体外循環技術
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33 巻, 3 号
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  • 亀井 政孝, 宮田 茂樹
    2006 年33 巻3 号 p. 335-340
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】心臓血管外科手術において,無輸血手術を達成することは大きな目標のうちのひとつであり,手術成績を評価する上で重要なウエイトを占めるようになっている。無輸血手術を達成するための効率的な手段として,術前貯血式自己血輸血は推奨されており,医療従事者の間で安全確実な治療として普及している。さらに,近年では,患者および患者家族が希望することも多くみられるようになった。しかし,我々施設では,以下の4つの理由から術前貯血式自己血輸血は原則行っていない。1)同種血輸血の安全性の向上。2)術前貯血式自己血輸血療法が患者予後におよぼす効果は不明。3)通常献血と比較し,術前自己血採取での死亡を含む有害事象発生率が多い。4)ABO不適合輸血および細菌汚染は,術前貯血式自己血輸血の方が,同種血輸血より多い可能性が高い。
  • ―PDMP測定による新しい評価―
    出羽 仁, 福原 之博, 早坂 梓, 佐藤 貴美絵, 竹田 章紀
    2006 年33 巻3 号 p. 341-343
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】現在,血小板の活性化を評価する方法は,血小板凝集能を測定するのが一般的である。今回,血小板活性の比較的新しい指標である血小板由来の血小板マイクロパーティクル(PDMP)を測定し,体外循環中どのように変化するかを,通常の共有結合型ヘパリンコーティング回路(H群)とX-コーティング回路(X群)で比較検討した。症例は弁膜症疾患のみとし,成人待機症例11例を対象とした。術前に抗凝固剤,抗血小板剤を使用している患者は対象外とした。測定は手術開始時をコントロールとし,体外循環終了後60分までを10ポイントに区切り,動脈圧測定ラインより採血した。採血した検体を高速冷却遠心分離し,上澄みを回収してELISA法にて測定した。PDMPは体外循環時間中経時的に上昇し,体外循環終了後有意に高値を示した。また,プロタミン投与後のPDMPでX群はH群に比べ有意に低値を示したことから,X-コーティング回路は血小板活性を抑制するのではないかと示唆された。
  • 山本 基善, 桜井 修, 中根 愼, 白山 三津枝, 大山 真希, 岩倉 珠美, 名村 正伸
    2006 年33 巻3 号 p. 344-346
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】開心術後,手術室から集中治療室へ入室した患者は,脈拍・血圧(大動脈圧,肺動脈圧,中心静脈圧など)を患者監視装置にて24時間観察している。大動脈血圧に関しては,看護師が記録するチャートには患者監視装置から得られる観血式血圧測定法による値(A値)とマンシェットを用いた非観血式血圧測定法による値(M値)が記録されているが,両数値間には若干の差を認める。今回の研究では,両数値間の血圧差がウォーターハンマー現象の影響と考え,その因果関係を検証した。その結果,収縮期血圧でA値:117±26mmHg,M値:106±23mmHg(p<0.05)と有意にA値で高値を示した。患者監視装置に表示されるA値とM値の間には動脈圧ラインの延長と心拍数の上昇により,その差が大きくなる傾向にあった。
  • 早坂 啓, 前田 寿, 鈴木 信司
    2006 年33 巻3 号 p. 347-349
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】当院の人工心肺操作ではオクルーダーを使用せず,主にチューブ鉗子の操作にて脱血側流量調節を行っているが,その際に用いるチューブ鉗子を改良し,半定量的な流量調節が可能な人工心肺用流量調節鉗子(アジャストフロー)を試作した。使用に際し,チューブ断面積変化と流量変化に関して電動オクルーダーとの比較検討を行った。実験の結果から,アジャストフローは従来のチューブ鉗子と比し,流量可変型の保持操作が可能であり,人工心肺流量操作に有用であると考えられた。
  • 佐藤 貴美絵, 竹田 章紀, 福原 之博, 早坂 梓, 出羽 仁
    2006 年33 巻3 号 p. 350-351
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】新生児・小児体外循環での充填量削減や輸血率軽減などを目的に考案された低充填量血液フィルターの複数使用による高流量血液回路への応用を検討し,模擬回路による実験を行った。JMS社製低流量域動脈フィルターFT-15(FT-15)を用いて,1個の場合,並列2個の場合,回路のみ,参考としてポール社製AV6SV(AV6SV)1個の場合で模擬回路を作製した。グリセリン水溶液[45w/v%,水温25℃]にて充填し,流量0.5~5.0L/minで各回路の血液フィルター前後の回路内圧と血液フィルターによる圧力損失を比較した。FT-15の最大血流量2.5L/minでの圧力損失が30mmHgであったため,圧力損失30mmHgまでの流量を使用安全域とした。FT-15は並列2個の場合3.8L/minとなった。血液フィルターを2個使用するため,コスト的に大きく影響し実用的ではないが,回路充填量および異物接触面積の減少などの利点から,無輸血体外循環および輸血困難症例に対する応用の可能性が示唆された。
  • 永井 修, 軸屋 智昭, 佐藤 謹朗
    2006 年33 巻3 号 p. 352-354
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】心拍動下バイパス術(OPCAB)において,多くの種類のスタビライザーが使用されている。通常使用されているスタビライザーは,陰圧にて心臓を吸い付ける方法を利用しているが,陰圧の調整を問題にしている例は少ない。壁吸引を使用して陰圧を調整した場合,使用中陰圧が―200~450mmHgの間で変化し,一定の陰圧を得られなかったため,スタビライザーの固定が不安定になっていた。そこで,スタビライザーの固定を安定させることを目的とし,吸引圧調整用の専用吸引器を作製し,従来―400mmHgにて使用していたタビライザーの陰圧を―300mmHgにて使用し,同等の固定を得ることができた。
  • 池邊 紗織, 上屋敷 繁樹, 田中 太郎, 官野 高明, 島田 縁理, 富谷 美香, 大西 恵美, 新井 孝章, 梅田 研, 斉藤 之良
    2006 年33 巻3 号 p. 355-359
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】被験者健常者10名,循環器疾患保有者30名,合計40名を対象とし,新たに開発された血管硬化度(HV)測定機能を搭載した家庭用自動血圧計(MS-1200)の評価を行った。実際に臨床で使用されているフクダ電子社製(VS-1000)を一般認知指標とし,VS-1000から得られるPWVとMS-1200から得られる硬化度レベルを比較検討した。結果,両者は正の相関関係にあることがわかり,よって,MS-1200でのHVは硬化度を示す指標として有用であると考える。
  • 吉澤 伸介, 中西 利基, 片岡 宏文, 熊澤 義雄
    2006 年33 巻3 号 p. 360-362
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】ペーシング波形を含む心電図波形がIABPに入力されると,通常の規則正しい波形の場合の応答は問題はないが,少しでも複雑な波形が入ると正常に動作しないことがある。これを実験的に検討した結果,IABPの操作方法は心電図トリガーでの動作が安定していた。またタイミングにR波収縮を使用するのは,バルーンの拡張期間が延びることがあるため,注意が必要であった。
  • 目黒 勉, 深谷 隆史, 椎名 盛一
    2006 年33 巻3 号 p. 363-366
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】医療機器の耐用期間の設定評価手法に関する研究において,医療機器の耐用期間についてのガイドラインが作成された。この中では,適切な使用と保守点検が前提条件となってる。しかし,医療機関において,添付文書に記載された保守点検の内容を,実施できる施設はほとんどないのが現状である。当センターの輸液ポンプは,取扱説明書に記載された1ヵ月,2ヵ月点検は,実施できず,始業前の簡単な動作点検のみとなっている。また,酸素流量計の点検では,毎日石鹸水で漏れを確認するなど,実情と乖離しており,内容に検討を要する添付文書もあった。麻酔器では,保守点検がほとんど行われず,動作不良を起こした報告もあり,人工呼吸器についても保守点検がなされていない現状が報告されていた。以上のことから,耐用期間運用においても,保守点検実施の当事者である臨床工学技士の適正な配置と,必要となる予算措置の実施,更には保険点数の適応が必須である。
  • 齊藤 建, 山崎 隆文, 大石 杏衣, 熊井 良一, 鈴木 誠
    2006 年33 巻3 号 p. 367-369
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】高度医療の発展に伴い,植込み型除細動器(ICD)植込み患者数も増加傾向にある。そのような状況の中で,ICDの専門性を考慮すると患者の管理体制の整備は重要である。当院では2001年より我々臨床工学技士(CE)が医師の指示の下ICD管理業務を行っている。業務内容は植込み前に行われる心臓電気生理学的検査,植込み手術,定期ICD外来,臨時点検,患者管理などである。点検件数は増加傾向であり,頻脈に関する設定変更は定期点検6件(4.8%),臨時点検13件(27.7%)であった(p<0.001)。このことから臨時点検での対応が重要であることが考えられ,特に誤作動発生時などでは迅速な対応が患者のQOLを向上させる。CEがICD管理業務を行うことにより安全かつ効率的な管理体制が整った。
  • 北村 麻未, 中尾 一俊, 遠山 範康, 五十嵐 利博, 長坂 淳一, 三浦 貴之, 海老澤 佳世, 木原 信一郎, 長津 正芳, 新岡 俊 ...
    2006 年33 巻3 号 p. 370-371
    発行日: 2006/08/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回,海外学術団体への会員登録を試みた。インターネットで検索し,ASCVP(Australasian Society of Cardio-Vascular Perfusionists)を選び,ファーストコンタクトから会員登録,会費の支払い手続きを完了するまでの過程を学び,今後の臨床工学技士の展望として安全対策やnew topicsなどの比較検討していくことを課題としたい。
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