ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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5 巻, 1 号
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原著
  • 原田 一生, 中村 光
    2015 年 5 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    [目的]TUG に計算課題を付加した二重課題TUG(DT‐TUG)の成績と認知機能および転倒歴との関連を検討した。[対象]虚弱高齢者30名(84.7±4.1歳)。[方法]単一課題TUG(ST‐TUG)に加えて,3種の連続減算(100‐1,100‐3,100‐7)をそれぞれTUG と同時に行うDT‐TUG‐1,DT‐TUG‐3,DT‐TUG‐7の遂行時間を測定した。ST‐TUG とDT‐TUG‐3は動画観察から歩行異常性についても採点した。ST‐DT 間の成績変化率をdual‐task‐cost(DTC)として算出した。認知機能検査は文字流暢性課題(LFT),色彩線引きテスト(CTT),レイ聴覚言語性学習検査(RAVLT),MMSE を行った。過去6か月間の転倒の有無を調査した。[結果]連続減算の数字が大きくなるにつれDT‐TUG 時間が有意に延長した。DTC‐1はCTT,RAVLT,MMSE と,DTC‐3はCTT と,DTC ‐7はCTT,MMSE と有意な相関を認めた。転倒有無別の2群間でDTC に有意差を認めなかった。[結語]付加する計算課題の難度の増加に伴い歩行に要する時間は増大した。歩行時間の変化には注意機能が最も関係していた。
  • 山下 裕, 古後 晴基, 太田尾 浩, 平尾 文, 溝田 勝彦
    2015 年 5 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    [目的]転倒リスクの評価としての咬合力測定の有用性を検討するため,転倒スコアと咬合力の関連性を検証した。[方法]対象はデイケア利用の虚弱高齢者34名(男性10名,女性24名)とした。平均年齢は83.0±5.7歳であった。咬合力の測定にはオクルーザルフォースメーターGM10を使用した。転倒リスクの評価は,転倒スコア(Fall Risk Index ‐21:FRI‐21)を用いた。転倒関連因子として,大腿四頭筋筋力,老研式活動能力指標,高齢者抑うつ尺度,主観的健康感尺度を評価した。ステップワイズ法による重回帰分析を用いて,FRI‐21と独立して関連する項目を抽出した。[結果]FRI‐21と独立して関連の認められた項目は,主観的健康感尺度と咬合力であった。[結論]咬合力の評価は高齢者の転倒リスクの評価の一つとして有用である可能性が示された。
短報
  • 溝田 勝彦, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 古後 晴基, 宮原 洋八, 田中 真一, 満丸 望
    2015 年 5 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    地域在住女性高齢者の最大努力下でのFigure-of-8Walk Test(F8Wmax)の年代別参考値を得ることを目的として研究を実施した。また,F8Wmax と転倒の関連についても検討した。対象者は地域在住女性高齢者134名で,F8Wmax の所要時間および歩数,過去1年間の転倒経験を測定した。対象者を60~69歳(39名),70~79歳(59名),80歳以上(36名)の3群に分け,F8Wmax の所要時間および歩数を比較検討した。その結果,全ての年代間で有意な差が認められた。転倒経験とF8Wmax の所要時間および歩数との間には関連は認められなかった。以上より,地域在住女性高齢者のF8Wmax の年代別参考値が得られたのではないかと考える。
  • 小西 佑磨, 村田 伸, 窓場 勝之, 阪本 昌志, 杉森 信吾, 山川 瑠奈, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 堀江 淳
    2015 年 5 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,安静時の血圧や脈拍を測定する際の適切な安静時間を明らかにすることである。対象は,K大学理学療法学科に所属する健常者27名であり,30秒椅子立ち上がりテスト後の脈拍や血圧の変化を終了直後から30秒ごとに5分間計測した。その結果,脈拍は2分後まで有意な低下を示し,それ以降は有意差を認めなかった。拡張期血圧は,5分間にわたり有意な変動は認められなかった。収縮期血圧は,運動負荷後一旦上昇し下降するパターン(以下,下降パターン:17名)と,運動負荷後一旦下降し上昇するパターン(以下,上昇パターン:10名)に分類された。下降パターンは,直後から2分後までに有意に低下し,それ以降有意差はなくなった。上昇パターンは,直後から30秒後まで有意に上昇し,その後4分30秒後までは有意な変動は認められなかった。5分後有意に低下し,運動負荷直後の数値に近づいた。以上のことから,血圧や脈拍の測定において,開始前の安静時間を設定する際は個々の変動パターンに合わせて安静時間を設定する必要性が示唆された。
  • 深堀 辰彦, 宮原 洋八, 綾部 雅章
    2015 年 5 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,最速歩行時の3軸加速度よりリヤプノフ指数を求めて,ADL 尺度,脳血管疾患患者における歩行機能との関連を検討し,リヤプノフ指数の有用性を明らかにすることである。対象は,脳血管疾患患者24名(男性18名,女性6名,平均年齢70.0 ±11.8歳)とした。3軸加速度計は第3腰椎棘突起部付近に装着し,最速歩行時の3軸加速度を測定した。1歩行周期のデータからリヤプノフ指数を算出して,最速歩行速度,歩数,歩行率,Barthel Index との関係を検討した。満点群のリヤプノフ指数は,前後方向において有意に高値を示し,非満点群のリヤプノフ指数は,垂直方向において有意に高値を示した。また,脳血管疾患患者の歩数と垂直方向が有意に相関した。これらの結果から,リヤプノフ指数を用いた歩行解析は,動揺性を測定できる方法のひとつであり,リヤプノフ指数は歩行安定性の定量化の指標として有効な手段となり得る可能性があることが示唆された。
活動報告
  • 阿波 邦彦, 北村 智哉, 堀江 淳, 伊藤 健一
    2015 年 5 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,虚弱高齢者に対する腹筋トレーニングを含んだ6ヵ月間の通所リハビリテーションの効果を検証することである。【対象者と方法】対象者は通所リハビリテーション利用中の虚弱高齢者20名(80.5±6.6歳)とした。対照群(n=11)は週2,3回の通所リハビリテーションとし,介入群(n=9)は週2,3回,1日20回の腹筋トレーニングを含んだ通所リハビリテーションとした。評価項目はFunctional independence measure Motor(FIM‐M)や運動機能とした。統計解析は分割プロットデザイン分散分析を使用した。【結果】FIM‐M,片脚立位時間,5?最速歩行速度に交互作用が認められ,片脚立脚時間と5?最速歩行速度は介入群が有意な向上を認めた。一方で,FIM‐M は対照群が有意な低下を認めた。【結語】腹筋トレーニングを含んだ通所リハビリテーションは虚弱高齢者のヘルスプロモーションとして有効であるかもしれない。
症例報告
  • ―スタティックストレッチングとコントラクトリラックスを比較した一症例―
    吉永 龍史, 束野 哲志, 平井 奉博, 高野 雅弘, 渡邉 靖晃, 友清 隆之, 榮 彩人, 田所 広太
    2015 年 5 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    左総腸骨動脈損傷後,左下腿コンパートメント症候群が発生し,尖足となった本疾患例を経験した。20歳男性の背屈角度を改善するために効果的な方法を検討するためスタティックストレッチング(以下,SS)とコントラクトリラックス(以下,CR)の治療前後の比較と両者の違いについて検証した。その結果,SS とCR ともに治療前後で有意に背屈角度が即時的に改善した。しかし,SS とCR の間には差が認められなかった。本研究のストレッチング方法を活用することは,一つの治療手段になる可能性がある。
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