地上波による新たな放送サービスの実現に向けて,地上テレビジョン放送高度化方式(以下,高度化方式)の研究を進めている.高度化方式による放送ネットワークを構築する際には,現行の地上デジタル放送と同様に放送波中継の活用が有用である.現行の地上デジタル放送のMFN(Multi Frequency Network)放送波中継では,中継回線における信号品質の劣化を,周波数領域におけるチャネル等化とシンボル判定を組み合わせることで改善する等化判定器と呼ばれる補償器が広く用いられている.本論文では,現行の地上デジタル放送よりも多値のキャリヤ変調および不均一なコンスタレーションによる運用が想定される高度化方式に,等化判定技術を適用する際の課題を示し,これを解決する高度化方式対応等化判定器を検討する.具体的には,シンボル判定に軟判定を適用すること,また,等化判定器において受信品質に応じた信号を雑音分散推定用信号へ付加することを提案する.計算機シミュレーション,室内実験および野外実験により提案手法の有効性を明らかにする.
近年,プラスチック利用に関する議論は,海洋に流出しプラスチックごみが環境を汚染しているので使い捨てプラスチックを削減しなければならないという観点,プラスチックの製品サイクルにかかる二酸化炭素の観点に変化および拡大している.環境問題は社会の複雑な因果関係抜きには解決できないため,何か特定の一つの要素だけで,最適な環境適応設計が達成されるわけではない.むしろ環境適応を一つの技術課題として追求するのではなく,探索的な問題解決能力の幅広さを活かす方が,より最適な環境適応の解を見つけられるかもしれない.そこで,本稿では,欧州における生分解性プラスチックに限定した環境適応設計と,社会的なゴミ分別・サーマルリサイクルも視野に入れた日本のバイオマスプラスチックの開発とその応用の事例を比較し,日本の問題解決能力の幅広さと素早い試行錯誤的調整が,効率的な環境適応設計に繋がる可能性について論じる.
サッカー競技において高品質かつ高効率な試合中継映像を自動で撮影するためにAI ロボットカメラ装置を開発している.今回は試合会場で自動撮影実験を行い,装置がカメラオペレータのカメラ操作を精度よく模倣し,かつリアルタイムで動作することを確認した.