近年では,高齢者の健康増進において,身体機能や認知機能のみでなく,主観的幸福感も注目されている。主観的幸福感には,社会参加が重要とされるが,自治会への加入が有益か否かについては様々な報告がある。そこで本研究では,自治会への加入と,趣味活動など自主的に参加できる活動への参加状況の違いによって,主観的幸福感に差異があるかを検討した。地域在住高齢者に対するアンケート調査結果から,14,500名を解析対象とした。主観的幸福感の高低を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果, 主観的幸福感には,社会参加していること,自治会に加入していること,さらには自治会に加入意欲があることが影響していた。このことから,高齢者に自主的な社会参加を促すことが重要であるとともに,自ら積極的に参加できない高齢者に対しては,自治会などの第三者が主体的に運営する自治会などの参加を促すことも一定の効果が見込まれると考えられる。
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