【要旨】QUANTUM(7例),D903(14例),HILITE(7例)の3種類の膜型人工肺を使用し,血液損傷(Hb,Ht,Plt,FreeHb,β-TG,PF4)と操作性・安全性(準備,体外循環中操作,残血処理)について比較検討した。その結果,血液損傷の比較では,3群間に有意差は見られなかった。操作性・安全性の比較では,QUANTUMは付属機能が少なくシンプルな構造で,準備や回路内残血の処理は良好だったが,ソフトリザーバーのため,血液レベルが見づらく,脱血側からの空気混入時に気泡除去が煩雑であった。D903は体外循環中の操作と回路内残血の処理は良好だったが,固定台,付属機能に問題があった。HILITEは体外循環中の操作は良好だったが,準備,回路内残血の処理で,シャントラインなどの付属機能が多く,操作が煩雑であった。付属機能は,操作性と安全性を向上させると考えられているが,実際には不要な機能が多く,QUANTUMのようなシンプルな構造の膜型肺が操作性と安全性に優れていると考えられた。
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