映像情報メディア学会誌
Online ISSN : 1881-6908
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76 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文特集 選奨(技術振興賞/映像情報メディア未来賞)受賞者論文
巻頭言
招待フィールド論文
技術振興賞 進歩開発賞(現場運用部門)受賞
  • 河村 浩司, 西田 紘基
    2022 年 76 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    映像素材を管理するファイルベースシステムの素材をスマホやPCを用いて社外から安全にプレビュー可能とするワンタイム配信システム「千里眼」を開発した.本システムはさまざまなシステムで安価に導入できるようAPIとして利用が可能であり,再生する素材のみをクラウド環境にアップロードし,HLS(HTTP Live Streaming)にリアルタイム変換しながら追いかけ再生することで社外PVを実現している点が特徴である.さらに,弊社が開発したAI音声認識エディタとも連携し,社外からも自動で文字起こしが可能となっている.これらの機能を持つ「千里眼」は,テレワークによる番組制作が必要とされる今日において,なくてはならないツールとなっている.

招待論文
技術振興賞 進歩開発賞(研究開発部門)受賞
  • 小森田 賢史, Suwichaya Suwanwimolkul, 徐 建鋒
    2022 年 76 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    ディジタルトランフォーメーションにおいては,われわれが存在するフィジカル空間とデータを処理する仮想のサイバー空間の間で情報を収集し還元することで新たな価値を生み出している.その際フィジカル空間での正確な位置と姿勢は,空間を密に紐づける重要な情報になる.そこでわれわれは精度に優れ姿勢も推定可能な画像に基づく測位手法(VPS: Visual Positioning System/Service)の研究開発を行ってきた.提案する局所特徴の方式は,天気や時間による日照変化に頑健で正確な3D点群地図を生成し,位置姿勢推定精度を向上する.また,その技術を基に開発したVPSシステムは,日照変化や類似構造が多い室内や屋外でも動作し,屋内では約8cm,屋外でも約46cmの推定精度を実現した.また本システムを活用した一般者向けの実証実験も行っており,技術の改善に加え新たな体験を生み出す活動にも取り組んでいる.

映像情報メディア未来賞受賞
  • 宮川 幹司, 辻 博史, 中田 充
    2022 年 76 巻 1 号 p. 135-140
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    NHK放送技術研究所は,大画面の超高精細映像を家庭でも手軽に楽しめることを目指して,薄くて軽く柔らかいフレキシブルディスプレイに向けた駆動素子として,塗布溶液を用いて低コスト,省エネルギー,高生産性,大面積化を実現するために必要な塗布型酸化物薄膜トランジスタの研究を進めている.今回,フィルム適用可能な低温プロセスにおいても高品質化が可能な水系酸化物半導体の開発とともに,光照射によってその薄膜を直接パターン形成するダイレクトパターニング技術の開発により,高移動度塗布型酸化物薄膜トランジスタを実現した.また,本技術をフィルム基板上に形成することで,大画面フレキシブルディスプレイへの適用可能性も併せて確認した.

論文
  • 長谷川 雄史, 石川 涼一, 大石 岳史, 洲鎌 康, 虻川 雅浩
    2022 年 76 巻 1 号 p. 141-149
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    本稿では小型モビリティに搭載したカメラとLiDARの相対位置を小型モビリティ移動時の計測データから算出する自動キャリブレーション手法を提案する.本手法は小型モビリティ移動時のカメラ撮影画像からVisual-SLAMにより算出したカメラ移動情報と,LiDAR計測点群からLiDAR-SLAMにより算出したLiDAR移動情報のみを用いて相対位置を算出する.一般的な手動キャリブレーション手法と異なり,キャリブレーションボード等の特定対象物の計測データが不要なため,小型モビリティ使用時の計測データから自動的に相対位置が算出可能となる.自動キャリブレーションはカメラ移動情報の算出精度低下に伴って,カメラとLiDARの相対位置の算出精度も低下する.今回は自動キャリブレーションに使用するカメラ移動情報の選定と,カメラ撮影画像とLiDAR計測点群との対応関係を用いた反復計算により,相対位置の算出精度が向上することを確認した.

  • 坂尾 南帆, 土橋 宜典
    2022 年 76 巻 1 号 p. 150-155
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    コンサートや音楽ライブの演出において照明は欠かせない要素である.また,インターネット配信を利用した仮想的な興行も普及しており,個人レベルで照明の演出を必要とする機会が増加している.しかし,効果的な照明演出を設計するには専門的な知識や経験が必要で,初心者が初めから演出を作りあげるのは困難である.本研究ではこの問題に着目し,効果的な照明演出の設計を支援するための照明演出動画を生成する手法を提案する.提案法では,照明演出を撮影した短いビデオクリップからなるデータベースを用意しておく.そして,データベースから最適なビデオクリップを複数選択して結合することで,入力として与えられる音楽波形に調和した照明演出動画を生成する.ビデオクリップの選択においては,入力波形とデータベースの各ビデオクリップに付随する音楽波形の音響的類似度を考慮する.

  • 惠良 勝治, 山﨑 浩介, 河野 憲治, 峰吉 俊幸, 岩木 昌三, 上田 大一朗, 山根 実
    2022 年 76 巻 1 号 p. 156-164
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    FM放送ではFM補完放送の進展に合わせ新しく実用化されたFM同期放送による単一周波数ネットワークSFN(Single Frequency Network)が採用され始めており,将来予定されている「AM放送のFM放送への転換」(F転)の計画においてもこのFM同期放送が有効な手段と考えられている.地上デジタル放送においてSFNは周知であり,放送波中継によるSFN(放送波中継SFN)を構成する局においても自局の送信回り込み波をキャンセルする回り込みキャンセラ1)が実用化されている.これまでFM放送では回り込みキャンセラが実用化されていなかったがFM放送においても放送波中継SFNを構成することができれば周波数資源を極めて有効に利用できる.そこで受信FM波の直交変換後の信号から時間軸相関によって回り込み波の検出を行い,適応フィルタを用いて回り込み波のレプリカを生成して減算することで回り込み波をキャンセルする手法を実現した.

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