目的
グローバルヘルス分野の国際機関への就職に当たって必要な資格とそれら機関への就職希望者が保持する資格を比較し、ギャップを明らかにした。
方法
グローバルヘルス人材戦略センターの人材登録・検索システムが自動取得する15の保健関連国際機関の空席情報の内、2019年4月1日から2020年3月31日までに公募された2,530の空席情報から「グレード別の必要経験年数」と「必須学位」について集計した。また、同システムに2020年10月現在登録している528人の登録者情報を元に「保有学位別の職務経験年数」、「年代別の職務経験年数」、「年代別の海外勤務経験年数」、「年代別の途上国勤務経験年数」、「希望グレード毎の年代の内訳」について集計した上で、国際機関が求める資格と比較した。
結果
国際機関勤務に必要な資格と登録者が保持する資格を比較した結果、主な特徴として、第一に国際機関では、ポストのグレードが上がるにつれて修士号の必要性が高まるが、登録者のうち修士号、博士号、医師免許のいずれかの保持者が全体の76.1%を占めていた。しかし、国際機関における長期的なキャリア・ディべロップメントにとって必須の修士号を持たない人も23.9%いた。第二に登録者の年代別の職務経験年数は、国際機関職員の職務経験年数とグレードの関係に沿っていた。しかし、職務経験の内、国際機関の採用要件として評価されると想定される海外勤務経験と途上国勤務経験を持つ者は、それぞれ全体の56.8%と49.8%であった。第三に自らの職務経験年数に合致しない、低位もしくは高位なグレードのポストを希望する人が9.3%~51.4%いた。
結論
国際機関勤務に必要な資格と登録者の資格を比較し、我が国のグローバルヘルス人材の特徴あるいは国際水準とのギャップを明らかにした。それらを補強するための方策として、長期的な展望に立った、将来のキャリア・ディベロップメントを見据えた修士号の選択・取得、20代~30代にかけての積極的な海外勤務経験の獲得、能力相応のポスト・グレードへの応募が必要である。
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