ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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2 巻, 4 号
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原著
  • 川添 綾香, 村田 伸
    2013 年 2 巻 4 号 p. 145-148
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,開発した「しりとり認知機能テスト」の再現性と妥当性について検討した。[対象と方法]対象は,通所リハビリテーション施設に通所している高齢者71名(平均82.4±8.7歳)である。課題は,独自に作成した単語表から単語を提示し,被験者がその語尾から始まる単語を返答する質問形式とした。再現性は級内相関係数(ICC),妥当性はMMSE との相関分析により検討した。[結果]しりとり認知機能テストの再現性は極めて高く(ICC=0.915),MMSE との相関は性別に関係なく中等度から高い有意な相関が認められた。認知機能の重症度別に検討すると,重度・中等度低下群は中等度の相関が認められたが,軽度低下・正常群では弱い相関に止まった。[結語]しりとり認知機能テストは再現性が高く,簡易認知機能テストとして臨床応用できる可能性が示されたが,軽度の認知機能低下の検出力には限界があることも明らかとなった。
  • 大田尾 浩, 村田 伸, 八谷 瑞紀, 小野 武也, 中尾 瞳, 溝上 昭宏, 川上 照彦
    2013 年 2 巻 4 号 p. 149-153
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,脳卒中片麻痺患者の車いす駆動速度に影響を及ぼす要因について検討した。[対象]脳卒中片麻痺患者58名とした。[方法]測定項目は,車いす駆動速度,Br.stage,握力,腹筋筋力,腸腰筋筋力,下肢筋力,足指筋力,座位での下肢荷重力,座位バランス,立位バランス,半側空間無視,足底感覚とした。車いす駆動速度に影響を及ぼす要因を抽出するために,ステップワイズ法による重回帰分析にて検討した。[結果]車いす駆動速度に影響する因子として選択されたのは,腹筋筋力と立位バランスであった。[結語]脳卒中片麻痺患者の車いす駆動速度には,腹筋筋力と立位バランスが重要である可能性が示された。
  • -歩行分析装置を用いた検討-
    福井 啓介, 村田 伸, 熊野 亘, 八谷 瑞紀, 井原 雄彦, 鬼塚 美佳, 塚原 大和, 永石 隼也, 宇都宮 至
    2013 年 2 巻 4 号 p. 155-158
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,脳卒中片麻痺者9名(平均年齢67.6±12.4歳)を対象に,短下肢装具装着による効果について,歩行分析装置を用いて検討した。その結果,短下肢装具装着時の歩行パラメータは,裸足時と比べ歩行速度と歩行率が有意に増加した。また下肢の非対称性の減少に加え,非麻痺側立脚時間は有意な短縮を認め,非麻痺側遊脚時間は有意な延長を認めた。これらの知見から,短下肢装具装着の効果は麻痺側下肢よりむしろ非麻痺側下肢に影響を及ぼすことが示された。よって,脳卒中片麻痺者の歩行分析では,AFO 装着肢のみならず非装着肢も含めた評価の重要性が示唆された。
短報
  • 宮原 洋八
    2013 年 2 巻 4 号 p. 159-162
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    目的:地域高齢者の初期調査時の歩行時間が,5年後の要介護度との関連を検討することを目的とした。方法:2007年A市保健センターにおいて健康診断を受けた60歳以上の住民のうち,男女211名を対象に,要介護度と歩行時間の調査・測定を行った。その内,自立者158名を対象に5年度の要介護度を調査した。結果:追跡時の各転帰における歩行時間(2007年時)の比較では,自立群より要介護3・4・5群が有意に増加した。またROC 分析では,要介護度のAUC(area under the curve)は高い値を示した(0.79)。結論:歩行時間は要介護度について評価が可能であることが示唆された。
  • -大腿四頭筋筋力と足把持力に着目して-
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 阿波 邦彦, 松尾 奈々, 山﨑 康平, 米山 智彦, 小松 直正, 重田 裕子, 窓場 勝之
    2013 年 2 巻 4 号 p. 163-167
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高齢入院患者を対象に,異なる歩行速度における下肢筋力の貢献度を明らかにすることである。方法は,入院中の高齢患者13名を対象に,光学式歩行分析装置を用いて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測した。また下肢筋力の代表値として,大腿四頭筋筋力と足把持力を評価した。歩行条件別に下肢筋力との関連を検討した結果,足把持力は最大低速歩行時の歩行率,歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間との間に有意な相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋力は最速歩行時の歩行率,立脚時間,遊脚時間との間に相関を示す傾向が認められた。最速歩行時の足趾把持力および最大低速歩行時の大腿四頭筋筋力は,すべての歩行パラメーターと有意な相関は認められなかった。これらの知見から,足把持力は最大低速歩行時の姿勢の安定化に関与している可能性が示された。一方,大腿四頭筋筋力は,身体を前方へ進める推進力としての役割が大きいことが推察された。
  • ~脳卒中片麻痺患者との比較から~
    中江 秀幸, 相馬 正之, 村田 伸
    2013 年 2 巻 4 号 p. 169-173
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,通所サービス利用中の虚弱高齢者と脳卒中片麻痺患者を対象に,歩行能力と身体活動量を比較検討した。対象は,虚弱高齢者15名(男性4名と女性11名)と脳卒中片麻痺患者15名(男性6名と女性9名)の合計30名とした。その結果,虚弱高齢者では,脳卒中片麻痺患者に比べて,10ⅿ最大歩行速度,10ⅿ至適歩行速度,3分間至適歩行速度,および歩行効率が有意に優れていた。ただし,身体活動量には有意差を認めなかった。これらの結果から,虚弱高齢者は歩行能力に見合った身体活動を行っていない可能性が示唆された。よって,虚弱高齢者のヘルスプロモーションを考える場合,歩行能力のみならず身体活動量を評価することの必要性が示唆された。
実践報告
  • 吉田 健太, 小林 匠, 窪田 智史, 坂 雅之, 蒲田 和芳
    2013 年 2 巻 4 号 p. 175-182
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    距腿関節は背屈位で骨性の安定性が得られるとされるが,生体にて骨性の安定性を検証した報告は存在しない。本研究では,距腿関節最大背屈位において,回旋方向の骨性の安定性が不完全な状態を『足関節背屈位動揺性(AUM)』と定義し,若年アスリートを対象とした存在率の調査を行い,足関節背屈内旋エクササイズが動揺性に及ぼす効果を検証した。他動背屈内旋テスト・荷重位内旋テストにより,足関節背屈位動揺性は高い存在率を示した。エクササイズにより足関節背屈位動揺性の軽減傾向は認められたが,パフォーマンスに有意な改善は認めなかった。若年アスリートの多くにAUM が存在し,足関節背屈内旋エクササイズが動揺性を軽減させる可能性が示唆された。
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