体外循環技術
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33 巻, 2 号
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  • ―テルモ社製CDI-500について―
    千葉 美樹, 勝又 尚紀, 鈴木 一郎
    2006 年 33 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】安全な体外循環を施行するために,連続的血液ガス分析装置を用いてリアルタイムに患者情報を把握することは重要である。今回,従来の血液ガスパラメーターのほかに,カリウム濃度も測定できるテルモ社製CDI500を使用し,バイエル社製blood gas system288との相関関係を検討した。その結果体外循環開始後5分,30分,90分,120分,150分,180分で再度キャリブレーションを行い比較したところ,カリウム濃度に関しては高い相関を得ることができた。その他のパラメーターの血液ガスについても高い相関が得られたが,ヘマトクリット値,ヘモグロビン濃度においては体外循環中を通して相関関係は見られなかった。しかし,体外循環中に再度キャリブレーションを行いながら,血液ガス,およびカリウム濃度をリアルタイムにモニタリングできることによって,迅速な対応が可能になり,更に安全な体外循環が行えると考えられた。
  • ―CDI-500を用いたガスコントロール―
    山崎 隆文, 齊藤 建, 大石 杏衣, 熊井 良一
    2006 年 33 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】大動脈瘤手術の体外循環で低体温時(25℃ 以下)のガスコントロール方法を,従来のα-Stat法からpH-Stat法に変更した。ガスコントロールの安定化と安全管理を行うために,CDI-500を用いてガスマネージメントを行った。対象は,2002年1月より2005年4月までの大動脈瘤手術症例21例であった。α/pH-Stat法に移行するにあたり,ガスの変化を観測しながら移行できたことでより安全かつ的確なコントロールが実施できた。pH-Stat法に移行してから末梢循環の反応時間が良好になった。これは結果にも表れているように温度の上昇速度更には末梢循環を表す血圧の反応などがより良く繁栄していると考える。大動脈瘤手術の低体温灌流時の体外循環には,CDI-500は有用であると考える。CDI-500を用いて超低体温体外循環を施行することで,α およびpH-stat法の変更が容易に安全に行えた。
  • 武田 章数, 東條 圭一, 木下 春奈, 早速 慎吾, 西川 温, 小原 邦義
    2006 年 33 巻 2 号 p. 147-149
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】近年,大動脈内バルーンカテーテル(IABカテーテル)は,人体への侵襲の軽減や安全性向上のため材質の改良やシャフト径の細径化がはかられているが,IABカテーテルの留置位置の変化による大動脈損傷などの合併症も発生している。最近では,これらのトラブル対策のために柔軟性の高い樹脂系の新素材を使用したIABカテーテルが増えてきているが,柔軟性の高い樹脂系新素材は保持力の低下が懸念される。そこで今回,IABカテーテルのセントラルルーメンの素材と留置位置の変化の関係について検討した。その結果,金属系素材は留置位置の変化が最も少なく保持力が高く,樹脂系新素材はその安全性の高さから最近のセントラルルーメン素材の主流ではあるが,留置位置の変化が最も大きく,保持力の弱さが示唆された。以上のことから,金属系素材のような高い保持力と,樹脂系新素材のような高い安全性を確保できる柔軟性をもつIABカテーテルが必要と考えられる。
  • 向井 憲子, 上田 彰, 栗原 大典, 山口 裕司, 武田 沙緒梨, 内田 直里
    2006 年 33 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】ITC社製ヘモクロン401(401)とヘモクロンJr.シグニチャー+(シグニチャー)を各2台使用してACT値を測定し,比較検討した。対象は,2005年3月から5月までの開心術で常温例5例,低体温例5例の計10例であった。CPB中,抗凝固剤としてヘパリンナトリウムとメシル酸ナファモスタットを使用し,低体温例には直腸温30度でアプロチニンを投与した。ヘパリン投与前,プロタミン中和後は4台とも約120秒の一定した値を示した。CPB開始時の同機種の差は,シグニチャー群は常温例,低体温例ともに20秒以内であったが,401群は50秒以上の差を認め,500秒以上の例もあった。401は,CPBにおける低体温,ヘパリンナトリウムとメシル酸ナファモスタット,アプロチニンの併用と,検体血液量の違いがACTの延長に影響しているが,シグニチャーは影響を受けず,ACT測定器として有用であった。
  • 赤地 吏, 玉城 聡, 又吉 盛博, 新見 能成, 神谷 勝弘
    2006 年 33 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】大血管手術では,冠動脈バイパス術や弁手術などに比べて症例数が少ない施設が多く,体外循環技士が十分な経験を積むことが難しい。そこで,脳分離体外循環用の人工心肺操作シミュレーションマットを作製し,新人技士だけでなく経験のある技士などのトレーニングに役立てることを試みた。脳分離体外循環用人工心肺操作シミュレーションマットと通常の人工心肺回路を使い,操作手順書を作ったうえで操作の体験を行った。また,脳分離体外循環で起こりえるトラブルをシミュレーションし,その対処方法のトレーニングを行った。その結果,擬似的な血圧(動脈圧,中心静脈圧,脳送血圧)を出すことができ,血圧・ポンプ流量・循環血液量の関連性を持たすことができた。脳分離体外循環で行う特有なポンプ操作や鉗子操作のトレーニングができた。また,いろいろなトラブルや事故を再現することで,その対処方法や事故原因を知ることができた。脳分離体外循環用人工心肺操作シミュレーションマットは,研修器具として新人技士の教育だけでなく,経験のある技士の体外循環技術向上や維持にも役立つことが示唆された。
  • 大原 千典, 荒井 洋次郎, 吉田 雅博, 富田 元沖, 飛田 瑞穂, 望月 吉彦
    2006 年 33 巻 2 号 p. 156-158
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】劇症型心筋炎による循環不全に対し,循環補助手段として補助人工心臓(VAD)を装着した。VADは循環補助を主な目的とするが,今回VAD回路内に人工肺を組み込むことにより循環補助と同時に呼吸補助を行うことができ,重篤な多臓器不全(MOF)を合併せずに離脱できた。症例は24歳女性。身長150cm,体重58kg,体表面積1.53m2。当院搬送直後にPCPSを装着し,約170分の駆動の後にVADを装着した。VAD開始直後にAST値・ALT値は高値を示したが,心機能の回復に伴い低下していった。一方,T-bil値は経時的に上昇し,離脱直前には更に上昇した。離脱時,AST86IU/L,ALT32IU/Lであったため,自己心の回復によるVAD flowの変化で肝の虚血または薬剤や炎症など何らかの要素で上昇したものと考えられる。また,腎機能値は装着前よりも高値を示し,離脱直前にはBUN64mg/dl,Cre2.3mg/dlまで上昇した。VADは駆動に際して,肺機能が十分に保たれていることが絶対条件であるとされているが,今回使用したBVS5000は,駆動中に生じた低酸素血症に対して,回路内に人工肺を装着することで回避できた。
  • 竹田 博行, 松村 卓広, 吉田 哲矢, 高木 梨沙, 塚原 隆司, 塚田 晃裕
    2006 年 33 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血にて発症した巨大血栓化脳動脈瘤に対して,非開胸式体外循環による超低体温循環停止下クリッピング術を施行した。症例は,48歳女性,身長156cm,体重55kg。体外循環は,通常の開心術で使用している静脈リザーバーのバイパスラインを組み込んだ回路を用いて右大腿動静脈より送脱血を行い,バイパスラインを使用した閉鎖回路にて開始し,灌流量2.4L/min/m2,灌流圧40~80mmHgで行った。冷却を開始し,心室細動が起きた時点で心筋保護の目的によりKCL+マグネゾールを静注後,心停止とした。食道温20℃で循環停止し,クリッピングを施行した。循環停止および復温時には電解質補正のため血液濾過を行った。術後の経過は良好で,術後1時間半で覚醒し,64日目に独歩退院した。今回のような複数科の医師による合同手術を行う場合,各スタッフが手術手順を理解しておくことで手術当日は円滑に行うことが可能であった。
  • 千葉 茂, 安田 耕一, 久本 祥子, 山谷 一広, 篠崎 滋, 伊藤 智宏, 関野 美仁
    2006 年 33 巻 2 号 p. 163-165
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】蛸壷型心筋症は,左室心尖部の無収縮と心基部のみが収縮する心筋機能障害である。その心筋機能障害は可逆性であり予後は良好である。今回我々は,開心術術後に発症した蛸壷型心筋症による心原性ショックに対し,PCPSを施行し救命に至った症例を経験したので報告する。症例は53歳,女性。僧帽弁置換+MAZE手術後,手術室にて抜管しICUに入室した。術後第1病日にECG上で広範なST上昇,QT延長,低心拍出量症候群を認め,急性心筋梗塞疑いにて緊急冠状動脈造影施行。有意狭窄は認めなかった。冠状動脈造影後の心臓超音波検査にて蛸壷型心筋症と診断された。薬物療法,IABPの補助は効せず,遷延する低心拍出量症候群に対しPCPSを開始。PCPS開始3日目より心機能の回復が見られ,6日後にPCPSを離脱した。PCPS時間は134時間30分であった。本症例に対し,PCPSによる補助循環は多臓器不全への移行を防ぎ,救命することが可能であった。
  • 川崎 広樹, 橋本 祐介, 高戸 真紗美, 高 寛, 熨斗 恵理子, 佐藤 昌臣, 小木 幸人
    2006 年 33 巻 2 号 p. 166-167
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】我々の施設では完全血行再建を目指し,可能な限り心停止下CABGを施行しているが,脳血管狭窄病変や大動脈に強度の石灰化が認められる症例に対しては右房脱血,上行大動脈送血による遠心ポンプ補助心拍動下CABGを施行している。当初,遠心ポンプには通常のPCPS回路を使用していたが,心臓挙上時あるいは脱転時に血圧が変動し,安定した循環動態を得ることが困難であった。そこで,安定した循環動態を得るために脱血側にリザーバーとの接続ラインを設け,両方向回転可能なローラーポンプを用いる専用回路を考案した。また,緊急時,心停止下へ移行することができるようリサキュレーションラインを追加し,開放型回路への移行をも可能とした。今回,遠心ポンプ補助心拍動下CABG術中に一部強い石灰化のため上行大動脈へのpartial clampが困難で,中枢吻合時のみ心停止が必要となった症例を経験したが,この回路を使用していることで迅速に心停止下CABGに移行することができた。
  • 関口 敦, 見目 恭一, 許 俊鋭
    2006 年 33 巻 2 号 p. 168-170
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    心筋保護液を使用せず心室細動下で行う僧帽弁手術時の人工心肺の留意点を検討した。対象は2004年の15例で,年齢56.2±12.3歳。体外循環時間172.9±53.1分,心室細動時間119.5±35.9分,最低直腸温29.2±0.8℃,最低ヘマトクリット23.4±2.2%,無輸血率67%(10/15)例。心内操作中の心拍再開,空気塞栓脳合併症例は認めなかった。本術式の利点は,(1)大動脈遮断および心筋保護液投与が不要,(2)大動脈基部圧迫によりARを作製することで弁逆流テストが容易などがある。一方,欠点は,無血術野の展開,ARのコントロール,持続的な大動脈基部の気泡除去が必要なことなどである。人工心肺操作の留意点は,(1)無血視野の確保のために,左房ベントを十分引き,吸引が有効でない場合は,循環血液量をやや脱血気味にする。(2)空気塞栓防止のために,やや頭低位とし,気泡抜き用の大動脈ベントを使用する。(3)心室細動中の心筋虚血防止および弁逆流テストを有効に行うために,灌流圧を70-80mmHgに維持することであった。
  • 山本 英樹, 西分 和也, 木下 昌樹, 西村 良恵, 丸山 仁実, 宇井 雄一, 田中 佑佳, 馬場 由理, 浅井 志帆子, 神谷 裕介, ...
    2006 年 33 巻 2 号 p. 171-173
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    臓器摘出時に問題となる温阻血の状態は,血流が途絶することにより各種の代謝機能や交感神経系などの血管系自動制御が作動し,臓器に対する酸素供給の減少もしくは停止状態となる。腎臓における温阻血の安全限界は臨床の経験からは40分~60分程度といわれているが,臓器保存の観点から温阻血時間(WIT:warm ischemic time)を可能な限りゼロに近づけることにより,これらの温阻血障害を軽減できると考えられる。今回PCPS装着3症例からの心停止後腎臓摘出において,PCPS回路を使用した腎灌流を経験し良好な結果を得た。PCPS装着症例における心停止後の腎臓摘出例は,腎灌流にPCPS回路を用いることで迅速な灌流の開始(WITの短縮)が可能であり,また,冷却酸素加血による全身灌流を行うことで,臓器の酸素供給を減らし温阻血障害を軽減できると考えられた。
  • 五十嵐 利博, 中尾 一俊, 遠山 範康, 長坂 淳一, 三浦 貴之, 北村 麻未, 海老澤 佳世, 斉藤 聡, 木原 信一郎, 山崎 健二 ...
    2006 年 33 巻 2 号 p. 174-176
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    次世代型体内植え込み型補助人工心臓EVAHEARTの植え込み手術を経験した。手術は最初に血液ポンプを留置するポケット,駆動ケーブルを通すトンネルを作製した。次に駆動ケーブルをコントローラに接続し,試運転を開始する。体外循環を開始し,インフロー・アウトフローグラフトを吻合して血液ポンプと接続しエア抜きを行い,体外循環終了と同時にEVAHEARTを駆動した。EVAHEARTは非常に良好な経過を得られている。次世代型補助人工心臓として有用性が示唆された。
  • 配野 治, 杉本 響
    2006 年 33 巻 2 号 p. 177-179
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    遠心ポンプをメインとしてローラーポンプを同時使用する脳分離体外循環では,操作ミスにより人工肺が陰圧となり,回路内に気泡が混入する危険性がある。そこで我々は模擬回路を作製し,リザーバー一体式人工肺,泉工医科工業社製メラNHPエクセランプライム(S社),JMS社製Oxia-LP(J社),テルモ社製CAPIOX-RX25(T社)を使用して,陰圧による気泡引き込みの実験を行った。模擬回路において,遠心ポンプにより人工肺に陽圧を負荷し,人工肺の出口側よりローラーポンプの流量を変化させた。このとき,人工肺の入口圧と出口圧を測定しながら,出口での気泡の有無を超音波気泡検出器でカウントした。その結果,3社の比較では,T社,J社,S社の順に気泡を引き込みにくかった。また,3社とも人工肺出口側の平均圧が陽圧であれば気泡を引き込まなかった。今回の実験より,回路内への気泡混入を防ぐ指標として,人工肺出口側の平均圧をモニタリングし陽圧を維持することで気泡の引き込みを防止することができると考えられた。
  • 鳥本 倫之介, 小林 剛志, 富永 哲史, 石川 智啓, 金子 真美, 高橋 政夫
    2006 年 33 巻 2 号 p. 180-181
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当施設では,年間70~80例の開心術を行っている。体外循環数は年間30~40例であり,回路を数種類保有することは保管場所や滅菌期限の問題から難しい。これまで,人工肺を接続しない左心バイパス回路は症例数が少ないため手術ごとに作製してきたが,緊急手術や循環中の体温低下,出血の回収に対応するため,町田市民病院の回路を参考に左心バイパス回路を作製した。遠心ポンプは通常使用している回路のものを流用し,血液や輸液の熱管理を行う回路は通常使用している心筋保護回路を流用した。新たに作製した回路は,術野回路(送脱血回路・吸引回路),ソフトリザーバー,ハードシェルリザーバー接続ワンタッチコネクターである。結果,新たに作製した回路は最小限にとどめることができ,保管場所も小さくてすみ,準備や操作も特別な操作を必要とせず安全であった。
  • 中島 康佑, 與座 千沙子, 河藤 壮平, 伊藤 直人, 井上 堅司, 伊藤 新一, 永田 和之
    2006 年 33 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年開心術の低侵襲化に伴いOPCAB症例が増加しているが,血行動態不安定な症例に対しPCPSを用いて当院独自のシステムを使用した冠動脈バイパス手術を行っている。また,リスクの少ないと考えられる下行置換術に対しても本システムを用いている。本システムとは市販のPCPS回路の送脱血側に三方活栓と3.5mmチューブをバイパスさせ,三方活栓にCPD液入の採血バックを接続した回路である。PCPS回路であることから,準備が10分程度と短くできた。また操作に関しては,貯血・返血ともに三方活栓とクレンメの操作のみで簡単であった。術中の血行動態維持は,貯血および出血した血液の返血操作により行ったが,反応性は通常の体外循環回路よりやや劣るものの,問題はなかった。また,返血時までバックにためた血液に血栓などの発生もなかった。このことからOPCABおよび大動脈遮断が困難な心拍動下の冠動脈バイパス手術,低リスクの下行大動脈瘤に対する人工血管置換術において有用な方法であると考えられた。
  • 石曽根 明浩, 田辺 克也, 佐藤 耕一, 山田 将志, 曽根 慎一
    2006 年 33 巻 2 号 p. 185-187
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    人工心肺を安全に操作するうえで,レベルセンサーは重要なモニタリングのひとつであるが,小児用のリザーバに適応するレベルセンサーが少ないのが現状である。今回我々はLScIII(トノクラ医科工業製)を臨床使用し,当院で使用しているリザーバでの使用具合を調べた。LScIIIは光学式センサーで専用のスライド式アタッチメントをリザーバに貼り着けて使用する。そのためにセンサーやリザーバに汚れがあると誤作動を起こしたり,リザーバの形状によっても誤作動を起こすことがある。当院で使用しているリザーバでも使用上でいくつかの注意点が見つかった。LScIIIはまだ改良する点はあるが,注意点を認識し使用していくことで小児用リザーバのレベルセンサーとして有用と考えられた。
  • 中野 孝, 原 和信, 高橋 浩子, 山根 薫, 近藤 宏
    2006 年 33 巻 2 号 p. 188-190
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    現在医療の現場において電子化が進み,電子カルテやオーダリングシステムなどが普及しつつあり,当院においても本年4月に日本光電社製手術部支援システムCAP-2500(CAP)を採用し,体外循環記録の電子記録導入となった。そこで今回,既存の記録用紙に筆記で記入する方法とパソコンでCAPに入力する方法の時間を比較し,記録の電子化による利点と問題点の検討を行った。CAP導入によって術中のバイタルや送脱血温,送血流量,血液ガスデータなどの自動取り込みと,水納計算の自動化などにより筆記に比べ記録時間が短縮された。CAP導入時,両者間において体外循環中の記録時間はさほど変わらなかったが,3ヵ月後には慣れによりCAPの記録時間は約半分に短縮され,CAPの使用により体外循環中の記録に費やす時間は省力化された。課題として,コンピュータの不意な故障時などの対策が残った。
  • 山越 理恵, 百瀬 直樹, 後藤 悟, 唐沢 あや子, 内田 隆行, 安藤 勝信, 中島 逸郎
    2006 年 33 巻 2 号 p. 191-194
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    生命維持装置である人工心肺やPCPSではトラブルやアクシデントが重篤な事故につながる可能性があるため,その安全管理が重要になる。我々は体外循環の安全性向上を図るために,人工心肺支援システムや閉鎖回路の使用などのハードウエアと,人工心肺マニュアルなどソフトウエアで具体的な安全対策を行ってきた。その結果,現在まで人工心肺由来の重大なアクシデントは発生していない。しかし,更なる安全対策の向上が必要と考える。
  • 花田 琢磨, 安野 誠, 中嶋 勉
    2006 年 33 巻 2 号 p. 195-197
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院の脳分離体外循環は,3分枝への送血を1機のローラーポンプを使用して行っている。そのため各分枝への送血流量測定に超音波血流計(トランソニック・システムズ社製:HT-320)を用いている。しかし,超音波流量計の計測値の合計とローラーポンプの表示値に差が生じることから,超音波流量計のプローブについて検討した。また,チューブの種類による流量特性についても検討を行った。実験は,ローラーポンプ出口から5cmごとにプローブを3つ装着した状態で水道水を循環して行った。計測は,50mL/分,100mL/分から1,000mL/分まで100mL/分間隔で計測した。結果は,チューブごとの流量特性は得られなかった。低流量で誤差が生じたが,チューブによる問題ではなく,プローブに原因があった。計測に用いたプローブ一つに低流量で誤差の生じるものがあり,メーカーの精度範囲を超えていた。これにより,チューブごとの流量測定結果に影響が出たと考えられた。
  • 加藤 優, 長谷川 武生, 前中 則武, 大江 祥, 河江 忠明, 佐藤 真司, 高木 伸之, 堀田 智仙, 高室 基樹, 富田 英, Po ...
    2006 年 33 巻 2 号 p. 198-201
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    補助人工心臓装着患者の海外渡航搬送を経験したので,その搬送方法を報告する。搬送においては,駆動装置3台,無停電装置3台,変圧器1台を準備し,搬送シミュレーション後に,小型ジェット機による海外渡航を行った。17時間の渡航搬送中,駆動装置に安定した電力供給が可能であった。補助人工心臓装着下での国内外への搬送は,今後も増加すると考えられるため,小型で低消費電力,長時間バッテリー駆動可能な駆動装置の開発が望まれる。
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