国際保健医療
Online ISSN : 2436-7559
Print ISSN : 0917-6543
28 巻, 1 号
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[特集]第27回日本国際保健医療学会学術大会ミニシンポジウム・自由集会「定量的、定性的調査手法:異なる学術領域の視座から」報告
資料
  • 成瀬 和子, 石川 陽子
    2013 年28 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    背景および目的
    日本では2006年にフィリピンと経済連携協定(EPA)を締結後、外国人看護師が来日し就労研修をおこなう制度が導入された。しかし受け入れ体制に関しては保健医療機関における研修内容の明確な規定がないなど、試行錯誤の状態が続いている。そこで、研修システムへの示唆を得るため、外国人看護師の受け入れ体制の整備がされている英国で調査をおこなった。
    方法
    英国で2012年3月に外国人看護師の教育プログラム(ONP)を持つ2つの大学のプログラム責任者にヒアリングを実施するとともに、外国人看護師の受け入れ窓口である看護助産評議会(NMC)の資料収集をおこない分析した。
    結果
    英国での看護師免許登録申請に際しては、申請要件として一定の英語力、看護業務従事歴、および教育歴の3点を求められる。NMCがそれらの基準を満たしていると認めると、ONPを受講できる。自国での看護教育が規定時間数に満たない場合は、必修研修のほかに個々の状況に応じて臨床実習も課される。ONPはNMCがカリキュラムを作成しNMCからコース認可を受けた大学が実施するが、認可更新は5年に一度行われる。主な教育内容は英国の文化・社会・保健医療制度と看護専門職としての実践に必要な知識である。それらを20日間の必修研修と原則6か月の臨床実習を通して学ぶが、実習期間はNMCが個別に審査をして決定する。臨床実習は大学がONP実習に認定した施設で、NMCの指導資格をもったメンターが指導しておこなわれる。そしてONPの最終成績はNMCに送付される。
    ONPは、必修研修のみ実施している大学と、必修研修および臨床実習の両方を提供している大学がある。前者は主に英語圏で看護教育カリキュラム上追加実習を必要としない国からの受講生がほとんどで、後者は多様な文化背景をもつ母国語が英語でない受講生が多い、という特徴があった。
    考察
    英国では看護師および看護の質を担保するためのシステムがNMCによって何重にも設けられているが、コミュニケーションの障害などの問題は残る。NMCは看護師個々の能力に合わせて研修するなど、個別に対応していくことで、看護師および看護の質を担保しようとしていた。日本ではEPAによる外国人看護師の実務研修の多くは、教育施設ではなく受け入れ施設に依存しているのが現状である。今後は、大学や都道府県看護協会などの公的機関での研修等をとおして、外国人看護師および看護の質の担保をおこなうことも考慮していくことが必要であろう。
第31回日本国際保健医療学会 西日本地方会 開催報告
  • 垣本 和宏
    2013 年28 巻1 号 p. 21-23
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    平成25年3月2日(土)、大阪府堺市にある大阪府立大学中百舌鳥キャンパスにおいて第31回日本国際保健医療学会西日本地方会が開催され、参加者が230名(一般:130名、学生:100名)と盛会のうちに終了した。
    大会のテーマを、「現場の学知を世界の健康に ─伝えよう、深めよう、その学び─」とし、国内外での「現場」における研究成果や国際保健活動を「伝える」ことの重要性をここに強調したいと思いこのようなテーマとした。そのため、大会が研究成果の発表のみならず、多くの参加者の国内外での活動における学びを共有し、相互にその学びを深める場になり、「学会」とは言え堅苦しい雰囲気でなく、気楽な交流の場ともなった。また、一般演題数が44題と近年の地方会の中ではかなり多く、さらには基調講演、シンポジウム、セミナー、学生部会主催西日本地方会ユースフォーラムなどを通じて有意義な地方会になったと確信している。
「パネルディスカッション ポストMDGsに向けて —国際NGOを迎えて—」報告
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