目的 : 頸動脈硬化に影響をおよぼす危険因子を検討する.
対象および方法 : 頸動脈超音波検査を施行した678例を対象とし, 総頸動脈の内中膜複合体厚 (以下IMT) および, 頸動脈全体のプラークの高さの総和 (プラークスコア : PS) が, 性, 年齢, 喫煙, 糖尿病, 高脂血症, 高血圧, 肥満とどのような関係があるのか検討した.
結果 : 1) IMTに関与する因子は, 男性では年齢 (p<0.0001), 糖尿病 (p=0.0015), 喫煙 (p=0.0027) であった. 女性では年齢 (p<0.0001), 高血圧 (p=0.0247) であった. PSに関与する因子は, 男性では年齢 (p<0.0001), 喫煙 (p<0.0001), 糖尿病 (p=0.0038), 高脂血症 (p=0.0064), 高血圧 (p=0.0069) であった. 女性では年齢 (p<0.0001), 高脂血症 (p=0.0123) であった. 2) 保有因子数による影響は, 男性においてIMTでは, 因子数が5個になると有意 (p<0.005) に肥厚した. PSは, 因子数が3個以上になると有意 (p<0.05) に増大した. 女性はIMT, PS共に危険因子数による差は認めなかった.
結語 : 頸動脈硬化に強く関与する因子は加齢, 糖尿病, 喫煙であった. また, 女性より男性の方が, 影響を受けやすかった.
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