ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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2 巻, 2 号
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原著
  • -女性高齢者と男性高齢者の比較-
    江渡 文, 村田 伸, 堀江 淳, 大田尾 浩, 村田 潤, 宮崎 純弥, 山崎 先也, 溝田 勝彦
    2012 年 2 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,地域在住高齢者の手指運動機能と各種身体機能や認知機能との関連を性別に検討した。対象は,女性高齢者205名と男性高齢者52名であった(平均年齢73.5±6.3歳)。手指運動機能評価には Purdue Pegboad Test を用いた。その他に握力,大腿四頭筋筋力,上体起こし,長座体前屈距離,片足立ち保持時間,最速歩行時間,6分間歩行距離,認知機能検査には Mini-Mental State Examination(MMSE)を実施した。その結果,女性高齢者が男性高齢者より有意に手指運動機能,長座体前屈距離の値が高かった。また,手指運動機能を目的変数とした重回帰分析の結果,有意な偏相関を示したのは女性では6分間歩行距離,片足立ち保持時間,MMSE であった。男性では上体起こしと最速歩行時間であった。これらのことより,女性高齢者と男性高齢者では手指運動機能に関連する因子に相違があることが示された。
  • 宮原 洋八
    2012 年 2 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    目的:閉じこもり高齢者に影響を及ぼす要因とライフスタイルのカットオフ値を求めることを目的とした。方法:2007年 A 市保健センターにおいて健康診断を受けた60歳以上の住民のうち,男女211名を対象に,閉じこもり,ライフスタイル,生活機能,主観的健康感に関する質問紙による調査を行った。結果:閉じこもりと年齢,ライフスタイル,生活機能,主観的健康感が閉じこもりの有無と有意に関連しており,ROC 分析では,閉じこもりの AUC(area under the curve)は高い値を示した(0.88)。結論:地域で閉じこもり予防活動等を行う際には,高齢者のライフスタイル,生活機能に着目した活動内容を援助することにおいて有効であることが示唆された。
  • 相馬 正之, 五十嵐 健文, 工藤 渉, 中江 秀幸, 安彦 鉄平
    2012 年 2 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,足指把持力トレーニングが Functional Reach Test(以下,FRT)や最大1歩幅などの平衡機能や歩行能力に与える影響について検討した。対象は,健常な若年者36名とし,トレーニング群24名とコントロール群12名に分類した。トレーニング群は,タオルギャザー,ビー玉掴み,足指歩行など1日10~20分間程度の運動を1週間に4回,3週間実施した。コントロール群には,特別な運動をしないように指示した。測定項目は,足指把持力と FRT,最大1歩幅,10?最大および10?至適歩行下の速度,歩幅,歩行率とし,トレーニング前後の2回計測した。その結果,トレーニング群は,左右合計足指把持力,最大歩行下の速度,FRT,最大1歩幅が有意に高値を示した。足指把持力トレーニングは,足指把持力の向上とともに,FRT や最大1歩幅などの平衡機能に影響を及ぼすことが示唆された。
短報
  • 荒川 達彌, 大田尾 浩, 岡村 麻由, 中尾 瞳, 八谷 瑞紀, 溝上 昭宏, 長谷川 正哉, 梅井 凡子, 小野 武也
    2012 年 2 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    [目的]Semmes-Weinstein Monofilaments test(SWM)の信頼性を検証することとした。[対象]脳卒中患者36名とした。[方法]測定項目は,SWM とした。信頼性は,スピアマンの相関係数と Cohen's kappa(κ 係数)にて評価した。[結果]麻痺側では,SWM の高い信頼性(rs=0.86,κ=0.71~0.79)が確認されたが,非麻痺側の信頼性は低値(rs =0.33~0.50,κ=0.33~0.50)であった。[結語]SWM は,麻痺側において検者内・検者間ともに信頼性が確認された。
  • 田中 真一, 岩永 健之, 村田 伸
    2012 年 2 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    [目的]スポーツ競技における下肢筋の一側優位性の有無について検討した。[対象]某高校野球部員44名(平均年齢16.6±0.5歳)とした。[方法]大腿四頭筋筋力と足趾把持力を測定し,ボールを蹴る脚(機能脚),走り幅跳びで踏み切る脚(支持脚)として,対象者すべての機能脚と非機能脚,支持脚と非支持脚の比較,またバッティング動作における捕手側の脚を軸脚,投手側の脚をステップ脚として比較検討した。[結果]機能脚と非機能脚,支持脚と非支持脚の大腿四頭筋筋力および足趾把持力には有意差が認められなかった。一方,バッティング動作における軸脚の足趾把持力が,ステップ脚と比較して有意に強かった。大腿四頭筋筋力には有意差は認められなかった。[結語]バッティング動作における下肢筋は,ステップ脚と比較して軸脚の足趾把持力が強いという一側優位性が示された。
  • 坂本 友梨恵, 村田 伸
    2012 年 2 巻 2 号 p. 73-75
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,健常成人における後ろ向き歩行の特徴について,シート式歩行分析装置を用いて検討することである。健常な大学生23名(男性13名,女性10名)を対象に,歩行分析装置のシート上を前向きと後ろ向きの2つの条件で各2回ずつ歩いてもらった。その結果,後ろ向き歩行において,左右の立脚時間,歩隔が有意に増加し,歩行速度とストライドが有意に減少した。また,前向きと後向き歩行の左右の立脚時間と歩行速度には有意な相関が認められた。これらのことから,後ろ向き歩行ではストライドの減少に伴い歩行速度が低下し,同時に歩隔を広げることで歩行の安定化を図っていることが示唆された。また,歩行能力の高い者ほど後ろ向き歩行でも安定した姿勢を保ちながら歩行できることが推察された。
  • 北島 貴大, 村田 伸, 甲斐 義浩, 林田 智美, 村田 潤
    2012 年 2 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,歩行に介助を要する高齢片麻痺患者の座位での下肢荷重力測定時における下肢の筋活動の特徴を検討した。歩行に介助が必要な高齢片麻痺患者12名(平均年齢74.0±5.0歳)の非麻痺側下肢を対象に,踏みつけ動作に伴う荷重力と大腿部筋(大腿直筋,大腿二頭筋長頭)および下腿部筋(前脛骨筋,腓腹筋)の筋放電量を比較した。4筋の筋放電量を比較すると,有意な群間差(F値=6.31,p<0.01)が認められ,多重比較検定により,大腿四頭筋と前脛骨筋は大腿二頭筋と腓腹筋の筋放電量に比べ有意(p<0.01)に大きかった。これらの結果から,歩行に介助を要する高齢片麻痺患者の下肢荷重力測定における筋活動の特徴として,下肢後面筋の筋活動が小さく,健常成人に認められた同時収縮が彼らには出現しないことが示された。
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