体外循環技術
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28 巻, 1 号
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  • 飯野 与志美, 四津 良平, 川田 志明
    2001 年28 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 和田 英喜, 西分 和也, 新田 功児, 木下 昌樹, 尾嶋 良恵, 林 哲也, 丸山 仁実, 山本 英樹, 関 章
    2001 年28 巻1 号 p. 13-15
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ヘモクロンJr.IIを体外循環症例18例に使用し,操作性・測定値についてヘモクロン401/801と比較検討した。Jr.IIではACT+,801ではセライトACTとカオリンACTを測定した。ACT+とセライトACTは臨床に使用するのに十分な相関を示した。セライトACTはトラネキサム酸の影響を受けたが,ACT+は影響を受けなかった。Jr.IIは,操作が簡便で人為的な測定誤差もなく,ACTの測定器として信頼できると考えられた。
  • 増田 行雄, 楠本 繁崇, 野口 悟司, 伏見 了, 高階 雅紀, 田野 保雄
    2001 年28 巻1 号 p. 16-19
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    血液ガス分析装置は,血液中電解質濃度を正確に測定するために,色々な工夫や補正が取り込まれているが、心筋保護液および輸液製剤などの蛋白を含まない水溶液では測定値の信頼性に問題があるとされている。今回我々は,電解質濃度測定試料として電極用常用標準血清,各社電極用校正液,輸液製剤,心筋保護液を準備し,これを3社の血液ガス分析装置と臨床検査において電解質濃度の分析に用いられる炎光分析装置で測定し,電極法について検討した。その結果から,各測定試料の標示値とそれぞれの分析装置から得られた値との間では,心筋保護液および輸液製剤などの蛋白質を含まない水溶液で標示値どおりの濃度を示さない場合があった。高カリウム濃度における直線性は確認されたものの,血液ガス分析装置で得られた測定値には炎光分析装置で得られた測定値より誤差が大きく,電極法では血液を含まない製剤を測定する際,標示値と実測値が一致しない場合もあることを,留意しておく必要性があると考えられる。
  • 安野 誠, 松本 貴之, 中島 勉
    2001 年28 巻1 号 p. 20-23
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    PCPS症例で人工肺のガス交換能の不足を経験した2症例に対して,シャント回路を開放し効果が得られたので報告する。症例1はPCPSを施行した194時間で2回の回路交換を行った。いずれの人工肺も10時間程度使用すると酸素化不良が発生した。3回目は,送血-脱血間のシャント回路を開放し,送血流量7l/minのうち4l/minを再循環させた。症例2はPCPS開始から115時間30分からシャント回路を開放した。送血流量は5.5l/minのうち2.5l/minを再循環させた。症例1はシャント回路を開放した人工肺は169時間使用し,PCPSから離脱した。いずれの人工肺からも蛋白リークは認められなかった。症例2はPCPSを135時間施行したが救命できなかった。人工肺からの蛋白リークを認め,シャントを開放すると泡の量は増加した。蛋白リークがない程度の人工肺の劣化では,シャント回路を開放することは酸素加の補助に効果的であったが,既に蛋白リークが認められる場合は,酸素加は向上するが,排出される蛋白の損失などを考えると,短時間での器材交換が望ましいと考えられた。PCPSのシャント回路を設置し開放することにより,酸素加を向上させることができ有用であった
  • 原 和信, 広瀬 聡, 上田 彰, 宮脇 勇, 竹井 沙織梨, 内田 直里, 石原 浩
    2001 年28 巻1 号 p. 24-26
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,PCPSから開心術に移行した場合,手術室で通常の人工心肺へと変更していたが,PCPSの回路や付属する人工肺などを破棄せざるをえず,また手術室で新たに回路をセットアップしなければならなかった。今回作製した回路は,テルモEBS心肺キットをベースに,コーンを回転させ静脈血が直角に上から入り,側面から出るように変更した。薬液注入ライン,ヘモコンライン,心筋保護用接続ライン,吸引血の体循環返血ルートそして送脱血管の変更,追加などに対しそれぞれ改良を施した。また,開心術移行時には追加回路を接続し,通常の人工心肺と同様に施行できた。しかし,脱血側からの大量エアー混入時,動脈フィルターを使用していない当回路での大量エアー除去は困難で,最悪の場合,患者にエアーを送ってしまう可能性がある。そこで,鉗子のかみ換えにより静脈血が直接リザーバーにも返血できる回路(Open type)への改良を施した。本回路はPCPSから緊急の開心術まで移行可能な有用な回路であると考えられる。
  • 植木 弘一, 上屋敷 繁樹, 染谷 忠男, 吉岡 信也, 中嶋 康仁, 西田 慎一
    2001 年28 巻1 号 p. 27-30
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IABP施行時の下肢虚血や血管侵襲を防ぐために,細径化されたバルーンカテーテルと駆動装置の整合性を検討した。XEMEX,Datascope,アローの3社から市販されている8Fr40ccのバルーンをKAAT-2プラス,system97,XEMEX907,XEMEX908,BP-1,H-8000の各駆動装置を使用し,心拍数60bpm,120bpmの擬似心電図波形によりバルーンカテーテルを実験用モック内で駆動させ,拡張スピード,収縮スピード,駆動中のバルーン内容量を測定した。その結果は,バルーン拡張時KAAT-2プラスにおいてすべてのバルーンでスピードが劣る結果となり,XEMEX908で速い結果となった。バルーン収縮時でもKAAT-2でスピードが劣る結果となりSYSTEM97で速い結果となった。駆動中のバルーン内容量ではKAAT-2プラスで全てのバルーンで不完全膨張現象が見られ,System97,XEMEX908,BP-1で過膨張が確認できた。これらの結果よりバルーンカテーテルと,駆動装置の整合性を理解した上で使用する必要があると考えられた。
  • 人工肺Affinity・BIOCOR・CAPIOX-RXの気泡除去能力の評価
    百瀬 直樹, 山越 理恵, 北村 麻未, 又吉 盛博, 安藤 勝信, 唐沢 あや子, 中島 逸郎, 飯島 澄子
    2001 年28 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    送血回路に混入した気泡を,人工肺で除去することができれば体外循環の安全性は高まる。しかし、現状では人工肺の気泡除去能力を評価する方法が確立されておらず、安全な人工肺を選択することはできない。そこで我々は、実際の体外循環に則し、しかも臨床サイドで容易にこの能力を検定する方法を考案した。検定は,体外循環を終えて患者と人工心肺が完全に切り離された後、送血-脱血回路を短絡して一定の条件で再循環を行う。そして,人工肺に流入する回路から空気を注入し、人工肺から流出する回路で灌流血液中の気泡の数を測定する。気泡除去能力はこの気泡のカウント数で評価する方法である。この方法で、臨床使用後の人工肺Affinity,BIOCORおよびCAPIOX-RXについて評価を行った。その結果、体外循環終了後3分程度で検体の気泡除去能力を評価することができ、その測定操作も容易であった。人工肺の検定の結果,CAPIOX-RX,BIOCOR, Affinityの順に高い気泡除去能力を示した。考案した測定方法は、人工肺の気泡除去能力を比較することができ、安全な人工肺を選択する上で有用な方法と考える。
  • 陽圧安全弁の実験的検討
    山越 理恵, 百瀬 直樹, 北村 麻未, 又吉 盛博, 安藤 勝信, 唐沢 あや子, 中島 逸郎, 飯島 澄子
    2001 年28 巻1 号 p. 36-38
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    バキュームアシスト脱血(VAVR)は有用な脱血方法である。しかしながら,VAVRでは静脈貯血槽が密閉状態になっているために,陰圧ラインが閉塞した場合,サクションポンプにより静脈貯血槽内部が陽圧になり,最悪の場合,脱血回路から空気が逆流し,大量な気泡を患者に送るトラブルが予想される。この安全策として,静脈貯血槽に陽圧で開放する陽圧安全弁が取り付けられている。今回,この安全弁の安全性について実験を行い検討した。その結果,VAVR用の陽圧安全弁であっても,バキュームラインの閉塞と,大量のサクションといった状況下では安全性に限界があることが確認できた。
  • 森田 雅教, 上田 敏彦, 又吉 徹, 志水 秀行, 三丸 敦洋, 川田 志明
    2001 年28 巻1 号 p. 39-42
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当施設では弓部大動脈瘤手術の際,1基のポンプで選択的脳灌流法を行っている。今回,脳灌流を1基のポンプで行った際の血流が,弓部3分枝にどのように分布するかについて超音波血流計を用い測定し血流分布比率を求めた。また,連続的に血流をモニタすることの有用性について検討した。脳灌流量は10~18ml/kg/minとし,脳灌流圧が左総頸動脈のカニューレの先端圧で40~50mmHgになるように適宜調節を行った。脳分離体外循環時の右腕頭動脈,左総頸動脈,左鎖骨下動脈の血流量の平均比率は2.00:1.08:1.00であった。右腕頭動脈と左総頸動脈+左鎖骨下動脈の血流量の比率は1.00:1.04となり,ほぼ左右均等に流量の配分が行えていると考えられた。22例中7症例で血管の圧迫,カニューレの折れ曲がりなどによる流量低下を経験したが,術後脳合併症の発生率は0%であった。また,連続的に分枝血流量を監視し,血流量低下時,速やかに対処することで脳合併症の発生を抑えられたと考えられた。
  • 西原 裕幸, 児玉 泰, 酒井 龍之
    2001 年28 巻1 号 p. 43-45
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,1991年からPCPSを導入し,2000年4月までに71症例を経験した。その結果について症例別の離脱率,生存率を中心に,1997年に検討を行った時のデータと現在までのデータを比較検討した。その結果,心原性ショック例の生存率および離脱後生存率が向上していた。その理由として,1996年以前はCEが到着してからPCPSを導入していたが,装置や回路の進歩により現在では医師や放射線技師だけでもセットアップができ,緊急時の対応力は格段に上がり,CPA患者に対してPCPSを導入するまでの時間が短縮された結果だと考えられた。
  • 伊藤 康宏, 服部 良信, 児玉 泰, 西原 裕幸, 酒井 龍之, 杉村 裕志, 石川 隆志, 豊崎 正人, 秋山 泰一, 三澤 健治, 海 ...
    2001 年28 巻1 号 p. 46-48
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環を用いた開心術に際し,ローラーポンプ使用症例(R群)と,遠心ポンプ使用症例(C群)とで,生体に及ぼす影響の違いを検討した。症例は,R群は虚血性心疾患3例,弁疾患5例,先天性心疾患1例,その他1例,C群は虚血性心疾患3例,弁疾患5例,先天性心疾患1例,その他1例で,両群の平均年齢,体外循環時間,大動脈遮断時間および最低膀胱温に有意差はなかった。両群のIL-6,IL-8,IL-10について麻酔後,ヘパリン投与15分後,最低膀胱温,復温直前および硫酸プロタミン投与15分後に測定した。また,HGF,エラスターゼは麻酔後および硫酸プロタミン投与15分後の2点で測定した。IL-6はC群で最低膀胱温以後有意に低値であった。IL-8はC群の方が復温直前および硫酸プロタミン投与15分後にそれぞれ有意に低値を示した。IL-10は両群間に差はなかった。HGFはR群がC群に比し,有意に高値であった。エラスターゼは両群間に有意差は認められなかった。体外循環はローラーポンプを使用したときと遠心ポンプを使用したときではサイトカインとHGFの変化に差があり,生体に及ぼす影響が異なることが示唆された。
  • 東條 圭一, 古平 聡, 田口 元健, 藤井 正実, 佐藤 正憲, 西川 温, 小原 邦義
    2001 年28 巻1 号 p. 49-51
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,PCPSにおいて血漿リークの発生が少なく,長期的に安定したガス交換能を有する大日本インキ社製膜型人工肺MENOX AL-6000を使用している。今回我々は,その改良型であるAL-6000αをPCPSに使用する機会を得た。そこで,1999年1年間で5日以上の補助循環を行ったPCPS症例のうち,AL-6000を使用した4症例(従来型使用群)とAL-6000αを使用した3症例(α型使用群)について比較検討した。α型使用群において5日間のガス交換能の経時的変化を検討した結果,酸素加能,二酸化炭素排出能ともに維持することが示唆された。また,酸素加能については酸素移動量および有効肺血流量比でα 型使用群が高値であった。更に,二酸化炭素排出能については,α型使用群でV/Qを低く設定することができた。以上の結果から,MENOXAL-6000αは,従来型と同様に長期使用に優れ,従来型に比べ高いガス交換能を有することが示唆された。
  • 安藤 賢志, 佐藤 義則, 森地 憲二, 中出 和男, 西村 和典
    2001 年28 巻1 号 p. 52-54
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,心筋炎の疑いにて入院し,入院2日後突然,低心拍出量症候群(LOS)を来し,積極的治療として経皮的心肺補助(PCPS)を施行して救命し得た症例を経験した。症例は,60歳女性,身長147cm,体重47kg,体表面積1.38m2。現病歴は,入院2日前より左前胸部痛を繰り返し本院を受診した。受診時,心電図はSTが上昇し心カテーテル検査ではCAG,LVGに問題なく,バイオプシを施行した。入院後経過はEF70%であったため経過観察となる。入院2日後突然LOSになり,人工呼吸器とIABPを施行するもCO1.5l/minと改善されないためPCPSを施行した。自己心拍出量はPCPS開始直後1.1l/minであり,開始5日目までは1.1~1.2l/minと効果なく推移した。開始6日目より緩やかに,8日目より急激に改善され,9日目には4l/min(CI3.0l/min/m2)以上にまで改善し,11日目の離脱となった。一般的に心筋炎の患者には,PCPSが有用と言われているが,今回我々の経験でも良好な結果をもたらした。今後は積極的にこれらの治療方法を施行していきたいと考えている。
  • 小塚 アユ子, 見目 恭一, 吉田 譲, 関口 敦, 會田 治男, 森田 高志, 笹川 繁, 樺澤 寛二, 大木 康則, 佐藤 智明, 奥村 ...
    2001 年28 巻1 号 p. 55-58
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    補助人工心臓装着の心臓移植待機患者を,埼玉県より大阪の移植施設まで,548kmの道のりを救急車での搬送を臨床工学技士として経験した。実車シミュレーションにて給電状態をチェックし,車載インバータの冷却対策を行う必要があること,予備の強制冷却方式のインバータを設置する必要があること,予備の駆動装置,予備のバッテリーを持ち込む必要があることが確認できた。搬送はほぼタイムテーブルどおりに行われた。スタートから10分で,当初のメインのインバータがオーバーヒートで停止。その後サブインバータに切り替え問題なく駆動した。目的地の高速道路を降りてからの渋滞で給電状態が厳しくなったが駆動装置内蔵バッテリー,予備駆動装置,予備バッテリーの切り替えもすることもなく,受け入れ病院に9時間5分を要し到着し,臨床工学技士の役割を果たした。
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