ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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5 巻, 2 号
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原著
  • 楠 正和, 宮原 洋八, 深堀 辰彦
    2015 年 5 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    [目的]虚弱高齢者に対する空気圧式体重免荷トレッドミル(以下AP-BWST)が免荷量の違いにより,1歩行周期,歩行率,歩幅に与える影響を検証することである。[対象]通所リハビリを利用している20名とした。[方法]Anti-Gravity TreadmillⓇを使用。体重免荷(BWS)は,全荷重(FWB),20%BWS,40%BWS に設定,歩行速度は2km/h とした。各歩行時の体幹加速度を計測し,最大振幅値と1歩行周期,歩行率,歩幅を算出した。[結果]FWB と20%BWS,FWB と40%BWS の比較は,1歩行周期延長,歩行率減少,歩幅拡大した(p<0.01)。20%BWS と40%BWS の比較は,有意な変化はみられなかった。[結語]虚弱高齢者のAP-BWST は,体重を免荷した歩行(20%BWS,40%BWS)によって,歩幅が大きく歩行率が低下した歩行パターンに変化することが示唆された。
  • 久保 温子, 村田 伸, 平尾 文, 田中 真一, 満丸 望
    2015 年 5 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    【目的】近年,児童の運動能力低下と体型の変化が社会問題として取り上げられている。本研究では,就学期前の幼児(年中・年長児)を対象に,体型と運動能力との関係を明らかにすることを目的とした。【対象】健常幼児123名とした。【方法】身長ならびに体重を測定後,文部科学省の示した幼児運動能力調査より25m 走,立ち幅跳び,ボール投げ,両足跳び越し,体支持時間を評価した。統計処理は,やせ型と普通型の2群に分類し,各運動能力調査項目値を比較した。また,2群間における男女の割合について分析した。【結果】やせ型と普通型の2群間において,男女比に有意差は認められなかった。また,運動能力調査項目として測定した項目すべてにおいて2群間に有意な差は認められなかった。【結語】幼児期は運動能力と体型には関係が乏しいことが示唆された。一方で,幼児期にやせ型の子どもが多い現状が示された。
  • 桐野 耕太, 安彦 鉄平, 川添 里菜, 小澤 美奈, 和田 真紀, 白岩加代子 , 堀江 淳, 阿波 邦彦, 窓場 勝之, 村田 伸
    2015 年 5 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,登山前後における大腿四頭筋の筋疲労について,筋力および筋活動量を用いて検討することである。対象は健常成人15名であった。測定は,登山前と登山後に最大努力下(100%MVC)での等尺性膝関節伸展時の筋力および筋活動量を計測した。さらに,4種類の負荷量(10%,30%,50%,70%MVC)別の筋活動量を測定した。測定値は,ハンドヘルドダイナモメーターを用いた筋力値と,筋電図を用いた大腿直筋,内側広筋および外側広筋の筋活動量とした。その結果,登山後に大腿四頭筋,特に内側広筋と外側広筋に筋疲労が生じる可能性が示された。この要因は,単関節筋である内側広筋と外側広筋が登山において繰り返し使用されたためと考えられた。
  • ―ラットを用いた実験的研究―
    佐藤 勇太, 小野 武也, 石倉 英樹, 相原 一貴, 松本 智博, 保手濱 千絵, 田坂 厚志, 梅井 凡子, 積山 和加子, 沖 貞明
    2015 年 5 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    要旨:本研究の目的は,後肢懸垂と1日4時間以下の関節固定を実施した場合,関節拘縮が発生するかを明らかにすることである。対象は,Wistar 系ラットとした。後肢懸垂は,すべてのラットに対して行った。関節固定は,すべてのラットの右後肢に対して1日2時間もしくは1日4時間行った。関節固定の時間により,対象の右後肢を,2時間固定群と4時間固定群に分けた。実験開始前と1週間後において,足関節背屈角度を測定した。1 週間後の各群の足関節背屈角度は,実験開始前と比較して変化しなかった。1日4時間以下の関節固定を1週間実施した場合,下肢への非荷重は関節拘縮の発生に影響をおよぼさない。
  • ―不安定面での重心動揺検査における検証―
    藤高 祐太, 金井 秀作, 原田 亮, 後藤 拓也, 城野 靖朋, 田中 聡, 大塚 彰
    2015 年 5 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は地域在住高齢者の不安定面上での姿勢制御能力が転倒に及ぼす影響 を検討することである。地域在住高齢者55名を対象者に,過去1年間の転倒歴を聴取した。 姿勢制御能力の測定は専用のフォームラバーを用いた重心動揺計を使用し,開眼および閉 眼とフォームラバー有無を組み合わせた条件で行った。測定項目は外周面積,実効値面積,単位軌跡長とし,また,各測定項目のロンベルグ率を算出した。いずれの測定項目も転倒 歴に差を認めなかった。転倒群が非転倒群と比べ高い値を示す傾向であったが,ラバー有条件でのロンベルグ率でのみ非転倒群の方が高い値を示した。このことから,重心動揺計を用いた不安定面上での姿勢制御能力は転倒に影響を及ぼしていなかったこと,転倒群は視覚優位の姿勢制御であり非転倒群と比べ下肢の体性感覚が低下している可能性があると考えられた。
  • ~Dual Energy X Ray Absoptiometry(DXA)による身体組成分析~
    小笠原 正志, 柳川 真美, 肘井 千賀, 大島 晶子, 津田 彰, 田中 宏暁, 神宮 純江, 大藤 直子, 荒瀬 泰子
    2015 年 5 巻 2 号 p. 81-90
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    [目的]行動科学的手法を用いた運動習慣獲得プログラム(教室)が,中高年女性の身体組成に及ぼす影響をDXA(dual energy x ray absorptiometry)で分析した。[方法]運動習慣のない女性314名を対象とし,介入群280名(平均年齢48.5±11.0歳)と対照群34名(49.8±13.9歳)に分けた。介入群は,教室(毎週1回2時間,全12回)に参加し、身体活動量を高める自己監視を続けた。身体組成は、教室前後にDXA を用い部位別に分析した。[結果]2要因分散分析と下位検定の結果,全身脂肪量は,有意な交互作用を示し,介入群のみ有意に低下した。全身の骨塩量および除脂肪除骨量は,交互作用がなかった。介入群での全身脂肪低下量(-1,776±1,737g)は,全組織量の減少量(-1,781± 1,910g)と同値であり,四部位(頭・腕・脚・体幹)の中で,体幹部の減少(-1,094± 1,128g)が最も大きかった。[結語]教室は,中高年女性の骨塩量と筋肉量を維持したまま,体幹部を主とする体脂肪量の選択的減少による減量に有効であることが示唆された。
症例報告
  • ケースレポート
    中村 直樹, 伊藤 一也, 蒲田 和芳, 秋山 寛治
    2015 年 5 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2015/07/31
    公開日: 2015/09/01
    ジャーナル フリー
    目的:“チェストグリッピング”は上部腹筋群の緊張による下位胸郭拡張制限を指し,腰痛の一因とされている。本研究はチェストグリッピングの拮抗筋と考えられる下後鋸筋に関して,健常者の体幹運動中における筋活動を検証することを目的とした。対象:健常男性1名を対象とした。方法:①端座位でのプッシュアップ,②端座位での体幹右回旋,③端座位での体幹左回旋,④端座位での胸椎伸展,⑤腹臥位での体幹伸展,⑥左下側臥位での体幹右側屈,⑦左下側臥位での体幹右回旋,⑧四つ這い位での右上肢挙上,の8試技における右下後鋸筋の筋活動を表面電極およびワイヤー電極を用いた筋電計にて測定した。結果:端座位での体幹右回旋,四つ這い位での右上肢挙上,左下側臥位での体幹右回旋時において右下後鋸筋は高い活動を生じた。結語:下後鋸筋は体幹回旋時に片側性の活動を示すことから,下位肋骨を後方へ引く能力を有すると推測される。
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