本研究は,地域在住の女性高齢者33名(平均年齢70.8±5.9歳)を対象に,股関節開排筋力の再現性と妥当性について検討した。股関節開排筋力の再現性については,テスト-再テスト法による級内相関係数を求めて検討した。妥当性については,股関節開排筋力と膝関節伸展筋力,開眼片足立ち保持時間,Timed up and go test,Functional reach test との関連をピアソンの相関係数を求めて検討した。その結果,股関節開排筋力の級内相関係数は0.851であり,高い再現性が認められた。股関節開排筋力は,膝関節伸展筋力(r=0.513),開眼片足立ち保持時間(r=0.399),TUG(r=-0.384)との間に有意な相関が認められた。これらの結果から,股関節開排筋力測定は,下肢筋力を表す粗大筋力テストとして臨床応用できる可能性が示唆された。