ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
7 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 張 淑珍, 津田 彰, 村田 伸, 岡村 祐一, 谷 佳成恵, 橋本 正嗣, 米田 健一郎, 矢田 幸博
    2018 年7 巻4 号 p. 157-164
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,有料老人ホーム入居高齢者の手段的日常生活動作(IADL)に着目し,身体機能や精神機能,認知機能との関連と影響力について共分散構造分析を用いて明らかにすることとした。施設利用高齢者86名(男性24名,女性62名,平均年齢79歳)を対象に,身体機能や精神機能,認知機能,IADL を評価し解析に用いた。その結果,モデルの適合度はCFI=0.969,TLI=0.955,RMSEA=0.059,SRMR=0.054であった。身体機能はIADL と,認知機能は身体機能を介して間接的にIADL と関連した。これらの結果から,IADL を向上させるためには,高齢者の身体機能のみならず,認知機能を維持させる重要性が示唆された。

  • 弓岡 まみ, 村田 伸, 岩瀬 弘明, 内藤 紘一, 安彦 鉄平, 白岩 加代子, 野中 紘士, 堀江 淳
    2018 年7 巻4 号 p. 165-169
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は,女性高齢者の外反母趾に影響を及ぼす因子について,足部の形態に着目して検討することである。[対象と方法]高齢者健康サークルに所属し,体力測定会に参加した地域在住女性高齢者176名(平均年齢73.8±5.7歳)を対象とした。測定は,外反母趾に影響を及ぼす因子を抽出するため,対象者の年齢,身長,体重,Body Mass Index,および足部・足趾の形態(足長,足幅,母趾角,小趾角,開帳角,足底・足趾の接地状態)について足底圧分布測定器を用いて測定した。さらに,外反母趾と浮き趾の有無を判定した。〔結果〕ステップワイズ重回帰分析の結果,外反母趾に影響を及ぼす因子として抽出されたのは足幅のみであった。〔結語〕足部・足趾の健康を考える場合,足長のみならず足幅も考慮した靴のサイズ選びが重要であることが示唆された。

  • 鈴木 景太, 村田 伸, 白岩 加代子, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 窓場 勝之, 堀江 淳
    2018 年7 巻4 号 p. 171-175
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,運動習慣のある高齢者における転倒経験の有無と身体・認知・精神機能との関連について明らかにすることである。地域で開催された体力測定会に参加し,運動を習慣的に行っている60歳以上の高齢者158名を対象に,過去1年間における転倒経験の有無別に身体・認知・精神機能を二元配置分散分析で比較した。その結果,下肢筋力の指標とした30秒椅子立ち上がりテストは1年前よりも有意に向上し,その他の握力,長座体前屈距離,歩行能力,認知機能テスト,うつ尺度には年度の主効果は認められなかった。ただし,転倒群は非転倒群に比べて有意にうつ傾向にあり,その他の項目には有意な群の主効果は認められなかった。またカイ二乗検定の結果,1年前に転倒を経験した高齢者は転倒しやすいことが示された。さらに,転倒経験と精神機能を組み合わせてカテゴリー化した結果,転倒発生率は高リスク群が63%,低リスク群が10%であった。これらの結果から,高齢者が運動習慣を有することは転倒の有無に関わらず身体・認知・精神機能の維持に影響し,転倒は過去の転倒経験と精神機能の低下によって予測できる可能性が示された。

  • 宮脇 裕, 山本 大誠
    2018 年7 巻4 号 p. 177-183
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    他者運動の観察による運動の共鳴は,自身の運動経験から影響を受けるが,非生物学的な動きの観察における運動経験の影響は明らかではない。そこで非生物学的な動きを観察対象とし,運動経験が運動共鳴に及ぼす影響を検証した。対象者は,非生物学的な動きである視覚刺激(三角形)の周期的な垂直運動を観察しながら,腕の周期的な水平運動を実施した。水平運動が垂直方向にどの程度ばらついたかを運動共鳴の指標とした。測定間に,対象者は運動経験として垂直運動を実施した。結果は,対象者の運動は何も観察せずに水平運動を実施したときと比べて,三角形の垂直運動の観察により有意に垂直方向にばらついた。運動経験の前後では,共鳴の程度に有意差を認めなかった。運動制御は非生物から影響を受けている可能性が示唆された。運動経験は,観察対象との運動方向の一致のみでは,その後の運動共鳴に影響を及ぼさないことが示唆された。

  • 岩瀬 弘明, 東 智里, 村上 貴士, 中井 良哉, 窓場 勝之, 村田 伸
    2018 年7 巻4 号 p. 185-190
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,脳血管障害患者に対する長下肢装具導入までの日数と麻痺側運動機能およびFunctional Independence Measure(FIM)変化率との関係について明らかにすることである。対象はA病院に入院治療を受けた脳血管障害患者のうち,長下肢装具を作成したものとした。調査項目は年齢と性別,疾患名,発症から長下肢装具導入までの日数,および長下肢装具完成時とリハビリテーション終了時のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)とFIM とした。統計解析は,発症から長下肢装具導入までの日数とSIAS(麻痺側運動機能)の変化率,およびFIM 中項目の変化率との関係について偏相関分析を用いて検討した。その結果,発症から長下肢装具完成までの日数と有意な相関が認められたのは,SIAS の体幹機能とFIM の排泄コントロール,移乗・移動の4項目であり,発症から早期に長下肢装具を導入してリハビリテーションを行うことで,体幹機能および移乗,移動能力,排泄コントロールの改善に繋がる可能性が示された。

短報
  • 相馬 正之, 中江 秀幸
    2018 年7 巻4 号 p. 191-194
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は,Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者において,足趾把持力における左右差の比較と足部柔軟性,足部アーチ高率との関係について検討した。〔対象・方法〕Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者10名とした。測定項目は,両側の足趾把持力,足部柔軟性,足部アーチ高率とした。〔結果〕足趾把持力には左右差を認めなかった。また,右側では足趾把持力と足部柔軟性との間に有意な正相関を認めたが,左側では認めなかった。〔結語〕これらの知見から,Hoehn&Yahr 重症度分類stage Ⅱ~Ⅲの在宅パーキンソン病患者では,足趾把持力の左右差は認めず,足趾把持力と足部柔軟性との関係性については,左右差を認めることが示された。

  • 村田 伸, 甲斐 義浩, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 岩瀬 弘明, 松尾 大, 川口 道生, 松本 武士, 吉浦 勇次, 角 典洋
    2018 年7 巻4 号 p. 195-198
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,開発した膝関節内反動揺を軽減させる構造の靴(膝内反軽減シューズ)を紹介するとともに,変形性膝関節症患者の歩行に及ぼす影響を検討した。変形性膝関節症患者21名(すべて女性:平均年齢63.4±8.0歳)を対象に,膝内反軽減シューズと一般靴を履いた際の歩行パラメータを比較した。その結果,膝内反軽減シューズを履いて歩くと,足角が有意(p<0.001)に減少し,ストライド長と歩幅は有意(p<0.001)に広がり,歩行速度が有意(p<0.001)に速まった。一方,歩隔,歩行角,立脚時間,両脚支持時間の4項目には有意差は認められなかった。有意差が認められた足角,ストライド長,歩幅,歩行速度の効果量はΔ=-0.34~0.47の範囲にあり,膝内反軽減シューズが変形性膝関節症患者の歩行に及ぼす一定の効果が示唆された。

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