超音波医学
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33 巻, 4 号
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総説
  • 千原 國宏
    2006 年 33 巻 4 号 p. 463-471
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル 認証あり
    医用超音波イメージング技術は, 非侵襲性と実時間性に優れた動的な情報のイメージング技術という特徴を生かし, 人体内の臓器や腫瘍の形態, 血流動態を音響インピーダンス分布として可視化する手軽な手法となっている. 超音波イメージングの基本は反射式センシング技術にあり, 送波信号としての超音波, 反射体の性質, 受波した信号の処理方法など, 多様な工夫が可能であることから, 鮮明度や解像度が不足という欠点を抱えながらも, 医用超音波イメージング機器は, X線CT (X線透過係数の分布)・MRI (構成元素の分布)・核医学イメージ (吸収・代謝・循環の分布) と並ぶ代表的な医用イメージング機器の地位を確保している. 本総説では, 医用超音波イメージング技術の最前線として注目されている三つの技術, 「鮮明な画像を得る技術 (ハーモニックエコー)」「診やすい画像にする技術 (バーチャルエコー)」「e-Japan実現に向けた未来技術 (ユビキタスエコー)」を紹介する.
  • 穂積 健之
    2006 年 33 巻 4 号 p. 473-481
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル 認証あり
    近年, 通常の心エコー装置でリアルタイムに立体画像描出が可能な次世代リアルタイム法が登場し, 3D心エコー図が臨床心エコー検査で用いられる時代となった. 現在の装置では, 標準的に用いられるのはフルボリューム・モードである. 本モードは, 左室容量や駆出率, 左室心筋重量の計測に特に適している. 負荷心エコー図に適用すれば, 各ステージの左室全体の壁運動を容易に記録することができる. 左房から見た僧帽弁の立体画像は, 僧帽弁病変の部位を把握するのに役立ち, 手術前の重要な情報を提供し得る. このように, 新世代のリアルタイム法は, 左室収縮能の定量評価, 負荷心エコー図, 弁膜疾患の病変把握に用いることができ, 今後臨床において広く普及すると期待される.
  • 橋本 千樹, 廣岡 芳樹, 伊藤 彰浩, 川嶋 啓揮, 原 和生, 金森 明, 内田 博起, 後藤 順, 丹羽 康正, 吉岡 健太郎, 後藤 ...
    2006 年 33 巻 4 号 p. 483-492
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル 認証あり
    三次元体外式超音波 (3DUS) の原理, 装置および胆膵領域における有用性について述べる. 3DUSを利用することで胆嚢の容積を正確に測定でき, 胆嚢の正確な機能評価が可能である. またUS-virtual endoscopy像を作成することにより, 二次元の超音波断層像より, 病変の立体的形態, 表面性状などが把握しやすくなり, 客観的で説得力のある画像が得られる. 3DUSは将来, 胆膵領域における超音波診断能の向上に寄与するようになると期待する.
  • 前野 泰樹, 神戸 太郎, 廣瀬 彰子, 姫野 和家子, 藤野 浩, 松石 豊次郎
    2006 年 33 巻 4 号 p. 493-501
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル 認証あり
    胎児の心疾患を診断し有効な周産期管理に結びつけるためには, 一次施設でのスクリーニングと, それによる二次施設への紹介による正確な診断と管理方針の決定が必要である. 胎児心疾患のスクリーニング法は簡便であり, 専門的な先天性心疾患の知識は必要ない. (1) 左右の判定と, ごく単純な二つの胎児横断面である, (2) 4-chamber viewと, (3) 3-vessel viewを描出して評価し, 異常のある可能性を指摘できることが重要である. スクリーニングの普及には経験を積んだ検査技師や助産師, 看護師などのコメディカルが胎児エコーを施行することも有効と考えられる. 実際に胎児の心奇形が診断された時には, それを有効な周産期管理に生かすためには小児循環器科医の知識は不可欠であり, さらに胎児心疾患に特有な問題点の知識が必要である. 胎児の不整脈では, Mモード法とドプラ法の双方を利用しながら, 正確な診断の上に適確な胎内治療を含めた周産期管理を行うことが重要である.
症例報告
  • 藤岡 和美, 藤岡 彰, 衛藤 光, 佐貫 栄一, 田中 良明, 大石 実
    2006 年 33 巻 4 号 p. 503-507
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル 認証あり
    頸部腫瘤の精査目的で施行した超音波検査 (ultrasonography : US) で偶然に診断された高安病 (Takayasu arteritis : TA) を経験した. 自験例は比較的若年に発症したTAにもかかわらず動脈硬化を伴う稀な症例であった. 症例は32歳, 女性. 20代半ばより右頸部腫瘤に気付くも放置していた. 2001年6月皮膚科通院中に頸部腫瘤を指摘されUS検査を施行. Bモード上, 両側総頸動脈に壁の肥厚した内膜中膜複合体, いわゆるmacaroni signの像を認めTAと診断した. 自験例のUS所見はmacaroni signに加え血管壁の一部に不整と石灰化を, また血管拡張や狭窄を認め動脈硬化性変化を伴う進行したTAの像であった. Vascular biologyの進歩に伴いTAと動脈硬化の関連が報告されている. 自験例の画像所見, 特にUS像よりTAと動脈硬化との関連が示唆され, TA自身の炎症が動脈硬化を惹起し進行したTAの像を呈したと考えた.
  • 道倉 雅仁, 有田 勝, 長谷部 愛, 守安 謙志, 北出 和史, 前田 匡, 森 宏樹, 脇 英彦, 辻本 正彦
    2006 年 33 巻 4 号 p. 509-512
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
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    症例は44歳男性で, 心臓超音波検査を施行し左心室後壁に腫瘤を認め, 緊急摘出手術となった. 腫瘤のエコー性状は表面が不整, 境界は不明瞭で, 高輝度な部分と低輝度な部分が混在する病変として描出された. 摘出した腫瘤内容物のヘマトキシリン・エオジン染色では, フィブリン塊の中に多数の炎症細胞 (好中球) の浸潤を認めた. 上皮性腫瘤の鑑別診断に用いるケラチン染色では局在性に陽性であった. また血清CA19-9の高値が腫瘤によるものかを鑑別診断するために免疫染色を行った結果, 局在性に濃く陽性であった. 一方, グラム染色は陰性であり, 細菌培養にても同様の結果を得た. これらの結果より, この腫瘤は上皮性のCA19-9を産生する病変と考えられた. 心臓超音波検査にて発見した稀な左心室の腫瘤の1症例であった.
今月の超音波像
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