[目的]健常成人を対象に,車椅子座位時の上肢機能を簡略かつ短時間に評価する車椅子座位上肢機能検査(Wheelchair Seating Arm Function Test, WS-AFT)を開発すること。[方法]WS-AFT を構成する検査課題として車椅子に着座した被験者が机上の物品を把握し前後・左右方向へ移動させる時間を測定する8種類の課題を考案した。対象は健常成人30名とし,車椅子に着座させWS-AFT と簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function, STEF)を実施した。被験者がWS-AFT とSTEF の検査課題群を遂行する際に要した時間を比較し,WS-AFT の検査課題群の内的整合性を検証した。[結果]WS-AFT の合計所要時間はSTEF の合計所要時間と比較して有意に短かった。WS-AFT とSTEF の課題群の所用時間は有意な正の相関を示した。WS-AFT の検査項目群は十分な内的整合性を有することが確認された。[結語]WS-AFT は車椅子に着座した健常成人の上肢機能を簡略な手順によって短時間で評価できることが示された。今後は車椅子使用者を対象にWS-AFT の信頼性,妥当性を検証する必要がある。
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