ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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2 巻, 3 号
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原著
  • 松本 典久, 村田 伸, 上城 憲司, 中林 紘二, 藤本 一美, 山田 道廣
    2012 年 2 巻 3 号 p. 91-95
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,地域在住の女性高齢者33名(平均年齢70.8±5.9歳)を対象に,股関節開排筋力の再現性と妥当性について検討した。股関節開排筋力の再現性については,テスト-再テスト法による級内相関係数を求めて検討した。妥当性については,股関節開排筋力と膝関節伸展筋力,開眼片足立ち保持時間,Timed up and go test,Functional reach test との関連をピアソンの相関係数を求めて検討した。その結果,股関節開排筋力の級内相関係数は0.851であり,高い再現性が認められた。股関節開排筋力は,膝関節伸展筋力(r=0.513),開眼片足立ち保持時間(r=0.399),TUG(r=-0.384)との間に有意な相関が認められた。これらの結果から,股関節開排筋力測定は,下肢筋力を表す粗大筋力テストとして臨床応用できる可能性が示唆された。
  • 政所 和也, 竹井 和人, 村田 伸, 井原 雄彦, 甲斐 義浩
    2012 年 2 巻 3 号 p. 97-100
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,市販体重計を用いたブリッジ力測定法の再現性と妥当性について検討した。【対象・方法】要介護認定を受けた女性高齢者19名(平均年齢84.7±6.4歳,平均体重49.9±7.5kg)を対象に,ブリッジ力測定法の再現性についてはテスト-再テスト法による級内相関係数,妥当性については下肢機能評価(CS-30・FRT・TUG)との関連について,ピアソンの相関係数を求めて検討した。【結果】ブリッジ力測定法の再現性は0.964ときわめて高く,FRT との間には有意な相関,TUG との間には負の相関傾向が認められ,ブリッジ力測定法の妥当性が確認された。【結語】ブリッジ力測定法は再現性に優れ,高齢者のバランス能力および歩行能力を反映する簡易下肢機能評価法として臨床応用できる可能性が示された。
  • 岩瀬 弘明, 村田 伸, 宮崎 純弥, 大田尾 浩, 堀江 淳
    2012 年 2 巻 3 号 p. 101-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,床から立ち上がる動作の過程で,四つ這いをとるか否かに影響を及ぼす要因を明らかにすることである。方法は,地域在住の女性高齢者47名を対象に,握力,大腿四頭筋筋力,足把持力,上体起こし,長座体前屈距離,片足立ち保持時間を評価した。床から立ち上がる動作の過程で四つ這いをとる要因について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。その結果,立ち上がり動作の過程で四つ這いをとる要因として,上体起こしが選択された。これらの知見から,高齢者が床から立ち上がる際,四つ這いを経由するか否かには,体幹筋力が関係しており,体幹筋力が強いものほど四つ這いをとらずに立ち上がれる可能性が示された。
  • 阿波 邦彦, 堀江 淳, 村田 伸, 林 真一郎, 田中 将英, 堀川 悦夫, 山田 穂積, 古賀 義行
    2012 年 2 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,COPD 患者の外出制限の一指標である歩行距離低下の影響因子を抽出し,そのカットオフ値を算出することである。対象は,男性 COPD 患者44名(年齢77.4±6.4歳)であった。方法は,対象を外出制限が生じるとされる6分間歩行距離(6MWD)400m以下群と401m以上群に分け,身体機能の比較を行った。さらに有意差を認めた項目を独立変数,6MWD を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行い影響の強さを検証した。そして抽出された項目をROC 曲線にてカットオフ値を算出した。結果,多重ロジスティック回帰分析で mMRC(p<0.05),%膝伸展筋力(p<0.05)が抽出された。また,そのカットオフ値は,mMRC が Grade2(感度0.880,特異度0.737,AUC =0.875),%膝伸展筋力は53.6%(感度0.789,特異度0.880,AUC=0.897)であった。本研究の結果から,COPD 患者の外出制限に影響を及ぼす因子は mMRC 息切れスケールと%膝伸展筋力であった。
  • 渡利 太, 横山 茂樹, 西崎 真里, 岡田 正比呂
    2012 年 2 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,心臓血管外科手術後の肺活量(Slow Vital Capacity,SVC)の回復に影響を及ぼす要因を明らかにすることである。【方法】対象は胸骨正中切開術による心臓血管外科手術待機患者とした。方法は術前後のSVC 回復率と個別情報や手術情報,術前後の胸郭拡張差(Chest Expansion Difference,CED)の変化率や術後の創部痛および移動能力との関連性をstepwise 法による重回帰分析にて検討した。【結果】術前 SVC は2.51±0.69L,術後2週時は2.06±0.61L と有意に低下した(SVC 回復率82.7%)。重回帰分析の結果,術後1週時の CED 変化率(腋窩高)が抽出された。【考察】術後1週時の CED 変化率(腋窩高)が高いほど SVC 回復率は良い傾向が示唆された。【結論】心臓血管外科手術後2週時の SVC 回復率には,術後1週時の CED 変化率(腋窩高)が関連している可能性を示唆した。
短報
  • 原田 一生, 佐野 晋作, 大田尾 浩, 田中 聡, 林 正典
    2012 年 2 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    [目的]座位での下肢荷重力測定法の検者内・検者間信頼性を検討した。[対象]大腿骨近位部骨折手術後の急性期患者13名(平均年齢80.8±6.3歳)とした。[方法]理学療法士2名が検者となり,測定値の再現性から検者内および検者間信頼性を級内相関係数(ICC)から評価した。[結果]検者内信頼性は,非術側(ICC=0.813~0.911)術側(ICC =0.960~0.963)ともに良好な再現性を示した。また,検者間信頼性は非術側(ICC=0.830)術側(ICC=0.956)ともに良好な再現性が示された。[結語]大腿骨近位部骨折手術後の患者を対象とした座位での下肢荷重力測定法の信頼性が確認された。
実践報告
  • 江越 正次朗, 堀江 淳, 阿波 邦彦, 今泉 裕次郎, 市丸 勝昭, 直塚 博行, 白仁田 秀一, 上田 真智子, 田中 將英, 林 真一 ...
    2012 年 2 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の6分間歩行距離(6MWD)の違いにおける身体特性を比較した。対象は安定期 COPD 患者76名とした。方法は,6MWD,Body Mass Index (BMI),呼吸機能検査,下肢筋力,握力,呼吸筋力,バランス能力,歩行能力,長崎大学呼吸器疾患ADL 質問票(NRADL),St George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)を評価し,6MWD にて3群に分類し,各測定項目を検討した。結果,%努力性肺活量(%FVC),%1秒量(%FEV1.0),膝伸展筋力,握力,呼吸筋力,片脚立位時間,TUG,CS‐30,最速歩行時間,NRADL,SGRQ に有意差が認められた。COPD 患者における6MWD は,呼吸機能,筋力,身体能力,ADL 能力,健康関連 QOL を反映した。
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