前回,歯槽骨の吸収に影響を与える疾患,とくに骨粗鬆症について,歯周病との関連について述 べた.骨粗鬆症であるから歯科治療のリスクが大きい,骨粗鬆症の治療薬とくに「ビスフォスフォネートを服用しているから歯科治療ができない」という「極端」な認識も見受けられるので,患者さんの対診をとって内科医と連携しながら治療することが必要である. 最近の事例では,むしろ骨粗鬆症治療が歯周治療と並行して行われていれば,重度歯周炎であっても歯槽骨吸収の進行がある程度抑制できる(図1).しかし,歯周病に罹患しているため細心の注意が必要となる.歯は顎骨から付着の緩い上皮を破って植立しているため,口腔内細菌は顎骨に直接到達しやすい構造となっているからである.さらに薄い口腔粘膜は傷害を受けやすいので,厚みのある角化歯肉が症状の安定には必要になる.菌血症
(補足1)など歯周病細菌の増殖に注意して,プラークコントロールが肝要である.
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