体外循環技術
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29 巻, 1 号
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  • 佐藤 仁, 代田 浩之
    2002 年 29 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原 敏郎, 福田 勇司, 増山 慎二, 島本 健, 湯浅 貞稔, 添田 健, 松田 光彦
    2002 年 29 巻 1 号 p. 4-6
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院の脳分離体外循環システムは,心筋保護液注入用ポンプと心筋保護回路を使用して,選択的脳灌流をも行うことができるシンプルな回路構成を特徴としている。本システムを2000年2月以降,胸部大動脈瘤手術において,超低温脳灌流を併用した中等度低体温体循環に臨床使用してきた。方法としては体外循環開始後より冷却を行い,膀胱温が28~30℃になった時点で大動脈を遮断して心筋保護液を注入した。弓部大動脈を切開後,腕頭動脈および左総頸動脈にカニュレーションを行った後,脳灌流を開始した。脳灌流量は500~600ml/分,送血温度は18~20℃とした。脳灌流中は心筋保護ポンプのマスタースレーブ機能を解除し,マスターポンプのみを用いた。また心筋保護液注入の間は脳灌流を停止した。体外循環中は膀胱温,咽頭温および鼓膜温,更に脳血流の指標に脳内酸素飽和度をモニターし,血液ガスはα-statにて管理した。本システムは装置および回路構成がシンプルで,緊急時にすばやく対応でき,また操作性も優れており有用であった。
  • 百瀬 直樹, 後藤 悟, 山越 理恵, 又吉 盛博, 安藤 勝信, 唐沢 あや子, 小林 浩二, 中嶋 逸郎
    2002 年 29 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】現在の人工心肺システムでは一定の貯血レベルを維持することが難しく,高度な技術を必要としている。また,術野側から体外循環に関する一切の操作を行うことはできない。我々は新たに,貯血レベルが自動的に維持され,術野側からでも体外循環流量をコントロールできる自動制御人工心肺システムを開発した。本システムは,送血流量と貯血量の調節を独立させた完全閉鎖回路と回路圧力による送血ポンプの回転制御装置,および貯血槽のレベルにより貯血量を調節するポンプを制御する装置により構成されている。このシステムを366例の臨床において使用した。貯血レベルは貯血槽に取り付けたレベルセンサーの位置に自動的に保たれ,貯血量の調整はレベルセンサーを上下に移動することにより容易に行えた。術野側の脱血回路の鉗子操作だけでも体外循環の開始や離脱操作を行うことが可能であった。また機械側で開始や離脱操作を行った症例でも,送血ポンプのツマミ操作だけで行うことができた。本システムにより,従来複雑で不安定だった体外循環が容易かつ安定化することで,体外循環の技術者は広い視野での安全管理が可能になる。
  • 森田 雅教, 又吉 徹, 柴野 豊彦, 平林 則行, 稲垣 利紗, 忍足 幸保, 落合 亮一, 根岸 健太郎, 塚本 雄貴, 小林 紘一
    2002 年 29 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回,日機装社製遠心型血液ポンプ装置HAP-31の共同開発を行った。HAP-31の開発にあたり,小型軽量化,長期補助循環,通常の体外循環のどちらの使用も考慮し,長期補助循環で必要と考えられるトレンドグラフの搭載,アラーム機能の充実,直感的な感覚で使用できるUGI,操作部・本体の分離タイプなどを臨床面からの要望とした。その結果HAP-31は外寸は縦280mm×幅175mm×奥行280mm,本体総重量9.5kgと従来機に比べ大幅な小型軽量化に成功した。これは内蔵バッテリーを鉛蓄電池からニッケルカドミウム電池に変更したことと,分離トランスを廃止したことに拠るところが大きい。本体はタッチパネル式のLCDを有し,トレンドグラフの搭載,アラーム機能の充実が図られた。メイン画面,トレンドグラフの画面の切り替え,あるいは各種設定画面の入力もUGIにより快適に行えた。HAP-31は小型軽量かつ,通常体外循環での使用,および長期補助循環での使用に十分な性能を有する遠心型血液ポンプ装置であると考えられた。
  • 樋口 浩二, 吉井 新平, 鈴木 章司, 大澤 宏, 保坂 茂, 多田 祐輔
    2002 年 29 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,CPB回路の充填作業なども調剤作業であるという観点から,この作業の簡略化を試みている。今回,CPBの主要薬剤を院内製剤からサブラッドBに変更した結果,充填薬剤数を6種類から4種類に安全に削減することができたので報告する。無血CPB23症例を対象として,Hct,Na,K,HCO3についてCPB開始直前の患者血液データと,CPB開始後のCPB血液データを比較検討した。その結果,Hct,Na,Kは低下しHCO3は上昇したが,いずれも安全域内での変動にとどまった。充填液の電解質濃度はマニトールなどの無電解質液の影響を受けて,サブラッドBの電解質濃度よりも1~2割程度は低くなった。そのためCPB血液データは,充填液の電解質濃度よりも患者血液データが高い項目では低く,逆に低い項目では高くなった。以上の結果からサブラッドBを充填液に使用した場合,メイロンやK製剤は必要ないと考える。
  • 古垣 達也, 重田 治, 大塚 雅昭, 斎藤 重行, 高橋 宏, 中山 凱夫, 榊原 謙
    2002 年 29 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環に用いるヘパリン,プロタミン量は,活性化凝固時間(ACT)を測定して追加量を決めている。Hepcon-HMS(Hepcon)は,定量的に血液中のヘパリン濃度を測定することができる機器で,必要なヘパリン,プロタミン量を算出できる。今回,成人開心術を対象に,ACTが480秒となるようにヘパリンを体外循環中に追加し,体外循環終了後に3mg/kgのプロタミンを投与したA群(n=14)と,Hepconによりヘパリン濃度をモニタしながらヘパリン,プロタミン投与量を調節したH群(n=20)の血小板凝集能の推移を調べ,ヘパリン中和中のプロタミンの影響について検討した。年齢,体重,体外循環時間,ACT,血小板数は両群に有意差はなく,術後出血量でA群が多い傾向にあった。H群で総ヘパリン投与量が多く,プロタミン投与量が少なかった。プロタミン投与後の血小板凝集能はH群では速やかに回復したが,A群では抑制された。ACTはヘパリン濃度を反映しなかった。また,プロタミンの余剰投与は血小板凝集能を抑制することが示唆された。
  • 西田 慎一, 上屋敷 繁樹, 植木 弘一, 中嶋 康仁, 吉岡 信也, 染谷 忠男
    2002 年 29 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    開心術における無輸血達成率の向上を図るため,人工心肺(CPB)回路の改良により充填量(PV)を削減した。待機的CABG症例において,PV1,600mlのH群と800mlのL群で,血小板保存率,輸血量,出血量,尿量,CPBバランスを比較検討した。L群の回路は術野→静脈リザーバー(VR)→人工肺→動脈フィルタまでのチューブ径を10mm,動脈フィルタ→術野までのチューブ径を8mmとした。吸引脱血(VAVR)-ローラーポンプ送血によりVR出口をポンプヘッドの高さにし,ローラポンプ出口に人工肺-動脈フィルタを直線的に設置した。L群はCPB開始から血小板,Ht,血圧低下の変化率が低く,尿量,CPBバランスに有意差を認めた。VAVRを併用することで,VRの位置を上げることができ回路の短縮と脱血チューブの細径化が可能となった。またCPB終了後の回路内残血量が減少した。低充填量にすることで術後出血量が軽減でき,同種血輸血削減に効果があると考えられた。
  • 古平 聡, 佐藤 正憲, 東條 圭一, 木下 春奈, 佐藤 栄治, 田口 元健, 小原 邦義
    2002 年 29 巻 1 号 p. 29-31
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    色素希釈法と輸液による希釈を用いた循環血液量の測定を行い,循環血液量と肥満度,疾患別の関係,測定方法について検討をした。色素希釈法を用いた循環血液量の測定および輸液による希釈を用いた循環血液量の測定を行い,輸液による希釈と色素希釈法との比較では,測定結果に相関が見られた。性別,体格,症例別の循環血液量の比較においては,性別により循環血液量は異なり,男性・女性ともに標準よりも軽肥満,肥満の循環血液量が10%程度少ない傾向が見られた。これらの測定結果から性別,体格において循環血液量の算出は可能であるという結論を得た。
  • ―陰陽圧安全装置の試作―
    倉島 直樹, 竹田 博行, 吉田 哲矢
    2002 年 29 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    陰圧吸引補助脱血法(VAVR)は体外循環時の脱血法として有用であるが,過度な陰圧や,陰圧ラインの閉塞による過度な陽圧の発生が危険であることを十分理解して操作する必要ある。我々は,これらの操作上の注意点をアラーム機能と警報ランプの作動による視覚と聴覚による認識と,自動的に開放できる装置を試作して動作試験を行った。試験結果により本装置使用が,VAVRの安全性の向上に有効であることが示唆された。
  • 山越 理恵, 百瀬 直樹, 後藤 悟, 又吉 盛博, 安藤 勝信, 唐沢 あや子, 中島 逸郎
    2002 年 29 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    バキュームアシスト脱血(VAVR)は有用な脱血方法である。しかしながら,VAVRでは静脈貯血槽が密閉状態になっているために,陰圧ラインが閉塞した場合,サクションポンプにより静脈貯血槽内部が陽圧になると考えられる。このような状況下でどのようなトラブルが発生するかを実験的に検討した。実験では,陽圧安全弁を持たない一般的な貯血槽を使用し,吸引コントローラ,遠心ポンプ,サクションポンプ2系統を取り付けた。そして,患者との落差を30cmとし,サクションポンプを250ml/minで回転させ,この状態で陰圧ラインを閉塞させた。実験の結果,貯血槽内は3分間で140mmHgを越える圧力に達し,この状態で脱血回路の鉗子を開けると脱血回路から大量の空気が逆流した。送血回路でも同様に,大量の空気が遠心ポンプを通って送血回路に流入することが示唆された。今回の研究で,貯血槽やバキュームレギュレーターでの陽圧安全弁など,安全対策の必要性が確認できた。
  • 関川 智重, 宗方 孝次, 与坂 定義, 菅原 時人, 平田 哲, 郷 一知
    2002 年 29 巻 1 号 p. 39-41
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小児体外循環症例のVAVD導入に向けて雑種成犬6頭を使用して落差脱血法3症例(A群),陰圧吸引補助脱血法3症例(B群)に分類して体外循環を行った。両群で血液採取を行い溶血量の推移と,静脈リザーバー内吸引圧変化による小児用脱血管の流量を検討した。溶血量はA群が高値を示したが,B群と有意差はなかった。GOT,LDH値もB群が低値であったが,両群間に有意差は認められなかった。VAVD下でのカニューレ流量変化は,リザーバー吸引圧-40mmHgの時,10Frで660±36ml/min,12Frで866±115ml/min,14Frで1,003±167ml/minであった。流量測定の結果よりリザーバー内吸引圧に応じてカニューレの流量が増加し,小径のカニューレを使用しても安定した流量が得られることが明らかとなり,VAVDの有用性を確認した。しかし,今回は実験症例数が少ないため有意差は認められなかったが,更に実験を重ねデータの蓄積が必要と考えられた。
  • 浜岡 一幸, 河口 俊之
    2002 年 29 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    今回我々は,術前アンギオ検査にて右内頸動脈の未破裂巨大脳動脈瘤に対し,開胸式体外循環併用,超低体温下の脳動脈瘤クリッピング術を経験した。症例は62歳女性,身長152cm,体重48kg,体表面積1.4m2,右眼の視野狭窄を生じこれが徐々に悪化しMRIにて腫瘤を認め,術前検査Matas Test30秒で意識消失となった。術前合同カンファレンスで超低体温20~25℃とし,循環停止またはVfのままクリッピングすることにした。回路はヘパリンコーティング,脱血法はVAVRシステム法にすることに決まった。結果は灌流圧40~70mmHg,体温24.9℃,CPB時間は1時間45分,内頸動脈遮断時間は7分でクリッピング術を行った。術後は神経学的症状もなく経過した。血管虚脱が必要と判断されたとき,また長時間のVf下での手術が予想される場合には開胸式低体温体外循環法が適切と考えられ,VAVRは有用な方法であった。
  • 山村 晃生, 朝日 亨, 谷澤 勝, 小林 英知, 川口 聡, 橋本 雅史, 伊藤 茂樹, 小櫃由 樹生, 石川 幹夫, 石丸 新
    2002 年 29 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】DeBakey III b型解離性大動脈瘤の瘤内血栓がある再手術患者に対し,脳塞栓の回避と視野の確保を考え,本症例に高本らが報告した『超低体温下,簡単な脳逆行性灌流法』を選択し有効であった症例を経験した。症例は61歳,男性。身長167cm,体重70kg。鎖骨下動脈分岐部直下にエントリーを有する慢性解離性大動脈瘤であったため,大動脈遮断時の壁損傷およびdebrisの飛散を懸念して,間欠的な逆行性脳灌流法と超低体温下,循環停止法を用いて下行大動脈人工血管置換術を行った。本法は良好な視野を得ることができた。回路には,脳分離体外循環回路を使用した。
  • 玉城 聡, 鈴木 義隆, 赤地 吏, 山口 敏明, 小林 国男, 上田 恵介
    2002 年 29 巻 1 号 p. 50-52
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    【要旨】左開胸下で行う下行大動脈人工血管置換術では,脳保護や肺出血を防止することが重要である。今回,慢性解離性大動脈瘤の2症例の体外循環法や術中および術後経過を検討し,脳保護や肺出血に関して考察したので報告する。2例とも,経大腿静脈右房脱血,大腿動脈送血にて行い,膀胱温25℃で循環停止を行った。1例目は,主肺動脈脱血にて2本脱血とし体外循環を確立したが,2例目は,肺動脈脱血を断念した症例で約4,500mlの多量の肺出血を起こし,長期間の人工呼吸器管理を要した。両症例とも術後覚醒が第2病日で脳神経学的合併症はなかったことから脳保護が可能であった。また,主肺動脈脱血ができなかった症例で多量の肺出血を起こしたことから,体外循環中の高い肺動脈圧の持続による肺鬱血が,肺出血の主要な原因になりうることが示唆された。
  • 原 和信, 広瀬 聡, 上田 彰, 栗原 大典, 竹井 沙織梨, 内田 直里, 石原 浩
    2002 年 29 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】症例は51歳,男性。平成12年6月,拡張型心筋症による心不全にて入院。同年8月8日にLOSによりショック状態そして乏尿となったため,心臓カテーテル室にてIABPを挿入。その後も心不全状態から脱せられず8月18日にBatista+僧帽弁置換術が施行された。IABPバルーンは大動脈遮断中のみ休止し,遮断解除後より同条件にて再開し,8月24日まで計16日間左大腿動脈に留置された。術後6日目白血球35,800/μl,CRP8.8mg/dl,血圧65/40mmHg,HR120回/minとなりIABPシース感染による敗血症を疑い,スワンガンツ,ブラットアクセスとともにIABPバルーンを抜去およびエンドトキシン吸着を行った。抜去2日後には白血球16,100/μl,CRP4.2mg/dlと下降し血圧110/70mmHg,HR105回/minと安定した。近年IABPバルーンの細径化に伴い,留置期間の延長も可能となった。しかし反面,留置期間に対する認識が薄れ,カテーテル感染により重篤な状態に陥ることも考慮しなければならない。
  • 和田 英喜, 宇井 雄一, 田中 佑佳, 山本 英樹, 丸山 仁実, 林 哲也, 尾嶋 良恵, 木下 昌樹, 新田 功児, 西分 和也, 石 ...
    2002 年 29 巻 1 号 p. 56-58
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】新たに開発された,アイシン社製IABP装置,CORART BP21(BP21)を使用する機会を得たので,当院で使用しているデータスコープ社製System97e(97e),System98(98)との比較も含め,シミュレーション回路による,応答性・不整脈への追従性の実験および臨床使用で総合的に評価した。BP21は98と同様に拡張・収縮に要する時間が短く,高心拍への追従性が良く,R波デフレーションを選択するのにも十分な性能を有していると考えられた。カテ先センサー付のP1バルーンを使用した際は,センサーオート機能で優れた不整脈への追従性を示した。また搬送時の移動性に優れ,新しく開発されたバックアップモードは臨床上の有効性も示唆された。
  • 小木曽 光希子, 山田 悌士, 薗田 誠, 中村 智裕, 東 和美, 杉浦 裕之, 新居 優貴
    2002 年 29 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】ITC社製ヘパリン/プロタミン入りの血液凝固計テストチューブを,体外循環症例14例に使用し,両薬剤の必要投与量予測式の抗凝固療法を行った。両薬剤とも,当院における通常の投与量に比べて全症例で少なく,かつ,良好なACT値にコントロール可能であった。ヘパリン/プロタミン入りテストチューブは,体外循環における抗凝固療法に有用であると考えられた。
  • 杉浦 裕之, 山田 悌士, 薗田 誠, 中村 智裕, 東 和美, 小木曽 光希子, 新居 優貴
    2002 年 29 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    (要旨)人工心肺を用いた開心術体外循環中の抗凝固剤は,一般にヘパリンが用いられ,この指標に活性化凝固時間(ACT)の測定がある。今回,改良されたヘモクロンJr IIカートリッジを使用する機会を得たので従来型に加え,当院で使用しているヘモクロン401と比較検討した。ヘモクロンJr IIの改良型・従来型のカートリッジはACT+,ヘモクロン401のテストチューブはFTCA 510を使用して測定した。改良型の測定値は,従来型と比較してほとんど変化がなかった。FTCA510と比較して低値を示した。改良型,従来型,FTCA510の3者には高い相関関係が見られた。
  • ―成人用回路の低充填化に向けて―
    神谷 典男, 北本 憲永, 西條 幸志, 高岡 伸次, 鈴木 克尚, 鈴木 智代, 高柳 綾子, 小出 昌秋, 野地 智, 打田 俊司, 石 ...
    2002 年 29 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】近年,無輸血開心術は広く行われ,体外循環の血液希釈の影響を最小限に努めるために,各施設では様々な試みがなされている。今回我々は,回路径を可能な限り細くし,回路長の見直しと当施設で考案した体外循環回路組み込みシート(衛生シート)を成人用回路にも応用し,開放および閉鎖型の両回路の低充填化を試みた。その結果,2000年7月までの開放型回路充填量はリザーバレベル200mlの時56kg以上で1,100ml,55kg以下で985mlであったのが,開放型回路では56kg以上で722ml,55kg以下で635mlとなり,症例によっては更に術野側回路を短くすることで565mlとなった。また,閉鎖型回路の充填量はリザーバレベル100mlで780mlとなった。低充填化には閉鎖型の方が理想的と考えていたが,実際は気泡除去能力の高い材料が必要で選択が限られてしまい,結果的に開放型の方が低充填量となった。現段階において低充填化には開放型の方が最適と考えられた。
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