ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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3 巻, 2 号
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原著
  • 城野 靖朋, 金井 秀作, 後藤 拓也, 原田 亮, 藤高 祐太, 谷出 康士, 長谷川 正哉, 大塚 彰
    2013 年 3 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    本研究では運動課題にタンデム立位保持課題,認知課題にストループ干渉課題を用いて,各課題パフォーマンスが受ける二重課題干渉効果について検討した。健常成人60名を対象とし,タンデム立位保持課題を重心動揺で評価し,ストループ干渉課題を正答数で評価した。それぞれ単一課題で評価した後,同時遂行課題で評価した。二重課題干渉効果で運動課題パフォーマンスは向上し,認知課題パフォーマンスは低下した。このことから本研究の課題設定では,運動課題の高いパフォーマンス発揮のために,多くの注意資源は必要でないことが示唆された。
  • 八谷 瑞紀, 村田 伸, 熊野 亘, 前田 弘美, 能隅 良子, 溝上 昭宏, 浅見 豊子
    2013 年 3 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,パーキンソン病患者の足趾把持力および大腿四頭筋筋力を測定し,低速歩行および至適歩行から得られた歩行パラメーターとの関連について検討した。対象は,パーキンソン病患者17名とした。足趾把持力および大腿四頭筋筋力を測定し,低速歩行および至適歩行から得られた歩行パラメーター(速度,歩行率,ストライド,歩隔)との関連を検討した。その結果,足趾把持力は,低速歩行の速度およびストライドと有意な相関が認められた。また,足趾把持力と至適歩行の各歩行パラメーターとの間に有意な相関は認められなかった。一方,大腿四頭筋筋力は,低速歩行や至適歩行のすべての歩行パラメーターとの間に有意な相関が認められなかった。パーキンソン病患者において,足趾把持力の高い者ほど低速歩行ができることが示唆された。
  • 村田 潤, 山形 茂生, 古本 節子, 村田 伸, 大山 美智江, 坂田 栄二, 北谷 典丈, 谷 都美子
    2013 年 3 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,美顔器使用による顔面の機能や形態的な変化について解明することを目 的として行った。対象は,発症後1年以上経過した慢性期脳卒中片麻痺患者6名であった。 運動機能評価として口を閉じる筋力とまばたき回数を計測し,感覚機能評価として触圧覚 閾値と二点識別覚を測定した。また,同時に顔面の形態的変化を画像解析により評価した。 美顔器を使用しない期間にみられる各測定項目の変化量をコントロールデータとし,その後の美顔器介入期間にみられる変化量と比較した。美顔器プログラムは1試行9分間,朝夕1日2回行わせた。その結果,コントロール期間の変化量と比較して,介入後の触圧覚閾値や2点識別覚の間隔距離の変化量が有意に減少した。しかし,運動機能に関しては有意な変化は認められなかった。一方で,形態的な顔面の左右差は介入期間後に減少した。 本研究結果は,美顔器の刺激が顔面の感覚機能や形態の変化に影響することを示唆した。
短報
  • 阿波 邦彦, 堀江 淳, 白仁田 秀一, 北島 麻美, 宮副 孝茂, 林 真一郎
    2013 年 3 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease; COPD)患者における抑うつ状態に影響を及ぼす規定因子を不安尺度(State Trait Anxiety Inventory; STAI),身体機能,日常生活動作などの観点から検討することとした。〔対象〕対象は,COPD 患者21名(男性19名,女性2名)であった。〔方法〕主要項目は,抑うつ自己評価尺度(Self-rating Depression Scale; SDS)とした。SDS と各測定項目との関係をPearson の相関分析で検討した。従属変数をSDS,独立変数を有意な相関が認められた項目とし,ステップワイズ法による重回帰分析を用いて分析した。〔結果〕SDS に影響を与える項目は,STAI 特性と30秒椅子立ち上がりテストであった(R2=0.65,p<0.01)。〔結語〕COPD 患者における抑うつ状態は,不安感や下肢機能の低下が影響することが示唆された。これにより,チームアプローチが抑うつ状態を予防できる可能性を示唆した。
  • 古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 田中 真一
    2013 年 3 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    [目的]背中で両手指を斜めに近付けた中指-中指間距離を測定し,利き手および肩こりとの関係を検討した。[対象と方法]60歳以上の健常高齢者44名(男性25名,女性19名)を対象とし,質問票にて,利き手や肩こり有無の回答を得た。その後,被験者に直立姿勢をとらせ,中指-中指間距離(Middle finger­Middle finger­Distance: MMD)を巻尺にて測定した。利き手下位MMD と非利き手下位MMD の2群間,および肩こり有群MMD と無群MMD の2群間を比較した。[結果]利き手は,右41名,左3名であり,肩こりの訴えは16名であった。利き手下位MMD は非利き手下位MMD 群より有意に高い値を示したが,肩こりの有無で,MMD に有意差は認められなかった。[結語]利き手側は非利き手側と比較して,肩関節伸展・内旋の可動性低下が示唆された。また,肩こりとMMD は関連性が少ないと思われた。
実践報告
  • 岩坂 憂児
    2013 年 3 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    【目的】転倒予防練習と音声フィードバック練習が運動機能および身体能力認識に与える効果を調べた。【方法】対象は簡易老人ホームに入所している4名,介入期間は8 週間,介入は転倒予防練習と音声フィードバック練習とした。実験デザインは多重ベースラインデザインを採用した。測定には運動機能を見る指標として1.Timed Up and Go Test(TUG)2.最大一歩幅(Maximum Step Length,MLS)を用い,身体能力認識を見る指標として歩幅の誤差(Step Error, SE)を用いた。また,MLS とSE の測定には開脚訓練装置を用いた。【結果】TUG とMLS では介入前後で有意差は見られなかったが,SE については有意差に減少した。【結語】転倒予防練習と音声フィードバック練習の組み合わせ運動は身体能力認識を改善することが示唆された。
症例報告
  • 田坂 厚志, 小野 武也, 沖 貞明, 島田 雅史, 石田 勝, 藤原 賢次郎, 中川 実
    2013 年 3 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/08
    ジャーナル フリー
    [目的]Branch Atheromatous Disease(BAD)症例に対して運動麻痺,歩行能力,症状進行日について調査し,当院で使用している脳梗塞リハ開始基準の有効性について検 討した。[対象]BAD 症例12例とした。[方法]症状の進行を認めなかった9例を非進行群,症状の進行を認めた3例を進行群に分類した。入院時および退院時の下肢Brunnstrom stage(Brs)とmodified Rankin Scale(mRS),退院時の歩行能力,進行群のみ症状進行時の下肢Brs と症状進行日を調査した。[結果]進行群の下肢Brs は3例ともリハ開始時から数日で増悪し,退院時に改善を認めた。歩行能力は進行群,非進行群とも退院時に歩行不可能な症例を認めなかった。進行群の症状進行日は入院後4日目以内であった。また,退院時のmRS は予後良好例が2例であった。[結語]症状の進行を認めたBAD 症例に対して,リハ開始基準に基づいた安全なリハ開始と早期離床によって運動機能の改善が得られたと考える。
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