ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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1 巻, 2 号
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原著
  • 竹井 和人, 村田 伸, 大田尾 浩, 安田 直史, 甲斐 義浩
    2012 年 1 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    [目的]下肢荷重力および臀部荷重力を端座位で計測可能な装置を作成し,その測定器から得られる測定値の臨床的意義について検討した。[対象]要介護女性高齢者23名(要介護認定:要支援1~要介護1,平均年齢83.8±8.5歳,平均体重44.0±8.6?)とした。 [方法]下肢荷重力および臀部荷重力測定値と身体機能(座位保持能力,歩行能力,下肢筋力)との関連を,ピアソンの相関係数を用いて分析した。[結果]下肢および臀部荷重力は各身体機能との間に有意な正相関が認められた。また,下肢荷重力と臀部荷重力との間に有意な正相関が認められた。[結語]本測定器は,下肢機能の評価に加え,体幹機能を含めた総合的な身体機能評価としての活用が期待できる。
  • ‐認知機能が低下した患者を対象に含めた検討‐
    大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 村田 伸, 溝上 昭宏, 小野 武也, 梅井 凡子, 大塚 彰, 川上 照彦
    2012 年 1 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    [目的]脳卒中片麻痺患者の歩行の可否に影響を及ぼす要因とカットオフ値を検討した。[対象]対象に認知機能が低下した患者を含む脳卒中片麻痺患者35名(男性22名,女性13名)とした。[方法]候補となる要因を年齢,Brunnstrom stage,立位バランス,上肢筋力,腹筋力,下肢筋力,足底感覚,および認知機能とし,これらの要因と歩行能力を評価した。歩行能力に影響する要因をロジステック回帰により分析し,ROC 曲線から歩行自立を判別するカットオフ値を検討した。[結果]歩行の可否に影響を及ぼす要因は,麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点が選択された。歩行自立を判別するそれぞれのカットオフ値は,麻痺側下肢筋力では体重比24%,HDS-R 得点では25点であった。[結語]脳卒中片麻痺患者の麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点によって,歩行自立を判別できる可能性が示唆された。
  • ~立ち上がり動作パターンと身体機能の特徴~
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 宮崎 純弥, 大田尾 浩, 堀江 淳
    2012 年 1 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,男性高齢者による床からの立ち上がり動作について,立ち上がり動作パターンと身体機能の特徴を検討することである。対象は,60歳以上の男性高齢者49 名(平均年齢74.8±5.7歳)とした。床からの立ち上がり動作パターンを分類し,パターン別に年齢,BMI,上下肢・体幹の筋力,柔軟性,立位バランス能力,歩行能力を比較した。また,床からの立ち上がり所要時間と各種身体機能との関連を検討した。その結果,床からの立ち上がり動作は,?両手両足を床につけた高這い位を経て立ち上がるパターン,?片膝立ちを経て立ち上がるパターン,?しゃがみ位から立ち上がるパターンの3つに分類され,3群別のBMI と床からの立ち上がり所要時間に有意な群間差が認められた。多重比較検定の結果,BMI と床からの立ち上がり所要時間は,高這い位を経て立ち上がるパターン群が,しゃがみ位から立ち上がるパターン群と比較して,BMI は有意に高く,床からの立ち上がり所要時間は有意に長かった。一方,床からの立ち上がり所要時間は,身体の柔軟性を除く全ての項目と有意な相関を認めた。これらの知見から,男性高齢者の床からの立ち上がり動作パターンは,体格の影響を受けること,また,床からの立ち上がり所要時間を計測することで,詳細な体力テストが必要か否かのスクリーニングテストとして使用できる可能性が示された。
  • 安田 直史, 村田 伸
    2012 年 1 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,通所リハビリテーション施設に通所している要介護高齢者を介護する主介護者に対する支援についての指針を得ることをねらいとし,抑うつに影響を及ぼす因子を抽出することを目的とした。対象は,要介護高齢者43名とその主介護者43名とした。主介護者の抑うつ度,要介護度,要介護者の年齢,介護期間,主介護者の年齢,介護負担感,主介護者の睡眠時間,要介護者のADL 能力,要介護者の抑うつ度を調査し,主介護者の抑うつ度との関連を検討した。重回帰分析により,抑うつに影響を及ぼす因子として抽出された項目は,要介護者年齢と主介護者の介護負担感の2項目であり,要介護者の年齢が高いほど,主介護者の介護負担感が高いほどに主介護者の抑うつが高いことが確認された。 今回の知見より,要介護高齢者を介護する主介護者の抑うつを軽減させる為には,加齢によって失われる機能や疼痛などに対するリハビリテーション,主介護者の介護負担感へのサポートの重要性が示された。
  • 相馬 正之, 中江 秀幸, 安彦 鉄平, 島村 亮太, 川間 健之介
    2012 年 1 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,非転倒経験者と転倒経験者を対象にDual task(以下,DT)条件下で歩行定常状態と障害物を跨ぐ際の歩行パラメータを比較し,歩行調整の違いについて検討をした。対象は,65歳以上の高齢者30名とし,聞き取り調査から非転倒経験群23名,転倒経験群7名に分類した。設定課題は,運動課題のみの単課題条件および運動課題中に認知課題を課す二重課題条件の2通りとした。運動課題は,対象者自身の快適歩行で9?歩行路の中間地点に設置された高さ2?,幅15?,奥行き80?の木製障害物の跨ぎ動作とした。 認知課題は,100から7を減じていく連続7減算とした。計測項目は,歩行開始4歩目および障害物を跨ぐ直前の歩行速度,歩幅,歩隔の3項目とした。二元配置分散分析の結果,非転倒経験群では,歩幅が歩行状態と歩隔が歩行条件で主効果が認められたが,転倒経験群では認められなかった。本結果から非転倒経験群と転倒経験群の障害物跨ぎの際の歩行調節が異なる可能性が示唆された。
  • 大田尾 浩, 村田 伸, 八谷 瑞紀, 弓岡 光徳, 小野 武也, 梅井 凡子, 大塚 彰, 溝上 昭宏, 川上 照彦
    2012 年 1 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    [目的]脳卒中片麻痺患者の座位での骨盤傾斜角度と基本動作能力との関連について検討した。[対象]脳卒中片麻痺患者28名(男性17名,女性11名)とした。[方法]測定項目は,端座位での自動運動による骨盤前傾角度,骨盤後傾角度,骨盤運動可動域,基本動作能力(立ち上がり,着座,立位保持,片脚立位,歩行),Brunnstrom stage および下肢筋力とし,基本動作の可否に関連する因子を分析した。[結果]片脚立位以外の基本動作能力と骨盤前傾角度に有意な関連を認めた。一方で,各測定項目と骨盤後傾角度および骨盤運動可動域とは有意な関係は認められなかった。[結語]脳卒中片麻痺患者の自動運動による骨盤前傾能力は,基本動作能力に関連している可能性が示された。
  • 田中 真一, 村田 伸, 岩永 健之, 中川 育星, 田中 智枝子, 津田 奈々恵, 村上 陽司
    2012 年 1 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    目的:変形性膝関節症患者を対象に,物理療法と運動療法を併用した時の膝関節に与える影響を検証することを目的とした。対象:手術歴がない変形性膝関節症の女性患者14名21膝とした。方法:膝関節屈曲・伸展の可動域測定,大腿四頭筋筋力,歩行分析は,歩行率,歩行速度,ストライド,歩幅,歩隔,立脚と遊脚時間を,温熱療法と運動療法実施前,温熱療法実施後,運動療法実施後にそれぞれの測定を実施した。結果:介入前と比較して温熱後および運動後ともに有意に膝関節可動域が改善し,歩行速度,歩行率が有意に改善を認め,立脚時間が有意に短縮した。温熱後と運動後の比較は,すべての項目に有意差は認められなかった。また,その他の測定項目では,有意差は認められなかった。結語:変形性膝関節症に対する温熱療法と運動療法は,可動域制限と歩行機能に対して,即時的な効果が認められたものの,運動療法は温熱療法を上回る効果は認められなかった。
短報
  • 古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 安部田 章, 上城 憲司
    2012 年 1 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,健常成人女性15名(年齢21.3±4.0)30肢を対象に,マッサージチェアによる肩こりへの効果について,僧帽筋の筋硬度から検討した。15分間の安楽座位を対照課題とし,実験課題は15分間のマッサージ(全身標準プログラム;肩部,腰背部,下腿部)を実施した。開始前,安楽座位保持後,マッサージ後の僧帽筋の筋硬度を比較した。その結果,開始前(12.8±6.2)と安楽座位保持後(12.6±7.8)の筋硬度に有意な変化は認められなかったが,マッサージ後(8.7±4.8)の筋硬度は有意(p<0.01)に低下した。ただし,肩こりの訴えがなかった3名は,実施前と比較してマッサージ後の筋硬度が高まる傾向であった。これらのことから,マッサージチェアの機械的刺激は,筋硬度を低下させることが示された。ただし,全ての対象者に有効とは言えず,適応基準を定める必要性が示唆された。
  • 片渕 友一, 村田 伸, 中山 伸太郎, 渡邊 絵理子, 宮副 智礼, 野方 徳浩, 中村 隆弘, 宮崎 真樹
    2012 年 1 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,下肢の整形外科的手術後の高齢患者19名(平均年齢75.8±7.6歳)の術側下肢19肢を対象に,座位での下肢荷重力を測定し,大腿四頭筋筋力をはじめとする各種身体機能との関連性から,下肢荷重力測定が下肢術後評価として妥当かどうかを検討した。方法は,座位での下肢荷重力と大腿四頭筋筋力について,大腿周径,大腿四頭筋筋厚,FIM motor sub scores(FIM-M)との関係をスピアマンの相関係数により分析した,その結果,下肢荷重力と大腿四頭筋筋力はそれぞれFIM-M およびFIM 下位項目得点との間に有意な相関が認められ,その相関係数から,すべての項目において下肢荷重力の方が大腿四頭筋筋力よりも関連が強かった。それらのことから,座位での下肢荷重力測定は,大腿四頭筋筋力よりも下肢術後患者のADL を反映する評価法であることが示唆された。
実践報告
  • 安彦 鉄平, 安彦 陽子, 島村 亮太, 山本 真秀, 相馬 正之, 宮﨑 純弥, 丹野 亮, 林 泰史
    2012 年 1 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/02
    ジャーナル フリー
    【目的】疼痛を有する運動器不安定症外来患者を対象に,理学療法士によるセルフエクササイズの指導を実施し,その経過を調査することである。さらに,運動機能の改善に影響を及ぼす因子を検討することである。【方法】運動器不安定症と診断され疼痛を有する32名を対象に,月1回セルフエクササイズの指導を6か月間実施した。初回と6か月後に運動機能を測定し,比較した。また,性差,年齢,各要素の変化量と初回の運動機能との関係を検討した。【結果】6か月後に股関節外転可動域,疼痛,バランスが有意に改善した。また,性差に関わらず75歳未満の対象者で運動機能が向上し,初回の測定値と変化量については股関節外転関節可動域,疼痛,バランスで有意な負の相関があった。【結論】疼痛を有する運動器不安定症外来患者に対しセルフエクササイズを指導した結果,75 歳未満で運動機能レベルの低い対象者ほど運動機能改善に効果的である可能性を示した。
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