ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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8 巻, 4 号
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原著
  • ―世帯構成および運動仲間の有無に着目した検討―
    藤井 啓介, 藤井 悠也, 北濃 成樹, 神藤 隆志, 佐藤 文音, 城寳 佳也, 薛 載勲, 堀田 和司, 大藏 倫博
    原稿種別: 原著
    2019 年 8 巻 4 号 p. 153-162
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究は,地域在住高齢者における運動実践と抑うつとの関連性を世帯構成と運動仲間の有無に着目し検討した。[対象]要介護認定を受けていない地域在住高齢者8,870名とした。[方法]世帯構成,定期的な運動実践および運動仲間の有無(独りで実践,他者と実践),基本チェックリストの「うつ予防・支援」に関する項目で抑うつ傾向の有無を調査・評価した。[結果]運動をしていない独居高齢者と比べ,運動を独りでのみ実践している独居高齢者と他者と実践している独居高齢者は抑うつ傾向を有する可能性が有意に低かった。一方,独りでのみ運動している独居高齢者と他者と運動している独居高齢者の間に有意差は認めなかった。[結語]運動仲間の有無に関わらず,独居高齢者の運動実践は良好な心理的健康と関連したことから,独居高齢者が運動に取り組みやすい環境を整える必要がある。

  • ―CT 画像を用いた量的・質的評価―
    藤本 貴大, 田中 繁治
    原稿種別: 原著
    2019 年 8 巻 4 号 p. 163-168
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    寝たきり高齢患者の起き上がり動作自立度からみた体幹筋の量的・質的な違いを明らかにすることを目的とした。対象は,1年以上寝たきりで誤嚥性肺炎により入院した65 歳以上の男性とした。起き上がり動作自立度の分類から部分介助群と全介助群の2群を設 定した。体幹筋のCT 画像から,腹直筋,腹斜筋群(内・外腹斜筋,腹横筋),腰方形筋,多裂筋,脊柱起立筋,大腰筋の筋横断面積(以下,CSA)と,CSA に占める筋と脂肪の CT 値により算出した面積の割合を%FCSA と%IMF とし各群間で比較した。その結果, 部分介助群に比べ全介助群は,CSA で脊柱起立筋のみ有意に低値を示した。%FCSA は,腹斜筋群,腰方形筋,多裂筋,脊柱起立筋で有意に低かった。また,%IMF は,腹直筋を除くすべての筋で有意に高かった。これらのことから,部分介助群と比較し全介助群の体幹筋の質的差異は,起き上がり動作自立度に関係している可能性が示された。

  • 白岩 加代子, 村田 伸, 安彦 鉄平, 野中 紘士, 中野 英樹, 岩瀬 弘明, 内藤 紘一, 堀江 淳
    原稿種別: 原著
    2019 年 8 巻 4 号 p. 169-173
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    高齢者の歩行速度調整能力を検討するために,歩行速度を「普通歩行」,「やや速歩き」,「最速歩行」の3段階で実施し,主観的判断による速度変化と身体機能,注意機能,認知機能との関係性について検討した。本研究では,歩行速度が「普通歩行」,「やや速歩き」,「最速歩行」の順に変化している者を「調整可能群」,やや速歩きの速度が,普通歩行よりも遅かった者あるいは最速歩行より速かった者を「調整不良群」とした。その結果,「やや速歩き」の速度調整ができない高齢者が127名中50名(39.4%)いた。調整可能群は,調整不良群より,やや速歩きと最速歩行が有意に速い結果を示した。群間比較において、身体機能、注意機能、認知機能には有意な違いを示さなかったことから、調整不良群は、歩行速度を調整する際に、筋力、バランス能力などの機能が十分に活用できていない可能性が示唆された。

  • 牧野 有沙, 安彦 鉄平, 村田 伸, 白岩 加代子, 岩瀬 弘明, 窓場 勝之, 阿波 邦彦, 堀江 淳
    原稿種別: 原著
    2019 年 8 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,腰痛予防教室に参加した地域在住女性高齢者の身体的および精神心理的特徴を明らかにするため,慢性腰痛に影響を及ぼす因子について検討することを目的とした。【対象と方法】対象は,腰痛予防教室に参加した地域在住女性高齢者71名とし,腰痛既往群(13名)と腰痛群(58名)の2群に分類し,痛みの有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を用いて,慢性腰痛に影響を及ぼす因子を抽出した。【結果】多重ロジスティック回帰分析の結果,痛みの有無に影響を及ぼす因子は,恐怖回避思考と破局的思考であった。破局的思考を下位項目である反芻,無力感,拡大視に分類した多重ロジスティック回帰分析の結果,恐怖回避思考と反芻が有意な関連因子として抽出された。

    【結論】特異的腰痛が多いとされる地域在住女性高齢者の腰痛と心理的因子との関連が明らかになり,とくに恐怖回避思考や破局的思考への対応が必要であることが示唆された。

  • 合田 明生, 村田 伸, 谷川 加奈子, 藤井 伶衣奈, 吉岡 弓佳, 野中 紘士, 中野 英樹, 安福 祐一, 白岩 加代子
    原稿種別: 原著
    2019 年 8 巻 4 号 p. 181-185
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,要介護高齢者(男性23人,女性37人)を対象に,大腿四頭筋筋力と大腿前面筋厚(以下,筋厚)・脂肪厚,大腿周径,大腿前面筋硬度との関連を検討した。単相関解析の結果,男性では大腿周径が,女性では筋厚と大腿周径が,大腿四頭筋筋力との間に有意な相関を示した。また重回帰分析の結果,男性では大腿周径が大きいほど,女性では筋厚が厚いほど,大腿四頭筋筋力が強かった。これらのことから,要介護高齢者において,男性では大腿周径が,女性では筋厚が,大腿四頭筋筋力を反映することが示唆された。

短報
  • 村田 潤, 梅木 奈穂, 古後 晴基, 大山 美智江, 山形 茂生
    原稿種別: 短報
    2019 年 8 巻 4 号 p. 187-191
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    本研究は,ベッドギャッジアップ時の血圧変動における頭頸部と背部のギャッジアップ組み合わせの効果について検証することを目的として行われた。対象は,健常成人9名であった。動脈血圧は連続血圧計にて一心拍毎の血圧値を測定した。実験は3つのプロトコールで構成されていた。①安静臥位から,背部を30°ギャッジアップさせる条件。②安静臥位から,頭頸部を20°,および背部を30°ギャッジアップさせる条件。③安静臥位から,背部を50°ギャッジアップさせる条件。この3つの条件で起こる血圧変動量を比較した。その結果,どの条件においてもギャッジアップ時に一時的に血圧が低下する傾向が観察されたが,その起立性の血圧変動は背部50°ギャッジアップ条件の方が他の条件に比べて大きかった。一方で,頭頸部20°と背部30°ギャッジアップ組み合わせ条件の血圧変動量は背部30°ギャッジアップのみの条件と同程度であった。これらの研究成績は,ギャッジアップ時の血圧変動には背部の挙上角度が大きく影響することを示唆した。

活動報告
  • ―JST 版活動能力指標に着目して―
    岩村 真樹, 安藤 卓, 大和 洋輔, 梶本 浩之, 新保 健次, 何川 渉, 熊田 仁
    原稿種別: 活動報告
    2019 年 8 巻 4 号 p. 193-200
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/29
    ジャーナル フリー

    通年開催の介護予防教室参加者におけるフレイルとサルコペニアの発生状況を調査した。また,プレフレイルに関連する因子を抽出することを目的とした。対象は茨木市介護予防教室へ参加登録している114名とした。介護予防教室参加状況,身体機能,筋肉量,高次生活機能を調査し,フレイル・サルコペニア判定を行った。さらにプレフレイルに関連する因子をロジスティック回帰分析にて解析した。調査の結果,プレフレイル39.4%,フレイル0.8%,プレサルコペニア31.5%,サルコペニア4.3%の判定割合であった。ロジスティック回帰分析の結果,プレフレイルの関連因子としてJST 版活動能力指標(The Japan Science and Technology Agency Index of Competence)の下位領域である生活マネジメントと過去1年間の入院歴が抽出された。本研究の結果,通年開催の介護予防教室参加者のフレイル・サルコペニア判定割合は全国平均よりも低く,プレフレイルの予防には健康状態に合わせて,生活マネジメント能力に焦点を当てる必要性が示唆された。

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