ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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9 巻, 4 号
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原著
  • 松本 典久, 村田 伸, 山田 道廣
    原稿種別: 原著
    2020 年 9 巻 4 号 p. 161-165
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,股関節開排運動における股関節周囲筋の筋活動を解析した。対象は健常成人男性15名であり,被検筋は大腿筋膜張筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋の4筋とした。股関節開排運動時の積分筋電図を各筋最大筋力発揮時の積分筋電図で正規化して,開排運動時における筋活動の指標とした。最大努力下での股関節開排運動時において,被検筋全てに各筋最大筋力発揮時の約半分から同程度の筋活動が認められた。股関節開排筋力と筋活動との関係を解析したところ,被検筋全てにおいて,股関節開排筋力の増加に伴い筋活動も増加していた。これらの結果から,股関節開排筋力には大腿筋膜張筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋が関与しており、股関節開排筋力が股関節周囲筋の総和的筋力を表す指標となることが示唆された。

  • 若山 修一, 堀田 和司, 藤田 好彦, 藤井 啓介, 白石 英樹, 藪下 典子, 巻 直樹, 中野 聡子, 柳 久子
    原稿種別: 原著
    2020 年 9 巻 4 号 p. 167-173
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    【目的】高齢者の健康増進や介護予防には,外出頻度を高めるとともに身体活動を促すことが重要である。本研究は,地域高齢者に対して外出記録表を用いたプログラムを実施し,その効果について検討した。【対象】介護予防教室に参加された地域在住高齢者を対象とし,対照群45名,介入群22名に振り分けた。【方法】介入群には,対照群のプログラムに加えて外出記録表を用いたセルフモニタリング及び支援者との対話を含めたプログラムを実施した。測定項目は,外出頻度,身体活動量を含む身体機能,精神心理的評価であり,介入前後の変化を検討した。【結果】介入群は教室終了時に外出頻度と身体活動時間の増加が認められた。座位行動時間と中等度以上の活動時間に時間と群の有意な交互作用が認められた。【結語】外出記録表を用いた介入は,外出頻度と身体活動量を増加させる可能性がある。

  • 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 稲富 渉, 中村 敏宏, 陣内 健太
    原稿種別: 原著
    2020 年 9 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    [目的]立位で足指圧迫力を測定し,測定値の信頼性と妥当性を検討した。[対象と方法]対象は,通所リハビリテーションを利用する要介護高齢者78名(82±7歳)とした。立位での足指圧迫力に加え,各身体機能の測定を行った。[結果]立位での足指圧迫力は右がICC=0.85(95%CI:0.77~0.90),左が0.78(0.67~0.85)であった。妥当性は相関係数から検討した。足指圧迫力は左右ともに,握力,膝伸展筋力,足関節底屈筋力,足関節背屈筋力,骨格筋量と,足指圧迫力左右合計値は,握力,膝伸展筋力,足関節背屈筋力,足関節底屈筋力,骨格筋量と有意な相関が認められた。[結語]立位での足指圧迫力の信頼性は,左右ともに十分に高いことが確認された。また,立位での足指圧迫力は,要介護高齢者の筋力指標として用いることが可能であることが明らかとなった。

短報
  • 村田 伸, 兒玉 隆之, 中野 英樹, 相馬 正之, 佐藤 洋介, 弓岡 まみ, 村田 潤, 中江 秀幸
    原稿種別: 短報
    2020 年 9 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,自力歩行が可能で在宅生活しているパーキンソン病患者14名(男性6名,女性8名,平均年齢71.3±6.1歳)を対象に,通常・最速・低速での歩行速度を測定し,各種バランステストおよび骨格筋量との関連から,パーキンソン病患者の歩行能力評価に適した歩行速度計測の方法について検証することである。相関分析の結果,通常歩行速度と有意な相関を示したのはTimed up & go test(TUG)のみであり,最速歩行速度のそれは身長,TUG,Functional reach test(FRT)の3項目であった。一方,低速歩行速度と有意な相関を示したのは骨格筋量,上肢・下肢・体幹筋量の4項目であった。さらに,最速歩行と低速歩行の速度差と有意な相関を示したのは身長,骨格筋量,上肢・下肢・体幹筋量,TUG,FRT の7項目に及んだ。これらの知見から,パーキンソン病患者の歩行能力評価は通常歩行で速度計測するよりも,最速歩行に加えて低速歩行でも評価する重要性が示された。

  • 古後 晴基, 山下 裕
    原稿種別: 短報
    2020 年 9 巻 4 号 p. 187-193
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究は,野球選手を対象とし,超音波画像を用いて回旋腱板の筋厚特徴を検討することを目的とした。[対象]被験者は大学生で,硬式野球経験が高校で3年間あり,軟式野球経験を含めた野球経験が5年以上ある男性30名(60肢)を対象とした。[方法]調査項目は,質問紙による調査と超音波画像による腱板筋群(投球側および非投球側)の筋厚とした。[結果]各筋厚を投球側と非投球側で比較した結果,棘下筋は投球側が有意に低値であり,肩甲下筋は投球側が有意に高値であった。投球肩障害の既往歴あり群と既往歴なし群で比較した結果,ポジション歴や各筋厚に有意差は認められなかった。しかし,ポジション歴に関して,既往歴なし群は野手経験のみの者が多く,既往歴あり群は投手もしくは捕手経験の者が多い傾向であった。さらに,投球側の各筋厚を従属変数とし,身長,体重,野球歴,ポジション歴,既往歴を独立変数として重回帰分析を行った結果,棘下筋と小円筋の筋厚は,野球歴に有意な負の関連が認められた。[結語]これらのことから,野球経験が5年以上ある野球選手において,棘下筋の筋厚は投球側が薄く,肩甲下筋は投球側が厚いことが示唆された。投球障害肩の既往歴がない者は野手経験のみの者が多く,既往歴がある者は投手もしくは捕手経験ありの者が多い傾向であった。また,経験年数は棘下筋と小円筋の筋厚に負に影響することが示唆された。

  • -身体機能,身体組成,認知・精神心理機能の特徴-
    白岩 加代子, 村田 伸, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 合田 明生, 野中 紘士, 岩瀬 弘明, 堀江 淳
    原稿種別: 短報
    2020 年 9 巻 4 号 p. 195-200
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,体力測定会に参加した地域在住高齢者245名(男性50名,女性195名)を対象に,閉じこもりの有無により,身体機能,身体組成,認知・精神機能に差異がみられるか検討した。その結果,男性では,TUG と歩行速度が閉じこもり群より,非閉じこもり群の方が有意に良好な値を示した(p<0.05)。身体組成は,筋肉量,体水分量,タンパク質量,骨ミネラル量,基礎代謝量が,閉じこもり群より非閉じこもり群の方が良好な値を示した(p<0.05)。うつ傾向を示す者が,閉じこもり群の方が非閉じこもり群より有意に多い結果を示した。女性では,身体機能は,握力,TUG,歩行速度が閉じこもり群より非閉じこもり群の方が良好な値を示した(p<0.05)。その他の項目には2群間に有意差は認められなかった。閉じこもりによる影響は,男性と女性では異なることが示唆された。

活動報告
  • 山本 裕晃
    原稿種別: 活動報告
    2020 年 9 巻 4 号 p. 201-204
    発行日: 2020/01/31
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    [目的]下肢反復開閉運動を用いて中年者,前期高齢者,後期高齢者の下肢敏捷性の違いを検討することを目的とした。[方法]対象は上肢の整形外科疾患により外来リハビリテーションに通院している45名(男性10名,女性35名,平均年齢68.6±27.7歳,身長156.1±38.9cm,体重56.0±26.3kg,BMI22.8±9.1)とした。対象者は,45歳以上64歳以下の中年者15名,65歳以上74歳以下の前期高齢者15名,75歳以上の後期高齢者15名の3群に分類した。対象者に下肢反復開閉運動による下肢敏捷性を測定し,各群を比較し分析した。各群間の比較について一元配置分散分析を用い,その後の多重比較にはBonferroni の方法を用いた。[結果]中年者の平均施行回数は18.0±2.5回,前期高齢者は16.5±2.4 回,後期高齢者は15.0±2.1回であった。後期高齢者の施行回数は中年者の施行回数よりも有意に少なかった。その他の群間には有意差は認められなかった。[結論]後期高齢者は中年者と比較して下肢反復開閉運動の施行回数が少ないことが確認された。

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