簡便に口腔内のミュータンスレンサ球菌群(mutans streptococci:以下MS)を測定する方法として光学式う蝕検出装置(以下DIAGNOdent)の有効性を評価した. DIAGNOdent はKaVo Dental 社により開発され,レーザー光を用いたう蝕検出装置として販売されたものである.実際に使用すると,レーザー光により励起された反射光は健全歯質からも生じ,食後ブラッシング実施の確実性によって反応が変化する.このことから筆者らは,この波長がMS を含むプラークバイオフィルムに関係した反応ではないかと考えた.患者口腔内の全歯面にDIAGNOdent を接触照射しその反応を評価する一方で,MS の培養測定をOralCare 社のDentocult® SM を用い行った.この測定値とDIAGNOdent の測定値の相関関係を調べることで,MS 測定におけるDIAGNOdent 活用の可能性を検討した.結果は歯垢のDentocult® SM 値が陽性であった37 人のうち22 人がDIAGNOdent 値も陽性で,Dentocult® SM 値が陰性であった29 人のうち25 人が DIAGNOdent 値も陰性だった.また唾液のDentocult® SM 値が陽性であった31 人のうち21 人がDIAGNOdent 値も 陽性で,Dentocult® SM 値が陰性であった23 人のうち17 人がDIAGNOdent 値も陰性だった.DIAGNOdent の反応と Dentocult® SM の値には有意な相関があり,DIAGNOdent が口腔内MS の簡便なスクリーニング検出器として有用であ ることが示唆された.こうした本機器の活用がう蝕の原因へ眼を向けた日常臨床の助けとなることを期待する.
抄録全体を表示