ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
5 巻, 3 号
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原著
  • 古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 久保 温子, 満丸 望, 田中 真一
    2015 年 5 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,幼児における体格と運動機能の性差,および超音波画像法を用いて計測した筋厚との関連を調査した。[対象と方法]健常年長児44名(男児26名,女児18名)を対象とした。対象の身長,体重,超音波画像法を用いた大腿四頭筋の筋厚,筋硬度,足趾把持力,握力,および立ち幅跳びを計測した。全ての項目を男児と女児の2群間で比較した。また,それぞれの項目間の関連を調査した。さらに,筋厚を従属変数,有意な相関が認められた項目を独立変数として,重回帰分析にて検証した。[結果]全ての項目において男児と女児に有意差は認められなかった。筋厚と有意な相関が認められた項目は,身長と体重であった。筋厚に独立して関与する要因は体重であった。[結語]年長児の体格と運動能力に関して,性差がないことが示唆された。また,大腿四頭筋の筋厚と関連がある項目は,身長と体重であり,幼児の筋厚は運動習慣などによる増減よりも,体格の影響が大きいことが明らかになった。
  • 佐藤 惇史, 藤田 貴昭, 山根 和広, 小野部 純, 山本 優一
    2015 年 5 巻 3 号 p. 113-116
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,回復期脳卒中患者において6分間歩行距離(以下6MD)と運動機能や自覚的運動強度との関連性を検討することである。[方法]下肢装具を必要とせず杖もしくは独歩で歩行可能であった50名を対象とした。Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS),膝伸展筋力,Berg Balance Scale(以下BBS),6分間歩行テスト後の自覚的運動強度を収集した。各運動機能や自覚的運動強度が単独で6MD に与える影響を検討するため,Spearman の偏順位相関,重回帰分析を用いて分析した。[結果]6MDとSIAS 下肢近位テスト(Knee-extension test),BBS で関連性が認められた。[結語]回復期脳卒中患者において,6MD は自覚的な疲労度よりも麻痺側下肢やバランスの機能を反映する評価法であることが示唆された。
  • ―深呼吸練習との比較―
    金子 秀雄, 鈴木 あかり
    2015 年 5 巻 3 号 p. 117-121
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    [目的]ストレッチポール上背臥位と深呼吸練習が肺機能に及ぼす効果を検証すること。[方法]若年健常者36名を対象とし,ストレッチポール上背臥位を行う群(SP 群),インセンディブスパイロメータを用いた深呼吸を行う群(DB 群),介入なし群の3群に無作為に分けた。SP 群とDB 群は2週間で合計10回の介入を行い,その前後に肺活量,努力性肺活量,一秒量,および一秒率を測定した。群および時期の2要因で分割プロットデザインによる分散分析,介入前後の比較に対応のあるt 検定,介入前後の変化量の群間比較に多重比較検定を用いた。[結果]介入後,SP 群の肺活量と努力性肺活量は有意な増大,DB 群の一秒量と一秒率は有意な低下を示した。SP 群における肺活量と努力性肺活量の変化量は介入なし群より有意に高値であり,努力性肺活量と一秒量の変化量ではDB 群より有意に高値であった。[結語]若年健常者におけるストレッチポール上背臥位は肺活量を増大させる可能性が示唆された。
  • 吉田 安香音, 村田 伸, 安彦 鉄平, 小澤 実奈, 小西 佑磨, 阪本 昌志, 高橋 萌, 白岩 加代子, 窓場 勝之, 阿波 邦彦, ...
    2015 年 5 巻 3 号 p. 123-127
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,踵なしスリッパの着用が歩行に及ぼす影響を明らかにすることである。対象は,健常成人女性14名とした。方法は,通常のスリッパと踵なしスリッパを着用した歩行中の歩行パラメーターと筋活動を歩行分析装置及び表面筋電計を用いて計測した。その結果,踵なしスリッパ歩行が通常のスリッパ歩行に比べて,歩幅,ストライド長,両脚支持時間が有意に短縮した。ただし,立脚時間,遊脚時間,歩行速度,ケイデンスに有意な変化は認められなかった。筋活動では,立脚期の大腿直筋と腓腹筋の筋活動が有意に増大したが,立脚期の大腿二頭筋,前脛骨筋,および遊脚期のすべての筋活動に有意差は認められなかった。以上のことから,踵なしスリッパの着用は,歩幅を狭めるが素早く1歩を出すことで通常のスリッパと同じ歩行速度を保ち,大腿直筋および腓腹筋の筋活動を効果的に高める可能性が示された。
短報
  • 山下 裕, 古後 晴基, 川口 直輝, 溝田 勝彦
    2015 年 5 巻 3 号 p. 129-133
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    [目的]虚弱高齢者の咬合力と身体機能の関連を検討するために行った。[対象と方法]デイケア利用の虚弱高齢者55名を対象とした。測定項目は,咬合力,残存歯数,握力,下肢筋力,片脚立位時間,Timedupandgotest,Functional reach test とした。ステップワイズ法による重回帰分析を用いて咬合力と独立して関連する項目を抽出した。[結果]咬合力と独立して関連の認められた項目は残存歯数と片脚立位時間であった。[結論]咀嚼能力の客観的評価指標の一つである咬合力は残存歯数という歯科的要因と,静的バランス能力の指標である片脚立位時間が関連していることが示された。
  • 佐藤 洋介, 村田 伸, 甲斐 義浩, 中江 秀幸, 相馬 正之
    2015 年 5 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    【目的】ヒトは,目的の動作を正確に遂行するために,感覚情報のフィードバック情報に基づいて運動の修正を行っている。特に視覚情報のフィードバック(Visual Feedback:VF)が重要であるが,どのように筋活動に影響するのかを報告した先行研究は少ない。本研究では筋出力発揮調整課題において,VF の有無が筋活動に及ぼす影響について検討した【方法】健常成人女性12名を対象とし,運動課題は,VF 有りとVF 無しにおける膝関節伸展筋の随意収縮力調整課題とした。VF 有条件とVF 無条件の計測順序はランダムとし,VF の有無が主動作筋と拮抗筋の筋活動に及ぼす影響について検討した。【結果】主動作筋と拮抗筋ともにVF 無の条件と比べて,VF 有の条件において筋活動が有意に減少した。【結語】VF 有の条件では,下肢の体性感覚フィードバックだけでなく,VF も利用することで,過剰な筋活動の制御がVF 無の条件より素早く行え,有意に筋活動が低くなることが示唆された。
活動報告
  • -身体・認知・精神機能の共分散分析による検討-
    井上 椋太, 村田 伸, 桐野 耕太, 小澤 実奈, 小西 佑磨, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 窓場 勝之, 堀江 淳
    2015 年 5 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 2015/09/07
    公開日: 2015/09/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,地域在住高齢者の転倒と身体・認知・精神機能との関連性について総合的に明らかにすることである。方法は,地域で開催された体力測定会に参加した活動的な高齢者345名を対象に,過去1年間における転倒経験の有無別に身体・認知・精神機能について,年齢と性別を調整した共分散分析で比較した。その結果,2群間を単純に比較すると,年齢,CS‐30,足趾把持力,上体起こし,開眼片脚立位時間,TUG 時間に有意差が認められ,転倒群が非転倒群より有意に年齢は高く身体機能が有意に劣っていた。老研式活動指標,MMSE およびGDS‐5は有意差を認めなかった。ただし,年齢および性別を調整した2群間の比較では,すべての測定項目に有意差が認められなかった。以上から,転倒の危険因子は数多く報告されているが,年齢や性を考慮する必要性が示唆された。また,活動的な高齢者であっても転倒経験に関わらず転倒する可能性が考えられるため,転倒への注意を喚起し,転倒予防事業などの各種取り込みへの参加を促す必要があろう。
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