日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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39 巻 , 3 号
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特別寄稿
  • 村田 雅史
    原稿種別: 特別寄稿
    2019 年 39 巻 3 号 p. 175-183
    発行日: 2019/11/21
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    2 型糖尿病を有する重度慢性歯周炎患者の12 年間の治療経過について報告する.患者は2 型糖尿病を有する63 歳男性で,主訴は7 の動揺と腫脹であった.初診時の血糖コントロール状態はヘモグロビンA1c(HbA1c): 9.9, 空腹時血糖値(FBS):140 と不良な状態であり,7 は動揺度は3 度であり,エックス線写真では骨吸収が根尖付近まで進行していた.診断:7 に咬合性外傷を伴う広汎型重度慢性歯周炎.治療方針として血糖コントロールの状態を考慮しながら歯周基本治療を行い,残存歯の保存に努めることとした.治療経過と結果:主訴であった7 は保存 不可能のため抜歯を行った.その後も血糖コントロールは不良であったため,インスリン療法を開始するも奏効せず入院し,しばらく歯科治療を中断.退院後は血糖コントロールが改善したが残存歯の歯周状態は徐々に悪化し,上顎は部分床義歯を装着することとなった.歯周病安定期治療期(SPT)に移行し,血糖コントロール状態は安定していたが上顎の残存歯の歯周組織破壊は少しずつ進行し,結果として上顎の残存歯数は初診時の11 歯から現在までに2 歯へと減少した.結論:過去の報告からは,歯周治療,糖尿病治療による歯周組織と血糖値の改善に相互関係が示唆されているが,本症例のように,治療開始時期にすでに血糖コントロール状態が極めて不良の場合には,血糖値が改善した後も歯周組織の破壊が進行していき,結果として歯の喪失が生じることが考えられた. 【顎咬合誌 39(3):175-183,2019

症例報告
  • 前田 武将
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 3 号 p. 184-189
    発行日: 2019/11/21
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    咬合再構成において,咬頭嵌合位において全歯にわたる均等な咬合接触を与えることは,長期に安定した咬合状態を維持するための必要条件である.そこで,プロビジョナルレストレーション装着時から,最終補綴装置の装着を経て,以降1 年ごとに従来の咬合紙を用いた診査に加えて,咬合接触分析装置(バイトアイ®,GC 社)を用いて,咬合接触状態の変化を観察した.咬合紙では左右均等な接触が観察されたが, 咬合接触分析装置による診査では多少の変化が認められた.変化の認められた部位については,その都度,均等な咬合接触を回復するように咬合調整し,経過観察している.精度の高い 咬合接触分析装置で,経過観察することは,長期間の安定した予後を得るために有益であると考えられる.【顎咬合誌 39(3):184-189,2019

  • 吉野 晃, 横瀬 敏志
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 3 号 p. 190-197
    発行日: 2019/11/21
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    【緒言】犬歯誘導咬合とは,側方運動時の上下歯の接触関係で分類される咬合様式の一つで,側方運動中に作業側では上下顎犬歯のみが接触滑走し臼歯を離開させる様式と定義される.犬歯誘導により下顎の偏心運動による天然臼歯への有害な水平分力を避けることができると考えられ力学的な有効性が唱えられているが,その科学的根拠となる報告は少ない.今回,三次元有限要素解析を用いて犬歯誘導咬合による歯および下顎骨体の力学的挙動を検討したので報告する.【材料および方法】一歯単位の力学現象を解析するための臼歯部側方荷重モデル(解析モデル1)および犬歯誘導の有無による歯および下顎骨体の力学挙動解析モデル(解析モデル2)の二つを実際の患者のCT 画像データから作成し有限要素解析ソフトMECHANICAL FAINDER version9.0(計算力学センター東京)に入力し分析した.【結果】①解析モデル1:変位図から下顎の水平方向の動 きを歯が受け止めていることが解った.垂直荷重と比較し,側方運動時は,歯では歯頸部に大きな応力集中を,歯槽骨部では根分岐部に強い応力集中を認めた.これは,力学現象といわれる歯頸部歯質欠損や根分岐部病変などの臨床症状に一致するものである.②解析モデル2:犬歯誘導有りモデルでは犬歯付近,犬歯誘導無しモデルでは前歯付近の応力が高かった.関節円板から受ける反力の方向を比較すると,下顎頭は犬歯誘導有りのモデルに対し犬歯誘導無しのモデルでは後方からの反力を受けており,後方へ移動しようとしていることがわかった.【顎咬合誌 39(3):190-197,2019

  • 池上 正資 , 井上 正敏, 松岡 力, 西川 洋二
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2019/11/21
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    顎関節症は,今日,全身的心因的な要因によって引き起こされる多因子性の疾患であると定義されている.しかし,顎関節症を呈する患者に,明らかな咬合の異常を見出したとき,歯科医師は,その咬合異常を看過して主訴に限局した対症療法的な保存療法を行うべきではないだろう.積極的な原因除去療法として,咬合の再構成を行うには,顎機能障害の病態が,咀嚼関連筋群の異常か,顎関節包内の異常か,診断した後,可逆的な処置により症状の改善を確認することが前提となる.鑑別診断から,復位性顎関節障害と変形性顎関節症を併発したものと判断し,顎機能を回復し,顎運動の安定を観察することにより,咀嚼関連筋群の調和を認め,良好な結果が得られている顎関節症の治療例を報告する.【顎咬合誌 39(3):207-215,2019

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