(大気微生物)は,雲の核として雲形成を促すことで,放射や降水に間接的に影響を及す一方で,海洋に沈着すると,有機物分解者やプランクトンの炭素源として物質循環にも関わっている可能性がある。本講演では,「バイオエアロゾルが大気・海洋動態に関わっているかもしれない」と考えられるようになった観測調査や室内実験の研究成果についてお話する。

  • 崔 羽皓, Miyazaki Yuzo
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 9-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    Fatty alcohols (FAs) are major components of surface lipids in plant leaves and serve as surface-active organic aerosols, which can act as primary biological aerosol particles. This study aims to elucidate the specific plant species as a dominant source of secondary FAs (SFAs) in aerosols, based on simultaneous samplings of size-segregated aerosols and plant leaves at Tomakomai experimental forest in different seasons. Among five SFAs identified, n-nonacosan-10-ol was the most abundant compound in aerosols. The concentrations of n-nonacosan-10-ol were the highest in spring, with its peak diameter > 7.2 μm. n-nonacosan-10-ol was also identified in the needle leaf samples of Abies sachalinensis (conifer), mainly in the non-esterified form. The overall results suggest that plant waxes in the needle leaves can act as source of aerosol SFAs, and that the emission strength is controlled by the phenology of the leaf and the local wind speeds.

  • 伊藤 彰記, 川名 華織, 當房 豊, 宮川 拓真, 竹谷 文一, 松本 和彦, 金谷 有剛
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 10-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    地球温暖化対策の枠組みを取り決めた「パリ協定」では、産業革命以前から将来に起こりうる気温上昇を2度未満に抑えるという目標を掲げている。しかし、地球温暖化を予測する最新の気候モデルでは、エアロゾル・雲相互作用による放射効果が適切に表現されていない。そのため、過去の気温再現実験でエアロゾルによる冷却効果をどの程度強く見積るかによって、将来、2度を上回る年が数十年異なって予測される。その一因として、「北極海上空の混合相雲」や「南大洋上空での低層雲」の生成・維持メカニズムの理解不足が挙げられる。それらのように陸から遠く離れた海洋大気中では、海表面から放出されるバイオエアロゾルが雲特性に影響を及ぼし、気候へと影響を与えることが仮説として提案されている(Wilson et al., 2015)。そこで、海洋大気における氷晶核の生成メカニズムの解明が、このようなエアロゾル・雲相互作用の理解不足を補うと考えられる。大気化学輸送モデルとしては、「IMPACT」を用いた(Ito and Miyakawa, 2023) 。この数値モデルに海洋と陸域エアロゾルの氷晶核を予測する数式を適用した。海洋由来の数式として、高い推定値(Wilson et al., 2015, hereafter as W15)と低い推定値(McCluskey et al., 2018, hereafter as M18)を見積もる手法を用いた。本研究では、海洋地球研究船「みらい」上で、ハイボリューム・エアサンプラーを用いて捕集された海洋大気エアロゾルの観測結果を用いて、数値モデルを評価した。さらに、その数値モデルを用いて、海洋と陸域のエアロゾル発生源に由来する氷晶核数濃度の数値結果を解析した。北太平洋では、W15を用いた場合に観測データと良い整合性が、見かけ上、得られた。一方、現状の数値モデルでは、M18を用いた場合に氷晶核数濃度を北太平洋で過小評価した。しかし南太平洋では、W15を用いた場合には氷晶核数濃度を過大評価した。一方南太平洋で、M18を用いた場合に観測データとより良い整合性が得られた。先行研究により、陸から遠く離れた南大洋域では、同様な結果が得られており、現場観測に基づいてW15より確かな手法としてM18を採用した。ここで北太平洋では、M18を用いた場合に氷晶核数濃度を過小評価した結果から、海洋由来のエアロゾルよりも、高い氷晶核形成能を持つ陸域起源のエアロゾルの寄与の重要性が示唆された。従って、海洋大気における氷晶核の生成メカニズムの解明のためには、陸域起源のエアロゾルの氷晶核数濃度をより正確に見積もることが重要となる。

  • 渡辺 泰士, 出牛 真, 吉田 康平
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 11-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    完新世中期および最終間氷期には地球軌道要素が異なる値をとり、産業革命以前よりも温暖な気候が実現していた。完新世中期には、日射量の緯度季節分布の違いによって引き起こされる南極域の成層圏オゾン分布の変化と関連した南半球の偏西風の弱化が南大洋の海氷の縮小を引き起す可能性が指摘されている(Noda et al., 2017)。本研究では、MRI-ESM2.0(Yukimoto et al., 2019)を用いて、完新世中期に加え最終間氷期の成層圏オゾン分布を推定した。完新世中期条件では先行研究と整合的な南極域の成層圏オゾン層分布が再現された。南半球の偏西風は完新世中期も最終間氷期も南半球冬に上部成層圏で強まった。これは先行研究とは逆の結果であり、先行研究で示唆された海氷縮小のメカニズムは機能せず、むしろ日射量変化に対する成層圏の気温変化が当時の偏西風の強度に影響している可能性が示唆された。

  • 坪井 彩紀, 石野 咲子, 川上 薫, 服部 祥平, 藤田 耕史, 浜本 佐彩, 的場 澄人, 飯塚 芳徳
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 12-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    過酸化水素(H2O2)は、オゾンやOHラジカルと並び、大気中で酸化剤として働く成分の一つである。大気酸化剤は、温室効果ガスの酸化除去やエアロゾル生成に関わるため、その濃度や生成・消失プロセスの理解は、大気中の物質循環の理解における重要な課題である。大気酸化剤は、人間活動による排出によって変化してきたと考えられているが、産業革命以降から現在までの連続した観測データは存在しない。これに対し、アイスコア中のH2O2濃度は、大気酸化力の変動に関する情報が抽出できるプロキシとして期待されている。本研究では、グリーンランド内でも涵養量が多く(> 1 m w.e. yr-1)、H2O2のような半揮発性成分の保存性が良い南東ドームコア(SE-Dome IIコア)を主軸に、全4地点のアイスコア中のH2O2濃度を比較し、産業革命以降の長期変動要因の理解に取り組んだ。

  • 大納 涼雅, 森 智晴, 山崎 雄太, 赤堀 泰晟, 茶谷 通世, 中西 彩水, 和佐田 有希, 渡辺 幸一
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 13-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    ヘリコプターを利用した富山県射水市上空の大気観測を行った。寒候期では、二酸化硫黄濃度に対して過酸化水素濃度が低く、上空においても酸化剤が不足している状況であった。ただし、ホルムアルデヒド濃度が比較的高く、ヒドロキシメタンスルフォン酸塩が生成されやすかったやすかったと考えられる事例も観測された。夏季では、通常、二酸化硫黄濃度よりも過酸化水素濃度が高く、二酸化硫黄の液相酸化が促進されやすい状況であったと考えられる。2023年6月25日および2024年6月14日に実施した上空観測においても過酸化水素濃度が十分に高く、暖候期の中部日本上空では二酸化硫黄濃度に対して酸化剤が十分に存在しているものと考えられる。ただし、西之島由来の火山噴煙の影響を受けていた2020年8月の観測時では過酸化水素が大きく消費されていた。

  • 大森 裕子, Uning Royston, 谷本 浩志
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 14-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    大気中に分布する揮発性有機化合物(VOC)の放出源のひとつに、海表面に形成される厚さ1 mm以下の微薄層であるマイクロレイヤーが知られる。しかし、マイクロレイヤーにおけるVOCの生成過程やその放出量の情報はわずかである。そこで本研究は、マイクロレイヤーを用いた培養実験を実施し、VOCの主要な生成過程である海洋微生物による代謝活動と太陽光照射による有機物の光化学反応の寄与とVOC放出量を評価することを目的とした。その結果、マイクロレイヤーからの硫化ジメチルとアセトアルデヒドの放出量の大半は微生物活動に起因した。一方、アセトンの生成要因は、下層海水では光化学反応が100%を占めたが、マイクロレイヤーでは光化学反応が約70%で約30%は微生物活動による生成と見積もられた。このことから、マイクロレイヤーでは光化学反応だけでなく微生物活動もアセトンの生成に寄与することが示唆された。

  • 中川 書子, 山口 圭一, 松本 佳海, 三歩一 孝, 伊藤 昌稚, 角皆 潤
    専門分野: G1 大気とその境界面における地球化学
    p. 15-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    本研究では、20年ほど前からpHの上昇が始まり、中性化することによって湖内の一次生産をはじめとした生物活動が年々活発化している可能性が予想される猪苗代湖(福島県)において、2022-2023年に湖水調査を実施して湖内の総硝化速度や総同化速度などの窒素循環速度を三酸素同位体組成法(Tsunogai et al. 2018)を用いて定量化し、これを2014-2015年の結果と比較することで変化の実態を解明した。その結果、猪苗代湖の一次生産は活発化しているが、硝化は未だに活発化しておらず、湖水中に豊富だった窒素栄養塩の多くは有機態窒素となって堆積物に蓄積しているものと考えられた。

G2 環境地球化学・放射化学
  • 陈 玖斌
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 16-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    As one of the most important reservoirs of mercury (Hg) on earth, ocean plays a crucial role in mediating the global cycling of Hg. Mercury undergoes complex migration and transformation processes between multiple interfaces of the ocean. Recently, Hg stable isotope approach has shown great advantages in studying the biogeochemical cycling of oceanic Hg, from tracing sources and processes to reconstructing paleoenvironment and paleoclimate. Here, we overviewed the accurate analytical methods for measuring Hg isotopes in different marine samples, summarized the reported Hg isotope dataset in seawater, sediment/particulate, and biological samples, and comprehensively analyzed the fractionation mechanisms of Hg isotopes and their potential applications in tracing marine Hg cycling. We found that 1) Hg isotope data in seawater and marine particles are very limited, 2) marine Hg isotope fractionation mechanisms, especially mass-independent fractionation mechanisms remain unclear, (3) studies on Hg transfer in marine food chain and Hg exchange amongst reservoirs are constricted only by limited Hg isotope data in single Hg species, thus with great uncertainity, and (4) reconstruction of

  • 丁 跃飞, Liu J.
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 17-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    嫌気性環境の中で溶解Fe(II)加速できる亜ホメオスタシスの鉄の化物(如水鉄鉱)に热力学より安定した鉱物相転換。本研究では、いくつかの代表的な有機配位子がこの変換プロセスにどのような影響を与えるかを調べました。結果は、有機配位子が変換プロセス全体の複数の段階で影響を及ぼすことを示しました:i) 錯体形成を通じて Fe(II) イオンの還元電位を変化させ、水鉄鉱表面の吸着サイトを占有すると、Fe(II)-水鉄鉱の電子移動プロセスに影響を与える。ii) 不安定な中間体 Fe(III) と錯体を形成し、システムの有効過飽和度を低下させますが、これは二次鉱物の核形成には役立ちません。iii) 二次鉱物の結晶核の表面に吸着し、表面エネルギーと核形成障壁を変更します。有機配位子のこのような働きは、自らの官能基の数や二次鉱物表面の吸着構造に直接関係しています。この結果は、より複雑な自然環境における準安定鉄 (オキシ水) 酸化物の変換を理解するための新しい視点と方法を提供します。

  • 森井 志織, 蓬田 匠, 中田 正美, 岡 壽崇, 北辻 章浩, 高橋 嘉夫
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 18-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    本研究の目的は、環境中における粘土鉱物構造中のFeと共存元素の酸化還元を理解することである。そのため、多様な酸化還元電位(Eh)-pH条件における粘土鉱物構造中のFeの酸化状態を調べている。鉄が含まれる粘土鉱物(ノントロナイト)を特定のEh-pH条件に制御した電気化学セル内で電解し、電解中に流れた電荷量からFeの酸化状態を調べた。その結果、同じEh条件の環境において、pHの違いが粘土鉱物構造中のFeの酸化状態に影響を及ぼすことが明らかになった。

  • 宇都宮 聡
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 19-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    福島第一原発から環境中に放出された高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)はメルトダウン時に炉内で形成され、その内部に炉内で起きた反応の痕跡を残している。我々は最先端分析法を用いて(i)CsMPに含まれる燃料デブリ片を初めて検出し、燃料デブリ主成分のウラン酸化物の結晶構造、熱履歴を明らかにした。また、CsMP内部に含まれるウラン238/235同位体比が理論計算結果よりも低燃焼度を示し、デブリ中の不均質な同位体組成を示した。(ii) デブリ片のプルトニウム同位体比とミクロな存在状態をめて決定することに成功した。(iii) CsMPに含まれるホウ素―リチウム同位体組成分析に成功し、メルトダウン時に制御棒が揮発した直接的証拠を示した。上記以外の結果も総合的に評価し、メルトダウン時の現象に対する新しい真実を示す。

  • 大鳥 慎治, 藤田 知樹, 阿久津 崇, 塩澤 佳奈子, 鈴木 究真, 杉本 亮, 長尾 誠也
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 20-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    2011 年 3 月 11 日の東京電力福島第一原子力発電所事故により、放射性セシウムが大気中・海洋中に放出された。群馬県の山岳湖沼、赤城大沼における湖水中の全放射性セシウム濃度は、他の湖沼水系に比べ減少傾向が緩やかであることが報告されている。その原因は湖沼の閉鎖性による低い湖水交換能と夏季底泥からの放射性セシウムの溶出が関与している可能性が考えられている。先行研究により、夏季の底層水で放射性セシウム濃度が増加し、堆積物からの放射性セシウムの溶出が示唆された。本研究では、夏季と同様に成層化が進行する冬季について、2022~2024年に赤城大沼底層水中の放射性セシウム濃度を調査した。その結果、底層の酸化還元に伴う放射性セシウム濃度の増減が確認された。

  • 古荘 皓基, 板井 啓明
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 21-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    天然湖とダム湖は代表的な停滞性水域で、表層付近での生物生産が活発であり、流域の栄養塩や微量金属を堆積物へ除去する役割が認識されている。しかし、天然湖とダム湖は、形成年代や水文学的特徴の差から、流域の元素挙動に対して異なる影響を与える可能性がある。本研究では、関東地方各地に分布する複数のダム湖を対象に、一次生産の主たる制限因子であるリン (P)に着目し、(1) 流入河川・ダム湖内・流出河川の水の化学分析、(2) 堆積物中鉄・アルミニウム水酸化物を対象としたPの選択的抽出、(3) 堆積物へのP吸着性の実験的評価、を実施した。

  • 時枝 隆之, 木持 謙, 牧野 隆平, 関根 希一
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 22-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    「富栄養状態にある湖沼の半数が大気に二酸化炭素を放出している」、という報告がある。大気に二酸化炭素を放出するためには、pHが低く、また無機炭素濃度が高く維持されていることが必要です。大気に二酸化炭素を放出している千葉県手賀沼について上記2点について検討したところ、・pHの低い河川水の注水とそれを維持するためのカルシウム粒子の形成・湖内で生産される有機物が分解されやすく速やかな無機炭素が再生が起こっており、そのため大気への二酸化炭素の放出を可能としていることがわかった。

  • 周藤 俊雄, 佐藤 佑磨, 平山 耕太郎, 大音 周平, 古荘 皓基, 丸本 幸治, 板井 啓明
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 23-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    水銀は金属元素であるが、高い揮発性や生物濃縮性から生元素と類似した挙動を示すため、陸域から海洋への物質輸送過程における水銀動態の理解は重要と考えられる。しかし、河川における水銀濃度の報告例は世界的に偏在しており、日本国内での報告例は乏しい。本研究では、北陸地域、三陸-常陸地域、東海道地域に分布する26本の主要河川を対象にサンプリングを実施し、溶存態水銀濃度を定量した。また、その変動要因に関して、国土交通省が提供する国土数値情報を用いた統計解析を実施した。

  • 原 宏江
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 24-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、その優れた化学的・熱的安定性から広範囲の産業用途で使用されてきた一方、水環境における高い残留性や人体および生態系への影響が問題となり、世界的に規制が進められている。既往研究により、一般的な浄水処理がPFAS除去にほとんど無効であることが分かり、活性炭吸着、陰イオン交換、高圧膜ろ過のいずれかの高度浄水技術が必須とされている。近年では、PFAS除去に特化した膜の開発が進展しており、カーボンナノチューブなど疎水性の高い材料を混ぜて吸着性能を高めた膜や、廃棄膜を塩素処理して透水性を高めたアップサイクル膜により良好なPFAS除去が報告されている。さらに、PFASの簡便かつ迅速な計測手法に関する研究では、オミクス技術の適用によりPFAS特異的な生体応答が明らかになってきており、バイオセンサーへの活用が期待されている。

  • 淵田 茂司, 加藤 聖也, 所 千晴
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 25-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    開発中および開発が終了した鉱山では,露出した鉱石が大気,水と接触することで有害な重金属を含む坑廃水が発生する。坑廃水に含まれる元素のうち,二価の溶存鉄 (Fe2+) およびマンガン (Mn2+) は酸化反応を介して沈殿除去される。坑廃水中のFe2+は鉄酸化細菌などの用いた技術が既に運用されている一方で,Mn2+は酸化速度が非常に小さく,効率的な処理技術は確立されていない。発表ではMnを含む坑廃水が発生する国内鉱山を対象に実施したMn処理試験結果をもとに,Mn除去速度における δ-MnO2の自己触媒反応と共存陰イオンの影響について説明する。

  • 田中 万也
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 26-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    Mn(IV)酸化物は、様々な元素を濃集することで環境中のホスト相となると同時に、水中に含まれる有害元素や放射性核種の除去剤となり得る。微生物の中には、無機的には非常に遅い二価マンガン酸化を加速させることでMn(IV)酸化物を形成する種が存在する。演者はこれまでAcremonium strictum KR21-2株(真菌)、Pseudomonas sp. NGY-1株(細菌)、Coprinopsis urticicola Mn-2株(真菌)の三種のMn(II)酸化菌を用いて研究行って来た。本講演では、これらの微生物種が形成するMn(IV)酸化物への微量元素及び放射性核種の吸着に関する研究成果を紹介する。

  • 徳永 紘平, 高橋 嘉夫, 香西 直文
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 27-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    人形峠環境技術センターの堆積環境場でのヒ素やウランの移行素過程を明らかにした。室内実験や放射光XAFS分析より、天然の堆積環境にてヒ素はferrihydriteやgoethite等の水酸化鉄へ吸着・共沈され、水圏での挙動が制限されることが分かった。

  • 益田 晴恵, 中屋 眞司, 山川 茜, 岡崎 香生里
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 28-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    紀伊半島から〜四国にかけて土壌中水銀の濃度と安定同位体比を分析した。これまでに報告した大阪平野周辺の土壌中水銀濃度と合わせて600点を超える地点で濃度分布をマッピングした。その結果、中央構造線より南の紀伊半島中央部から四国に水銀濃度の高い地点が帯状に分布していた(中央値:198µg/kg;平均値:275µg/kg)。また、これまでに分析した10試料の水銀同位体比は大阪平野の断層直近の地下水中の水銀安定同位体比とほぼ同じか、それよりも小さい値の範囲(d202Hgで-2.5 ~-0.4 ‰)にあった。また、光化学反応や生化学反応による質量非依存型の同位体分別作用は見られなかった。これらのことから、地質由来の水銀が気液分離などによる分別作用を伴って地表に放出されていると推定された。

  • 山口 瑛子, 高橋 嘉夫, 奥村 雅彦
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 29-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    地球上に広く存在する黒雲母鉱物は、風化作用によって粘土鉱物に変質し多くの陽イオンを吸着できるようになるが、その詳細は未解明である。本研究では、特に鉄(Fe)の電子状態に着目し、X線吸収端近傍構造(XANES)の実験およびシミュレーションを組み合わせることで、黒雲母の風化作用における素過程を明らかにすることを目指した。実験では、黒雲母試料を人工的に風化させ、様々な風化の程度を持つ風化黒雲母試料を作製し、それらのFe-K端XANESを測定した。一方シミュレーションでは、風化によって引き起こされる反応を仮定して黒雲母と風化黒雲母のモデルを作製し、それらに含まれるFe原子のXANESスペクトルを計算した。実験とシミュレーションの結果は整合し、黒雲母の風化においてFeが酸化される様子が明らかになった。

  • 伊藤 茜, 諌本 和士, 谷水 雅治
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 30-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    Crは, 表層環境でCr(VI)とCr(III)の二つの価数で存在し, 酸化的かつ中性pH付近の陸水では易溶性のCr(VI)が安定である. Crの安定同位体比は, 主にCr(III)とCr(VI)の酸化数変化に起因して変動するため試料の酸化還元履歴を記録している. 海洋堆積物では, 岩石の酸化的風化によって同位体的に重いCr(VI)が河川に放出されるため, 高いCr同位体比が観測されると考えられているが, この解釈は酸化還元度や塩分濃度などの物理化学的条件が大きく変化する汽水域でも, Cr同位体比が保存的な挙動を示すことを仮定している. 本研究では, 汽水域におけるCrの地球化学的および同位体的挙動の理解のため, 高知県久万川および桜川において塩分勾配に沿ったCr濃度, 化学種, 同位体比の変動とその要因を調査した.

  • 張 典, 松中 哲也, ロドリゴ ムンド, 安倍 大介, 山口 珠葉, 伊藤 大樹, 長尾 誠也
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 31-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    本研究は、黒潮海域における有害な多環芳香族炭化水素(PAHs)の分布と輸送・動態過程を解明することを目的としている。黒潮は北太平洋西岸の重要な海流であり、東アジアの経済活動に伴い増加したPAHsが河川や季節風を通じて西部北太平洋に流出し、黒潮に乗って日本南岸の漁場に運ばれる可能性がある。2021年から2022年にかけての予備調査では、黒潮流軸域で溶存態PAHsレベルが高く、内側域で低いことが示された。2023年4月と8月に行った詳細調査では、O-line(御前崎沖定線)を中心として、黒潮海域に海水試料を採取し、粒子態と溶存態のPAHsを測定した。結果、黒潮流軸上で溶存態PAHs濃度が最も高く、東シナ海からのPAHs輸送効果が示唆された。今後、春季と夏季のデータを対比し、PAHsの時空間分布を解析する予定である。

  • 小室 凜, 杉本 亮, 勝見 尚也, 松中 哲也, 福士 圭介, 的場 澄人, 長尾 誠也
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 32-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    石川県小松市の木場潟では、水質汚濁の指標であるCODが基準値の3 mg/Lを常に上回り、1995年には全国で2番目に高い値を記録した。先行研究ではCODと溶存、粒子態有機炭素(DOC, POC)濃度に相関があり、有機物の動態を調べることが重要である。そこで本研究では2023年6-10月にかけて木場潟で8回の定期観測を行い、DOC, POC濃度と水質項目を測定した。その結果、8、9月にDOC, POC濃度が高く、植物プランクトンの増加が示唆された。2023年の夏季は小松市で過去最高気温40℃を記録し、8月の降水量は過去10年で最小であった。多雨であった2022年と比較して、小雨かつ酷暑の2023年8月にはDOC、POC濃度が約2倍高く、気温と降雨が影響していることが明らかとなった。

  • 夏目 花, 南 雅代, 池盛 文数, 片岡 賢太郎, 淺原 良浩
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 33-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    2020年1月に、国際海事機関(IMO)は、一般海域で使用される船舶用燃料の硫黄(S)分濃度を0.5%以下とする規制(重油規制)を設けた。重油燃焼で発生する金属元素としてV、Niが知られており、重油規制によりこれらの元素の環境中への排出量が低減していると考えられる。また、2020年4月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19) が拡大したことによる産業活動の自粛が見られ、人為起源物質の放出量が低減している可能性がある。本研究では、コロナ前の2018年の名古屋市のTSP試料のS濃度と微量金属元素濃度の分析を行い、2018年から2020年の3年間についてTSP中のこれらの濃度の変動と各元素の関係から、2020年の船舶用燃料の重油規制及びコロナ禍における産業活動等の変化によるTSP中の化石燃料起源物質の影響の変化を調べることを目的とした。本発表では、その結果について報告する。

  • 吉川 晴琉, 井上 佑華, 香月 興太, 谷水 雅治
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 34-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    環境への水銀放出における人為活動の影響を把握する上で、水銀濃度を時系列に記録している湖底堆積物は有用である。本研究では島根県宍道湖および中海湖底堆積物における水銀濃度を深さ方向に測定することで、年代ごとの水銀負荷起源を推定することを試みた。その結果、宍道湖および中海湖底堆積物における水銀濃度の時系列変化のデータには2つのピークが共通して観測された。1つ目は1930年代後半のピークであり、これは島根県山間部に位置する宝満山銅鉱山の鉱山排水が中海と宍道湖に輸送された際に、鉱石鉱物に含まれる水銀が流入した結果であると考えられる。2つ目は1960年代前半のピークであり、これは日本で1950 年から1970 年の間に水稲用殺菌剤として用いられていた酢酸フェニル水銀が斐伊川を経由して宍道湖および中海湖底に堆積した結果であると推測される。

  • 諌本 和士, 伊藤 茜, 山中 遼太郎, 谷水 雅治
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 35-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    クロム (Cr) は表層環境で主に+6価と+3価の2つの酸化数をとり, 酸化還元度や塩濃度など物理化学条件の変動が大きい汽水域では, 河川水-堆積物間のCrの挙動についての知見は乏しい。本発表では, 間隙水中の腐植物質との錯生成能が高い重金属元素とCrの溶存濃度の相関性,堆積物中のCrの存在形態を調査し, 汽水域における河床堆積物-間隙水間のCrの分配挙動について考察する。分析の結果, 間隙水中のCr濃度は河川水中のCr濃度よりも高く, 低いCr(VI)/全Cr比を示し, Cr(III)は一般的に堆積物表面に吸着され易いことから, Cr(VI)とCr(III)(aq)以外の溶存形態が支配的であることが示唆された。低いCr(VI)/全Cr比 (約 1%) を示した試料において, 限外ろ過 (10 kDa) を行った結果と, 腐植物質との錯生成能が高いCu, PbとCr濃度が高い相関係数 (>0.6) を示したことから, Crは腐植物質との錯体として溶存していることが示唆された。

  • 清水 大河, 杉本 優輔, 吉田 昂平, 秦 幹太郎, 中 譲太郎, 相坂 龍祐, 中条 武司, 益田 晴恵, 中口 譲, 大阪市立 自然史 ...
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 36-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    奈良県から大阪府を流下する大和川はかつて日本国内では最も水質が汚染された河川とされていた。その大和川に対して2002年から2005年にかけて大阪市立自然史博物館が主体となり、河川水系調査プロジェクトY大和川編が実施され生物及び水質の調査が行われた。2023年に再始動したプロジェクトY大和川編においては、2000年初頭に報告された主要イオン成分の経年変動の他、新たに微量重金属(Al、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Pb)や土壌から河川に供給される腐植様物質(フミン酸、フルボ酸)を調査項目に加え、大和川水質の変化や現状について報告する。2000年初頭と2023~2024年の濃度比較においては、硝酸イオンとリン酸イオンは2023~2024年でほぼ全地点で濃度増加が認められた。硝酸イオンについては1995年以降下水処理場においてこれまではNH4として放流していたものがNO3として放流する方式に変えられた結果と考えられる。硫酸イオンはほとんどの採水点で濃度が減少していた。

  • 田中 剛
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 37-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    石灰岩は、自然界に普遍的に存在する物質の中で、最も風化を被りやすい物質とされる。その見方は、地球化学的に、また鉱物学的には正しいと思われる。しかし、日本国内の地質や地形をよく観察すると、石灰岩体は、秋吉台・平尾台、舟伏山・四国カルストのように、山や台地を形成していることが多い。これは、石灰岩体が他の地質物質に比べて、総合的に耐風化性に優っていることを意味しているのではないだろうか?発表では、全国の石灰岩地質体の地形を展示する。

  • 村上 拓馬, 玉村 修司, 上野 晃生, 佐藤 聖, 猪股 英紀, 青山 秀夫, 山口 眞司, 冨山 眞吾, 五十嵐 敏文
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 38-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    ヨウ素(I)は医療・農業・工業などに広く利用される貴重な資源であり、チリ、日本、アメリカで90%以上が生産されている。日本の地下水に含まれるIの濃度は非常に高く、その起源は地層中の有機物とされているが、詳細は不明である。本研究では、北海道北部の地下水とそれを胚胎する岩石について、Iと臭素(Br)の分析を行い、地層内でのIの移行挙動を調査した。浅海性の鬼志別層および陸成層の宗谷夾炭層から得られた試料を用い、地下水と岩石中のBrおよびI濃度をそれぞれイオンクロマトグラフィーおよびICP-MSで定量した。結果、地下水と岩石中のI濃度は深度と共に増加し、相関関係が認められたが、Brには相関が見られなかった。これにより、Iは地下水と岩石間で吸着平衡状態にあることが示唆された。

  • 板井 啓明, 吉岡 純平, 田柳 紗英, 古荘 皓基, 周藤 俊雄, 黒田 潤一郎
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 39-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    海外では、2000年代序盤から様々なSi安定同位体比研究が展開されてきたが、国内での計測例はきわめて少ない。また、Siと同族元素のGeが、風化・植物への吸収・二次鉱物への吸着過程でSiと異なる挙動を示すことから、Ge/Siを併せた解析の有効性も提唱されている。そのため、国内で両指標を安定的に分析できる環境を構築し、表層環境試料に応用する基盤を構築することは重要と思われる。本研究では、MC-ICP-MSを用いたSi安定同位体比分析法と、同位体希釈-水素化物導入ICP-MS法を用いた微量Ge分析法を整備したため、その概要を報告するとともに、いくつかの天然試料に関する測定結果を報告する。

  • 高田 兵衛
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 40-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    1986年4月のチョルノービリ原発事故後のヨーロッパのバルト海・北海・ノルウェイ海と、2011年3月の福島第一原発事故後の東日本の太平洋側海域において、表層海水中のセシウム-137 (Cs) 濃度の時間変化を比較した。各事故後1年から9年での実効半減期は、日本側で最も短く(1.6-4.7年)、ヨーロッパの北海では4.9年、バルト海では14.4年であった。Cs濃度の減少は海域の地形に影響し、また、海水の希釈拡散効果は日本側でより大きかったことが考えられる。更にチョルノービリ原発事故後9年から30年のデータからのCsの実効半減期は日本と同様な海洋構造を持つ北海では8.4年と減り方が緩やかであった。これは、河川の影響と、海域と希釈水の放射能濃度差が小さいことによるCs濃度の減少の遅れが原因であると考えられる。

  • 高橋 幸士, 昆 慶明, 野田 篤
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 41-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年、石炭や石炭灰の希土類元素 (REE) ポテンシャルに注目が集まっているが、REE濃度が高い石炭の特徴や形成機構には不明な点が多い。石炭を構成するµmスケールの有機物は“マセラル”と呼ばれ、その組成は石炭の特性解析や泥炭環境の指標に用いられている。マセラル毎のREEポテンシャルが明らかになれば、マセラル組成に基づいて、REEが濃集する石炭の特徴や形成機構を検討可能である。そこで本研究では、LA-ICP-MSを用いて、木質や柔組織に由来するtelohuminite (TH) と、タンニン由来の成分や腐植物質の沈殿物を起源とするcorpohuminite (CH) の微量元素分析を行った。その結果、TH単独の測定点に比べ、一部THを含むCHの測定点では、REE濃度が高い傾向を示した。CHの起源はREEと親和性の強い官能基に富む有機物であり、CHは相対的にREE濃集が生じやすいものと推測される。

  • 高橋 良太朗, 諌本 和士, 伊藤 茜, 石田 美月, 佐野 由奈, 朝倉 由唯, 安本 妃奈, 谷水 雅治
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 42-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、旧大江山ニッケル鉱山周辺におけるNiの潜在的な分布を、鉱山周辺の河川水の化学組成から推定することを目標としている。また、超苦鉄質岩の風化に伴う水圏へのCr、Co、Niなどの重金属元素の溶出程度の把握は環境評価においても重要であり、両観点から水質解析を試みた。その結果、高いMg濃度と電気伝導率 (EC) を示し、ヘキサダイアグラムは新鮮な超苦鉄質岩分布域の陸水の特徴を示す河川水と、低いMg濃度とECであり、風化が進みMgが減少した蛇紋岩に起源をもつと考えられる河川水が認められた。高いNi/Mg、Fe/Mg、Al/Mg比を示す河川水は、Mgの減少に加えNiやFeなどの低移動性元素の再移動が生じている風化層に由来する可能性がある。

  • 中田 実希, 南 雅代, 田中 将裕, 淺原 良浩
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 43-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    大気の挙動を理解する上で、Be-7 (半減期53 d)及び210Pb (半減期22 y)は有用なトレーサーである。大気浮遊じん及び降下物に含まれるBe-7及びPb-210濃度を岐阜県土岐市で2014年から毎月観測し、その変動を調べている。その結果、この10年間Be-7濃度には大きな変化が見られないが、Pb-210濃度に関しては、2022年夏以降、大気浮遊じん、降下物いずれも、それ以前と比較して高くなる傾向が見られた。大気浮遊じん中のPb-210濃度は夏に低濃度、春と秋に高濃度となる変動傾向を示した。一方、降下物中のPb-210濃度は冬に低濃度となる変動傾向を示した。2021年までのPb-210の月間平均濃度と2022年以降のPb-210の月間平均濃度を比較すると、大気浮遊じんでは0.77 mBq/m3から1.2 mBq/m3、降下物では19 Bq/m2から34 Bq/m2に上昇していた。本発表では、岐阜県土岐市で観測したPb-210の測定結果を報告し、Pb-210濃度の上昇の原因について後方流跡線解析や無機元素濃度の測定結果及び気象データを含めて議論する。

  • 山﨑 信哉, 中村 司, 武田 凌治, 史 志園, 高久 雄一, 末木 啓介, 坂口 綾
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 44-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では電気化学的手法を用いて、よう化物イオン(I)を環境水から選択的に回収、定量する手法の確立を目的とし、測定条件の最適化や妨害イオンの影響などを検討した。さらに、実環境試料について本手法を適用し、実用化に向けた検討を行った。まずは、印加電圧、電極表面積、反応時間について最適化した。次に、溶液中のI-濃度の対数と電極へのI-回収量に直線関係が見られた。また、Clの妨害及びIO3の妨害がないことを確認した。さらに、HPLC-ICP-MSとの比較から、実試料中のI-濃度は誤差範囲内で一致し、本法の有効性が確かめられた。

  • 西塚 魁人, 笹 公和, 高橋 努, 松村 万寿美, 浅井 志保, 高久 雄一, 山﨑 信哉, 末木 啓介, Kanivets Volody ...
    専門分野: G2 環境地球化学・放射化学
    p. 45-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    環境水中におけるよう素同位体分析には、ICP-MSおよびAMSが広く用いられている。しかし、環境中におけるよう素の複雑な化学形態のために定量的な評価が困難な場合も多い。本研究では、水試料中の有機および無機よう素同位体の定量的な分析手法の確立を目指し、環境試料の前処理法および質量分析法について検討する。また、確率した手法によりチョルノービリ原子力発電所冷却池から採取した水試料の分析を行うことで、今後の動植物も含めた環境影響評価研究において足掛かりとなるデータを取得することを目的とする。

G3 海洋の地球化学
  • 熊本 雄一郎, 浜島 靖典, 帰山 秀樹, 永井 尚生
    専門分野: G3 海洋の地球化学
    p. 46-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    黒潮フロントの南側の黒潮再循環域では、冬季に大量の熱が大気に奪われ、表面水が高密度化することで、深さ数百mに達する表面混合層が形成される。その混合層水は、混合到達深度の等密度面(約25.0~25.6 σθ)に沿って亜表層を南に移流し、渦位の極小の北太平洋亜熱帯モード水(NPSTMW)を形成する。NPSTMWは、10年以下の時間スケールで西部亜熱帯域を循環しており、同海域の表層循環に大きな影響を与えている。2011年に発生した福島第一原子力発電所事故によって北太平洋に放出された放射性セシウム(Cs)は、NPSTMWに取り込まれることで事故後数年以内に西部亜熱帯域全域に広がった。本研究では我々が新たに測定した2014~2021年のデータを用い、NPSTMWのトレーサとしての福島事故起源放射性Csの2021年までの動態を議論する。

  • 神林 翔太, 稲富 直彦, 城谷 勇陛, 杉原 奈央子
    専門分野: G3 海洋の地球化学
    p. 47-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    東京電力福島第一原子力発電所(以下、東電福島第一原発という)事故によって海洋に放出された放射性核種は、福島周辺海域を中心に北太平洋等に広く拡散した。昨今環境中で見いだされるCs-134は東電福島第一原発事故に起因するものであることから、Cs-134の有無により同事故の影響評価を行うことが多い。しかし、近年はCs-134が検出されないことも多く、Cs-134を用いた影響評価が困難になっている。本研究では、Cs-134を用いずに東電福島第一原発事故の影響評価を行う手法を検討した。

  • 山田 正俊
    専門分野: G3 海洋の地球化学
    p. 48-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    北太平洋において海水中の239+240Pu濃度の鉛直分布を測定し、プルトニウム同位体の平均滞留時間を見積もった。西部北太平洋における表面水中の239+240Pu濃度は8.49 mBq/m3であり、濃度は深さとともに増加し水深500 mにおいて極大を示した。その後減少し、海底直上において18.6 mBq/m3であった。海水柱中の239+240Puのインベントリは同緯度帯におけるグローバルフォールアウトによる積算降下量に比べて1.6倍高い値を示した。表層から水深1000 m までの239+240Puインベントリから、239+240Puの減少速度と平均滞留時間を見積もった。

  • 城谷 勇陛, 稲富 直彦, 神林 翔太, 宮本 霧子, 杉原 奈央子
    専門分野: G3 海洋の地球化学
    p. 49-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    青森県六ケ所村にある原子燃料サイクル施設は、2006年から断続的にアクティブ試験を実施し、沿岸海域を含む周辺の環境に気体及び液体廃棄物としてトリチウム等の放射性核種を管理放出している。その放出量は徐々に減少しているが、現在も放出が続いており、今後の本格稼働に伴いさらにトリチウム等の放射性核種が放出されることが予想される。本研究は、1991年から2023年にかけて毎年二回、青森-岩手県沖合の測点で表層(1 m)と下層(海底直上10‐60 m)から海水試料を採取し、トリチウム濃度を測定し、原子燃料サイクル施設からの放射性廃棄物放出による海洋環境への影響を考察した。青森-岩手県沖合の表層のトリチウム濃度は、調査期間で漸減傾向を示したが、一時的に濃度の上昇が確認された。さらに、対象とした海域に一定量の付加があると仮定して、トリチウム濃度の時間変化を回帰した結果、実効半減期7.9±0.49年、トリチウムの付加量として0.0062 Bq/L/年が得られた。

  • 下島 公紀
    専門分野: G3 海洋の地球化学
    p. 50-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/30
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    海洋の広範囲にわたる鉛直的な連続観測や長期連続観測を行うため、海水中の対象化学成分を直接現場計測する現場型化学センサを新たに開発し、種々の海洋観測プラットフォームに搭載して観測を行ってきた。開発センサと市販のセンサを接続して一括制御でき、多成分同時計測が可能な小型のマルチセンサ統合型制御システムを開発した。このような手法によって、海水を採取しない身軽な海洋化学の実現を目指している。

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