ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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7 巻, 3 号
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原著
  • 亀ヶ谷 忠彦
    2017 年 7 巻 3 号 p. 101-108
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    [目的]健常成人を対象に,車椅子座位時の上肢機能を簡略かつ短時間に評価する車椅子座位上肢機能検査(Wheelchair Seating Arm Function Test, WS-AFT)を開発すること。[方法]WS-AFT を構成する検査課題として車椅子に着座した被験者が机上の物品を把握し前後・左右方向へ移動させる時間を測定する8種類の課題を考案した。対象は健常成人30名とし,車椅子に着座させWS-AFT と簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function, STEF)を実施した。被験者がWS-AFT とSTEF の検査課題群を遂行する際に要した時間を比較し,WS-AFT の検査課題群の内的整合性を検証した。[結果]WS-AFT の合計所要時間はSTEF の合計所要時間と比較して有意に短かった。WS-AFT とSTEF の課題群の所用時間は有意な正の相関を示した。WS-AFT の検査項目群は十分な内的整合性を有することが確認された。[結語]WS-AFT は車椅子に着座した健常成人の上肢機能を簡略な手順によって短時間で評価できることが示された。今後は車椅子使用者を対象にWS-AFT の信頼性,妥当性を検証する必要がある。

短報
  • 村田 伸, 中野 英樹, 安彦 鉄平, 岩瀬 弘明, 豊西 孝嘉, 松倉 祥子, 児島 諒
    2017 年 7 巻 3 号 p. 109-113
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,開発した下肢がむくみ難いパンプス(開発パンプス)を紹介するとともに,そのむくみ抑制効果について検証した。方法は,開発パンプスと一般パンプスを交互に履くクロスオーバーデザインを採用し,かつそれぞれのパンプスが対象者に分からないようブラインド化して効果を検証した。なお,下肢のむくみは下肢容積を水置換法によって計測することで判定した。対象とした女子大学生12名両下肢24肢の登校時と下校時の下肢容積変化量を比較した結果,開発パンプス装着日は-15.4±19.5ml,一般パンプス装着日は41.7±14.0ml であり,有意差(p<0.05)が認められ,開発パンプス装着日の下肢容積の減少が確認された。このことから,開発パンプスの下肢のむくみに対する一定の抑制効果が確認された。

  • 岩瀬 弘明, 村田 伸, 弓岡 まみ, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 松井 宏彰
    2017 年 7 巻 3 号 p. 115-119
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,小学1年生の足部および足趾の形態を明らかにすることである。研究デザインは横断研究で,A小学校に通う小学1年生79名を対象に,足部および足趾の形態について評価した。足部と足趾の形態について調査した結果,男児では66.7%,女児では82.5%に浮き趾が認められた。一方で外反母趾や内反小趾,開張足の者はいなかった。次に男女別に足部の左右差を比較した結果,男児の足長は右足よりも左足の方が長かった。また,母趾角は左足の方が大きく,小趾角は右足の方が大きかった。一方,女児では小趾角のみ左右差が認められ,足長,足幅,母趾角,開張角,浮き趾数に有意差は認められなかった。これらのことから,幼児期から児童期へ移行した小学1年生においても,足部に性差や左右差が認められること,足部は3人に2人が浮き趾を呈していることが明らかとなった。

  • 白岩 加代子, 村田 伸, 安彦 鉄平, 堀江 淳
    2017 年 7 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,地域在住の女性高齢者を対象に運動頻度と実施時間について検証した。日常生活における運動頻度と実施時間を基に,「運動なし」,「毎日30分未満」,「ときどき30分以上」,「毎日30分以上」の群に分け,身体機能と身体組成に差異がみられるか比較した。その結果,身体機能に関しては,毎日30分以上の運動を行っている高齢者では,他の群より,下肢筋力,バランス能力の評価が有意に良好な値を示した。また,毎日運動は実施していても実施時間が30分未満の場合には,日頃運動を行っていない高齢者と身体機能に有意差は認められなかった。運動を行っていない高齢者では,体脂肪率とBody Mass Index が運動を行っている高齢者よりも有意に高値を示した。これらのことから,高齢者の身体機能の維持・向上のためには,毎日30分以上の運動を取り入れた生活を送ることが望ましいと考える。

  • 村田 伸, 矢田 幸博, 岡村 祐一, 張 淑珍, 津田 彰
    2017 年 7 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    抑うつ状態にある高齢者の転倒発生率は高く,抑うつ状態が転倒の危険因子であることが報告されている。本研究は,シート型歩行分析装置を用いて,抑うつ傾向にある高齢者の歩容の特徴を明らかにすることを目的に実施した。5-item Geriatric Depression Scale で2点以上に該当した抑うつ傾向群17名と該当しなかった非抑うつ群68名の歩容を比較した結果,抑うつ傾向群は非抑うつ群と比べて歩行速度が有意に遅く,ストライドや歩幅が有意に狭かった。また立脚時間と両脚支持時間は有意に長かった。一方,歩行率,歩隔,足角,歩行角,遊脚時間,重心動揺には有意差は認められなかった。今回の結果から,抑うつ傾向にある高齢者の歩容の特徴として,歩行速度の低下に関与するストライドや歩幅の減少と立脚時間や両脚支持時間の延長が認められたが,立位バランスの有意な低下は認められず,転倒しやすい高齢者の特徴である不安定なバランスを補完するための歩隔や歩行角の増大は認められなかった。よって,抑うつ傾向にある高齢者が転倒しやすい理由は,立位バランスの低下よりも注意力の低下や不活動による体力低下の影響によるものと推察された。

  • 瀧川 美優, 村田 伸, 阪本 昌志, 西河 奈緒子, 窓場 勝之, 兒玉 隆之
    2017 年 7 巻 3 号 p. 133-137
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,両手動作の上肢機能評価として開発したペットボトルキャップテスト(以下,PBT)の測定方法を紹介するとともに,測定値の再現性を検討することである。健常成人40名(男性20名,女性20名,平均年齢21.2±0.7歳)を対象に,PBT に加えてPurdue pegboard test(以下,ペグテスト)を測定し,再現性についてはテスト-再テスト法による級内相関係数を求めた。また,性差は対応のないt 検定,利き手・非利き手間の差と施行回数の差には反復測定二元配置分散分析を用いて検討した。その結果,PBT の再現性は0.796~0.819と高く,性差は認められなかった。PBT とペグテストは,ともに利き手が非利き手に比べ所要時間が有意に速く,1回目に比べて2回目の所要時間が有意に速まった。これらの結果から,PBT の測定値は高い再現性が認められ,利き手と試行回数の結果がペグテストと同様であり,簡易上肢機能評価法として使用できる可能性が示された。

  • 小野 武也, 西野 かれん, 沖 貞明, 梅井 凡子, 積山 和加子, 相原 一貴, 佐藤 勇太
    2017 年 7 巻 3 号 p. 139-141
    発行日: 2017/10/06
    公開日: 2017/10/05
    ジャーナル フリー

    〔目的〕健常成人の睡眠時における膝関節最長不動時間を調査することである。〔対象と方法〕対象は健常成人女性12名であり睡眠時の膝関節の動き携帯型記録装置に接続した電気ゴニオメーターで計測した。〔結果〕平均睡眠時間は約6時間であった。膝関節最長不動時間は最長2時間であった。〔結語〕2時間の膝関節不動では膝周囲の筋に関節拘縮を発生させるような変化は生じないと考えられるために健常成人の関節拘縮は発生しないと思われた。今後は症例を通して膝関節最長不動時間と関節拘縮発生との関係を検証したい。

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