計算機と人間との意思伝達においては, 感情を伴った音声インタラクションが望まれる.しかしながら, 音声に含まれる感情の特徴は, まだ不明な点が多い.そこで本研究では, 人間の感覚に対応する音声信号の物理的特徴量の検討を行った.まず, 8種類の感情それぞれを込めて発話した音声について聴取実験を行う.次に, これらの音声の中から人間の成長過程の初期に現れる感情とされる3種類の感情に注目して, これらに対応する音声信号のスペクトルと, ピッチの解析を行う.これらの結果から, 驚きを含んだ音声はピッチ周波数が高くなるが, パワーが弱く, 喜びを含んだ音声は, ピッチ周波数が高く, パワーも大きく, また, 悲しみを含んだ音声はスペクトルのピーク周波数ピッチともに時間的変動が大きい, という特徴が音声信号に含まれていることがわかった.
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