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―データ解析の基礎―
林 邦彦
1995 年21 巻2 号 p.
1-6
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
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—non Roller pump ECC System—
廣浦 学, 仲畑 和彦, 渡辺 健, 碓氷 章彦, 川村 光生, 日比 道昭, 吉田 勝彦, 村上 文彦, 岩瀬 仁一
1995 年21 巻2 号 p.
7-9
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
心臓外科領域における体外循環技術は,目覚ましい進歩と発展を遂げている。従来のローラーポンプによる体外循環法に代わって,補助循環などで使用されている遠心ポンプをメインポンプとして用い,更には吸引用ローラポンプに代わり低圧壁吸引法を用いることで,従来の体外循環法と異なる回路(装置)で臨床応用する方法を考案した。本方法は送血側からの空気を送る危険がなく,事故を未然に防ぎ安全な体外循環が運転できる。低圧壁吸引法は過度な陰圧をかけなければ,使用上問題を認めることはなかった。
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中出 和男, 山口 敏和, 小野 憲二, 西村 和典, 鷹羽 浄顕, 粟津 篤司, 岡本 好史
1995 年21 巻2 号 p.
10-16
発行日: 1995/07/25
公開日: 2011/07/04
ジャーナル
フリー
A-C bypass9例,上行大動脈瘤2例,弁膜症3例の計14例に対し,continuous warm blood cardioplegia法(CWBC:warm群)を施行し,topical coolingを併用したintermittent cold blood cardioplegia法(ICBC:cold群)を施行した7例と,カリウム(K)・CPK・GOT・GPT・LDH・体外循環時間・大動脈遮断時間・直腸温・血小板数について比較検討した。直腸温はwarm群がcold群に比して有意に高かったものの,大動脈遮断時間と体外循環時間には有意差はなかった。また,血小板数と酵素にも術後に有意差はなかった。Kは体外循環中warm群2例で高K血症を呈し,うち1例は体外循環からの離脱に際し血液透析を要した。以上のことより,CWBCはICBCに比して心筋への酸素供給という点で優れていると思われる反面,体外循環中に大量のK製剤を必要とすることから,高K血症を呈した場合の対策が必要となり,その注入方法にも今後検討の余地があると思われた。
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―血小板数とPF4の変動について―
久保田 好光, 中島 隆之, 佐々木 達哉, 八木 葉子, 川副 浩平
1995 年21 巻2 号 p.
17-19
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
我々は,イオン結合ヘパリン処理(Duraflo-II:Baxter社製)したCPB回路を臨床使用し,血小板数とPF4の変動について検討した。待機的CABGを施行した22例を対象とし,症例はヘパリンコーティング回路使用群13例と,対象群9例の2群に分類し比較検討した。両群間の年齢,体重,体表面積,体外循環時間,大動脈遮断時間に統計学的な有意差を認めなかった。ACTは体外循環中400sec以上に維持され,両群間で差は認めなかった。Free-Hbは徐々に上昇したが両群で差は認めなかった。血小板数はCPB終了時に有意差(P<0.05)を認めた。PF4も有意差(P<0.05)を認めた。
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松尾 光則, 北田 博市, 飯田 弘美, 末廣 茂文, 柴田 利彦, 南村 弘佳, 佐々木 康之, 石川 巧, 服部 浩治
1995 年21 巻2 号 p.
20-24
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
開心術における体外循環でヘパリンコーティング人工心肺回路を使用し,従来のノンコーティング人工心肺回路との比較検討を行った。体外循環中の測定項目は,ACT・遊離Hb・血小板数・FPA・TAT・PIC・Dダイマー・C3a・C4aを測定した。なお,ヘパリンの初期投与量は量群とも同量の3mg/kgとした。ヘパリンコーティング回路はノンコーティング回路よりも,凝固系・線溶系・補体系の活性は有意に抑制されており,体外循環における生体侵襲軽減の効果が期待できる。
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稲盛 修二, 松川 律, 吉鷲 秀範, 酒井 喜正, 石川 巧, 志村 仁史, 中谷 充, 松木 修, 西垣 恭一, 山本 文雄, 八木原 ...
1995 年21 巻2 号 p.
25-28
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
体外循環中に気道出血をきたし,人工心肺からの離脱ができず,ヘパリンコーティングシステムを用いて,体外式心肺補助を行った。体外循環終了時の血行動態は良好であったが,SaO2が80%となり,気管チューブより血液が吸引されるようになったため,再ECC人工心肺からの離脱ができないため止血後,遠心ポンプによる当センター式小児補助循環回路を用い補助循環を開始した。ICU入室後満足すべき心肺補助効果を得ていたが,ACT200前後の管理下では気道出血は止まらず,術後3日目よりヘパリンコーティングシステムに交換,ACT120前後で維持した結果,気道出血は止まり血行動態も良好であった。
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三浦 正也, 周藤 博隆, 藤島 良一, 高山 鉄郎, 長田 信洋, 小銭 健二, 吉村 幸治, 伊藤 健二, 何 廣頤
1995 年21 巻2 号 p.
29-32
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
体外循環中の心筋保護液使用などによって起こる,血液希釈に対してHb,Hctの維持,電解質の調整,またWarm Blood CardioPlegia(WBCP)使用による高Kの改善を目的とし,除水器(ミンテックヘモコンセントレーターHP300)を用い,ECUM回路を作成し,人工心肺回路内に組み入れ,体外循環中に限外濾過(ECUM)を行った。その結果,ECUMは血液希釈に対し,Hb,Hctの維持,電解質の調整などに有用であった。また,WBCP使用時の高Kの改善に対しても,ECUMは有用であった。
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高橋 幸志, 北本 憲永, 神谷 典男, 高岡 伸次, 宮崎 紀男
1995 年21 巻2 号 p.
33-35
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
術前より腎機能低下を認める患者に対して術中透析を行った。手術は冠動脈バイパス術3例,再弁置換術1例であった。術中に透析回路を体外循環回路に並列に接続し,術中・術後1~10病日の電解質・BUN・Crの検査値を比較した。術中に透析を行う事で電解質のコントロールが容易に管理することができた。
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― Univoxとの比較―
大島 浩, 斎藤 友信
1995 年21 巻2 号 p.
36-40
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
人工肺表面にヘパリンをイオン結合(Duraflo-II 処理)したベントレー社Univox-GOLDと,従来より使用しているUnivox肺との臨床的比較検討を行った。両群の比較は体外循環回路から体外循環開始後5分,60分,90分,120分に採血を行い,血小板数,白血球数,CH50,PaO2,PaCO2,ACT,FIO2,V/Q比を測定比較した。血小板数の変化率に両群間での有意差はみられなかったが,G群の方が減少率は少なかった。白血球数の変化率に両群間での有意差はみられなかったが,G群の方が120分でわずかに増加率が少なかった。C且50の変化率に両群間で有意差はみられなかった。両群間のPaO2,PaCO2,FIO2,V/Q比にも有意差はなかった。両群間のACTの有意差はなかった。
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渡辺 英樹, 武山 丞, 中村 光男
1995 年21 巻2 号 p.
41-44
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
我々は,AFFINITYを用いて同一人工心肺下に常温体外循環(6例)と低温体外循環(6例)を施行した結果より,温度面からAFFINITYのガス交換能,血液有形成分に対する影響を比較検討した。酸素加能,炭酸ガス排出能は双方共に良好であり,常温においても酸素加能の低下は見られず安定した結果が得られた。血液有形成分に対する影響としては,WBCが体外循環中30分,60分で常温のほうが高値を示し有意差を認めたが,その他,Hb,Pl,F-Hb,PF4,β-TGにおいては,有意差は認められなかった。WBCで有意差を認めたのは,正常体温のほうが低体温に比べ代謝が活発に行われるためだと思われる。AFFINITYは,特にガス交換能に優れており,常温,低温において安全な体外循環を行うことができた。
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荒木 康幸, 松崎 亮二, 濱田 倫朗, 園田 昭彦, 外口 敬作, 川野 洋眞, 平山 純一, 三隅 寛恭, 中島 昌道
1995 年21 巻2 号 p.
45-51
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
1994年9月末までの過去3年間に選択的脳灌流法10例,持続的逆行性脳灌流法21例,計31例の脳分離体外循環を経験した。当施設では,脳灌流のみ超低体温に保ち,大腿動脈送血を中等度低体温に保つため脳灌流送血ライン途中に熱交換器をとりつけた。目標咽頭温を15℃,直腸温を25~30℃にすることにより超低体温の合併症を軽減されると考える。また,動脈硬化の進行した症例では大腿動脈送血により粥状硬化著明な下行大動脈の剥離内膜片による脳梗塞の危険性もしくは,リエントリーからの逆行性解離の危険性が考えられる。よって,大腿動脈送血のみでなく腋窩動脈との併用,人工血管置換術終了後は上行大動脈送血に変更し送血するよう工夫した。これらの工夫により脳障害を合併せず安全な脳分離体外循環が可能と考えられる。
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―遠心ポンプによるV-Aバイパス―
西村 和司, 赤松 俊二, 渡邊 正樹, 中島 準仁, 久保 茂, 佐藤 達朗, 北野 満博, 山里 有男
1995 年21 巻2 号 p.
52-58
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
胸部大動脈瘤手術時の補助手段として,大腿静脈―大腿動脈バイパスを12例に行い,その有効性について左心バイパス法と比較検討した。静脈脱血,人工肺使用により流量変動幅は0.76±0.37l/minと安定していた。また,体温はバイパス終了時36.5±0.8℃で,バイパス中に低下はみられなかった。術前後の遊離ヘモグロビンおよび,血小板,BUN,クレチニン,GOT,GPTの術後変動について,左心バイパス法と比較検討したが有意差を認めなかった。回路内にカーディオトミーフィルター付き静脈血リザーバーを組み込むことにより,ローラーポンプ吸引による迅速な術野出血の回収と,開放回路への変更が可能となり,より幅広い症例への対応が可能であった。
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山鹿 彰, 服部 敏之, 開 正宏, 小林 民男, 戸崎 洋子
1995 年21 巻2 号 p.
59-62
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
体外循環中に適正な潅流を行ううえで,静脈血酸素飽和度の測定が一つの指標として使用されている。今回我々は,再生オプティカテーテル®を洗浄滅菌後に使用し,人工心肺回路の脱血チューブ外表面に非侵襲的に取り付け,SvO2を連続的に測定し,静脈側にて採血した血液の酸素飽和度の測定値との比較検討を行った。酸素飽和度は,ヘマトクリット,pH,血流速度などの生理学要素に影響されると言われているが,今回用いた我々の測定方法から得られた値は,これらの要素の変化にかかわらず,実測したSvO2との間に良好な相関関係が認められ,信頼性が高い測定方法であると考えられる。
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目黒 勉
1995 年21 巻2 号 p.
63-67
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
小型軽量でバヅクアップ電源を内蔵し,メンテナンスも容易である血液ガス分析電解質測装置,マリンクロット社製GEM Premierについて,重炭酸透析液を用いた現使用機種との同時再現性比較と,血液による相関を求めた。その結果,同時再現性では現使用機種よりCaを除いて,変動係数が大きく血液を用いた相関については,pHとPO2で高値を示したが,機種間の系統誤差であり臨床使用には問題がなく,使用場所など目的を明確にし,適切な使用条件のもとでは,有用な装置であると思われた。
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関口 敦, 森田 高志, 深谷 隆史, 会田 治男, 片倉 健二郎, 田畑 喜朗, 笹川 繁, 織田 豊, 見目 恭一
1995 年21 巻2 号 p.
68-72
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
人工心肺中ヘマトクリット値を予測する上で,大きな因子となる循環血液量を中心に変動因子を統計的に検討した。対象は,1993年1~12月に当施設で行った無輸血充填の成人体外循環症例122例で,人工心肺直前の動脈血ヘマトクリット値は37.6±3.9%(27.5~47.3%),開始後は19.8±2.7%(15.0~26.8%)であった。この実測値から逆算した人工心肺中循環血液量は,体重当り4.4±1.1%(2.7~8.7%)と一般値より低く,肥満度,人工心肺前ヘマトクリット値,疾患で差が認められた。人工心肺中のヘマトクリット値をより正確に予測するためには,肥満度,人工心肺前ヘマトクリット値,疾患などにより誤差があることを十分認識した上で,循環血液量を体重の5%程度に想定するのが,比較的容易に誤差を少なくする方法の一つと考えられた。
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児玉 泰, 西原 裕幸, 酒井 和好, 味岡 正純, 石田 明弘, 浅野 博
1995 年21 巻2 号 p.
73-75
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
急性心筋梗塞による心原性ショック,重症心筋炎,肺梗塞などに対しての経皮的心肺補助法の有用性は認められているが,当院でも心原性ショック,肺梗塞に対しPCPSを施行している。PCPSは緊急で行われることがほとんどであり,素早い対応が要求される。そのため,シンプルな回路設計と組立の熟練を要する。今回の対象は心原性ショック7例,肺梗塞1例の計8例で,そのうち5例が離脱できたが,心原性ショック例では症状の悪化からPCPS装着までの時間が短く,心筋のダメージの少ないもののWeaning率が高いことが示唆された。
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会田 治男, 見目 恭一, 織田 豊, 関口 敦, 田畑 善朗, 深谷 隆史, 森田 高志, 片倉 健二郎, 笹川 繁, 許 俊鋭
1995 年21 巻2 号 p.
76-79
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
今回我々は,小児開心術後に遠心ポンプによる補助循環を施行し,救命し得た。症例は1歳6ケ月の女児,体重9.6kgである。補助循環は,遠心ポンプで行い,回路の充填には体外循環中の潅流液を用いた。開始約4時間後よりドレーン血の返血を輸液ポンプにて行った。32時間後からは持続的限外濾過を行った。約45時間後心機能の改善が得られ,補助循環を離脱,約3ケ月後に軽快退院となった。我々は,以下の工夫により安定した補助循環を施行し得た。補助循環への移行時に潅流液を補助循環回路充填液に使用し,新たな充填液による血行動態の変動を無くし,スムーズに補助循環に移行することができた。ドレーン出血の返血を,輸液ポンプを使用して返血し,安全に継続的に行ったため血行動態の変動を極めて少なくでき,血液の損失を減少せし得た。また,尿量減少に際し,早期から持続的限外濾過を行い,急性の腎不全に対応し得た。本症例の改良点は小児専用の抗血栓性での補助循環セットの作成であると考えられた。
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玉城 聡, 五十嵐 敦哉, 押山 勉, 檜山 和子, 松田 睦, 白井 宏, 中山 京子, 臼井 浩明, 小山 豊, 西村 昌雄, 江郷 洋 ...
1995 年21 巻2 号 p.
80-83
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
今回我々は,PCPSを73時間行った劇症型心筋炎の症例を経験し,そのシステムの有用性と問題点を検討した。患者は44歳男性で,発熱と呼吸困難を主訴に当院CCUに入院した。検査により急性心筋炎と診断され,IABPを挿入し循環管理を行った。しかし,血行動態のコントロールが困難となったためPCPSを行った。だが,PCPS施行後2日目より消化管出血や下肢の阻血が生じ,4日目には,下半身のチアノーゼが増悪したため,PCPSからの離脱をよぎなくされた。PCPS中は遠心ポンプ交換2回,人工肺,動脈フィルターをそれぞれ1回交換した。臨床上,血行動態の改善を見られたものの長時間にわたるPCPSでは,消化管出血,人工肺およびポンプユニットの交換,下肢の阻血,PCPSの離脱のタイミングなどの問題点を検討する必要があると思われた。
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深谷 隆史, 織田 豊, 関口 敦, 片倉 健二郎, 会田 治男, 田畑 喜朗, 森田 高志, 笹川 繁, 見目 恭一, 許 俊鋭, 宮本 ...
1995 年21 巻2 号 p.
84-87
発行日: 1995/07/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
心移植が適応と思われた拡張型心筋症の末期患者に対し補助人工心臓を使用し,装着後リハビリを積極的に行い,約3週間後Quality of lifeの向上が認められた。しかし,症例1は第42病日に右心不全により,症例2は第43病日に右心不全及び敗血症性ショックにより失った。今回経験した2症例で検討した長期使用に対する問題点として,体外式ポンプの重量,運動負荷に対する血流量,電磁流量計,ポンプ材質の抗凝固性があげられた。さらに長期使用可能な補助人工心臓として,体内植え込み型,流量自動制御機構,電気的雑音に強い流量計,抗凝固療法なしで患者管理が行えるポンプ材質の開発が必要と考えられた。
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