日本画像学会誌
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54 巻, 4 号
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原著論文
  • 市川 正人, 菅 亮太, 谷 忠昭, 内田 孝幸
    2015 年 54 巻 4 号 p. 276-283
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    鏡―透明―黒の可逆変化,また,透明からイエロー,マゼンタ,シアンや赤,青への可逆な色変化が可能な電気化学的な銀 (Ag) 電着に基づいた透明エレクトロクロミック素子において,従来の色表示のための駆動方法である一定電圧および2段階電圧 (2-step voltage) 印加法に加え,パルス幅変調 (Pulse Width Modulation;PWM) 電圧印加法の各駆動方式により,新たに緑の色表示を実現した.緑色の表示に必要な青色と赤色の光の吸収はAgナノ粒子の表面プラズモン共鳴とそれらの双極子間のカップリングによってもたらされると考えられる.青色表示に比べ緑色表示をもたらすAgナノ粒子は小さい粒子が溶解する過程を備えた手法で形成され,大きい粒子のみからなっていた.
  • 岩田 基, 江口 健太, 黄瀬 浩一
    2015 年 54 巻 4 号 p. 284-291
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    均等色空間とは,人の知覚的な色の違いと均等色空間での画素値の違いが一致するという特性を持つ色空間である.そのため,画素値の変更量と人の知覚との関係を数値化できることが大きな利点となる電子透かしの分野において,注目されてきた.しかしながら,一般的な画像フォーマットであるRGB表色系と均等色空間は非線形な式によって変換される上に,RGB表色系は整数値で表現されるため丸め誤差が生じ,透かしを正しく抽出できない場合があった.この問題に対処した方法として丸め誤差が生じない画素値のみを保持するテーブルを用いた手法がある.この手法では,丸め誤差による誤抽出の防止には成功したものの,透かしの埋め込み処理に要する時間が膨大であることや探索方法を原因とする誤抽出が生じるという問題があった.本論文では,探索方法の改善と表色系変換テーブルの分割により,処理の高速化と誤抽出の完全な防止を実現する.そして,従来の方法に関する問題点や,提案法の性能について,実験により明らかにする.
Imaging Today
  • 萩原 恒夫
    2015 年 54 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    三次元積層造形装置は,30余年前に発明され,形状確認や試作を中心に製造業で使われてきた.最近,これら装置は3Dプリンタと呼ばれることが多くなると共に,将来の製造技術として世界中で大きく注目されている.ここではこの3Dプリンタとその材料の現状を整理すると共に今後を展望した.3Dプリンタの出力である三次元造形物が広く一般に受け入れられるためにはその物性や機能性などの性能が重要である.しかし,現状ではその造形物が必ずしも充分な性能を有しているとは言えない.今後この技術がより発展するためには,装置の低価格化のみならず,材料の開発が強く求められている.
  • 前田 寿彦
    2015 年 54 巻 4 号 p. 301-307
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    3Dプリンタによるものづくり,公式にはアディティブ·マニュファクチャリング (AM) が新たな生産手段として注目を集めている.中でも熱可塑性粉末材料をレーザで焼結あるいは溶融することで三次元形状を造形するレーザ焼結技術を用いたAM装置は適用範囲もプラスチック部品から金属部品まで幅広い.一層毎に積層して造形する工程のため機械加工の制約が無いことおよび造形物の物性や耐久性が最終製品として十分通用することから,射出成形や鋳造,機械加工といった既存工法ではつくることができない複雑な形状や軽量化と強度維持を両立させた部品の生産を可能にする.本稿ではこのAM技術で実際にどのような材料が使われ,どのような製品がつくられているのか,また今後どのような分野に利用されようとしているのか,またそのために解決すべき課題や必要となる材料開発について述べる.
  • レイモンド ウー
    2015 年 54 巻 4 号 p. 308-313
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    At Solidscape we develop and deliver 3D solutions for advanced manufacturing. With our 3D printers and materials customers can create high-precision wax patterns to be cast in metal, to be used for mold making (RTV) or even to be pressed in ceramics for dental restorations.  Solidscape's Model is the build material for use in the Solidscape® printers by precision-oriented applications. Model is Solidscape's most durable material ever. This increased durability enables designers to incorporate even more intricate details with thinner walls into their work to produce lighter weight finished products that can meet their pricing strategy.  Together with Solidscape's Support automatically generates a structure to protect the part during the build process with the Solidscape® printers for high precision applications. This saves on labor by eliminating the need for CAD designers to configure support structures during the design of new pieces. Once the printing is completed, labor is saved again because the Soliscape's Support material completely dissolves away in a liquid solution, leaving a clean wax part without the need for manual refining. This hands-free process can safely deliver the most delicately featured and intricate wax masters that are immediately ready for investment casting or mold making.
  • 柏崎 寿宣, 濱地 晃平
    2015 年 54 巻 4 号 p. 314-319
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    本稿では,ポリマを材料とした市販されている3Dプリンタのうち,粉末焼結積層法,インクジェット法,熱溶解積層法の材料の種類やその特徴また,現状について解説する.  弊社が取り組む3Dデジタルデータを活用したAdditive Manufacturingの実態と展望,また,その推進に必要とされるユーザ視点から,材料の課題について解説する.
  • 中谷 充
    2015 年 54 巻 4 号 p. 320-325
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    3Dプリント技術のひとつである粉末床溶融結合法 (選択的レーザ焼結法) は,プロトタイプの作成に止まらず,少量多品種生産を効率的に実現する方法として注目されている.また,その方法から,従来の大量生産方式では実現不可能であったカスタマイズ生産や,構造上金型から抜くことが出来ないような複雑な形状の製品の生産が可能である.そして,プロトタイプではなく「製品」として使用可能な成形品を得るのに最も適した材料がポリアミド (ナイロン) 12であり,市場の要請に応えるグレード開発が行われている.また,将来に向けてポリアミド以外の高耐熱樹脂の使用が模索されているが,今後もポリアミド12を中心としたポリアミド樹脂群がその中心的役割を担うべく活発な材料開発が行われている.
  • 梅津 信二郎, 中村 真人
    2015 年 54 巻 4 号 p. 326-331
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2015/08/13
    ジャーナル フリー
    疾病や外傷などで失われた組織や臓器を取り戻すことを目的として,再生医工学 (Tissue Engineering) の研究が始まり,世界に広まった.近年,3Dプリンタを始めとする造形技術を応用した研究が注目され,バイオプリンティング,バイオファブリケーション,バイオマニュファクチュアリング等と呼ばれている.生きた細胞や機能する精巧な3次元状の生体組織を人工的に作製するにあたり,さらなる技術の発展が期待されている.これまで再生医工学の技術には,3次元の足場材 (スキャホールド) を作製して培養する,有形の鋳型で模って培養する,細胞シートを積み重ねる,MEMS技術を援用して作製したマイクロウェルやマイクロ流路を利用してスフェロイドやファイバーを作製するなどが挙げられるが,異種インク材料をそれぞれ任意の箇所に,任意の量をコンピュータ制御で実装可能なことから,プリンタ技術,3次元プリンタ技術の応用が強く期待されている.本解説では,様々な方式のバイオ3Dプリンタを紹介する.
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