本研究は,地域在住高齢者の手指運動機能と各種身体機能や認知機能との関連を性別に検討した。対象は,女性高齢者205名と男性高齢者52名であった(平均年齢73.5±6.3歳)。手指運動機能評価には Purdue Pegboad Test を用いた。その他に握力,大腿四頭筋筋力,上体起こし,長座体前屈距離,片足立ち保持時間,最速歩行時間,6分間歩行距離,認知機能検査には Mini-Mental State Examination(MMSE)を実施した。その結果,女性高齢者が男性高齢者より有意に手指運動機能,長座体前屈距離の値が高かった。また,手指運動機能を目的変数とした重回帰分析の結果,有意な偏相関を示したのは女性では6分間歩行距離,片足立ち保持時間,MMSE であった。男性では上体起こしと最速歩行時間であった。これらのことより,女性高齢者と男性高齢者では手指運動機能に関連する因子に相違があることが示された。
目的:閉じこもり高齢者に影響を及ぼす要因とライフスタイルのカットオフ値を求めることを目的とした。方法:2007年 A 市保健センターにおいて健康診断を受けた60歳以上の住民のうち,男女211名を対象に,閉じこもり,ライフスタイル,生活機能,主観的健康感に関する質問紙による調査を行った。結果:閉じこもりと年齢,ライフスタイル,生活機能,主観的健康感が閉じこもりの有無と有意に関連しており,ROC 分析では,閉じこもりの AUC(area under the curve)は高い値を示した(0.88)。結論:地域で閉じこもり予防活動等を行う際には,高齢者のライフスタイル,生活機能に着目した活動内容を援助することにおいて有効であることが示唆された。