映像情報メディア学会誌
Online ISSN : 1881-6908
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69 巻, 3 号
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
ふぉーかす
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映像情報メディア関連のセキュリティ(第3回)
映像情報メディア年報2015シリーズ(第2回)
私の研究開発ツール(第81回)
知っておきたいキーワード(第103回)
標準化現場ノート(第28回)
輝け!リケジョ(理系女子)(第19回)
異業種での映像情報メディア利用(第3回)
メディアウォッチ(第24回)
ニュース
論文特集 イメージセンシング技術とその応用
巻頭言
特集論文
  • 松島 多佳彦, 池田 誠
    2015 年69 巻3 号 p. J80-J85
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,注目領域画素並列検波による3次元形状取得向けCMOSイメージセンサを報告する.このセンサは対象物にシート光を照射し,スキャンすることで3次元情報を知る光切断法において,変調シート光を検波回路により検出する.この手法により弱いシート光であっても検出が可能となる.また,高解像度を実現するために検波回路を画素配列の外に設置し,さらに注目領域を検出してその領域のみを検波することで効率的な処理を実現する.試作したセンサは,シミュレーションにおいてSignal-to-Background Ratio(SBR)が-26.0 dB,ダイナミックレンジが38.4 dBと見積もられた.試作センサを測定した結果から,距離1000mmにおける奥行き距離の誤差(1σ)は10.7 mm,処理速度は0.869 range maps/sと見積もられた.
  • 木村 好克, 寒澤 佑介, 城殿 清澄, 小川 勝
    2015 年69 巻3 号 p. J86-J90
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    5個のCCDを利用して近赤外領域の4波長帯と可視光領域の3波長帯を同時に撮像可能な7バンドカメラとその応用に関して報告する.本カメラは波長特性を基に走行環境を認識するために開発された.そのカメラの構成は近赤外透過型レンズ,色分解プリズムに蒸着したバンドパスフィルタ,近赤外の4波長帯を撮影する4個のCCD,可視光の3波長帯を撮影する1個のCCDで構成されている.この7バンドカメラの構成とそれを利用して屋外における人肌の検出に有効であること示す.
  • 佐藤 俊一, 齋藤 一希, 大倉 水斗, 杉村 大輔, 浜本 隆之
    2015 年69 巻3 号 p. J91-J97
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,像面上でのPSFの空間的な変化に着目し,復元に用いるPSFを実際のPSFとの差分が小さくなるように変化させることにより,広い被写界深度を保ちつつ,WFC復元画像の画質改善を実現することを目的とする.単一PSFを拡大縮小回転で変形させた複数のPSFを用いて画像を復元すること,像面でのPSF変化が小さくなるように撮像面を傾斜させることの二つの手法を提案する.シミュレーションと実際の撮像レンズによる実験を行い,被写体距離を変えた場合のWFC復元画像の解像度に関して定量的な評価を行った.その結果,復元画像の画質を改善でき,提案手法の有効性を確認できた.
  • 野中 雄一, 吉田 大輔
    2015 年69 巻3 号 p. J98-J105
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    カメラ画像に重畳されたガウシアンノイズを除去する目的で,画像処理によりノイズを除去する手法が用いられている.しかしながら,従来手法を適用した場合,ノイズ除去に伴い解像感が低下することが課題となっていた.この課題を解決するために,本論文では人間の視覚特性を考慮したエッジ適応型のガウシアンノイズ除去アルゴリズムを新たに提案する.本手法は,2D-DCT(2 Dimensional-Discrete Cosine Transform)を用いて周波数別にガウシアンノイズを除去する画像フィルタであり,人間の視覚特性を考慮して画素単位でノイズ除去の強度を制御すること,被写体のエッジ形状を考慮して画素単位でフィルタ特性を制御することを特徴としている.画像シミュレーションによる検証の結果,本手法を適用することで,解像感の低下を抑制しつつガウシアンノイズを除去できることを確認した.
  • 山﨑 智裕, 大高 俊徳, 浜本 隆之
    2015 年69 巻3 号 p. J106-J112
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    時空間方向の露光制御と信号処理を組合せることで,単板イメージセンサで高ダイナミックレンジ,高フレームレート,高S/Nを実現する撮像・処理方式を提案する.本方式では,撮像面上に短時間露光,高速読出しで動作する画素と長時間露光,低速読出し,複数の位相で動作する画素を配置して同時に撮像を行う.これにより,時間重心の一致した短・長時間露光画像が取得できる.そして取得した画像間の特徴を活かし,低演算量な信号処理で画像のノイズと動きぼけを除去し,それらを合成することで,高ダイナミックレンジ,高フレームレート,高S/Nな画像を再構成する.本方式を実現するために時空間方向に露光制御が可能なイメージセンサを試作した.試作イメージセンサを用いて,10dBのダイナミックレンジ拡大,長時間露光画像の3倍のフレームレート,高S/N,動きぼけを除去した画像を取得したので報告する.
論文
  • 松本 一紀, ドゥ ソルビエ フランソワ, 斎藤 英雄
    2015 年69 巻3 号 p. J113-J120
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    近年登場した距離センサーを搭載したデバイスの中でもその価格と汎用性ゆえに最も多く利用されているのがMicrosoftのKinectに代表されるRGB-Dカメラである.しかし,RGB-Dカメラから得られる3次元点群は多くのノイズを含んでおり,精密な距離情報の取得が求められるアプリケーションでの利用は依然として困難である.そこで本論文ではRGB-Dカメラから得られた3次元点群の観測ノイズの低減と補間を実時間で行う手法を提案する.本手法はRGB-Dカメラから得られた3次元点群からSuperpixel Segmentaiotnとラベリングを併用して平面で構成される小領域群を検出し,領域毎に平面方程式を推定し3次元点群をフィッティングさせることにより,もとの距離画像に含まれるノイズの低減と補間を行うものである.本手法では検出された領域内の点群の法線分布を算出し,その領域が平面の場合平面フィッティングを適用し曲面の場合Joint Bilateral Filterを適用することで,曲面分布した点群を保持しながら平面分布した点群のみを平面フィッティングすることができる.また,領域分割と平面フィッティングはすべて局所領域ごとに並列化できる手法を用いているため,本手法の実装はすべてGPUで行い実時間での処理が可能である.従来の手法と比べて,本手法はRGB-Dカメラから取得した点群に対して,曲面領域を保持したまま平面領域を平滑化することでノイズ低減と補間を行うことができる.
  • ~発光履歴に応じて生じる輝度低下の抑制効果検証~
    木村 睦, 西依 知也, 鈴木 大介, 小池 正通, 澤村 茂樹, 加藤 正和
    2015 年69 巻3 号 p. J121-J125
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    アクティブマトリクス型有機ELディスプレイ(AM-OLED)は,究極のフラットパネルディスプレイ(FPD)として期待されているが,発光履歴に応じて輝度低下が生じるという経時劣化課題がある.そこでわれわれは,「電流均一化パルス幅変調駆動方式」を提案している.電流均一化パルス幅変調方式は,AM-OLEDの各画素に,パルス幅変調回路と電流均一化回路を集積化し,パルス幅変調で正確に階調を制御すると同時に,OLEDを流れる電流を均一化することで,画素間輝度バラツキや輝度低下を抑制する駆動方式である.特に本論文では,実際の画素サイズに配置した等価回路を用いて,電気的な動作確認を行った.OLEDの輝度低下が9.7%程度と大きくても,視認される輝度低下はわずか0.37%に抑制できるということがわかった.この結果から,電流均一化パルス幅変調駆動方式によるOLEDの輝度低下の充分な抑制効果を検証できたと結論できる.
  • 高橋 巧一, 満倉 靖恵
    2015 年69 巻3 号 p. J126-J132
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,高速化および高精度化を目的とした新たな顔特徴点検出手法を提案する.提案手法は,形状回帰モデルと呼ばれる多段構造の顔特徴点検出手法に基づくものである.従来の形状回帰モデルにおいて,顔特徴点検出のための特徴量は経験的に設計されており,多段構造を持つ形状回帰モデルの全体構造の最適化は考慮されていないという問題点が存在する.そこで我々は,特徴量の設計においてSIFT記述子に着目し,形状回帰モデルに適した特徴量の選択を行うとともに,形状回帰モデルの全体構造を適応的に設計することで推定精度が向上することを示す.さらに,入力画像の輝度勾配の積分画像を用いることで,提案手法は高速動作が可能であることを明らかにする.実験では,顔特徴点検出のデータセットを用いて推定精度を評価するとともに,従来手法と比較することで,提案手法の有効性を検証する.
フィールド論文
  • ~日米のスライドファスナー産業における特許調査から~
    竹倉 徹, 平野 真, 田中 秀穂
    2015 年69 巻3 号 p. J133-J138
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究はスライドファスナー産業における産業発展と技術進化の過程を日米両国の代表的なメーカであるYKK社とTALON社の特許調査を通して考察したものである.具体的には,技術進化の過程で特許に二つの大きな波が存在し,第一の波はTALON社による産業発展の初期段階で,第二の波は産業が成熟期に達したYKK社によるものである.市場が成熟し技術による差別化が困難な状況下で,後発企業のYKK社が第二の波を起こした誘因を詳細に分析している.また,日米両国の顧客の事業規模などYKK社の技術開発に至る背景も調査した.分析の結果,YKK社が米国から技術導入を行い,その後日本の顧客に適合する技術開発を行ったことが第二の波の誘因であることが確認できた.製造業の国際化において市場や顧客ニーズのギャップを丁寧に掘り起こすことで,後発国側でも新たなイノベーションを創発する可能性があることが示唆される.
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