【要旨】医療機器の耐用期間の設定評価手法に関する研究において,医療機器の耐用期間についてのガイドラインが作成された。この中では,適切な使用と保守点検が前提条件となってる。しかし,医療機関において,添付文書に記載された保守点検の内容を,実施できる施設はほとんどないのが現状である。当センターの輸液ポンプは,取扱説明書に記載された1ヵ月,2ヵ月点検は,実施できず,始業前の簡単な動作点検のみとなっている。また,酸素流量計の点検では,毎日石鹸水で漏れを確認するなど,実情と乖離しており,内容に検討を要する添付文書もあった。麻酔器では,保守点検がほとんど行われず,動作不良を起こした報告もあり,人工呼吸器についても保守点検がなされていない現状が報告されていた。以上のことから,耐用期間運用においても,保守点検実施の当事者である臨床工学技士の適正な配置と,必要となる予算措置の実施,更には保険点数の適応が必須である。
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